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#18.魔法陣と肉体強化魔法


 翌朝は清々しく、いつもより早く目が覚めた。

 

 部屋から日の出が見える。南ノ国の海に面している部分は東であり、東の砂浜から、日の出が見渡せる。

 僕の部屋も東向きに建てられており、さらに目の前には砂浜が広がっており、日の出がきれいに見渡せる。


 昨日の出来事が嘘みたいだった。

 両親と兄に捨てられた後、本当の家族のような人々に出会った。

 モナリオ家の皆さんを家族と決めた。

 希望の光。朝日が見えた。


 しばらくして、着替えたのち、僕の部屋を出た。

 執事のアレックスさん、メイドのカミラさんがあいさつをしてくれる。

 

 「おはようございます。翔太朗様。お早いお目覚めでございますね。朝食の準備ができております。どうされますか。」


 「おはようございます。アレックスさん、カミラさん。せっかくなので、皆さんそろってからで。」

 僕はそう答えると、

 

 「かしこまりました。」

 と言ってくれた。


 やがて、モナリオ家の人たちが順々に起きてくる。

 まずは、アルベルトさん、そして、アルベルトさんの妻、パメラさん、アルベルトさんの父で、当主のポールさん、そして、僕と年も近い、アルベルトさんの娘のミランダお嬢様。


 全員がそろっての、朝食だ。

 温かいスクランブルエッグ、オニオンスープとパン。

 どれもおいしくいただく。


 

 朝食が片付け終わると、僕たちは、泊まっているコテージの目の前の砂浜に来ていた。

 ここの砂浜もプライベートビーチのようで、僕とモナリオ家の人達以外は、誰もいないようだった。


 「さて、魔法の修業を始めますか。」

 執事のアレックスさんが言った。アルベルトさんもうなずく。

 

 昨日聞いたことだけれどワクワクした。

 

 どのようなことになるのだろうと思う。

 「おそらく翔太朗君は、忍者だったこともあるので・・・・・。

 執事としてでもそうだし、この家の執事につく前は仕事柄、外国とかをかなり多く旅しているアレックスが君の最初の先生として、適任だろう。実際の忍者の人にもあったことがあるわけだしな。そして、魔法の才能ももちろんある。まあ、大丈夫。俺たちも見ているからな。」

 

 アルベルトさんがそう言って、アレックスさんを改めて、指名した。

 アルベルトさんが、アレックスさんの肩をポンポンと叩く。


 「よろしくお願いします。」

 僕は、アレックスさんに頭を下げる。


 アレックスさんもにこやかに接する。

 「さて、忍術は翔太朗様もご存じのように、手で印を結んで、術を発動しますが・・・・。」


 アレックスさんは、自分の掌をみせた。

 そして、掌に意識を集中したのだろうか。光り輝く模様が現れた。


 「魔法はこのように、魔法陣を使って、術を発動します。」


 なるほど、この光輝く模様が魔法陣というわけだ。


 「その魔法の術を、初めて発動するときは、このように、ご自身の指に魔力を集中させる。もしくは・・・・。」

 

 アレックスさんは、杖を取り出し。

 「このように、杖を使って、魔法陣を描いていただく必要があるのですが、これはその術を最初に発動する時のみに発生します。一度描いた魔法陣は基本的に、ご自身の体内、ご自身の魔力の中に保存されますので、二回目以降に発動するときは自動的に魔法陣が出てきます。なので、忍者のように、いちいち印を結ぶより、スムーズに発動できます。」


 その後、アレックスさんは魔法陣を発動し、空間の裂け目が現れて、そこから剣を取り出した。

  

 「これは収納魔法の魔法陣でした。収納魔法は、持ち物を異空間に保存でき、いつでもどこでも好きな時に、持ち物を取り出せます。これは私の武器の一つですね。」


 なるほど、魔法陣を描く、魔法陣で発動する。これだったら、印を結ぶより楽にできそう。


 「さて、実際に翔太朗様にやっていただく前に、翔太朗様は左利きということですが、右手で使うように矯正されるように育てられたため、実際にその認識がなさそうなので、まずは腕を振ってみましょう。左手の人差し指を出して、腕を振ってもらえますか。実際にペンがある感じで、書く真似もしてみましょう。」


 アレックスさんの指示通り、左手で腕を振ってみた。

 一通り、確認し終えた。


 「では、今度は、右手で同じようなことをしてみましょうか。」


 右手で同じことをしてみる。

 やはり、左手、左腕の方が動きやすい。


 「では続いてこちらの剣を持っていただいて。」

 差し出されたのは練習用の木刀だ。


 「左手に持って、実際に剣の修業をする感じでやってみましょう。」

 

 剣の修業。忍具の修業の一環で、やったやつだった。

 アルベルトさんが相手になってくれて、剣の修業をする感じでやってみた。

 どうやらアルベルトさんは、魔法よりも剣の方が得意らしい。


 「では続いて、その剣を右手に持ち替えて、同じことをやってみましょう。」

 アレックスさんに言われたとおりにした。

 右手の剣、確かにトン吉爺さんも剣は右手に持って、と言いながら、相手してくれたよな。

 僕は、懐かしく思いながらも右手で剣を持ち、同じようにやってみた。

 この時も、剣の相手はアルベルトさんが相手になってくれた。


 「うん。おそらく客観的に見ても、左手の方が剣を振る速さも早いし、力もある。どうだろう、わかるかな。」


 確かにそうだった。自分でも一回左手で忍具を試したかったが、こうも簡単に試す機会が与えられるなんて。


 アルベルトさんの指摘通り、確かに自分でも左手で剣を扱う方が力が入った。

 僕はうなずいた。


 それを見ていたアレックスさんが言ってきた。

 「では、今度から、武器などの鍛錬を行う時は左手に持って実施しましょう。」

 まさか、こんなことを言われる日が来るなんて、夢にも思わなかった。


 「では、実際に魔法を使ってみましょう。しばらくの間は私の杖をお貸しします。左手にこの杖を持ってみましょう。」

 僕は、アレックスさんから、杖を渡される。


 「昨日のお話からの推測なのですが、おそらく翔太朗様は風属性の下位の攻撃魔法の魔法陣を所持しているかと。」


 驚いた。なんとすでに魔法を使用していたと・・・・。


 「はい、薬草園の泉の出来事を聞いたとき、自発的に突風が吹いたと。おそらく手をばたつかせて、魔法陣を描いて発動したのでしょう。

 魔法は同じ魔法を何度も使用したり、いろいろな属性の魔法をたくさん使っていると、初めて使う魔法の魔法陣が突然浮かび上がってくることがたくさんあります。もちろん、書物などで魔法陣を調べて、実際に使うこともできますが。

 ゆえに、その人にしか使えない、オリジナルの魔法も珍しくないのです。

 薬草園の出来事は、敵に襲われているピンチの時でしたから、意識せずとも発動したのだと思われます。」


 なるほど。


 左手で杖を持ち、早速薬草園の出来事を思い浮かべてみた。


 緑色に輝く、魔法陣が現れた。

 「うん。風の攻撃魔法の一つ、『トルネード』という魔法を覚えていらっしゃるようですね。竜巻、突風を発生させて攻撃する魔法ですね。」


 僕はうなずいた。やはりあの時魔法を発動していたのだ。


 「では、海の方に向かってトルネードを発動させてみましょう。」


 「はいっ。トルネード!!」

 僕は魔法陣を発動させる。海の上に竜巻が起こり、水柱が昇っていく。


 「素晴らしいですね。しかも、かなりの威力です。トルネードは風の魔法の中でも、下位魔法なのですが、翔太朗様の持っている、魔力量のせいでしょうか。上位魔法のように見えますね。」

 アレックスさんの、ほめ方に僕は顔を赤くしてしまった。


 「では、もう一度トルネードの魔法陣を出していただけますか。」

 僕はもう一度杖を出して、トルネードの魔法陣を出した。


 「左手を失礼しますね。」

 アレックスさんはそう言って、僕の左手、つまり杖を持っている方の手を持ち、僕の出している、魔法陣をアレンジしているようだった。どうやら、トルネードの魔法陣を簡略化しているらしい。


 「よし、できました。トルネードよりは簡単で威力も下がりますが、風の攻撃魔法『ウィンドカッター』の魔法陣であります。やってみましょう。」


 アレックスさんの指示通り、僕は『ウインドカッター』の魔法を放つ。

 風の刃が水面を切り裂いているようだ。慣れてくれば、風の刃でいろいろ切れるかもしれない。


 「いいですね。」


 アレックスさんは言った。


 「もう一度、トルネードの魔法を出してみましょう。そして、再度左手を貸していただけますか。」

 アレックスさんの指示通り、もう一度トルネードの魔法陣を出して、アレックスさんが僕の左手を取り、魔法陣を加えていく。


 今度はさらに魔法陣の模様と、周りの文字をつけ足しているようだ。


 「これは、風属性の上位の攻撃魔法の一つ、『トルネードカッター』になります。竜巻を横にしたものですね。威力は高いですが、真正面の相手にしか狙えないのがデメリットでしょうか。こちらもやってみましょう。」


 今度もトルネードカッターを海に向かって放つ。


 するとどうだろう。一瞬、海が割れた。まるで、向こう岸にわたりたいときに、海の水が壁を作り、海水の中から、砂が現れたのだった。


 「高い威力ですね。正直、初日で、ここまでできるとは思いませんでしたよ。」


 「やはり、翔太朗様も風属性魔法は得意なようですね。忍者であれば風遁というのでしょうか。ほかにも風魔法はたくさんありますので、魔法陣の本を読んだり、もう少しこういう風に風を操れたらいいのではという場面を思い浮かべながら、魔法陣を作ってみてくださいね。」

アレックスさんのことばに、やっと僕も吉田一族の仲間入りを果たしたかのようだった。

だがしかし、僕はモナリオ家の一員だ。帰りたくない。


 「では、続いての魔法と行きましょうか。といっても、ここからはアルベルト様に代わっていただきましょう。」

 アレックスさんはそう言って、アルベルトさんにバトンタッチした。


 拍手をしながら、アルベルトさんはこちらに向かってくる。

 「先ほどの風魔法。素晴らしかったよ。」

 にこやかに、アルベルトさんは言った。


 「ここからは武器の修業だな。」

 苦手な体術の修業か。と思ったら。


 「大丈夫。体力勝負と思うかもしれないが、体力がなくても補うことができる。こんな感じでね。」

 アルベルトさんの前に白く輝く魔法陣が現れる。


 「無属性魔法の一つ。『肉体強化』という魔法だ。これを使えば、体力が苦手な人でも、互角、それ以上に戦うことができる。君の場合は素の体力を扱う場合がほとんどだったから、知らなかっただろう。」


 そっか、その手があったか、という目でアルベルトさんの魔法陣を見ていた。


 「さあ、実際に『肉体強化』の魔法を使ってみよう。そして、その剣を取って、私と剣の稽古をしてみようではないか。」


 アルベルトさんから、肉体強化の魔法陣を教えてもらい、実際に発動してみる。

 そして、剣をもってアルベルトさんと剣の稽古をしてみる。

 

 すごい。剣のパワーも上がっている。そして、アルベルトさんの剣も力強いが、僕もその強い力を肉体強化の魔法で補っているようで、剣の技をすべて剣ではじき返している。


 まだまだ、防御できそうだ。

 

 だが、相手も同じ肉体強化の魔法を使っている。しかもアルベルトさんは剣の扱いに慣れている。今のままでは防御しているだけ。攻撃もアルベルトさんにはじかれてしまう。


 風の術が得意。ならばもっと素早く動けないか・・・・・。


 そう思ったとき、先ほどの肉体強化の魔法陣のアレンジを思いついた。

 そうか、この感覚で新しく魔法陣を作るんだ。


 アルベルトさんから僕は距離を取った。そして、先ほど思いついた魔法陣を描いてみる。

 左利きで扱いやすくなった。少なくとも、以前の印を結ぶよりこちらの方が何万倍も簡単だ。


 よし。『肉体強化~速さ~』の魔法だ。


 魔法を発動し、アルベルトさんの懐に飛び込んだ。

 そして、アルベルトさんの剣が手から外れ、そのまま剣が空を切った。


 一本取った。


 「素晴らしかったよ。肉体強化の素早さを上げる魔法を思いついたんだね。目にも止まらない速さだった。君が一瞬消えて、手も足も出なかった。」


 これを見ていた、ポールさん、パメラさん、そして、ミランダとカミラさんも拍手を送ってくれた。


 「翔太朗君は、忍者より、魔法使いだよ。絶対。よかったね。」

 パメラさんがほめてくれた。ほかのみんなも、うん。うん。とうなずいている。


 「初日の修業はここまでだな。まだ時間が早いが、明日の出発に備えなければならない。特に翔太朗君は初めての場所に行くことになるのだからな。」

 ポールさんが口を開いた。


 初めての場所・・・・・・。

 「どこへ行かれるのですか?」

 僕は聞いてみた。


 「ははは。私たちは、この南ノ国にバカンス、旅行に来たのだよ。私たちの家に帰るということだな。つまり、私たちの国に帰るということ。そして、翔太朗君にとっては初めての場所に行くことになる。」


 確かにそうだ。彼らの顔立ち、髪色は那ノ国ではあまり見ないような顔立ちだ。


 「どこの国でしょうか?」


 「ここから船で東の方向へ4日ほどかけていった場所。『東の大陸』にある『セントアリア王国』だ。」

 東の大陸、つまり那ノ国や南ノ国がある大陸とは違う場所のようだ。

 だが、聞いただけでとてもワクワクする。


 「こちらの大陸は、『那ノ大陸』と呼ばれています。そして、私たちの国はちょうど那ノ大陸の東側、そして世界地図でも東に位置して記載してあるため、『東の大陸』と呼ばれています。モナリオ家はそのセントアリア王国の貴族、侯爵家ですね。」


 侯爵家。聞いたことがある。とても偉い、那ノ国では大名クラスに当たる家柄だと。


 「失礼しました。」

 僕は自然とひざまずいていた。


 「大丈夫よ。頭を上げて。翔太朗君は命の恩人です。そして、私たちの家族、仲間ですから。」

 パメラさん、アルベルトさんが声をそろえた。カミラさんも、うん。うん。と言っている。


 「それに、セントアリアにも翔太朗君のように、立場が弱い人がいる、そのような人に手を差し伸べる政治を行うのも立派な侯爵家の勤めの一つなのだから。」

 どうやら、セントアリア王国は身分制度などには寛容らしく、この言葉を聞いて安心した。


 「さあ、こちらの大陸の景色を焼き付けておきなさい。といっても南ノ国は君も初めて来たのでわからないと思うが、おそらく東の大陸から、しばらく那ノ大陸に戻ってこないと思うしね。」


 ポールさんにそういわれて、せっかくなので、南ノ国を見て回ることにした。


 「あっ、こちらの大陸で、必要なものがあれば用意するがどうするかね。」

 必要なもの、薬草はいくらか必要かなと思ったので、それを購入したいと伝えた。

 同時に、薬も作れることを伝えてみた。


 「おお、薬草で薬も作れるのか。こちらの大陸にある薬草の、大方は東の大陸にも手に入れられるし、必要があればこちらの大陸から取り寄せられるから、あまり多く買わなくても大丈夫だよ。ただ、こちらの大陸でしか生えていないものをそうだな、いくつかそろえようかな。」


 そういって、少しではあるがポールさんはお金をいくらか僕に渡してくれた。

 なるほど、取り寄せることもできるのか、と思い、ポールさんに言われたとおりに、こちらの大陸にしか生えてこない、薬草を少しずつ買った。

 該当する薬草はアレックスさんとカミラさんも一緒に買い物に来てくれて、教えてくれた。

 

 あと必要なものは衣類だろうか。一日分の着替えは貸してくれたが・・・・・。

 「それでしたら、収納魔法でいくつか衣類がしまってあるので、しばらくお貸ししましょう。セントアリアに着いた時点で、再度必要なものを購入しましょう。」

 アレックスさんのことばにうなずくことにした。


 そうなると、あとはほとんど大丈夫だろう。那ノ国で読んだ書物もほとんど覚えているし、セントアリア王国でも、必要があれば那ノ国や南ノ国から取り寄せてもらえるのだから。

 それに、セントアリアでしか手に入らない薬草で薬を作るのも面白そうだ。


 そのあとは、モナリオ家の皆さんとともに食事をして、シャワーを浴びてぐっすり眠った。





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今回もご覧いただき、ありがとうございました。

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