#13.南の国旅行
八重の家で夕食を作り終え、僕の家に夕食を鍋ごと持っていった。
なぜか今日は、みんな、おいしいと言いながら食べていた。
「翔太朗、重要な発表があるんだ。」
父、半蔵はひときわ嬉しそうに、言った。
「ジャーン、見てみろよ翔太朗。」
兄、龍太朗は、上忍昇格の辞令を見せた。
『辞令、吉田龍太朗、右の者、那ノ国上忍に任命する』
兄、龍太朗が上忍に昇格したのだ。正確には上忍の試験に合格して、昇格したのだった。
「お祝いを兼ねて、翔太朗が夏休みの間に、旅行に行くことに決めた。」
半蔵は兄の上忍昇格祝いを兼ねた旅行を企画中のようだった。
「お前も付いてこい。一緒に行っていいぞ。今回は特別だから。久々に家族で出かけるぞ。」
初めて、両親から、家族と認められた瞬間だった。
いつも旅行は僕抜きで行っていた。
留守番しておけと言われ続けていた。
僕にとっての初めての旅行だった。
「場所はね、南ノ国よ~。」
南の国。本で読んだことがある。
この、那ノ国の大陸一のリゾート地だ。
観光収入で国の経済が成り立っていると聞く。
とても素晴らしい。
「ありがとう、父さん、母さん。」
僕はお礼を言った。
旅行についてきていいんだ。僕は上機嫌だった。
その日から、旅行当日までは、うきうきしており、毎日が過ぎていくのが早かった。
そして、旅行当日。
僕は荷物を持って家の玄関を出る。
家の外で、父から身分証明書を渡される。
どうやら、これが那ノ国を出るときに必要らしい。
父と、兄は鷲を口寄せした。
二頭の鷲が現れる。
父の口寄せした鷲。鷲野サイゾウ。茶色の鷲で、左目に眼帯をしている。
「半蔵様、このサイゾウ、見参いたしました。事情は聴いております。南の国までお連れ致します。」
どうやら、この鷲に乗って空を飛んで南の国に向かうようだ。
「奥方殿、しっかりおつかまりください。」
サイゾウの背中に、父と、母が乗った。
「お前たちは、ワシノリの背中に乗っていくぞ。」
父が促した。
「そうだ、お前らはまだまだ修行が足りん。俺の背中に乗るなんて、5万年早い。」
サイゾウはそう言った。そこかサイゾウの性格の短所だ。
プライドとこだわりは強い方で、父も実際にサイゾウと戦って、口寄せの契約をしたと言っていた。
兄が口寄せした鷲。鷲田ワシノリ。こちらも茶色の羽毛をしている。だが、サイゾウより羽毛はきれいだ。
「♪Yo、Yo、俺は、ワシダワシノリ!!、久しぶりだぜ、ダメノリ、クズノリ、バカノリすべてを併せ持つ~その名は翔太朗!!♪」
ラップ口調の元気な鷲だ。だが、ストレートの口調でラップを刻むこの鷲は僕は苦手だった。
「すまないな、ワシノリ。南の国まで、一緒に乗せてってくれ。」
「♪Ohー、Oh-、いいぜ、俺の王様、龍太朗。龍太朗は、できる王、天才王、疾風王!!俺のスピードに唯一勝った。天才ファイター、龍太朗!!しっかりつかまれ、龍太朗!!♪」
ワシノリのラップが歌い終わると、急に低い声で、ワシノリは僕に言った。
「おい、クズ野郎。龍太朗様の頼みだから、乗せてやってんだ。感謝しやがれ。龍太朗様や俺の背中の上で何かしたら、すぐに地面にたたき落とす。わかったか。」
ラップの時と、マジのときのテンションの差がすごい。
でも僕は気にしなかった。
「はい。ワシノリ様。ありがとうございます。」
久しぶりの旅行だ。こんなのこれからある楽しみと比べれば。
サイゾウとワシノリは、僕たちを乗せて、勢いよく空に飛んで行った。
半蔵の案内の元、二頭の鷲はすぐに南ノ国の方向へ進路をとる。
6時間ほどかけて、那ノ国の国境の関所に到着する。
関所の前に着陸し、身分証を見せて。
さらに南の国の方角へ向けて、進路を南下していった。
関所からさらに7時間ほど、二頭の背中に揺れて、南の国にたどり着く。
案の定、ついたころは日が暮れていた。
リゾートの街の入り口に二頭は着陸した。
そして、二頭の鷲は、変化の術を使って、人間の姿になった。
同じように、動物も忍術で変化の術が使えれば人間になることができるのだ。
サイゾウは、昔ながらの着物にロン毛、左目には眼帯をして、さらにマスクをしている。
ワシノリは、ニット帽とをかぶり、レザージャケットを羽織り、いかにもラッパーという感じの雰囲気だ。
「改めて、龍太朗様上忍昇格おめでとうございます。」
「♪コングラーチレーション、俺の兄貴、上忍昇格ヤッホーチレーション♪」
サイゾウと、ワシノリは人間の姿に変化したのち、改めて礼を言った。
「私たちも旅行を楽しめるということで光栄です。感謝します。」
「♪旅行~、最高~♪」
そういって、半蔵、民子、龍太朗、僕、人間の姿に変化した、サイゾウとワシノリの6人で南の国旅行を楽しむことになった。
日は暮れても、南ノ国の夜のリゾートの街はとてもにぎわっている。
露店にはおみやげものが所狭しと並んでいる。様々な国の人が来ているのだろうか。いろいろな人があふれていた。
しばらく、夜の街を観光し、宿泊するホテルへと向かった。
今回宿泊するホテルは、とても閑静な所にあった。
全室コテージで、プライベートビーチが完備されていた。
こんな高級ホテルは泊まったことがない。
僕は終始興奮状態だった。
プライベートビーチで海水浴をし、夜はキングサイズのベッドで眠った。
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