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#125.ブルードラゴンの里


 エドラさんたちドラゴンはブレゾラン山脈のふもと、ブルードラゴンの里で暮らしていたらしい。

 基本的には平和で、マリアからの手紙を読んでマリアの息災を確認していたのだが。


 いつもと違う日常がそこにはあった。

 「エドラよ。大変だ。」

 ブルードラゴンの里の長老が、エドラの元にやってきた。

 「長老様、どうされたのです。」

 エドラは長老に向かって言った。


 「マリアに会いたいといってくる人間が現れての。ここにはいないと声をかけたのだが、引き下がらなくての。」

 「わかった、確認しよう。」


 エドラさんは、そのマリアに会いたいという人間の元に向かった。

 その人間は二人いて、どちらも女性だった。

 「私がマリアの母親のエドラだ、正確には、育ての親だが、して、お前は何者だ。」

 エドラはその人物に問うた。

 そうしたら返ってきた言葉にエドラさんは驚いた。


 「私はマリアの生みの親です。どうか、お願いします。マリアを私の元に返していただけませんか。そして。貴方様に、この子を育ててほしいのです。名前はレイアと言います。マリアの双子の姉です。」

レイアと名乗る人物はマリアと少し似ていた。流石は双子というだけのことはある。だが、明らかに、マリアよりも瘦せていて、根暗な印象だ。


 だが。

 「それは断る。そもそも、お前たち一体何しに来た。とても今更という感じしかしないのだが・・・・・・。生みの親なら私はそなたたちに問う。なぜマリアを山に捨てた?しかも冬の寒い雪山なんかに。」

 エドラさんはドスの効いた、低い声で言った。

 マリアの生みの母親は顔を引きつった。だが。


 「そ、それは・・・・・・・。」

 顔に汗をかいている。


 「なんだ?答えてみろ!!」

 エドラさんは、さらに追い打ちをかける。

 

 「そ、それは・・・・。村の、我が里の、しきたりなのです。双子は大地に悪影響を及ぼす、という決まりで。どちらか一方を大地の生け贄として捧げまして・・・・・。我が里の長老が占いによって決めるのですが・・・・・・・・・。マリアを大地の生け贄にしたのです。しかし。」

 マリアの生みの母親は、しどろもどろになる。


 「しかし、何だ!!」

 エドラさんはさらに威圧的になる。ドラゴンの威嚇は半端ない。

 その表情に生みの母親は泣きそうになるが・・・・・・・。


 「レイアの方は成長するにしたがって、体が弱く、内気になる一方でして・・・・。そんな時、全国中継された魔道武術大会で、マリアが生きていることを知りまして・・・・・・・。」


 「なるほど、それで、強くて優秀な我が娘と、お前たちが育ててきた、このろくでなしとを交換してほしいと・・・・・・。」

 エドラさんは全てを理解した。そして。


 「ふざけるな!!自分の都合で、子供を捨てて、優秀だとわかったら交換してほしい!!そんな、虫のいい話は存在しない!!」

 エドラさんは一気ににらみつける。

 「そなた、名は何という。」

 「アニスと申します、どうか、どうか、もう一度考えてくれませんでしょうか。」

 アニスと名乗る、生みの親は、もう一度土下座して頭を下げた。


 「いい加減にしろ。アニスと、レイアといったな。そんな私利私欲にまみれた塊どもは消えてもらう。覚悟しろ。」

 エドラさんは口を開いて、今まさに、炎の息を吐こうとした瞬間。


 「おーっと、乱暴はいけませんなあ。」

 「さすがはドラゴン、乱暴な魔物ですね。」

 甲高い2人の男の声が聞こえた瞬間、エドラさんの体は鎖で縛られていた。


 エドラさんはもがいて、鎖を外そうとしたが、動けば動くほど、鎖から電流が流れる。

 「お前たち、一体何者だ。」

 エドラさんは男二人に向かって言った。


 「ギエル=ロドバンドです。お見知りおきを。」

 「ジュダ=サルマンです。よろしくお願いします。」

 そう、ギエルと、ジュダが現れた。

 しかし、エドラさんは、山奥のドラゴンの住みかに住んでいたためか、この二人について知らなかった。

 二人がそれぞれ、セントアリア、そしてブレゾラン帝国からの重要指名手配犯であることを。


 「くそっ、お前ら、ここから出せ!!」

 エドラさんは必死にもがき続けた。

 「そういうことなら、貴方が育てた人間の娘さんをおとなしく渡せばいいのですよ。ほら、あちらをご覧ください。」

 ギエルが指をさした方向。そこには。

 同じように鎖で縛られた、ドラゴンの長老、そして、エドラさんの家族、さらには、ブルードラゴンの里に住んでいる、ブルードラゴン全員が鎖で縛られている姿がそこにあった。


 「くそっ、お前らーぁ。」

 エドラさんは暴れようとしたが、鎖が外れない。


 「さすがはドラゴン。なんという生命力ですな。これならば私の魔法のパワーアップの材料にもってこいですね。」

 ジュダが言った。

 「安心してください。貴方様全員、私のライフリバイバルとスピリットブレーンの材料になってもらうのですから。そして、貴方様には特別大サービスで、貴方の目は、ここにいる、レイア様の目になっていただく特典付きです。」

 ライフリバイバルと、スピリットブレーン。エドラさんもこの魔法の名前は聞いたことがあった。

 古い魔法の書物にかかれている。だがあれは・・・・・・・・。

 死んだものを生き返らせ、意のままに操る魔法。さらにドラゴンの生命力を加えると・・・・・・・。

 それが何を意味しているかはエドラさんは簡単に予想がついた。


 「貴様、それは禁止された魔法で、畜生。こんな奴に利用されてたまるか。」

 エドラさんは、最後の力を振り絞るかのように暴れまわり。転がるようにして、脱出を図った。

 その脱出は見事に成功した。


 一気に、山のふもとを駆け下り、谷底に落ち、その瞬間、鎖が外れた。

 安堵したエドラさんは羽を広げ、空を飛び、最速のスピードで、王都のモナリオ家の屋敷にやってきたのだった。


 ここまでがエドラさんが王都に来た経緯の話。

 エドラさんは丁寧に話してくれた。



 「そんな、まさか、ギエルとジュダが背後に動いていただなんて。」

 エドラさんの話を聞いて、僕は驚いた。みんなも驚いていた。


 「二人のことを知っているのか?」

 エドラさんは僕たちに聞いた。


 「はい。ギエルはセントアリアの超重要指名手配犯です。いくつもの殺人事件に関与して、いろいろと国家破壊行動を行っている、重罪人です。」

 僕はエドラさんに説明する。


 「ジュダに関しては私が説明します。彼はブレゾラン帝国からの重要指名手配犯です。金のために、禁忌の術をいくつも使い、殺人にも関与してきた人物です。私はブレゾラン帝国の出身で、私の両親も彼に殺されました。だから私は、この国に亡命してきた経緯があるのです。」

 リリアンがジュダに関しても説明する。


 「なんと、それは・・・・・・・。」

 エドラさんが息を飲む。


 「そして、奴らの目的は一体?なぜマリアを狙う。」

 エドラさんは言った。


 「おそらく、マリアの他にリリアンも狙いでしょう。マリアに関しては生みの親が連れ戻したいという気持ちの方が強いでしょう。そして、ギエルとジュダの狙いはおそらくドラゴンでしょう。ライフリバイバルとスピリットブレーンの材料が目的です。生みの母親と、ギエルとジュダたちの利害関係が一致したからこうして協力しているのだと思います。」

 カミラさんは冷静に分析した。

 エドラさんはカミラさんの言葉に愕然とする。


 「風魔導士殿、翔太朗殿。どうかお願いしたい。マリアを、私たちを助けてはもらえないだろうか。」

 エドラさんは僕に泣きながら頼んできた。


 「もちろんです。」

 僕は二つ返事で答えた。


 「はい。協力します。ギエルを倒せる絶好のチャンスです。」

 ミランダもこの頼みに協力的だった。

 マリア、そして、リリアンはもちろん協力的だった。


 「どうやら決まりだね。魔道学院で、ルーベルトとアンソニーにも相談してみよう。」

 ルカが、僕の肩を叩きながらそう言った。


 「ありがとうございます。ありがとうございます。」

 エドラさんは頭を下げた。



今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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