#124.それぞれの引っ越し
こうして週末、引っ越しを実施した。
マリア、八重、ルカの3人が荷物を持って、モナリオ家の屋敷にやってきた。
こうしてみると、三者三様。荷物にも特徴がいろいろある。
まず、マリアは、ドラゴンに育てられたという経緯から、古い魔法の本であったり、いろいろな古典の本が多くある。
「これはとても貴重ですね、古本屋では高い値段で売れそうです。」
ミランダは一冊一冊本を手に取る。
「はい。お母様が、こういった本が好きなので、持ってきました。」
なるほど、さすがは僕たちよりも長寿な生き物だ。
こういった古典の書物がマリアの実家にはほかにもたくさんあるのだろう。
以外にもルカはやたらと荷物が多い。
「まあ、お兄さんたちが、いろいろと物をくれるからね。古いものもなかなか捨てられないというのもあるけど。」
確かに、剣術や衣類メインだと、こういった荷物が多くなるのだろう。
ルカの兄たちが本当にうらやましい。
八重は荷物は少なかったが新しい衣類がたくさんあった。
おそらく、王宮の人から与えられたのだろう。
「最悪の場合、王宮に取りに戻ればいいですし。皆様も近衛兵ということで、ここと王宮を行き来することになるかもしれませんが。」
確かにそうだ。僕たちは八重の近衛兵、おそらく八重は、ここ、モナリオ家の屋敷と王宮、そして魔道学院を往復する形になる。
「まあ、先ずは学びということで、魔道学院と、この屋敷がメインですが。」
とのことだったので、しばらくは、魔道学院とこの屋敷で八重は暮らすことになるだろう。
「よく王宮のスタッフがOKを出してくれたね。」
僕は八重に聞いたが。
「まあ、公務のほとんどはお祖父様がやっていただいていますし、私のメインは皆さんと視察なので。」
なるほどな。八重も僕も、セントアリアに来たばかり、密度の濃い期間を過ごしたが、まだまだ、那ノ国で暮らしていた年数の方が長いのだ。
荷物をそれぞれ開いている部屋に入れた。
当然、ポールさんも八重には相当敬意を払っているようで、八重は屋敷で一番広いゲストルームを使うことになった。
ルカとマリアには、それぞれ僕とミランダが使っているくらいの広さの部屋が与えられた。
「そして、シロンとユキナは翔太朗君と同じ部屋か。」
ルカが言った。
「そうよ、悪い?ご主人様を護るのが私なのよ。」
シロンが鼻を高くしていったが。
「ここは公平ということで、シロンとユキナにも部屋を用意してもらいたいな。」
ルカが言った。
「そうですわね。これで、翔太朗様に関しては公平にしたいので、部屋を用意する必要がありますわね。」
ミランダも言った。
幸い、モナリオ家の屋敷には、まだまだ余るくらいの部屋がある。さすが侯爵家だ。
と、言うことなので、シロンとユキナにも部屋が与えられた。
「ご主人様、不安になったら、いつでも私たちを呼んでくださいね。」
シロンはミランダ達の言葉に、焦りを感じながらも、この言葉を残して、妥協した。
ユキナは反論できずに黙ってうなずいていた。
「さて、これで、引っ越し完了ということで、翔太朗様。私は貴方を愛しています。」
「僕も。」
「「私も」だよ。」です。」
そんな声が、学級の女の子全員の声が、そろって聞こえた。
はあ。これからどうなるのだろう。僕は無事に1人に決められるのだろうか。それとも・・・・・。
「あ、ありがとうね。でも、これからケンカしないようにね。」
僕はみんなの目を覗いていった。
引っ越しの初日はそれぞれ、屋敷の仕事を手伝うことになった。
といっても、屋敷の厨房はリリアンが切り盛りしていることが多い。リリアンの料理はメイドや執事たちにも定評がある。
「うん。リリアン様が来てから、食事が美味しくなりましたね。」
アレックスさんは夕食の席で、リリアンを褒める。
「それにほかの皆様も、それぞれの個性が輝いているようで、ルカ様は鍛錬を、マリア様は勉学をで、屋敷の者たちの知識や鍛錬のレベルが上がっているようです。勿論女王様も、翔太朗様もなくてはならない存在ですが。」
引っ越してから一日の手ごたえでこのように感じるのだから、きっとモナリオ家にとってもこの出来事はよかったのかもしれない。
翌朝はカミラさんと鍛錬をみんなでやることになった。
「近衛兵のチームだ。チームで動くことを身につけなくてはな。」
カミラさんがそう言って、一人一人に鍛錬をつける。
「折角、近衛兵の大半が、ここにいるのだ。チームワークも磨いていくぞ。」
カミラさんの特訓はいつも以上に熱が入った。
そんな時だった。
強い風が上から下に吹いてきたのは。
ピュー。ドーン!!
空から巨大な生物がモナリオ家の屋敷の庭に降りてきた。
その巨大な生物に見覚えがあった。青いうろこに巨大な羽と角。ブルードラゴンにしてマリアの母エドラさんだった。
「マリア、おお、マリア。無事であったか!!」
エドラさんの目には涙が溢れていた。
「お母様!!どうしたのです。私は、モナリオ家の皆さんにお世話になって、無事でしたが。」
「おお、よかった。よかった。」
エドラさんは涙を流す。
エドラさんの巨大な手がマリアの体全体を覆う。強く持っているのではない、優しく抱きしめているのだ。
マリアは無事だった。それを確認出来て安堵しているエドラさんの姿がそこにあった。
「エドラさん、どうしたのですか。」
僕は慌てて聞いてみる。
「おお、翔太朗殿。風魔導士殿。そなたも息災であることに感謝する。」
エドラさんは少し不安な表情をしている。
「実はな、私の夫と息子、さらに我がブルードラゴンの長老たちまでもが得体のしれない連中に連れ去られてしまった。いや、正確には我が故郷がその得体のしれない連中に乗っ取られてしまったと言った方がいいのかもしれない。」
エドラさんは、深刻そうな顔で話した。
「「「なんだって!!」」」
僕たちはそろって、驚いた顔をする。
驚きにはいろいろある。まずはエドラさんの言葉通り驚いたこと。
そして、まさか沢山のドラゴン達と戦って、勝てる連中が居たことについてという点に関しても驚いた。
一体どういうことなのだろうか。
僕たちは言葉が出なかった。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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