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#122.新年最初の魔道学院

第八章、冒険の始まりです。


 新しい一年が始まり、数日後、ウィンター地方から僕たちは王都に帰ってきた。

 この間も、僕は同じ学級の女の子たちとかわるがわる二人きりの時間を過ごした。


 そして、冬期休暇明け、最初の魔道学院の授業の日がやってきた。

 大満足げに笑顔でいるアンソニーと、やつれたルーベルトがそこには居た。

 「いろいろな所に巡れて本当に良かったよ。ほい、お土産。」

 そういって、アンソニーは色々な所に商売に行って買ってきてくれた、お土産をたくさん持ってきてくれた。


 「ありがとう。これはすごい。」

 ルカが興奮気味になる。

 「はい。私も、どれもおいしそうです。」

 マリアも興奮状態だが、少しおとなしそうだ。だが、お土産全種類一つずつ、取っていく。


 「マリアはお菓子が好きなの?」

 僕がそう聞くと。

 「はい。甘いものとか大好きです。」

 なるほど、確かに、今まで野営していた時も、そして、パーティーをした時も、お菓子やデザートをたくさん食べていたな。

 最初、この学級の女の子はみんな同じような傾向があると思っていたが、改めて、ウィンター家の別荘の一件以来、ひとり、ひとり、詳しく見ていくと、好きなもの、嫌いなもの、どんな性格か、少し詳しくわかってきた気がする。


 「あけましておめでとうございます。」

 ピエール先生が教室に入ってきて、元気よく挨拶をする。


 「さてさて、充実した、とても充実した冬休みだったと思うが、今月末には、秋学期の期末試験があるぞ!!勉強しておけよ。」

 ピエール先生はそういうと、ホームルームを始める。


 そうだった。秋学期と春学期の二期制のこの学校。

 冬休みが開けると一気に試験モードに突入する。


 「と、いっても、今学期は、魔道武術大会や特別任務の成績もあるからな。一部の授業や演習に関しての単位はすでに出しておくからな。」

 と、ピエール先生は試験という二文字で緊張した僕たちを改めて、緊張をほぐすように言った。


 そうして、僕たちは一気に試験モードに突入することになった。


 この年明けから、不思議に思ったことは、大教室での授業だった。

 なんか、一気に人が増えた気がするのだが・・・・・・。


 「魔道武術大会準優勝の、翔太朗様ですよね、ああ、どうか、ノートのお恵みを!!」

 「お願いします。一緒に勉強させてください。」


 そんな声がいたるところから、僕を見かけるたびに、生徒たちが声をかけてくる。


 「あ、あの・・・・・。すみません、すでに先客が居まして・・・・。その、すみません。失礼します。」

 僕は慌てて、教室を出る。


 そんなことを繰り返して、一日の授業を終えると。

 校門へ僕は急ぐ。

 ミランダ、リリアン、マリア、ルカ、八重の5人。クラスの女の子たちが僕を待っていた。


 「ごめん。ごめん。みんな。待った?」

 僕は手を振ってこたえる。


 「今来たところです。」

 マリアが、僕に言った。

 「私も今来たところだよ。」

 リリアンが言う。


 「私は、翔太朗様が先に来てくれて、女の子たちを待たせるのがマナーだと思いましたが・・・・・。」

 ミランダは笑いながら言う。

 「ごめんなさい。ミラ様。次からは・・・・。」

 僕は謝ったが、ミランダがそれを遮り。


 「ふふふ。冗談ですよ。その様子だと、いろいろ大変だったのですね。」

 ミランダが声をかける。

 「そうなんです。なんか、ノートを貸してくれとかそういう声が・・・・・。」


 「わかっていますよ。翔太朗様。現に私も声をかけられました。」

 ミランダが、再び何が起きたが予想済みのことを言った。


 「私もそんなことがありました。」

 「私も声をかけられた。あーあー、翔太朗君が声をかけてほしかったのに・・・・・。」

 「僕も。声をかけられたね、そんな人に。」

 「私も一緒です。」

 マリア、リリアン、ルカ、八重。それぞれ、同じような目に遭ったようだ。


 ミランダはさらにウィンクをして。

 「大丈夫です。みんなこうなることは予想済みです。ここは私のお祖父様が理事長を務める学院なのですから。いろいろと事情は分かります。さあ、みんなで王立の図書館へ行きましょう!!」


 僕たちは、王立の図書館へ行って、勉強会をすることにした。

 魔道学院内にも、図書館があり、自習室のような場所はあるのだが・・・・・。


 「あそこだと目立ちます。特に私たちが居れば、そういう生徒がわんさか溢れてきて、大勉強会になります。」

 ミランダが、僕に向かって言う。

 「大教室で『ノートを貸してください』とか声をかけてきた生徒は、今まで、授業に出ていなくて、サボっていた生徒が大半です。事情は色々考慮しますが・・・・。その証拠として、大教室の授業。いつもよりたくさん人が居ませんでしたか?」

 ミランダが的を射たように指摘をする。


 僕たちは、そろって頷く。まさに、その通りだ。


 「私たちは、魔道武術大会の準優勝、いろいろな任務の参加、おまけに、女王様の近衛兵です。ほかの生徒から、勉強ができると思われて当然です。だからいろいろな人に声をかけられたのです。サボっていた分を丸暗記に近い形で、人の力で取り返したくて。」

 なるほど、だから、ノートを見せてくれとお願いされたわけだ。

 僕は驚いたように頷く。


 「感心している場合じゃないです。翔太朗様はともかく、私たちは、翔太朗様を愛しています。そういった他の男子生徒に声をかけられるなんてもってのほか、第一、勉強は自分でやらないと。」

 ミランダの的を射た話に、僕はとても感心した。

 さすがは、理事長の孫だ。


 「翔太朗様も、無視してください。断って正解でしたよ。」

 ミランダの言葉に、僕は頷く。


 そうして、魔道学院から逃げるかのように、王立図書館に駆け込んだ僕たちは、改めて、勉強会を実施した。

 図書館は基本静かにしないといけない場所だが、このような時のための想定か、この図書館は、歓談スペースがある。

 ここでなら、少し話をしても大丈夫だろう。


 この勉強会、僕はリリアンと話をすることが多かった。

 それもそのはずで、回復魔法や薬草学の講義など、リリアンと履修科目が重複しているものが多かったからだ。


 「はあ。私も回復魔法や薬草学が得意だったらよかったのに・・・・。」

 ミランダが少しため息をつく。

 「私も同じです。」

 マリア、そして八重もため息。

 ルカの方は真面目なのか、そんなことは気にせず、黙々と勉強していく。


 そして、リリアンは僕と話題を共有出来て嬉しいのだろうか。

 「私もここがわからないんだよね。」

 そういいながら、笑っていた。


 こうして、僕たちは期末試験期間の時を過ごした。


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

続きが少しでも気になる方は是非、ブックマーク登録と、高評価をお願いいたします。


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