#110.ライフリバイバルとスピリットブレーン
リリアンの縄を解く。
「「リリアン」」
「リリアン、大丈夫だった?」
「ごめんねリリアン、助けに来るのが遅くなって。」
僕たちはリリアンの無事に安堵する。
「翔太朗君、皆。本当にありがとう。」
リリアンは涙目を浮かべながら、抱き着いてくる。
僕は腕を回して、本当によく頑張ったと、彼女を称えた。
「ちょっと、リリアン。」
ミランダが顔を真っ赤にしていたが。
「まあ、いいですわよ、今日くらいは。ごめんなさい、取り乱して。」
ミランダはすぐに真っ赤にした顔を戻した。
「リリアン、おおよそのことは聞いたよ。いろいろ大変だったんだな。」
僕はリリアンに声をかける。
「うん、私、私。ブレゾラン帝国に居たの、お父様と、お母様が亡くなってからは本当に、本当に怖かった。特にあの、ブルーナとゲラルドには、その、その・・・・・・・・。」
涙が滝のように、リリアンの目からあふれ出す。
「まあ、かわいい。流石は元アイドルのスターですね。でも、今のスターはこの私。なんせ、恋愛禁止のアイドルが、今、わけのわからない、ヒョロヒョロのクソガキに恋しているのですから。」
それを階段の上から見ていたブルーナは高らかに皮肉のように笑っている。
「翔太朗君のことを悪く言わないで!!私が絶対に許さない!!取り消しなさい!!」
リリアンは、ブルーナの言葉を聞いて、一気に感情が抑えきれなくなっている。
「ははは、青春は結構なことですな。いい青春ですな。」
リリアンとブルーナのやり取りを見ていた、ゲラルドはドヤ顔でこちらを見ている。
「せっかくだ、さらに青春を味わっていただきましょう。」
ゲラルドは指を鳴らす。
長い木の箱が二つ兵士たちが運んできた。
その長い木の箱を、兵士たちが立たせる。そうして、その木の箱は縦に長い木箱となった。
その木箱にはかなり美しいデザインがなされる。
こういう木箱、見たことがあるような。
「オープン、ザ、ボックス!!」
ゲラルドは兵士たちに木箱を開けさせた。
「こ、こ、これは。」
「そんな。」
僕たちは、息を飲んだ。
木箱の正体は棺だった。二つの棺には男女の遺体が入っていた。
どちらも40代くらいだろうか。男女の遺体。どこかリリアンと面影がある。
「お、お父様!!お母様!!」
リリアンはその場に泣き崩れ、そして叫んだ。
「な、なんだって!!」
僕たちは目を丸くした。
「墓から掘り返してきたまでですよ。こんなこともあろうかと準備をしておきました。」
その言葉を発したのは、ゲラルドの隣にいた、ジュダだった。
「医者として回復魔法を極めた、最終奥義魔法をご覧いただきましょう。」
ジュダは甲高い声で、言った。
「やめろ!!その魔法は禁忌中の禁忌だ。特に死後かなり経過した人物に施すのはさらにご法度だぞ。」
カミラさんが、ジュダに向かって強い口調で言った。
「真面目なのは困りますね。リリアン様を喜ばせてあげようと思いましたが・・・・・・・・。まあ、いいでしょう。」
ジュダが回復魔法の魔法陣を2つ出現させる。かなり難しい魔法陣だ。こんな魔法陣は見たことがない。
「リリアン、見るな、逃げろ!!」
カミラさんがリリアンに向かって逃げるようにしずするが、泣き崩れ、足がくすんでいるリリアンはその場から動けなかった。
「さあ、始めましょうか、【ライフリバイバル】そして、【スピリットブレーン】!!」
ジュダの唱えた2つの魔法。
棺で眠るリリアンの両親は目を開けた。
そして、リリアンの両親は自力で棺の蓋を開けた。
「リリアン、どうして泣いているの?どうして。」
リリアンの母の声がする。優しい声だ。
だが、泣き崩れているリリアンに母の言葉は届いているのか。その場から動けない。
「これはこれは、再びあえて光栄です。」
ジュダは深々とリリアンの両親に挨拶をする。
そして。
「あなたの大切な娘さんは、今、そこにいる、セディア魔道学院の諸君らによって、暴行を受け、泣いているのです。さあ、そちらにいる、そのガキどもを、ぶっ潰し、ひっとらえてください。」
ジュダは僕たちを指さした。
「はい、わかりました。ジュダ様。」
「はい。承知しました。ジュダ様。」
リリアンの両親はこちらに向かってくる。
「お父様、お母様、違うの!!話を聞いて!!」
泣き崩れたリリアンは叫ぶ。叫び続けるが、両親は聞く耳を持たず、僕たちに近づき。
「娘を悲しませるもの、許すまじ!!」
そうして、錬金術で作った爆弾を投げてくる。リリアンの錬金術と比較してもこの爆弾の方が上だった。
僕たちはかわす。
「どうしてですか。何で、リリアンの言葉を聞かないのです。」
僕はカミラさんに向かって言った。
「おそらく、ジュダの【スピリットブレーン】のせいだろう。【ライフリバイバル】は死んだ人を生き返らせる回復魔法。そして、【スピリットブレーン】はその魂を術者が操る魔法。今、リリアンの両親の魂はジュダに操られている。ジュダを狙え。畜生、この2つの術は禁忌なのに、使いやがった。」
なんということだ。あのジュダのせいで、僕たちはリリアンの両親の敵になってしまったというのか。
考えているうちに、またリリアンの母からの爆弾が飛んでくる。光速のように爆弾を投げて攻撃してくる。
なるほど、リリアンの母は錬金術師なのか、だからリリアンも錬金に。
だが、いろいろとリリアンよりも一回り以上も強いようだ。
リリアンの母は収納魔法を使い、魔法武器を取り出す。
魔法武器を振り回して、かなりの威力の魔法が飛んできた。
「あれも錬金術で作ったというのか。」
僕は、威力の高い魔法武器を見て、絶句する。
とにかくジュダを、ジュダを狙おう。両親を傷つけることは僕にはできなかった。
「私も、両親を傷つけることはできません。ジュダを狙いましょう!!」
ミランダの言葉に僕は頷く、皆も同じように頷いた。
シロンとユキナは変身を鷲の姿に戻す。
「ご主人様は人間の姿で大丈夫です。リリアンのご両親の真上を飛び越えて、ジュダの元へと、お連れします。風魔法を決めてください。」
僕は頷く。
シロンとユキナに連れられ、リリアンの両親の真上を飛び越えてジュダの懐へ。
一気に、風魔法を打ち込んだ。
しかし、ジュダも結界魔法を使えたようで、結界で跳ね返される。
「残念でしたね。そして、あのご両親に背を向けていいのでしょうか。」
僕は、振りかえる。振り返るとそこにはリリアンの父親が居た。
「土魔法、【ライフパワー】」
リリアンの父親はライフパワーという土魔法の詠唱を実施した。
床、いや地面の下から、茨が現れた。
茨は僕の体を呑み込み、僕の体は太い二本の茨に挟まれてしまった。
「な、なんですの。」
「なんということだ。」
ミランダもカミラさんの声、あたりを見回すと、皆も同じように太い二本の茨に挟まれた状態になっていた。
今回も最後まで、読んでいただき、ありがとうございました。
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