#109.クリフVSギエル
洋館に突入した僕たち。
そして、洋館に入るとすぐに大広間が現れた。そして、逃げも隠れもせずにギエルが広間の中央で仁王立ちしていた。
「こんにちは、皆様。」
ギエルは声高に挨拶する。
「皆様の目的はこちらですよね。」
ギエルが指を鳴らす。
そうすると、帝国の兵士たちが、一斉に僕たちの周りを取り囲んだ。
そして、帝国の兵士のひとりが、リリアンを連れてきた。
リリアンの両腕は縄で縛られ、後ろに組まされている。
リリアンは僕たちを見る。
「翔太朗君、皆。」
リリアンは声を上げる。
「おとなしくしろ!!」
帝国の兵士は、言った。
「その子に、何も罪はない。確かに、彼女の父親と、その周りの政治家は、何かあったのかもしれないが、リリアンまで巻き込む必要ないだろう!!」
僕は大きな声で言った。
「そ、そうですわ、彼女を話しなさい。」
ミランダもそれに続く。
「罪?罪?罪ならありますよ。」
ギエルよりもさらに甲高い声が洋館に響く。
大広間の中央の階段から人影が現れた。
「【ブレゾラン娘】のリーダーのこの私。この私を長年にわたり、コケにしてくれた罪が、おーっほほほほっ!!」
スタイルのいい女が、階段から降りてくる。
「おバカなリリアン。私がいる限り、あなたは地獄の果てまで追いかけられる運命なの。あきらめなさい。」
女は、持っている扇子を閉じて、リリアンの額にツンと、当てる。
この女には見覚えがあった。
ポスターでしか見たことがないが、【ブレゾラン娘】のブルーナ=ラゼット。
「そして、君たちも罪がある。儂は次期首相になりたいのだよ。ありとあらゆる手段を使ってでも、だが、吾輩の計画を知られた以上、貴様らにも死んでもらう。」
ブルーナと同じように、さらに二人の男が、階段から降りてきた。
「死ぬ前に、吾輩の名前を教えてあげよう。この国の法務大臣のゲラルド=ラゼットだ。そして。」
「ゲラルド様の秘書で、今はこの国の厚生大臣をしている、ジュダ=サルマンだ。そして。」
「ゲラルドの娘で、【ブレゾラン娘】のリーダー、ブルーナ=ラゼットよ。まあ、これから死ぬあなたたちには関係ないですけど。」
彼らが名乗った。
そして。
「やってしまいなさい。ギエル。あなたを雇ったのです。このために。さあ。」
「はい。ゲラルド様かしこまりました。」
ギエルはそうして、僕たちの方に向き直った。
「この国にも指名手配している、重要指名手配犯をわかっていながら、自由にさせておいて、しかも自分自身に加担させていた罪は重いですわよ、ゲラルド!!」
ミランダは、そういって、ゲラルドを睨むが。
「何度でもいうがいい、セントアリアの貴族の娘よ。あなたの国と、この国は違うんだ。この国はこうでもしないと、ダメなんだよ。」
ゲラルドは頷きながら言った。
「待ってください。ギエルは、僕に任せて、皆さんはゲラルドたちを、そして、リリアンさんを救出してください。」
そういってきたのはクリフだった。
クリフの言葉に僕たちは驚いた。
「待つんだ、クリフ君、いくら君でも無茶だ。相手は、ギエル=ロドバンドなのだぞ。」
ルーベルトがクリフに向かって言う。
「そうだ、私でも、翔太朗殿や、ミラ様の援護でやっと防衛できた相手だ。」
カミラさんが、クリフに向かってさらに続ける。
「だからです。」
クリフが言った。
「クリフ君、みんなのいう通りにしよう。君が死んでしまう。」
僕はルーベルトと、カミラさんの言葉に同情した。
「大丈夫です。僕は死にません。」
クリフは、ギエルを睨みつける。
クリフの優しい顔から一気に激しく、感情が湧いてきた顔になった。
クリフのこの顔を見るのは初めてだった。
「お前を倒すために、この魔法の修業をしたんだ、腕がなるよ。兄上!!」
「我が弟は相変わらず威勢だけは良いですな。」
クリフと、ギエルの会話に僕たちは耳を疑った。
それは、貴族でいろいろな情報を常に持っていそうな、ミランダ、カミラさん、ルーベルト、そしてルカでさえも驚いた顔だった。
「「「あ、兄上!!」」」
僕たちは、目を見開いて驚いた。
「兄上って、君、ギエルの弟だったの。」
「ギエルに、弟がいたとは・・・・・・・。」
僕と、カミラさんは口をそろえて言う。
あのギエル=ロドバンドに弟がいたなんて。確かに、犯罪者の弟となると、気が重くなる。
「お前のおかげで、俺がどれだけ苦労したかわかるか。」
クリフは低い声で、且震えながら言った。
「そんなものは知らない、私は自分の信念があって動いたまでだ。君も何も考えずただただ普通に動けばよかったのに。」
ギエルは鼻で笑う。
「自由に。そうか、自由にか。俺は、ギエルの弟ということを隠すため、生活苦から養子に出され、いつも何かにおびえながら育ったのだ。誰に狙われるのか、本当に怖かった。」
一言一言が、重く響き渡る。それもそのはずだ。彼、クリフ=クロスラードの中にはギエルの弟ということで今まで苦労した人生の重さがそれを物語っていた。
「お前の言う信念があるなら、俺の信念はただ一つ、お前を倒すこと。」
「それならお望み通りにしてあげましょう。ですが、返り討ちにあって、結局死ぬのはあなたなのですから。」
クリフは深呼吸して、剣を抜き、ギエルに勢いよく近づく。
「お前の魔法は研究済みだ。至近距離ならば。」
大胆にギエルに近づくが。
「その至近距離対策をしているのが私なのです。」
ドーン、と勢いよくギエルの前に巨大な何かが現れる。
以前、シロンとユキナの巣を荒らしていた、キンググリフォンだ。
「へへへ、ギエル。今日の獲物はこいつか。」
キンググリフォンは一言しゃべり。
「ええ、思う存分、やってしまいなさい。」
キンググリフォンは頷き、鋭い翼を一気に羽ばたかせ、クリフをわしづかみにして、振り落とす。
「危ない!!」
マリアの結界魔法で、振り落とされたクリフの衝撃を吸収する。
「罠を仕掛けるとは卑怯者。」
僕は言ったが。
「大丈夫です。こんなことをしてくると思いました。さあ、早く、リリアンさんを。」
僕は頷き、ギエルをすり抜け、兵士たちに捕らえられている、リリアンを救出に向かう。
僕たちは取り囲んでいる兵士たちと戦闘を行うことになった。
「こっちだって、2対1で戦えばいいのです。」
クリフはそう言って、水魔法で、魚の群れを作り出す。
魚の群れはキンググリフォンに襲いかかる。
これで敵をギエル一人に絞り込めたようだ。
キンググリフォンは魚の群れの対応に追われ、もがいているようだ。
クリフは思いっきり剣に魔力を込めた。
「一気に行くぞ、覚悟しろ!!兄上!!」
クリフは剣を振り回す。
剣から風魔法が飛び出す。
すごい威力の風魔法だ。
「すごい、やるね、クリフ。」
僕はクリフに向かって言う。同じ風魔導士として、かなり威力の高い魔法が彼の剣から飛び出した。
僕もクリフに負けないと思い、兵士たちと戦う。
「はい。本当は貴方の風魔法を見て、思いつきました。」
「そうなんだね。」
僕は少し憧れる。
その風魔法はギエルにかわされてしまったが、クリフがギエルに近づくきっかけを与えたようで。
クリフは再び魔力を込めて、ギエルめがけて剣を振り、ギエルを吹き飛ばすことに成功した。
「よしっ!!」
僕たちもその勢いに乗り、一気にリリアンを取り囲んでいる兵士たちを吹き飛ばし、リリアンのもとに駆け寄った。
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