#108.ブレゾラン帝国
馬車で10日ほど揺られ、ブレゾラン山脈にたどり着く。
さらに、そこから、山脈へと続く街道があり、僕たちはブレゾラン帝国へと入った。
山脈を越えるといっても、本当の、最高部を越えるのではなく、谷間の道が整備されているので、馬車も自然と通ることができた。
少なくとも、僕は変身してみんなを乗せて、空を飛んで山脈を越え、帝国に入るつもりだった。
「そんなことはないですよ。翔太朗様。」
「ああ、確かにそれも、いい案かもしれないが、それをすると、かなり高い高度を長時間飛ぶことになる。普通に飛ぶには問題ないが、気温差により体力を奪われて、翔太朗君はもちろん、僕たちも体力が落ちるよ。」
ミランダと、ルーベルトが、言った。確かにこの山脈の高さはかなりの高さの標高だ。那ノ国の最高峰の標高よりも、この山脈はさらに標高が高いという。
「確かに、私たちも、こういう場所を飛ぶときは少しずつ休みながら飛びます。ご主人様の故郷は標高が低い場所が多かったと思いますが、この山脈は私たちも、最高峰の上空は飛びません。休まずに、一気に山を越えると、寒くて体温調節が上手くいかなったり、急に頭が痛くなったりします。馬車で越える方が早く着きます。」
なるほど、高山病というものの一種か。ユキナの言葉には確かに説得力がある。
確かにこの高さならば上空へ行ったときに寒いはずだ。
それであれば、トンネルを掘ったりして通した谷間の道を進んだ方がいい。
「ほらご覧ください。もうトンネルを抜けて、ブレゾラン帝国の領土へ入りましたよ。」
馬車はトンネルを抜けて、ブレゾラン帝国の領内に入った。
とはいっても、山脈の反対側、セントアリア王国とほぼ同じような景色が広がっていた。
「リリアンの案件は確かに複雑ですが、もともとは、セントアリアとブレゾラン帝国の国交自体は正常に機能しています。いろいろな人が出入りできるようになるのですよ。身分証があればですが。」
ミランダは僕に言った。
そうだな。確かに国交自体が正常化しているのであれば、リスクをかけずに国に行く道を取る。
そうこうしているうちに、関所が見えてきた。
僕たちは身分証を見せたが、確かに、誰も僕たちのことを怪しいものと思うような兵士たちは誰一人としていなかった。
「よし、ここから気を引き締めていこう。確かに、国には簡単に入ることができたが、相手はかなりの強敵だ。」
僕は、皆に向かって言った。
みんなは頷く。
山脈を下り、山のふもとの町で、セントアリアから乗ってきた馬車を降りて、ここからは徒歩で進んでいく。
「この山のふもとの町の近くですね。どうやら、リリアンがいるところは。」
マリアは魔法を頼りに、リリアンの居場所を突き止めていく。
国境近くの山のふもとの町、どうやらここは、法務大臣、ゲラルド=ラゼットの故郷のようだ。
彼は、その故郷に秘密基地を作り、リリアンをギエルに命令させて誘拐したようだ。
山のふもとの町外れに、ひっそりとたたずむ。洋館があった。
「ここで間違いなさそうです。」
マリアはリリアンの魔力を辿って、言った。
「はい。僕もここで間違いない。ギエルの魔力を感じます。」
そういったのはクリフだった。
「わかるのか。ギエルの魔力が。」
「はい。実は、そうなんです。」
なんと、ギエルの魔力が分かるというのだ、これは大きい。
改めて、この洋館の建物を見回す。
確かにこの洋館はあまりにも不気味だった。
もう、何年も使われていない、秘密の洋館なのだろう。
「秘密基地、というまでではないが、確かに隠れて何かをするには、持って来いだな。」
アンソニーが言った。確かに、ここは何かを隠すには持って来いの場所に位置している。
山のふもとの町の、町はずれの森のひっそりとした洋館。
それに、ブレゾラン帝国の帝都にはほど遠く、国境ギリギリの場所だ。
帝国の兵士たちにも気付かれなさそうだ。
「お前たち、準備は良いな。」
カミラさんが僕たちに号令をかける。
僕たちは互いに顔を見合わせて、頷いた。
「よし。洋館に突入するぞ!!」
カミラさんの合図のもと、僕たちは洋館に突入した。
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