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#104.魔道学院の日常~八重の登校~


 人だかりが、さらに出来上がるようになった。

 だが同時に、ファンレターのようなもは来なくなった。


 魔道学院の日常、魔道武術大会後、ファンレターや声掛けなどがあったのだが、今現在はそのようなものは一切なく、代わりに人目がかなり目につくようになった。


 理由は単純明快。今日も八重がこのセディア魔道学院に登校してきた。

 「王女様だ。」

 「素敵。」

 「そして、近衛兵だってよ。1年5組。全員。」

 「そうだね。もともとカッコいいし魔道武術大会であんな成績を残せば。」


 女王と、近衛兵が一緒なのだ。何か近づきたくないものもわかる気がする。

 とはいえ、八重はみんなと仲良くなりたいらしく。


 「おはようございます。」

 と、目の合った人たちに挨拶をする。


 「「「おはようございます!!」」」

 当然、このような声が返ってくる。

 男子生徒は声を張り上げて、挨拶をする。


 「なんか、すごいね。私たち。」

 八重が僕の方を向いて、照れたように笑う。

 「まあ、女王様の挨拶を返さない人はまずいない。だろうし・・・・・。」

 僕は、冷静に見解を言う。


 「とはいっても、仲良くなれるかな。」

 ある意味で距離ができてしまったことに驚くが、まあ、王族というのはどの国もこういうものだろう。


 「女の子からのファンレター来なくなったなぁ。丁重におもてなししようと思ったのに。」

 ルーベルトも、うつむいた感じになった。

 ダコタの件もあるし少し複雑な表情だ。婚約者がああいう状態ならば尚更・・・・・。


 「いいんじゃないの。むしろ私は、集中できる環境に戻って、うれしいですわ。」

 ミランダは僕に向かって、ウィンクしながら、ルーベルトの言葉を返す。


 「まあ、ミランダのいう通りのところも、あるけれど。少し寂しいね。ルーベルト君の言うこともわかる気がする。」

 リリアンが感慨深げに言った。


 「珍しいわね。リリアン、あなたがそんなことを言うなんて。ルーベルトにでも情が出てきたのかな。」

 ミランダは笑いながら言っている。


 確かに、リリアンがこんなことを言うのは想像できなかった。

 アリアンローズの美人。やっぱりちやほやされたい気持ちがあるのだろうか。


 「そんなことはないけれど、ファンレターもらって正直嬉しかったなぁと。」

 リリアンは笑いながら言った。



 今日もピエール先生が僕たちの教室に入ってきた。

 「いや~女王様が一緒だと緊張するなぁ。僕も、近衛兵ということなんだけど。それでも緊張するよ。」

 そういいながら、週の始まり、ホームルーム活動、基礎入門の講義を始めた。


 そして、その緊張感は大教室で授業を受けているときもひしひしと感じてきた。


 八重と僕の周りには、一列程度、空席が出始める。


 「気品があるよね。」

 「うん。住む世界が違うんだよ。」


 という声もちらほら聞こえてきた。


 講義が終わり、昼休憩時間になると、僕たちは八重に魔道学院を案内していた。

 八重は珍しそうに施設を見ていた。


 学院の図書館、訓練場、食堂。いろいろな場所を案内して回ったが、どの場所でもやはり僕たちは目立っていた。


 「すごくきれい。この学院もそうだし、このセントアリアという国が。」

 八重の目に涙があふれていた。

 「初めて、生んでくれたお父さんとお母さんに、ありがとうって、伝えたいかも。」

 八重は素直にそういった。


 確かに僕と八重は境遇が似ている。

 そうか、八重の両親のどちらかが生きていれば、八重はあの意地悪な育ての親の顔も見ないで育っていたかもしれないのだ。


 少しうらやましくなる。


 「よかったね。」

 僕は息が詰まりそうに言ったが。


 「翔太朗君は、モナリオ家の皆さんに感謝しなきゃね。」

 八重のこの言葉で、心の重さが軽くなる。

 そう、僕は生みの親にはひどい扱いをされていたが、育ての親、つまりモナリオ家の皆さんには特に感謝しないといけないのだ。


 この素晴らしい、魔道学院に連れてきてもらった。こんな綺麗な街並みの王都に連れてきてもらったのだ。


 八重の顔を見てうなずく。

 八重も、そうだよ。という感じで、にっこり頷く。


 そんな感じで、金曜日の週末の演習の授業まで、魔道学院の日常が過ぎていった。


 魔道学院の校門を出て、八重を、迎えに来た、王宮の執事たちに預け、僕たちはそれぞれの家に帰っていった。

 魔道学院在学中は、それぞれの家に帰っていいことになっている。

 卒業したら、近衛兵ということで、最低でも、1人は王宮の宿舎に泊まることになっているのだが。


 その宿舎、近衛兵の宿舎は特別で、それぞれの個室まである。

 実際に見せてもらったが、恐れ多いほど豪華にできていた。

 ここならばずっと住んだっていいくらいだった。



 「また、週末ですね、翔太朗様。」

 ミランダがそう言った。

「そうだね。まあでも、この週末も八重を連れて、お出かけをするのだから、寂しくないよね。」

 そう、八重と一緒に、親睦を深める、かつ、この国をいろいろ見て回るという仕事のようで旅行のようなそんな週末がしばらく続くのだった。


 明日も楽しみだ。

 改めて、皆に感謝する。そんな一週間だった。



今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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