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第9話 この世界の魔王に会いました。

 階段を下り、一本道となった通路を進むと、扉があった。

 扉には魔法的な鍵がしてあったのだけど、解除して先に進む。

 扉の奥の部屋はやや広く、床に巨大な魔方陣が描かれていた。

 魔方陣の中心には誰かいる。


「カリカ?」


 私とレナートが駆け寄った。

 私が肌着姿の彼女を抱き起こす。

 意識はないものの、かすかに胸が上下しているし、呼吸を感じた。


「どうだ?」

「気を失ってるみたいだけど大丈夫」


 レナートが安堵の表情を浮かべる。

 周囲を見渡すと、部屋の奥に何者かの気配があることに気付いた。


「なんだ? 随分早いでは無いか? しかも()()()()()()


 そこには、以前大聖堂で見たグレーターデーモンよりもさらに大きい悪魔がいた。

 大きな人型の体。前進は漆黒で背中には大きなコウモリの翼に、額には角、口には牙が見える。


「おまえは……おまえが魔王(デーモンキング)?」


 レナートが聞く。


「おや、元勇者殿。その通り、我は悪魔達より魔王と呼ばれている」


 よほど高位の悪魔なのだろう。

 悪魔の王。魔王。

 悪魔には様々な階級があるらしいけど……グラズより上なのだろうか?


「魔王、ここで何をしているの? カリカに何をしたの?」


 私は聞かずにはいられない


「おや、元勇者殿。女連れとは余裕ですな。カリカ……。あの魔神の器の女ですか」

「何ですって?」


 魔神?

 魔王のその上がいるっていうの? いや、それ以前に器とは……?


「溢れんばかりの魔力は申し分ない。あと必要なのは絶望だけ。もうすぐ、器として完成するのだ」


 どくん。


 魔王と名乗るものがそういった瞬間、何かの波動を感じた。


「フム、本当にもうすぐ……魔神が復活する。そうすれば、我らの……全悪魔の悲願が……」

「そうはさせない!」


 分からないことだらけだけど、とにかくカリカがあまりよい状態ではないことが分かった。

 もし私が以前見た夢……カリカが変貌する夢。

 あれが器としての完成を意味しているとしたら。

 絶望が、そのきっかけだとしたら?

 大聖堂でも同じような事を言っていた。


「【活力のオーラオーラ・オヴ・ヴァイタリティ】」


 私は自らの力を沸き起こす呪文を唱えるとカリカを抱き上げた。

 軽い。ほとんど食事をとっていないのだろう。

 私は彼女を抱えたまま入ってきた扉に向かう。


「おっと、邪魔はさせん」


 当然というように、魔王が立ち塞がる。

 まあ、当然か。


「ロッセ、貴女だけでも先に行くといい。ここは私に任せろ」

「勝てそう?」

「多分。それと……おそらく、やつは王都街の悪魔どもから力を得ているようだ」


 レナートが剣を抜いた。


「わかった。レナート。無事でいて」

「もちろん。全部終わってから君と話さないといけないからな。これからについて」


 私は彼を抱き締めたいと思った。

 もちろん、両手が塞がっているので叶わないのだけど。


「ふん、無駄なことを。まあいいだろう。器の糧になるだけだ」

「人間をなめるな! 悪魔!」


 レナートが魔王に走って行き、私は反対側に走る。

 すぐに後ろから戦いの音が聞こえてくる。

 しかし、背後から私たちに向けられて放たれた呪文に気付いた。


「しまった!」


 レナートの絶叫が聞こえる。


 次の瞬間、床に描かれている魔方陣が輝いた。

 次第に視界がゆがんでいく。

 この状況は……どこかに転送される!


「聖女だけが転送されるはずがどうして他の女まで……まさか……」


 私の耳元に、驚いている魔王の声が届いた。

 いったいどこに私達は転送されるのか。


 レナートと引き離されたことに強い不安を抱く。

 ただ、少しだけ救いに感じたのは、腕の中のカリカの温もりだった。

お読みいただきありがとうございます。

もし楽しんでいただけましたら、ブックマークなどの応援を頂けると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いいたします。

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