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28話 オバちゃんの相棒の作戦 その2

「お疲れ様。ちょっと報告があるんだが……上の者を呼んでくれるか?」



 騎士に扮したカイルが、コロシアムの入り口に立つ警備兵に声をかけた。

 その姿を目にした警備兵は「はっ」と一礼すると、すぐさま上官を呼びに行く。



「騎士のカッコは絶大ですな。カイル、どこでくすねて来たんだよ」



 リドルがカイルの脇腹を突いた。



「あ? たまたま武器庫があって、そんで中に入ったらメッチャ落ちてたんだよ。拾うだろ? 普通」



「あーだな!」



 二人がそんな話をしていると、警備兵が騎士をひとり連れ戻って来る。

 騎士がリコたちの前に立つと、横柄な態度で訊いてきた。



「お前たち! どこの隊の者だ!」



 カイルは臆せず、リドルとガーズをドンと前に突き出す。



「そんなことより大変なことが起こった! コイツらが女王陛下の飼われている生き物を盗もうとしていた!」



 リドルたちが、鳥籠を持ち上げ「いや~」と頭を掻いた。

 鳥籠の中のケツァルとネーヴェを見た途端、騎士は声を裏返す。



「こっ、この生き物はっ! おおお、お前たち! ななな、なぜこんな大それたことを!」



 体を仰け反らせ慌てる騎士に、カイルが畳みかける。



「これは大変な罪だ。私たちが勝手に裁くことは出来ない。そこで女王陛下にコイツらの処分をお願いしようと連行して来たのだ」



「わわわ、分かった。こっ、ここで待っていろっ!」



 そう言うと騎士は、足をもつれさせながらコロシアムの中へ消えて行った。

 そんな騎士を見て、リドルがほくそ笑む。



「あーあ、慌てちゃってー」



「リドル。そんな浮かれた顔をするな。もっと盗人らしくしろよ」



「盗人の顔ってどんな顔だよ! オレー、善良な人間だから分からないー」



 ヘラヘラ笑って答えるリドル。



「だからっ! そういう顔をするなって! 嘘だってバレんだろ!」



 カイルとリドルの言い合いが勃発した。



(まったく、この若造共は……)



 リコは「チッ」と舌打ちする。



「ちょっとー! アンタたちうるさいよ。ちゃんとして!」



 リコがヘルムの奥から二人をキッと睨みつけた。

 カイルとリドルは、リコのジンワリとした殺気を感じ「は、はい!」と居住まいを正す。

 すると、丁度そこにさっきの騎士が戻ってきた。



「ついて来い!」



 そう言い捨てると、騎士が踵を返した。

 リコは自分に気合いを入れる。



(皆の笑顔を取り戻す為、なんて大層なことは言わない。ただ私は、心底女王に腹が立っている。だから絶対、ギャフンと言わしてやるんだ! 必ず吠え面をかかせてやるからな。待ってろよ! 女王!)



 前を見据え、力強く歩き出すリコ。

 いよいよ、女王との直接対決が始まるのであった。

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