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それはなんの前触れもなく始まった。
白。
白。
白。
インクの染みが徐々に拡がってゆくように。
見慣れた放課後の教室が白く塗りつぶされてゆく。
視界の端から消えてゆき、
彼女以外は見えなくなった。
・・・あぁ、そうか、
世界が消えているんじゃない。
・・・僕が消えているんだ。
彼女が何かを叫んでいる。
泣かないで・・・
愛しい人。
この気持ちを伝えられなかったのが心残りだな。
母さんはジョンの散歩、朝晩ちゃんと連れてってあげてくれるかな?
週末にソータと釣りに行く約束してたのにな・・・
あ、
PCのエロフォルダどうしよう・・・
アレを見られたら変態認定されてしまう・・・
僕がこの世界で暮らした16年間の最期に見たのは、
愛しい人の涙だった。