第5話 脱出への糸口
5話目です。どうぞ!!
まだ日も登ってもいない時間に外を走り回る一人の男がいた。グレイブだ。さすがに朝食が肉というのは、人間であるグレイブには、少々きついものがある。そのため今は、森に出来ている果物を採取していた。
「ライラも龍人だから果物とか食べるのか?一応少し多めに持って行くか」
グレイブは、沢山の種類の木があるにもかかわらず的確に果物が実る木の下にいきテキパキ作業を行う。
途中何匹かの魔物に出会うが1秒と掛からず撃破し、魔石を取り出す。
ある程度の量集め終わったあとグレイブは、ホクホク顔で洞窟へと帰る。
家に帰るとライラはまだ寝ていた。起こすわけにも行かないので、部屋の端の方に行き静かに取って来た果物の皮むきを始めた。
グレイブがとって来た果物は、ボノロの実と呼ばれ中はとても甘くて美味しいしいのだが皮がとても硬く剥かなければ食べれたものではない。
黙々と作業を続けること数分、ライラがゆっくりと目を覚ました。ぴょんぴょんといたるところに寝癖が出来ている。
「ん〜おはようございます。グレイブさん」
「あぁ、おはよう」
まだ寝ぼけているのかフラフラしながら水場へと向かう。その直後水場からすごい音がしたのだがグレイブは、気にせず作業を続ける。
「面倒くさいな」
このボノロの実、とても硬いのだ。普通ならこの果物を専用の魔法具もなく剥くことは不可能とされている程硬いのだが、グレイブは剣を使い普通の果物と同じペースでどんどん剥いていく。
全ての実の皮をむき終えたあと、水場からライラが出て来る。
「おはようライラ、朝食は果物で良かったか?」
「はい!私果物大好きです!!」
「それは良かった」
グレイブは、果物が山盛り乗った皿をライラに手渡す。
ライラは、皿を受け取り少し果物を見たあと口の中に放り込む。
「美味しい、なんなんですかこの果物?すごく美味しいです!!あ・・・」
食べる姿をじーと見つめるグレイブに気付き顔を赤らめる。
「す、すいません!」
「大丈夫だ。気にするな。好きなだけ食べてくれ」
グレイブは一切れ手に取って食べる。
ライラも先ほどのように果物を口に運ぶ。
すると一気に幸せそうな顔になる。その後もどんどんと皿に盛りつけられていた果物がなくなって行く。
「ふぅ、もうおなかいっぱいです」
「そうか、それは良かった」
あらかた片付いた後、帰るための情報を集める。
「それでライラ。ここから出る方法を知ってるか?」
「残念ながらでも、少しだけ心当たりがあります。以前、こことそっくりな場所の話を聞いたことがあります。確かこの島のような場所のちょうど中央に現世と繋がる扉があるとか」
「ほう」
グレイブは、正直なところライラには一切期待していなかったが思ってもいなかった成果が出たので多少驚く。
「ならば、早速中央に向かうとするか」
「どっちかわかるのですか?」
「あぁ、その門見たことがあるからな」
ここにかなりの時間いるのだ。すでに隅から隅まで探索は済ませている。
だが、グレイブもあの場所にはなかなか行きたくはなかった。
グレイブとライラは目的地に向かう距離はかなり近い。
数十分後には、破壊跡が見えてきた。
「な、何ですか、これ」
目の前にはとんでもない空間が広がっていた。あらゆるところに斬撃で切られたと思われる跡や何かに吹っ飛ばされた跡などさまざまなものが至る所にあった。
「これは確か5年前だったか?僕とあいつが戦った跡だ」
「あいつ?」
「ああ、あいつだよ。見てみろ」
といいグレイブは、前方にいる大きな影に指を指す。
「影?」
「まぁ、見ておけ」
グレイブが近くの石を拾いその大きな影に向かい軽く投げる。
すると石が影に入った瞬間、影の中から出てきた大きな鎌によって石が粉々に切りきざまれた。そして、むくりと全体が陰から姿を現わす。
出てきたのは身長より長い鎌を持った片腕の3メートルほどある骨だった。
「スケルトン?でもかなり大きい」
「扉はあいつの奥にあるあれだろ?」
スケルトンの向こうには大きな扉があった。
「多分あれだと思います。確証は一切ないですが」
「そうか、可能性があるなら試す価値はあるな。僕としてもあいつと蹴りをつけときたい」
「なぜそこまであの魔物に執着を?」
「この目だよ」
グレイブは切られて開かない目を指す。
「まぁ、5年前の僕でも片腕と片目の交換だ。割には合っているだろう。だが今はあの時と違う。どうする?お前も戦うか?」
「はい。アシストさせていただきます」
「それじゃあ行くぞ!!」
「はい!!」
グレイブは剣を腰の鞘から抜き出し駆け出しライラは魔法を構えるのだった。
ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。