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魔導世界の無能者剣士  作者: 遠石 隻斗
4/6

第4話 哀れみ

4話目です。どうぞ!!

 歩くこと数秒。グレイブが立ち止まり、腰の剣を抜く。


「もう遅かったみたいだな」

「そうですね」


グレイブとライラが帰ろうとしたときにはすでに50体ほどの魔物に取り囲まれていた。


「どれくらい()れる?」

「最高でも7くらいが妥当かと」

「了解した」


グレイブは、ライラと別れ走る。


「こっちだ!」


グレイブが音を立てながら移動する。その後に連れ45匹ほどの魔物がグレイブを追う。

それを確認したライラは戦闘準備に入る。


「《光槍(ホリーランス)》」


ライラの周りに光の槍が現れる。魔物はその光の槍を警戒し、一歩後ろに下がる。


「行きなさい!!」


光の槍が魔物に向かって飛んで行く。魔物はジャンプして避けようと試みるが飛んだところに追尾し、心臓を正確に穿つ。


「次!《ファイア》」


次は、手から出て来た魔法陣から火が出し飛びかかって来た狼型の魔物を焼く。

残る魔物は、3匹。ライラは右手を前に出す。


「《ファイア・ボム》!」


大きい炎の塊が魔物達が集まっているところに飛んで行き着弾と同時に爆発する。魔物は爆風とそれに伴う熱に耐えることができず、次々と死んで行く。


「ふぅ、終わりました」

「いや、周りはしっかり見てくれ」


ライラがファイアボムを放ったところを見るとローブが焼けほぼ全裸のグレイブが立っていた。幸い多少後ろの方にいたためダメージは一切なかったが着ていたローブが焼けてしまっていた。


「な、なんで服着てないのですか!!」

「なんで?お前の魔法の焼けたんだろう?」


ライラは急いで後ろを向く。グレイブは、ため息をつき歩き始める。


「はぁ、まぁいいもうすぐそこだ早く行こう」


グレイブは、残り少ない布を腰に巻く。


「おい!そろそろ行くぞまた魔物が集まってくる」

「は、はい!」


グレイブとライラは、家に向かう。

歩くこと数分入り口が木で塞がれた一つの洞窟が目の前に現れた。


「着いたぞ」

「こ、これですか!?」

「ああ、散らかっているが入ってくれ」


木で作られたドアを開け中に入って行く。

そこは、まさに家だった。椅子や机など生活に必要なものが揃っておりよく整理されている。


「ここが僕の家だ」

「すごいです!!」

「じゃあとりあえず先に体を流すか?僕は、服を取ってくるから」

「え!?いいんですか!?それと服は大丈夫です。これ鱗なんで」

「そうかわかった。じゃあとりあえずこっちに来てくれ」


グレイブは、一番奥にある扉を開ける。そこには湧き水のたまり場があった。


「どうする?湯にするか?」

「え、そんなことできるのですか!?お願いします!」

「よしわかった。《火の剣》」


 グレイブは、持っていた剣を水に向かって振り下ろす。すると水から湯気が出はじめた。ライラはあまりの行動に呆然とする。


「出来たぞ。多分大丈夫だと思うが熱かったら少し待ってから入ってくれ湧き水だからすぐに冷める」

「・・・っは!あ、ありがとうございます」


突然の出来事で数秒の間ライラが固まる。


「僕は、外で待ってるぞ」

「わかりました」


グレイブは、ドアノブに手をかけ部屋を出る。そして、タンスを開け新しいと言ってもお古なのだがローブを取り出し着る。


「そろそろ新しいの取りに行こうか・・・でも、必要ないか」


グレイブは、人間がいるところに戻りたいと考えている。ライラとの出会いはそれを加速させるものになった。諸々のことを考えた後に出た結論だ。

グレイブは、食事の準備をするため倉庫に行く。そこには山のように魔物の肉が置かれていた。その中の一部を取り、キッチンもどきのところに行く。


「今日は、焼肉だな」


いつも通りである。最早何の肉かわからないものをよくわからない草で包んで焼く。そうすることで肉が柔らかくなる・・・気がする。

グレイブは、黙々と肉を焼いていく。するとライラが上がって来た。身体から湯気が上がっている。


「ありがとうございました。とても気持ちよかったです」

「そうか、それは良かった。先に食べといてくれ僕も、流してくるから」

「了解しました」


グレイブは、水場のドアを開けローブを脱ぐ。そして、体中を水で流し、しっかりこする。そろそろ気になるのでさっきからドアの前でこそこそしている(ライラ)に声をかける


「どうしたんだ?何かあったのか?」

「あっ!いえこ、これは違くて」

「ドア開けたらいいじゃないか?なぜ開けない?」

「へ?」

「水を汲みにきたのではないのか?」

「は、はい!そうですそうです!水です水」


ライラは、ドアを開けカップを持ち水場に入る。


「!?」

「どうしたんだ?そんな目で僕を見て」

「い、いえ先ほどはあまり気にならなかったのですがすごく傷多いですよね」


グレイブの体中には、数えきれないほどの傷跡が残っていた。グレイブは、それを手で隠す。


「すまない、配慮が足りなかった。見て気持ちいいものじゃなかったな」

「いえ、大丈夫です。その左目痛くないのですか?」

「もう今は痛くない。切られた当初は色々と大変だったがな。まぁ、問題ない見える(、、、)からな」

「見える?」


ライラは、キョトンとした顔をしグレイブを見る。グレイブは、自分の祝福についてライラに話していないことを思い出し簡単に説明する。


「僕には、真実の目という祝福があるんだよ。まぁ、正確には見えて無いんだが、この目は(まこと)を見ることができるんだ。だから魔法系祝福持ち(お前ら)で言う魔力が俺に見えるし、その人間や、動物、魔物まであらゆる生物の嘘の判別ができる」

「ほぇ〜目から鱗です」


ライラは感心したように首を振り、

グレイブは、体を拭きローブを着る。


「ほら、取り敢えず飯を食べるぞ」

「あっ!ちょっと待ってくだ、、、」

「・・・」


グレイブがドアを開けキッチンに戻ると、いつもより多く焼いたはずの肉が綺麗さっぱり無くなっていた。その様はとても清々しいといえるものだった。

グレイブは、ライラの方をジロリと見る。そこには、大して音もなっていない口笛を吹きながら明後日の方向を向くライラがいた。


「すいません。食べ過ぎてしまいました。てへ」


ライラは自分の頭をコツンと叩き舌を出す。グレイブは少しため息を吐く。


「はぁ、まぁいい。そう言えば龍だったなお前」


グレイブは、倉庫に行き肉を取りもう一度焼く。


「まだ食べるか」

「もう大丈夫です」


ライラは恥ずかしそうに顔を隠し、首をブンブン横に振る。

グレイブは、それを面白そうに見つめる。

肉がいい音を出したためそのまま口に運ぶ。一通り肉を食べたあと、眠気に襲われる。


「そろそろ寝るか」

「そうですね」

「じゃあ適当な場所で寝てくれ」


グレイブは、その場に座り込み剣を片手に眠ってしまう。ライラは、そこに近づいて行きローブのフードを取る。


「かわいい、何故こんな子が追い出されるのですか・・・」


ライラは可哀想にとグレイブの頭を撫でるのだった。









ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

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