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魔導世界の無能者剣士  作者: 遠石 隻斗
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第1話 祝福の儀

どうも皆さんこんにちは遠石です。かなりのご都合主義などがこの物語には含まれます。

それでも良いよという方のみ読んでいただくことを推奨いたします。

誤字脱字等があればコメントで教えていただけると嬉しい限りです。

ここは、魔導世界オウベルグ。魔法が全ての世界。



 その中の数ある勢力の一角であるソリタリー王国に記念すべき4人目の王子が誕生しようとしていた。


「よし!出て来たぞ!がんばれソフィア!」

「うぅぅ」

「頑張ってくださいお母様」

「お母様!」


そこにいたのは細い赤髪に筋骨隆々な体をしているイケメンそしてこの国ソリタリー王国の王、ラダモス=ソリタリー、その妻であり王国王妃、ソフィア=ソリタリー、その他数名の王子、王女だ。


「あともうちょっとだぞ!」

「わ かっ た」


周りではこれから産まれてくる王子のための準備のため使用人がバタバタと動き回っている。タオルを準備するもの朗報を伝え回る者などだ。



「おぎゃぁぁぁ」


やっとの思いで顔を出し、元気な産声をあげる。


「生まれたぞ!!」

「おめでとうございます」

「「「「「おめでとうございます」」」」」


使用人達による拍手喝采が巻き起こる。王や王妃はもちろんそこにいる全員が無事に産まれた事に安心して一息つく。


「お父様お母様!お名前はどうするのですか?」


誰もが期待する一瞬。人の世において2番目(、、、)に大切なものが授けられる瞬間。全員に緊張が走る。


「そうだな、少し語呂は悪いがよし!命名、グレイブ!」


もう一度使用人達による拍手喝采が巻き起こる。


「いい名前ねあなた」

「そうだろう?」


この国の第4王子グレイブ=ソリタリーがこの世界に誕生した瞬間であった。



♦︎♢♦︎♢♦︎7年後


「姉様ここの部分がわからないのですが」


 王城の一室、今日も今日とて勉学に励む一人の少年がいた。少年は到底子供では読むことができないような分厚い本を前に頭を悩ませていた。


「もう!ダメでしょグレイブ!お姉ちゃん!」


 この少年はグレイブ。この国の第4王子である。

 父親譲りのサラサラとした赤髪に吸い込まれるような青色の瞳、すらっとした身体にかなりと言っていいほど整っている顔のもうすぐ8歳を迎える7歳児だ。


「それよりここを教えて欲しいのですが」

「もう!グレイブもう!お姉ちゃん!」


 グレイブは教本に指を指して教えを乞っているのだが一向に教えてくれない。

 さっきからうるさいのが第3王女のクロエこちらは母親譲りの青髪に茶色の目グレイブの1つ上の姉である。


「ここを教えて・・・」

「う〜グレイブお姉ちゃんきらい?」


 クロエは、グレイブへの最終兵器である泣き真似をする。グレイブも一人の男(まだ7歳)だ。流石に女性の涙は心にくるものがある。


「わかりましたお姉ちゃんここを教えていただけませんか?」

「うん!えーとどこ?」


 嘘泣きということはもちろんわかっていたため突然元気になったところは基本的にスルー。

 グレイブは、机に広げていた大きな教本の一説を指でなぞる。クロエは軽く目を通した後グレイブに向かい合う。


「グレイブなんで火魔法の勉強なんてしているの?」

「何故って簡単なことですよ。僕は、第4王子ですから、王位は継ぐことはできません。そんな僕にできることといえば、この王国のために強くなって魔導騎士になることが妥当でしょう。そのためには明日の祝福の儀式(しゅくふくのぎしき)でどのような祝福をいただいても大丈夫なように今勉学に励んでいます」

「あはは、そうなの」


 祝福の儀式、この世界では8歳の誕生日の午前0時に祝福と呼ばれる特殊能力が付与される。

 

 また配られる祝福にも種類があり魔法系と技能系が存在している。

 さらに祝福には一般にレア度と呼ばれているものがあり、初級、中級、上級とより高レア度の物ほど強い祝福となっている。

 なお、確率としては初級は、この世界の80%で、中級が18%、上級が2%程になっている。

 階級の違いは魔法の強さに直結する。初級の火魔法と上級の火魔法。これでは、天と地といっても過言ではないほど展開の速さや規模の大きさに差がでる。


「そうだね!多分グレイブも私みたいに強い祝福もらえるよ!」

「そうだといいんですが、お姉ちゃんはお父様の祝福を多く受け継いでますもんね」


 理由は解明されていないが、両親の物と同じ又は上位か下位互換を入手することが多くソリタリー王家は代々特異系魔法の一種である転移魔法の継続を主流としている王家である。


 魔法がすべてのこの世界では何処の国も王族は上級以上を持っていることが多い。

 そして、なんと今代の王の子は、まだ受け取っていないグレイブを除き全員持っているという歴史的なことが起こっていたりする。


そうこうしているうちに時間が来たようだ。ドアがゆっくり開き、メイドが入ってくる。


「グレイブ王子、クロエ王女食事の時間でございます」

「ああ、今いくよ、いつもありがとうルル」

「はい!ありがとうございます」


 ルルはグレイブ専属のメイドでありグレイブが産まれた時からいる獣人(けものびと)の若いメイドだ。王城のメイドだけあり、かなりの戦闘能力があるそうだ。


「行くよ、姉様」

「お姉ちゃん!!」


 グレイブとライラは二人揃って王城にある食堂に歩いて向かう。その途中当たり前な話だが数人の使用人とすれ違う。その度に軽く会釈をして笑う。


「相変わらず真面目ね!グレイブ」

「そういうものじゃないのですか?やっぱりこっちもお金を払ってるとは言え仕事をしてもらっているのです挨拶をするのは当然だと思いますが・・・」


実はその甲斐あって使用人達のグレイブに対する評価がとても高かったりするのだが、それは使用人の間の話。


そうこうしている間に食堂のドアの前に着いた2人は、食堂のドアをゆっくりとあける。


「グレイブ到着しました」

「来たかグレイブとりあえず座りなさい」

「はい」


いつ先に行ったのかわからないがもうすでにクロエは自分の席に座り食事が来るのをまっていた。


「グレイブ、確か明日が祝福の儀式だったよな?」

「はい」

「良いものがもらえることを期待しておく」

「あなた、グレイブにプレッシャーをかけるんじゃ、ありません」

「そうですよお父様だめです」


みんなそれぞれの反応を示し、グレイブの祝福について話し合っている。当の本人は特になにもせず食事が来るのを待っていた。

 数十秒後食事が運ばれて来た。今日も無駄に豪華すぎる食事だ。グレイブは、持ち運びのできないスープや肉などを平らげ残ったパンを持ち部屋を出る。


「美味しかったですありがとうございました」


グレイブが食事を終え部屋を出た後、王たちがグレイブについて話していた。


「いつもグレイブは、あれだけで大丈夫なのか?」

「そうですねぇ。ちゃんと成長するのかしらあの子」

「ふふふ、ですがやはり朝の宿泊の儀が楽しみですな父上殿!」

「あぁ、そうだな」


★☆★☆★


 グレイブはいつも通り食堂を出た後部屋にもどり、窓から入ってくる鳥たちにパンをあげる。魔道書を開け文字と向かい合っていた。


「グレイブ様紅茶の準備ができました」

「ありがとうルル、そういえばルルの祝福はなんだっけ?」

「私は、火魔法 中級と風魔法 中級。以上の二つですね」

「そうでしたね。じゃあここの部分教えてくれませんか?」


グレイブは、使用人であるルルに近づき本の一部を示す。そこには魔法の原理について書かれたページであった。


「はい、魔法は詠唱という言葉を用いて魔力を操作して発動するということはご存知ですよね?」


「はい」


「えーと、なぜ詠唱改変の祝福がないと詠唱を変えることできないかというものでしたね」


「そう、魔法使いが詠唱を用いて声で魔力を動かすことができるなら普通に会話している今でも魔力は動いていると思うのです。それなら違う言葉もしくは簡略することができると思のですが」


「そうですね、でも魔法というものは自身の体の中にある魔力をパズルのように組み合わせて始めてできるものです。だから原理上は完璧に魔力を動かすことができれば詠唱改変どころか無詠唱さえ祝福なしでも出来てしまいます。ですがそのパズルはとても難解で、それを解くことを補助するのが祝福なのです。そもそも魔法系の祝福がないと魔力に干渉すらできませんが」


「そうなんですか。ありがとうルル」

「はい、どういたしまして」


 グレイブは壁に立てかけてある時計の針を少し眺め、教本をしまい眠る準備をする。まだ時間は8時ほどであるがグレイブは、少々大人びているがまだ7歳なのだ眠気には抗いがたい。


「シャワーの準備をして置いてくれないかな?」

「はい!かしこまりました」


ルルが出て行ったあとグレイブは壁に立てかけてある剣に手をかける。


「僕も、やっと国のために働くことができるようになるのか・・・」


 かつてない喜びをグレイブは噛み締める。その表情は限りなく無に近いが本の僅かだが口元が上がっている。

 少し力んだ体をほぐすため剣を抜き軽く数回振る。


「グレイブ様お風呂の準備が整いました」

「わかった、今行くよ」

「いつも通りですか?」

「はい」


 グレイブは確認を済ませて、剣をしまい走ってシャワー室まで向かいドアを開き急いで締め鍵をかける。こうしないと危ない人(姉様達)が忍び込んでくるからだ。

 グレイブは以前から体を見られるのを極端に嫌っており使用人を一人としていれない。なので浴場には一人だ。


「フゥ、今日こそは大丈夫なはずです」


 今日こそはとグレイブは安心して、一息つく。

 グレイブは、ドアの方を仕切り見ながらゆっくりと服を脱ぎ腰に布を巻き、そして風呂のある風呂場に入り水で頭を洗う。


 すると後ろからそろりと忍び寄る影が3つ。


「グレイブーーー」

「グレイブ今日こそは見せてもらいますわよ!ぐへへ」

「お姉ちゃんが背中ながしてあげるよ!」


案の定グレイブが後ろを見ると怖い人達(お姉様達)がいた。仮にも王族がこれなのはどうだろうかとグレイブは思ったが口には出さないようにした。

 上から長女のカミラ、次女のシルビア、そして三女のクロエ。

 カミラはこの国の第1王女で茶髪のロングヘアのすらっとした体型の16歳の女性。

 シルビアは、第2王女で金髪まさにボンキュボンな体型をしている同じく16歳。

ちなみに二人はグレイブとクロエと腹違いの双子の姉妹である。


「またですか、大丈夫ですから出て行ってください!!」

「いやよ!」

「いやですわ」

「嫌だ!」

「はぁ、まぁいいです。じゃあちょっと恥ずかしいので後ろ向いといてもらえませんか?」


 3人は揃って後ろを向く、グレイブはその隙にコソコソーと部屋からでて急いで服を着る。


(全く少し頭が回ってないんじゃないですかね・・・)


「後ろ向くわよ」

「ぐへへ」


 ガバッと三人が後ろを向いた頃には、グレイブはすでに部屋に戻っており誰もいなかった。


「やられたわ!」

「またですの!」

「あちゃー」


そのあと三人は静かに自分の体をメイドに洗ってもらいしょぼんとしながら部屋に戻るのだった。


その頃グレイブは、自分の部屋に戻りベッドに寝転んでいた。先ほどの出来事はいつも通りなので気にしないことにしている。


「ルル」

「はい、なんでしょうグレイブ様」

「僕は、いい祝福をもらえるでしょうか?」

「ふふ、大丈夫ですよ!グレイブ様」

「そうか、じゃあ僕は眠ることにします」

「はい。おやすみなさい。グレイブ様」


祝福の儀が始まる。

ご朗読ありがとうございます。今後もグレイブの活躍をどうぞよろしくお願いします。

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