思い出めぐり(※未来捏造)
この丘は、君と初めて出会った場所。
あのころはまだ敵対していたから、あまり話もしなかった。
敵に操られていた僕が、唯一本当の姿でいられた場所。
君が本当の僕を見てくれたから、
君が救ってくれたから。
陽だまりのような、あたたかい世界に来られた。
君と出会った、小さな丘。
桜並木。
春になると、それはもう見事な桜のトンネルを作る。
毎年、君が満開になった時を教えてくれた。
そして、一緒に花見に来ていた。
並木道の中、雪のように舞う花びら。
その中で、君が本当に幸せそうに笑う。
その笑顔は、いつもと少しだけ違っていて。
そのきれいな笑顔が好きだった。
桜並木の近くにある小川。
すぐ傍には花畑もあって。
優しい時間が流れている場所。
いつだったか、君が水の魔術を使った芸を見せてくれた。
それはもう、綺麗で。
でも、どことなく儚げで。
思わず溜め息が出てしまうほどだった。
月明かりに照らされた、幻想的な君の姿が忘れられない。
君との思い出の場所。
そこに立つ度に、君のことを思い出す。
君の影をさがす。
いないと、判りきっているのに……。
あの日、あの選択をしなければ……。
後悔しても、戻ってこない君。
君を、一人にしたくなかった。
違う選択をしていたら……。
もう少し、ましな結果になったのだろうか。
Fin.
初出:H25 6/8
…ひとやすみ…
五月下旬のある日、ふとした妄想が降ってきました。きっかけは、ある漫画の最終巻だったと思います。作品にはならない、したくない妄想は、自分の頭の中で納得いくまで想像するか、忘れるか、もしくは、紙に書き出してしまうかしないといつまでも頭の片隅にい続けます。そして、創作活動に影響を与えます。その想像が気になってしまい、新しい話が浮かんできませんし、執筆する気にもならないんです。今回は、とても長い話になってしまったので、紙に書き出してスッキリしてしまうことに決めました。
このタクトのモノローグは、その妄想から派生して出来たものです。ツイッターでポツポツ呟いていたら、作品になっていました(笑)
しばらくサイトの更新をしていなかったので、このモノローグだけ更新することにしました。
簡単な説明をしておきますと、とある事件をきっかけに、アヤが世界から消えてしまいます。そして、タクトだけが残ります。アヤがいなくなったあと、タクトはアヤとの思い出の場所をめぐります。二人でいた思い出にひたり、アヤの影を探します。その時の、タクトの想いです。
まだ紙への書き出しが終わっていない上に、日常生活が忙しいので、更新がまったりとしていると思います。すみません。
これからも、よろしくお願いします。




