sweet cake
バレンタインss
※内容はバレンタインではありません(笑)
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寒い日は、暖かい部屋でゆっくりお茶でもしようか。
《sweet cake》
「ケーキ作ってるの?」
厨房をちょっと借りてケーキを作っていると、タクトがやって来た。
「うん」
ちょうどホイップクリームが塗り終わった後で、今から飾りつけをしようとしていた時だった。すると、タクトが真っ白いケーキを指差して言った。
「ねぇ、それ、僕が飾りつけしてもいい?」
「いいけど…」
私が答えると、嬉しそうに笑う。
「じゃあ、飾りつけが終わったらお茶と一緒に持っていくから、リビングで待ってて?」
「えっ?」
まさか厨房から追い出されるとは思っていなかった。
「いいからいいから」
「う、うん」
タクトがあまりにも嬉しそうにニコニコと笑っているから、思わず頷いてしまった。
リビングで待っている間は正直いって暇で、本でも読んでいることにした。
一度本の世界に入ってしまえば、時間のことなど気にすることはなくなる。今日も例外なく、そうだった。
「アヤー、お待たせ」
お茶とケーキを乗せた台を押しながら、タクトは部屋に入ってきた。テキパキとテーブルにお茶の準備をするタクトを手伝い、椅子に座る。タクトがニコニコと笑顔を浮かべたままケーキの蓋をとる。
そこに現れたのは、雪の世界だった。
大小二つの雪だるまと二羽の雪うさぎ。奥にはかまくらまである。
「………」
今更だが、タクトは何故か飾りつけのクオリティーが高かったことを思い出す。本当に、今更。呆れて言葉もでなかった。
「…相変わらず、素敵な飾りつけだね」
「ありがとう」
嫌味として言うと、タクトは更に笑う。褒めてないのに。
そういえば、初めてそのことを知った時は驚いたんだっけ。どこかのパティシエが作ったような、見事な飴細工だったから。
「さ、お茶にしようか」
タクトも席につき、二人分の紅茶を注いでくれる。
ご機嫌のタクトを見ていたら、こちらまで楽しくなってきた。
「そうだね」
笑顔を浮かべて頷けば、タクトも嬉しそうに笑ってくれた。
―――冬のケーキで甘いひとときを。
fin.
初出:H24 2/5
バレンタインでSSを書こうと思って書いてみることにしました。が、この物語の舞台であるフローレ国は異世界であることを思い出しました。当然、バレンタインデーもありません。
じゃあ、SSでってことで書いたのが、この話です。
アヤとタクトは仲良しさんですね(*^_^*)この二人は書いてて楽しいです。
本編は暗い話が多くなってしまうので、せめて番外編くらいは明るい話とかほのぼのとした話とかを書こうかと。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました(*^_^*)




