第7話
その部屋は特に特徴の無い普通の部屋だった。
ベッドの上で蠢いている透明な緑色のモノ以外は…
険「っ!?木下さん!!」
俺は一瞬戸惑ったが緑色の物体の中に包まれた木下さんに気付き声を掛けた。しかし木下さんは動かない。
AI「社長、木下さんの生体反応は5分ほど前に途切れています」
木下さんの代わりにAIが報告を上げる。目を凝らして見ると木下さんの服や皮膚が所々溶けていた。
険「溶かしている…?スライムか!?」
AI「社長の好きなRPG風に言うならスライムですかね」
スライムはやり取りしているコチラに全く反応しない、食事に集中しているということなのだろうか。
険「ふぉりゃ!」
俺は持っていたバットを思い切り振り下ろしてスライムに叩きつけた。
ぷるん!叩いた所から衝撃が伝播したがスライムは相変わらずコチラには反応を示さない。
険「スライムだから打撃耐性でもあるのか?なら!」
俺はバットを捨ててバッグを置いて所まで戻った、もちろんスライムは動かない。
バッグからキャンプの為に買ったが一度も日の目を見ていない刃渡り15センチほどのサバイバルナイフを取り出す。
ナイフを手にし、再びスライムとの距離を詰める。バットと同じようにナイフを勢いよくスライムに振り下ろす。
サクッ!まるで林檎を切るような感触が手に伝わる。どうやらナイフは効果があるようだ。
AI「社長!下がってください!!」
突如大音量でAIが叫んだ、俺は驚いてスライムに突き立てたナイフを離して後ろに飛び退いた。
その瞬間、先程まで俺が居た空間に緑色の物体が降り注いだ。