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ほうき星の進化種  作者: ゴリステンレス
第一章 時計の針の狂う音
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赤紙徴兵

「それで貴方の意見ですが、概ねそれで合ってるわ。悪性精神体(あくせいアストラル)を倒す者、それが進化種(エヴォリア)よ」

「でも俺、今まで生きてきた中でそんな奴ら見たことねぇぞ?」

「当然よ。見えないようにしてるんだもの」


 俺が頭にはてなを浮かべていると、永夜のペンが走り出した。

 ホワイトボードに新たに書かれたのは現実世界という円と、それと横に並ぶ虚構世界という円だった。


「まず現実世界、貴方が今まで生きてきた世界がこれよ。こっちはもう説明なんて不要でしょう?」

「ああ、気になるのは虚構世界って奴だな」

「虚構世界は、そうね、生物のいない現実世界。一般人には探知できず、建築物や自然が残り、精神体(アストラル)が存在する世界よ」


 現実世界から虚構世界へ矢印が。その逆も然り。

 往復する矢印の上には進化種と書かれた。


進化種(エヴォリア)はこの二つの世界を自由に往き来できるの。まあ、向こうに行く理由は基本的に精神体(アストラル)関連だけね。それと、貴方が見た黒い物体、あれが悪性精神体(あくせいアストラル)よ、覚えといてね」

「えっ、じゃあさっき俺とお前が出会ったのが、虚構世界なのか?」

「そうね。何故こっちに来れたのかは不明だけど、良い経験になったじゃない」


 素直に喜べないな。


「まあ、あんな怖い思いするのはもうコリゴリだけどな」

「何言ってるの。虚構世界に来たのだから、貴方も進化種(エヴォリア)なのよ。当然こっち側」

「……つまり?」

「私みたいに戦いなさいってこと」


 嫌です。絶対に嫌。あれと戦うとか、もう体が震える。

 大丈夫、俺はここで落ち着いてノーが言える大人な男だ。問題ない。


「悪いが、俺には……」

「拒否権なんて無いわよ。こっちは人手不足で猫の手も借りたいぐらいなんだから、諦めて頂戴」


 いや、だって、お前さん血ィ出してたじゃん。その腕の包帯血が滲んでるじゃん。そんな危険が過ぎる使命やだよ。


「ちなみに、進化種(エヴォリア)は戦場に出る義務が有るわよ」

「出なかったら?」

「さあ?報告には消失としか」

「……やります、やればいいんでしょう」

「ん、よろしい」


 俺の渋々とした了承を聞いて握手するよう手を差し出す永夜。

 これを握ったら、もう戻れなくなる。けど。


「よろしくね、正宗くん」


 握るしかねぇんだよなぁ……。

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