嘘とホントが交差する地点
冷たい床と嗅ぎなれない匂いで目が覚める。
揺れることの無い灯火が点々と浮いている。
ポコポコと大きな鍋が音を発てている。
「……ああ、あの部屋か」
不思議と冷静でいられた。人間、成ってしまえばどうとでもなる、ということか。
起き上がり、辺りを確認。間違いない、ドアの向こうに見た部屋だ。
違うといえば鍋をかき混ぜていた人物が消えていることだ。家?を簡単に空けていいのか家主よ。寝ていたとはいえ人が居るんだぞ。
……しかし、まるで何かの仕事場みたいなこの空間、気になります。
まず目に留まったのは鍋。どうやら謎の匂いはあそこからきているようだ。
中を覗いてみると、薄く発光する黄緑色の液体で満たされていた。透明度は低く、おそらく5センチ先の物も見えないだろう。
匂いは、どこかで嗅いだことあるようなないような。少なくとも不快な匂いではなく、寧ろ心が安らぐ。
「これ、ミントか?」
過去に数回だけ飲んだミントティーがこんな香りだった気がする。
「なんてお洒落な鍋なのだ」
鍋はポコポコ笑っていた。
次だ、次。部屋の隅のあれ。
黒い布が掛かっててよくわからなかったが、段ボール箱一つ分のサイズの物が置いてある。
迷いはない。心で家主に謝りつつ、布を取る。
そこには段ボール箱が一つ。どうやら一度開けたようで、口は簡単に開けることができる。
ので、開けてみると、中には様々な種類のカップ麺と、そのレシートが入っていた。
「あー、庶民派?」
鍋はボコッと大きく笑った。
段ボールを元に戻して、さて、もうめぼしい物はない。そもそも置いてある物自体が少ないし、壁も窓が見当たらないところを除けばよく見掛けるれんが造りの壁だ。
最後にあのドア。この部屋から見れば違和感なんて何もないが、俺の記憶が正しければ学校に繋がってるはず。改めて考えると疑問しか浮かばない。
ここまで全部夢ではないか?なんて思ったが、夢なら問題なし、現実ならば学校に戻るためにあれを通らなければならない。
メリットしか見えないのだ、ならば躊躇う必要はない。
「さあ、行こうか」
俺は再びドアを開けた。
この先に、嘘みたいな真実があると知らずに。
ここまで平均1000文字で納めてますが、如何でしょうか。
セオリーは2000、3000と聞きましたが、個人的にノルマ低い方がやってて気分的に楽なんですよね。
モチロン極力皆様のご要望に答えていきたいと思ってまする故、何かあればドシドシコメント下さい。