昼の嵐
初小説です。
拝啓、祖父様。
お元気ですか。私はお前のせいで悲しみに染まっています。
あの日確かに、私は高校はどこでもよいと言いました。あなたの決めた高校を当日まで下調べしてないのも私の責任です。
でも、でも。女子校は無いでしょう。
孫を溺愛するあまり性別さえ反転させたかクソァ!
でも怒り以上にどんなコネを使って入学したかの方が気になります。今度教えてください。あと自決用の退学手続きをしておきます、覚悟しといてください。
ps.入学式早々、友達が出来ました。
なんて悪態ついた手紙を送って、一週間が立った。
今ではおかしいぐらいに溶け込めている。昼食は女子と集まり、みんなで和気藹々と食べて、雑談はしょうもない話で友達と駄弁って。楽しいですハイ。
勿論抵抗、というか恐怖はあった。女子校に男一人、もれなくえんがちょされる存在だろ!なんてことをクラスメイトに話したら
「大丈夫、男として見てないから」
と一言。
この三蔵 正宗、男として恥じない人生を送ってきたつもりだが、何が足りなかったのか。思い出すだけでも少し、いやかなり自信を無くす。
「なぁにうなだれてんのさー」
そう話しかけてきたのは真壁 猪娘。雰囲気だけで分かるコテコテのギャルで、俺の友達。ピンクが栄えるネイルに、短めの少しモフッとした茶髪のポニーテール。初めて見たときはその分かりやすいギャルっぽさに少し感動した。
「少し、考え事をな」
今は放課後。授業が終わってすぐだが、クラスメイトはみんな部活動の見学や体験に行っている。残っている俺と真壁を覗いて。
そういえば、真壁はいつも教室に残ってる気がする。しかも一人で。一体何をしているのだろうか。気になってはいるが、現状問うつもりはない。ギャルにはギャルの時間が在るのだろう。
「んー、分かった!エッチな事でしょ」
違う、お前の事だ。と言いかけるが、それは語弊が酷いと本能がセーブしてくれた。
「何を根拠に……」
「男と女、教室に二人きりだよ?少しは期待するでしょ」
確かに。
いや確かにじゃないが。
「お前と二人きりになってもなぁ」
「……ふ~ん」
おいっ、やめろ、スカートの裾を捲ろうとするな、ただでさえ短いのに。
「ホントにそうなのかなぁ~?」
真壁は少しずつ裾を上げていく。それは止まる気配無く、艶やかな脚を露出させていく。
そっぽ向いて興味が無い振りをするが、徐々に上がる幕を目で追ってしまう哀しき男の性が出てしまう。
「俺っ!部活見学してくるっ!」
素早く荷物を手に取り、真壁から精一杯視線を逸らしながらそそくさと教室を去る。我ながら情けない反応だ。
真壁はこういうことを平気でやってくる。多分だけど、俺の反応を面白がってやってきている。こちらとしては勘弁してほしいところ。
「正宗くーん!」
後ろから真壁の声が響く。大声で名前呼びは恥ずかしいからヤメロって言ってるのに。
「見たかったらいつでも大丈夫だよー!じゃーねー!」
何が大丈夫なんだよ!と心でツッコミつつ、振り向かずに軽く手を振りながら早足で歩を進める。
とりあえず深呼吸。嵐から無事帰還、よし。後はゆっくり、部活見学に勤しもう、そうすべき。
改善点を早く、多く見つけたいので、気になる所があったら是非コメント下さい。