二人旅で第一村人発見
ここで軽くイリナの見た目について説明しておこう、身長は140cm以上、年齢は14~15才位、毛色はグレーでアメショっぽい顔立ち、ケモナー度はモン〇ナジョー〇ズを思い浮かべて貰えれば近いかもしれない。
サイコロステーキを食べきり、皿まで舐めているイリナに、栄養豊富で増血効果のあるドリンク(オレンジジュース味)を渡し、体調にも気を使いつつ餌付けを成功させた。
ドリンクを飲み干した後、コップを持ってコッチをチラチラ見てくるので、もう1杯同じのを注いであげると恥ずかしげに目を伏せながら「…ありがとう」と言ってきた。
その破壊力に、こちらも顔を赤くしながら目を彷徨わせていると、イリナの服も防具もボロボロな事に気付く(服は傷口を洗う為にクロゥが引き裂いていたためかなりボロボロ)
直ぐに服と防具を創り始めるが、ただ同じ物を創った訳では無い、服の方は耐刃と耐火性能を、防具の方には耐ショック性能をそれぞれ付けてある。
さっそく着替えて貰ったが、サイズが合わずに何回か創り直すという事態が発生した。
思いのほかボリュームがあったと言う事だけ記録しておく。
「よし、じゃあ行こうか」
「…(コクリ)」
太陽が昇り切った頃、イリナの体調を確かめ二人で旅立つ、目的地はイリナが知っていた近くの人里だ。
俺の今の目的はまず人を集める事である、俺の魔法は創り出す事しか出来ないので、操作してくれる人が居なければ大量の兵器を創っても使えない。
巨大な魔物を殲滅しようと言うのであれば、数の力は必要であると考えている。
暫く歩き、空が茜色に染まる頃其れは見えてきた、森の木々が開けた平らな場所に、肩を寄せ合うように家とも呼べない小屋が数十軒建っていた。
(まぁ、最初はこの位が丁度良いか)
どう人々を説得しようか考えながら近付いて行くと、どうも様子がおかしい事に気付く。
小屋からちょっと離れた場所から、獣の唸り声や、男女の悲鳴などが聞こえてくる。
イリナと目配せを交わすと、音がする場所に急ぎながらも静かに近付く。
「多いな…」
建物の物陰から見えたのは20人程の男性が、30~40頭のオオカミ達に襲われている場面だった。
前回戦った時より5倍以上の多さだが、こちらにも秘策がある。
不安げにこちらを見てくるイリナを安心させるように、笑顔でしっかりと目を見て「大丈夫だ、俺に任せろ」と伝えると、姿を現し堂々とオオカミに向かって歩いて行く。
「俺の名は魔導師クロゥ!義によって助太刀する!」
オオカミと、特に村人達に聞こえるように大きな声を出しながら近付くと、当然のように4頭ほどがこちらへ向かって走って来た。
「よしよし…、見せてやるぜ!俺の必殺技!
切り裂け!旋風刃!!」
はったりも込めて、大声で叫びながら魔法を発動させると、俺の2m手前にまで迫っていたオオカミ達は、4頭ともに身体中を切り刻まれ地面に横たわった。
(よしっ!上手くいった!)
心の中でガッツポーズをしながら、次の標的に向けて歩き続ける。
何をしたのかと言うと、走って来るオオカミ達の目の前に、極薄の刃と竜巻を発生させたのだ、オオカミ達の突進の速度も加わったので結構な威力になった。
「さあっ!俺を恐れぬならば掛かってこい!」
大声で威嚇しながら、近付いてくるオオカミ達を刃の風で殲滅していく。
およそ半数程が動かなくなると、残りのオオカミ達は逃げるように森へ帰っていった。
「ふぅ~~、終わったー」
これで終わったと安堵して村人達に話し掛けようとした時、先ほどオオカミ達が走り去った方角から悲痛な叫び声が上がった。
「なんだ!?」
驚いてそちらの方を向くと、1頭のオオカミが吹き飛んで来るところだった。
そして少しの時間を置き、木々を揺らしながら現れたソレに、その場に居た全員が、息を飲み絶句した。
(マジかよ…これが本来の大きさだって言うのか?)
そこに現れたのはクマだった、クマだったが、以前出遭った個体とは比べるべくもない、全長約15mはあるであろう巨大過ぎるクマだった。




