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出会い



 迫り来るクマに大分ビビったので、身体能力を向上させるベルトを創った、見た目は某変身ベルト風である。


 付け続けるだけで筋力、持久力、反射神経、動体視力などを向上させてくれる優れものである、デメリットはカロリーの消費のし過ぎで直ぐに空腹になる事だ。

 

 それから数日、南へとひたすら歩いていた。


 動物以外に会いたいと切実に願っていた時、聞き慣れない音が聞こえてくる。



「おっ?何かが争っているような音が聞こえるぞ」



 慎重に近付き様子を窺うと、1匹のネコが、7頭程のオオカミに囲まれていた。


 よく見みると、オオカミはちょっと大きいかな?くらいの普通の見た目だが。


 ネコの方は、二足歩行でナイフ持ってるし、布の服と皮の胸当てのような物を装備していた。


 衝撃に思考停止していると状況は急に動き出した、

 ネコの周りをぐるりと取り囲むオオカミ、

 2頭は後ろに回り込み退路を断つ、

 もう2頭は左右から腕に噛み付く、

 もう2頭は両足に一匹づつ襲い掛かり、

 最後の1頭はジャンプして空中から頭部へ躍り掛かった。


 

 ネコが地面に押し倒された瞬間に飛び出していた、腰にぶら下げていた振動剣を引き抜く!


 振動剣のスイッチを入れ、まずは一番近い足に噛み付いた2頭に向かって剣を横に薙いだ。



「シッ!!」



 それ程の抵抗感も無く、2頭の首を跳ね飛ばした。


 そこまですれば気付かれたようで、他の5頭がこちらに向かって来る。


 囲まれたらやられると判断し、一番端に居る奴に向かって走った。



「燃えろ!」



 他の四頭には空中に炎を出現させ牽制とし、端の1頭を切り伏せる。


 切りながら横をすり抜けると、足元にトラバサミを設置していく。


 1頭が引っ掛かってあと3頭。



「グァウッ!!」



 脚に噛み付かれそうになったので咄嗟に転がり、木を背にして立ち上がった、これで後ろを気にする必要は無いと正面に集中する。



「ふぅー……ベルト創っておいて良かったぁ」



 ベルトの身体能力向上が無ければ、ここまで戦う事は出来なかっただろう、攻撃も当たらず、スタミナも直ぐに切れて1分も保たずに死んでいたに違いない。


 3頭のオオカミ達は、威嚇しながらゆっくりと俺への距離を詰めている、俺1人に4頭もやられたので警戒しているようだ。



「ウゥ~~、ガォウッ!!」


「うおっ、アブねぇ!」



 飛び掛かって来たオオカミのツメが紙一重で空を切る。


 その瞬間、黒雄は真上に跳び上がっていた。


 一歩二歩、三歩四歩と下で見上げるオオカミ達をあざ笑うかのように跳んで行く。


 黒雄は固定化をせず浮かぶ足場を創り出す事によって、空中を駆ける事を可能としたのだ!



「スマンな、これで終わりだ、あばよオオカミ!」



 木の枝に捕まりながら、オオカミ達の頭上に剣を創り出し、3頭全て串刺しにしていった。



「うーん、今回は大変だった、やはり数は力だなぁ、何か対策を考えねば…」



 考えこもうとした所でネコの事を思い出す。



「あっ!いけね!あの子大丈夫かな?」



 急いで戻ると、まだ同じ場所で倒れているネコを発見する。



「大丈夫かおいっ!まさか死んで無いよな!」



 駆け寄ってみると、身体中傷だらけではあるものの、辛うじて呼吸はしているようだ、しかし今すぐ手当てしなければ死んでしまいそうなほど弱々しい。



「参ったな、傷を治す薬なんて初めての試みだから、不安だ…」



 まずは水を出して血や汚れを洗い流す、その後傷口を見て、それが治るイメージをしながら小瓶に入った薬液を創り出した。



「さぁ、これを飲むんだ」



 ネコの口に薬を流し込むも飲み込む様子は無く、口の端から漏れてしまう。


 これではダメだと思った黒雄は、自分の口に小瓶を近付けた。



「これは仕方が無いんだ、人?命救助が最優先なのだから」



 と、誰に対してなのか分からない言い訳をしながら、薬液を口に含み、ネコの口内へゆっくりと薬を流し込んでいった(この時点でネコが女の子だと分かっている)


 どうやら上手くいったようで、傷口を急速にカサブタが覆い、呼吸も多少安定してきた。


 しかしまだ身体は小刻みに震え、顔は青いような雰囲気だ(毛がフサフサなので実際は分からない)


 そう言えば人間は、血を流し過ぎると死ぬ、という事を思い出し、慌てて増血剤を創り出し、またもや口移しで飲ませた。


 後は、近くに小屋を創り、敷き布団、毛布、掛け布団を創って敷いて、ネコを寝かせ自分も横に添い寝した(暖めるには人肌が1番良いんだ、と言いながら)


 黒雄も疲れていたので、まだ昼過ぎ頃だったが直ぐに眠ってしまった。



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