新たな世界に立つ
主人公は転移の際に、女神から言語や常識等を、異世界仕様に書き換えられていますので、読み書きや言語等は問題ありません。
作中、説明不足で申し訳ない。
「うあっ、まぶしっ……」
意識が戻り、薄く目を開けると眩い光が飛び込んできた。
目がだんだん慣れてくると、周囲の状況を確認する。
「どうやら森の中のようだ、道らしいものは見えないな…」
大木の根元で目を覚ましたらしい、鬱蒼とした森を見回していると“ぐー”とお腹から音が鳴った、どうやらこの身体は極限的に腹が減っているようだ。
「空腹と喉の渇きが酷い、もしかしたら、この身体の人は餓えて死んだのかもしれない…」
この身体の、元の持ち主の冥福を祈るが、このままでは自分も餓死してしまうと焦り、背負っていた鞄をあさり、水筒らしき物を探し当てるも空だった。
「そうだ!創造魔法で水を出せないだろうか?」
祈る気持ちで水筒の上に、水のイメージを膨らませて、発動と念じると、身体から何かが抜ける感覚がして、水の塊が生まれた。
「あっ!」
しかし、生まれた水の塊は、ほとんどが地面に落ち、かろうじて水筒に入った水も、すぐに消えてしまった。
「そうか、固定化の魔法を掛けなかったからか…」
水を出せる事は分かったので、今度は水筒を覗き込みながら、中に水が溜まるイメージと、固定化のイメージをしながら魔法を発動させる。
「よし!上手くいった、この分なら食料も何とかなりそうだ」
水を飲み干し、少し余裕が出来た頭で何を出そうか考える。
参考にしたのは、昔漫画で見たゼリー状の未来の食べ物、人間に必要な栄養が詰まっていて味も良いらしいと説明されていた。
まぁ、いきなり栄養素と言われてもビタミンやミネラル、タンパク質などおぼろげには思い出せても、細かいところは分からない。
大雑把に人体に必要な栄養とイメージして、味と形をイメージして、宇宙食のような物を創り出した。
「うん、見た目はアレだが、味はちゃんとハンバーガーだな…」
当面はこれでしのげると安堵し、次は寝床をどうしようかと考え出した、鞄に寝袋は入っていたが雨風はしのげない。
洞窟のようなものを探そうにも、周り一面森だらけで、山がありそうにはない。
仕方が無いので、ログハウスのような物を創ろうとするも、大きすぎてマナが足りないのか、体内から抜けていく感覚がするものの、ログハウスが出来る気配は無い。
「これは参ったな、体内のマナ量が足りなさ過ぎる」
体内からマナが一気に無くなったせいなのか、ふらふらする、まるで血を大量に抜かれた時の様に気持ち悪い。
「こりゃダメだ、一旦寝よう」
動く事も億劫になったので、大木の根の股に潜り込み、寝袋をかぶって寝た。




