ディスカ王への謁見
「サキン・ドゥ・ディスカ国王陛下の御前である!面を上げよ!」
謁見の間に通され、部屋の中央で跪いて待つように言われ、暫く経つと王がやって来た。
「魔導師クロゥよ、よく来てくれた、おぬしの事はよく聞いている」
顔を上げると、側近と兵士を連れた、少し腹の出た男が椅子に座り、高い所からこちらを見下ろしながら声をかけてきた。
王冠をかぶり、ゴテゴテした派手な装飾の施された服を着ているところを見ると、コイツがディスカ王で間違い無いだろう。
「おぬしの力が本物かどうか、ここで見せてみよ」
不遜な事を考えながら王の話しを聞き流しているといきなり力を示せと言われる。
まぁ、話しに聞いただけでは信用は出来ないだろうから、実際に見て確かめようとする気持ちも分かるし、これからの交渉の為にも、力をみせおく事は重要だと考える。
おそらくディスカ王が欲している物は兵器だろう、俺自身も欲しいのは兵器を扱える軍隊だ。
なので、軽くデモンストレーションを行う為に立ち上がる。
「分かりました、大きな音がしますので、耳を塞いでいた方がいいですよ」
頭上に右手を掲げ、その手の中に白い球体を生み出し、部屋の隅っこに投げた。
ボンッ!
「うおっ!」
「何をする!」
「王を守れ!」
側近は身を伏せて隠れようとし、兵士達は槍を持って俺の周りを囲む者と王の周囲を固める者に別れた。
「どうです、信じていただけましたか?」
「う、うむ!見事だ!おぬしはわが王国に相応しい力を示した、今後はこのディスカ王の為にその力を振るうがよい」
やはり、この力を自分の国に引き込みたかったようだが、俺は誰にも仕えるつもりは無い。
この世界の何処に巨大魔物(こちらの世界では四獣帝と呼ばれているらしい)が居るのか分からないのだから、国に縛られていては、俺の目的は達成出来ないからだ。
「この国に仕えよと言うのであれば、お断り致します」
なので、ハッキリと断った上でこちらの目的を伝える。
「私は女神に仕える身、その私に課せられた使命は四獣帝の討伐です、この国にとっても四獣帝は脅威でしょう、どうです?私と力を合わせかの巨大獣を打ち倒そうではありませんか!」
「貴様無礼な!王の誘いを断ったあげく、卑しくも王に意見するとは!」
だが、やはり側近達にもキレられた、俺の周りを囲む兵士達の顔も一層厳しくなる。
俺はもうこの時点で大分面倒臭くなってきていた。
連行しに来た兵士に始まり、街の雰囲気や、王様の態度、全てに苛立ちを覚える。
誰かが何か喚いているが、聞く気にもなら無い。
「もういいや」
なので、おもむろに腰に付けた爆弾から、一つ足元に落とそうとした。
瞬間、閃光とともに爆音が拡がる。