現実:食-チーズケーキ「ベイクド」「スフレ」「レア」、「スティック」、「フロマージュ」、「二層」、「魔法のケーキ」
▼チーズケーキ:
チーズケーキ (cheese cake) とは、
そのものずばりチーズを使ったケーキの事である。
これは、
温製の 「ベイクド」
湯煎焼きの「スフレ」
冷製の 「レア」
に大別される。
また、山羊チーズで作る「トゥルト・フロマージュ」はと言うと、表面を真っ黒に焦がした層の下は
黄色いふわふわのスフレタイプの生地。
なお、トゥルトはフランス語で小さなケーキ又はトルテ(タルト)を意味する。
その他、「ズイバック」チーズケーキという胡桃やクッキーを細かく砕いたもので表面を覆っているものもある。
なお、チーズ入りのバターケーキなどが「チーズケーキ」の名称で市販されていることがあるが、
これは別物である。
▼種類:
●温製の「ベイクド」:『ベイクド・チーズケーキ』 濃厚でしっかりとした味
ベイクドとは日本語訳で「焼く」という意味で、
オーブンできつね色になるまで焼いたものはベイクド・チーズケーキと呼ばれる。
北米やヨーロッパなどで単に「チーズケーキ」と言えばこれをさします。
型にクリームチーズやカッテージチーズ、マスカルポーネ、リコッタチーズなどの
やわらかく塩分の少ないチーズと砂糖、卵黄、コーンスターチや小麦粉などを
すり混ぜた生地を型に流し込み、オーブンで焼いたもの。
どっしりと食べごたえがあり、保存がきくのが特徴。
焼きたてのふわふわとした食感を楽しむのもよし、
時間をおいてしっとりして濃厚な味を楽しむのもよし、
と一つのケーキで複数の美味しさを味わうことができます。
ただし、焼いて作るため普通の焼き菓子同様に常温で保存が利くと思われがちであるが、
実は低温保存が原則で、常温に放置すると生地が融けてプリンのようになる。
故に一部ではこの性質を生かした商品も売られている。
「ニューヨークチーズケーキ」も、「ベイクドチーズケーキ」の種類のひとつになります。
オーブンできつね色になるまで焼きあげるベイクドチーズケーキに対して、
ニューヨークチーズケーキは小麦粉をほとんど使用せず、湯煎焼きにするという違いがあり、
また、クリームチーズの使用量もほかのチーズケーキに比べて多いです。
1990年代頃までの日本では土台を使わないものが主流であったが、
近年ではパイ皿に敷いたサブレ生地や砕いたクラッカーなどの
土台の上にチーズケーキ生地を流しいれたものが多い。
日本でも単に「チーズケーキ」と言う場合はほぼこのタイプのチーズケーキである。
●湯煎焼きの「スフレ」:『チーズスフレ』 ふわっとした感じ
スフレとは膨らんだという意味でチーズスフレは通常のスフレとは違って
放置してもしぼむことはありません。
ベイクドチーズケーキの材料を生クリームから牛乳に変え、
卵白を泡立ててさらに湯銭焼きにすることで、
口解けのよいスポンジタイプのこのふわっとした感じに焼きあがるのです。
スフレ・チーズケーキと呼ぶこともある。
日本では割とスタンダードなチーズケーキではあるが海外ではあまり見られない。
故に海外では日本発祥のチーズケーキとされ、多くの場合「japanese style cheesecake」
と称して売られていることが多い。
日本で「スフレ・チーズケーキ」と呼ばれる物は、
アメリカでは 「シフォン・チーズケーキ」に近いと思います。
どちらも、卵白と卵黄を分け、卵白を泡立ててからケーキ・バターに混ぜ込む作り方ですから。
日本で普及している洋菓子はフランス系のものを基盤として発達してきた歴史がありますので、
「スフレ・チーズケーキ」とはフランス語のスフレを冠したものと理解しております。
反面、イギリスを基盤に持つアメリカでは英語のシフォンを冠した 「シフォン・チーズケーキ」なのです。
なお、ベイクドチーズケーキに比べてカロリーが低いので、
ダイエット中でもあまり心配なく食べられます。
また作るのに少々コツがいるので、チーズケーキの中では上級者向けといわれています。
●冷製の「レア」:『レア・チーズケーキ』 濃厚でなめらかな舌触り
火を通さず、クリームチーズなどに生クリームを混ぜ合わせたものを
冷やし固めたものであり、
クッキーを砕いて作ったクラスト生地を下に敷くこともある。
あるいはフィリングだけをババロアやムースのように
グラスに盛る「グラス・チーズケーキ」もある。
近年はガーゼで包んで販売するものが登場している。
バニラ、チョコレート、ヨーグルト風味などさまざまな味付けがされることがあり、
フルーツ、特にイチゴやブルーベリーのトッピングが乗ることも多い。
ゼラチンで凝固させることが多いが、ゼラチンを寒天に変えたり、
クリームチーズを半分お豆腐に変えたりすることで
カロリーがぐっと抑えられるのでダイエットにもぴったり。
あるいはゼラチンを使わずにクリームチーズ自体や
ホイップクリームの固さだけで仕上げる場合もある。
口どけを最大限に高めるためレモン汁の酸によって
タンパク質凝固作用だけでチーズのタンパク質を凝固させる方法もある。
この場合はレモンのさわやかな風味が増す。
こうした場合はふるふる、やわやわとしたくちどけが特徴のケーキというより
ババロアやプリンのようなお菓子になります。
簡単に家庭で作れるので、様々なアレンジレシピが存在する人気のチーズケーキです。
●食べやすい「スティック」:最近のヒット作、『スティックチーズケーキ』
長い間チーズケーキといえば丸や四角の大き目な型にいれて、
切り分けて食べるスタイルが一般的でした。
しかし今、スティックタイプのチーズケーキがコンビニなど
色々な所から発売されて人気を集めています。
フォークを使わずに手でつまんで食べられる大きさ。
味の種類も豊富で、チョコレート味や抹茶味などもあります。
さらにベイクドタイプからレアタイプまで種類も様々。
スティックタイプだと一度に色々な味が楽しめたり、
食べ過ぎ防止になる、という声も聞かれます。
また、大手レシピサイトでは
たくさんのスティックタイプチーズケーキのレシピが公開されています。
今、チーズケーキの歴史に新しい1ページが刻まれているのかもしれません。
●フランス語でチーズ「フロマージュ」:『フロマージュケーキ』
フロマージュはフランス語でチーズのことを指すので、
英語で言ったものがチーズとなり、柔らかいチーズケーキのことを「フロマージュ」と呼ぶのは誤用となります。
フロマージュにデザートやケーキの意味は含まれません。
故に海外でチーズケーキのことを単に「フロマージュ」と言っても伝わらないのです。
チーズケーキはフランス語なら「ガトー・オ・フロマージュ」もしくは「タルト・オ・フロマージュ」
チーズスフレなら「スフレ・オ・フロマージュ」或いはそのものずばり「スフレ・チーズ ケーキ」
フロマージュ・ブラン(fromage blanc)は温めた牛乳に凝固剤を入れて固めて余分な水分を除いた後、
熟成をさせずにそのまま食べるフレッシュチーズの一種で見た目はまっ白でまるでヨーグルトのような感じです。
日本では、どういうわけかこのフロマージュ・ブランの名前を洋菓子店で見かけることの方が多いです。
なぜならフロマージュ・ブランを使用したチーズケーキのことを「フロマージュ・ブラン」として
売る店が増えているからです。
しかもこれとは別に、まっ白なレアチーズケーキを「フロマージュ・ブラン」と名付けて
販売している店もあるようです。
●レア&ベイクドの「二層」:『二層のチーズケーキ』
レアチーズケーキもベイクドチーズケーキも一緒に食べられる
ベイクドチーズを土台にレアチーズケーキを乗せた
二つを組み合わせた二層仕立てのチーズケーキ。
二層のチーズケーキについての特徴は、 時間差で溶けていく幸せな感覚が味わえること。
●フランスで人気のケーキ「魔法のケーキ」:上からスポンジ、カスタード、フランの3層に焼き上がる『ガトー マジック』
1つの生地が焼くと3つの層になる、不思議でおいしい魔法のケーキ。ガトーマジック チーズケーキ。
生地を作るのは1度なのに、焼きあがるといくつもの違う食感の層が出来るフランスで流行した、
魔法の様な不思議なケーキ。日本では魔法のケーキと呼ばれています。
2つの生地を別々で泡立てることで何故か3層に焼きあがる魔法のケーキなので
スポンジ生地と、カスタードの様な生地、フラン生地の食感が同時にお楽しみいただける一品。
なお、フランとはカラメルプリンのようなお菓子やキッシュのように上部の開いたパイのこと。
この魔法のケーキの特徴は一つのケーキで、スポンジ、カスタード、フランの三種類の食感を楽しめるというもので、
しかも生地を型に流して焼くだけでこの3層構造のケーキとして焼きあがるというものです。
上はふわふわのスポンジ層、中はとろっとクリーム層、下は固めのプリンのようなフラン層。
上のスポンジ生地はメレンゲが主体、下のフランの層は牛乳と卵と小麦粉で作られ、
真ん中の層はメレンゲと液体の生地が程よく混ざった部分で作られます。
味はプリンやクラフティに近く、作り方もクラフティ生地にメレンゲを加えた様な作り方をします。
硬く作ったメレンゲを混ぜすぎないように混ぜるのがコツです。
もともとこのガトーマジックは“Millas”ミヤスというランド地方の伝統的なお菓子が元となっているようです。
このお菓子は田舎のおばあちゃんが作るようなシンプルで素朴なフランス菓子で、
クラフティ生地(プリンに小麦粉を加えた生地)にベーキングパウダーを入れ少し膨らませたようなお菓子です。
オレンジの皮を削ったものを入れたり、アルマニャック(フランス南西部で作られるブランデー)を入れ
香り付けをして作られています。
さすが南西部のお菓子です。その土地でとれるものを利用してお菓子を作っているんですよね。
そんなミヤスの分量を少しかえて、卵を黄身と白身で分けて、メレンゲを作り、
くっきりと分かれた層状に仕上げたのがこのガトーマジックです。
ではなぜ層になるのでしょうか? その秘密はちょっとした混ぜ方と焼き方の工夫にあります。
「魔法のケーキ」は、シフォンケーキなどと同じく、いわゆる「別立て生地」の一種。
卵黄と卵白を別々に泡立ててから混ぜ合わせるのですが、その際に完全に混ぜ合わせないのが大きなポイント。
そして焼き方にもひと工夫。
普通の焼き菓子よりも低い温度で、ちょっとだけ長めに焼きます。
そうすることで、不思議な3つの層ができるのです。
▼歴史:
チーズケーキの起源は古代ギリシャまでさかのぼり、
紀元前776年の第一回古代オリンピックの期間中、アスリートたちに振る舞われていた。
この古代ギリシャで生まれたチーズケーキは
古代ローマ人がギリシャを征服したことでイタリアへ渡り、
さらにイギリスへと伝わり、その後移民によってアメリカへと広がっていった。
但し、ギリシャのチーズケーキをヨーロッパ中に普及させたのはローマ人であるが、
現在のチーズケーキとは味も見た目も異なっていたようである。
しかし近年になり、人類最古のチーズがポドハレ地方周辺のポーランド南部で発見され、
中東や地中海周辺であろうとされていた従来のチーズ起源説が、
この大発見により根底から覆されようとしている。
故に現在のようなベイクドチーズケーキの起源は、
今では中世前期ポーランドのポドハレ地方にあるといわれる。
トゥファルクという名の、生乳を軽く発酵して酸味のある真っ白な
フレッシュチーズをふんだんに使用したチーズケーキセルニックは、
ここの住民で「グラル人」と呼ばれるスラヴ系の山の民
(グラルは文字通り「山の民」の意味)の郷土食であり、
ポドハレ地方では現在でも各家庭のお茶菓子として日に数回も食べられている。
トゥファルクを使うと酸味があるため、
一般に知られるチーズケーキのようにレモン果汁などを加える必要がなく、
実際にレモン果汁を加えないのが本来のレシピである。
いや寧ろトゥファルクが酸っぱかった為、
生乳には足りない酸味をレモン果汁などを加えたのではなかろうか?
数世紀のちに、ポーランドからの移民
(とくにポドハレ地方の近くの大都市クラクフからのユダヤ人)が持ち込んだレシピを元に、
アメリカにもチーズケーキが出現する。
実は1872年のアメリカでフランスの白カビタイプチーズ:ヌーシャテルを再現しようとしていた
牛乳屋が、クリームチーズを新たに開発した。
アメリカ合衆国の食品メーカーのクラフトフーヅによると、
「クリームチーズの起原は1872年のアメリカにあり、
ニューヨークの乳製品加工業者ウィリアム・ローレンスが、
“これまでにないほど豊かな風味を持つチーズ”を生クリームと全乳から作ったのが始まり」
であると言われる。
よってクリームチーズの誕生は、フランスのヌーシャルテルチーズに着想を得たといわれる。
故にクリームチーズを使ったチーズケーキはアメリカ由来なのです。
こうしてニューヨークでクリームチーズが発明されると、滑らかで口当たりのよいクリームチーズを使った
様々なチーズケーキのレシピが広がっていったといいます。