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現実:食-麦茶 麦湯

蕎麦湯にあらず。

 麦茶むぎちゃは、

搗精し焙煎した大麦の種子を煎じて作った飲料である。

麦湯むぎゆともいう。 ムギュ~。


 大麦の種子を煎じたものであり、

一般的な茶葉のカフェイン成分が含まれていない

ノンカフェイン飲料なので水分補給に、

また幼児が飲むのにも適しています。


 さらに麦茶は便秘や貧血につながるタンニンの量も

お茶(緑茶)やコーヒーよりも少ないです。



▼麦茶の効能:


 また、麦茶はバクテリアの定着と固着を予防することが発見され、

Pクマル酸は虫歯予防にも効果のあることが分かっています。


 とりわけ虫歯や歯周病など歯科疾患の主な原因で

心循環器の病気に関係するといわれるミュータンス菌の菌膜生成を阻害し、

その活動を抑えることで虫歯を予防します。

歯を磨く時間のない時は、食後に麦茶を飲んでおくと良さそうですね。


 さらに、Pクマル酸という成分には

活性酸素を除去して細胞を酸化から守る抗酸化作用があるのですが、

ニトロソアミンの生成を抑えてがんを予防するともいわれています。


 しかもアルキルピラジンという成分には

血流を良くする(血行促進作用)という働きが

あることが分かっています。


 この血液の流れを良くする作用は

麦茶を飲んでから1時間半くらいは持続するそうです。


 さらに、アルキルピラジンのレベルに比例して

液粘度を低下させる作用もあり、

麦茶に含まれるギャバ(GABA)には

天然のアミノ酸でノルアドレナリンの過剰分泌を抑えて

血圧の上昇も抑えるのです。


 このアルキルピラジンは麦茶の香ばしい香りの元で、

大麦を加工する際に作られる物質であり、

この麦茶の香ばしい香りがストレスを和らげるといわれ

さらに、ギャバにもイライラを解消する働きがありますので、

ダブルの効果でストレスを解消するのに役立ちます。


 また、100g中6mgと量は少ないですがカリウムも含まれているので、

余分な塩分の排出にも役立ちます。

この働きも高血圧を予防するサポートとなるでしょう。


 しかも、大麦には身体を冷やす働きがあって、

身体の火照りを取ってくれるんです。


 ですから冷たい麦茶は夏の飲み物として最適なんです。

特に暑い夏なんかは、キンキンに冷やし氷を入れた麦茶を

ぐびーっと飲むと喉の渇きがすぐとれます。


 しかし麦茶は元々体温を下げるために飲む夏の飲み物ですから、

麦茶は冷蔵庫で冷やすくらいで十分で、

氷まで入れて飲むと冷やし過ぎになるので

そんなに冷やさなくても大丈夫です。


 夏といえども必要以上に冷たいものばかり飲んでいたら

胃腸を冷やしてしまいますし、

冷え性の方にはデメリットになってしまいますよね。


 故にあまり身体を冷やさないように常温で飲むこともあります。

あまり冷たい麦茶をたくさん飲むと、

身体が冷えてしまう心配もありますので、

冷え性の人はむしろ温かい麦茶を飲むのがいいでしょう。



▼麦茶の季節:

 季節としては夏、冷やしたものがよく飲まれる。

また、初夏は大麦の収穫期でもあるため、

夏の麦茶は新鮮で味も良い。


 しかし冬でも温めて飲む場合もある。

なぜなら体温を下げることや、

血流を改善する効果が知られているからだ。


 あと水分の吸収効率で一番良いのはお水などと言われていますが、

飲みやすさの点でお茶を常用している人も少なくありません。


 しかし水分の吸収を妨げたり排出を促したりする作用の成分を

多く含んでいるものも少なくありませんし

水分吸収にはお茶の種類によっては適さないものもあります。


 そのため、お茶よりミネラルウォーターの方が良いとも言われますが、

しかし麦茶にはカフェインが含まれていないので、

コーヒーなどのような強烈な利尿作用はありません。

麦茶ならば、腸の負担なく水分が摂れるためおすすめです。


 水分補給には電解質が入っていて、

浸透圧が低めで身体に吸収されやすい麦茶が最適なのです。


 しかも麦茶は腎臓の機能改善にも役立つので、

むくみがちな人にもぜひ飲んで欲しいです。


 利尿作用が強力だと逆に水分不足になることもあるのですが、

麦茶ならその心配がありません。


 穏やかな利尿作用でむくみを解消しながらも、

身体の水分を適度に保ってくれます。


 カロリーも100g当たり1kcal。

つまり、ほぼカロリーはゼロなんです。

これならダイエット中の水分補給としても安心して飲めますよね。


 どうせ水分補給をするなら、

ミネラルウォーターよりも血液サラサラ効果もあって、

活性酸素から体を守ってくれる麦茶の方がいいと思いませんか。




▼来歴:

 麦湯は、日本では平安時代から貴族が飲用していたとされ、

以後、室町時代まで貴族が飲用し、その後戦国武将にも飲まれた。


 だが時代が下り、江戸時代には屋台の「麦湯売り」が流行し

庶民の間でも飲まれるようになった。


 天保に書かれた『寛天見聞記』には

「夏の夕方より、町ごとに麦湯という行灯を出だし、

 往来へ腰懸の涼み台をならべ、茶店を出すあり。

 これも近年の事にて、昔はなかりし也」

とあるように専門店である「麦湯店」も出現した。


 これは麦湯の女と呼ばれる15歳程度の女子が、

一人で食事も何もなく麦湯のみを4文ほどで売るものであった。


 15歳……女子。

アメリカの夏には欠かせない、

自宅の庭先に小学生の子供達がレモネードを販売する為の小さなお店

夏の定番「レモネードスタンド」を作り、

通りかかる人にレモネードを売って"お小遣い稼ぎ"をするのとは

訳が違うような気がしてならない。



 なお、大麦の収穫時期は初夏であり、

獲れたての新麦を炒るのが美味であるため、夏の飲料とされた。


 明治時代に入ると、麦湯店も流行ると同時に、

庶民の家庭でも「炒り麦」を購入し飲用されるようになった。

日本統治下であった朝鮮半島においても日本の麦茶が習慣として広まる。


昭和30年代に冷蔵庫が普及し、

冷やして飲む習慣が生まれ、

「麦茶という商品」も売られ始めた為か、

昭和40年代には日本全国で麦茶の名称が一般的に浸透した。


 なお、名称は太平洋戦争前には

東日本は「六条大麦を使用した麦湯」、

西日本は「裸麦使用の麦茶」となっていたという。


 なぜなら麦茶の原料となる大麦は、一般に六条大麦が使用されて

六条大麦の国内生産量1位は福井県であり、

その多くは転作奨励によって始められたものである。



 やがて戦後になると、


1963年(昭和38年)に

 常陸屋本舗が大型コーヒー焙煎機を輸入し、

 それを利用して麦茶の大量生産を開始し

 同年に日本初のティーバッグ麦茶(煮出し専用タイプ)が同社から発売された。


1965年(昭和40年)に

 水出しタイプとして

 初のティーバッグ麦茶が石垣食品から発売された。


1978年(昭和53年)には

 初の容器入りリキッド(液体)タイプ、

 1リットル紙パックタイプのチルド麦茶が乳業メーカー数社から発売された。


1980年(昭和55年)には

 ハウス食品が大手食品メーカーとして麦茶市場に初参入し、

 冷水用と煮出し用のティーバッグ麦茶を同時発売、


1980年代には

 缶やペットボトル入りの麦茶が発売されたことによって、

 規模が小さかった麦茶市場が発展して市場規模が拡大していった。

 その後、ポーション(濃縮液)タイプの麦茶も発売されている。


1986年(昭和61年)には

 全国麦茶工業協同組合が毎年6月1日を麦茶の日と定めている。



 西洋では、麦茶に類似したものについて、

古代ギリシアの医聖・ヒポクラテスによる治療法の処方文献に、

発疹した患者に発芽した大麦の煎汁を飲用させ

排尿量を増やすというものがあった。


ギリシア語でプティサーネー("ptisane")と呼ばれたこの大麦煎湯は、

原液のまま、あるいは稀釈や濾過により飲みやすくしたものが飲用されたという。


 "ptisane"とは、「ptisane=脱穀」に由来する語である。

のちにラテン語の"ptisana"(プティサナ、大麦湯、精白した大麦)となり、

フランス語の"tisane"(ティザーヌ、ハーブティー)の語源となった。


 そもそも麦茶は名前に「茶」とは付くが、

実のところチャノキという植物を使用していない。

従って、広義の茶(茶外茶)に分類されるのだが。


 この他、西洋では戦時中、

南方からのコーヒー豆供給が難しくなった際の代用コーヒーとして、

深煎りした大麦を用いたこともあった。


 また、コーヒー及び茶の飲用を禁じられているモルモン教徒は、

来日の際には戒律に抵触しない麦茶が重宝されるという。


 一部では砂糖や塩を入れて飲むこともある。

(西洋ではもともと紅茶が生まれるまえは緑茶にも砂糖を入れていた)



▼煮出し・水出しティーバッグ:


 現代において麦茶を家庭で作る場合は、

粒状の物を用いて煮出すことは少なく、

利便性・経済性が向上した煮出し・水出し用のティーバッグを

使用することがほとんどである。


 ただし、これらは粒状の物と比べて

「香ばしさ」「うまみ」「香り」が落ちる傾向である。


 また、麦茶の性質上リットル単位で作ることが前提となっており、

専用のボトルなどを用意する手間もかかるため、

近年では手軽に飲める缶・ペットボトル入り飲料タイプのものや、

水に溶かして一人分ないし数人分を作れる濃縮液タイプのものも利用されている。


 今はポットにティーパックを入れておくだけで

簡単に麦茶を作れる水出しタイプが人気があると思いますが

熱湯で煮出しするより、水出しするほうが、

抽出に時間がかかるものの雑味が少なく

マイルドでスッキリした味わいであるとされる。


 でも、出来れば麦茶は煮出して飲むことをおすすめします。

煮出したものと水出しと効果効能がそんなに違うのか、

といわれると栄養素はそれほど大きく変わりません。


 ですが、煮出して飲んだことのある方なら分かると思いますが、

時間をかけて煮出した麦茶は香りが良くて本当に美味しい!


 そうです、香りの成分であるアルキルピラジンは

加熱した方がより効果が高まるという研究結果があるんです。


 煮出した方が麦茶は香りも良く、美味しく飲めると言うことですね。

ちなみに煮出した後は出来るだけ早く粗熱を取って

冷蔵庫に入れることで雑菌が繁殖するのを防げます。

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