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現実:食-スプレッド 『マーマイト』 (英国の暗黒面-ダークサイド- 略して英国面) と『ベジマイト』(ベジマイトの唄:思いっきり輝いてるハッピーなオーストラリアの子供達)

 同じスプレッドでもマーマレードではない。

もっとずっと黒い……そう、凶暴でどす黒いなにかだ。


*スプレッド (Spread) とは、パンやクラッカーなどに塗る「塗り物」のこと。

英語の動詞としての「広げる」、または「薄く延ばす」という意味に由来する。

マーマイト(Marmite)とは

イギリスでポピュラーな栄養食品で

濃い褐色の水飴状の液体である。


 語源はフランス語で

「調理用のふた付き鍋」を意味する

「marmite」(マルミット)である。


 その正体は、食べる英国面:イギリスの栄養食品で

その正体は煮詰めた塩漬けの酵母(ビール酵母)エキスである。

……酵母って言葉は万能だね。


 第二次世界大戦中から戦後にかけての食糧難の時期に、

物資も少なく十分に食事もできないので、

子供達に少しでも栄養をと

「スープの素」として使われたことで、

「ナショナルな記憶」を呼び起こす食品になったとのこと。


 日本でいうと、

敗戦直後に子供時代を過ごしていた世代の人たちにとっての

「脱脂粉乳」的なそれであろうか。

実は世界一不味い食べ物コンテストで1位をとった事もあるらしいですが。


 元々イギリスではビール醸造の過程で

発生した沈殿物(酵母)を食べる習慣があったが、

これがマーマイトの原型と言われている。


 ビールの醸造過程で増殖して最後に沈殿堆積した酵母、

いわばビールの酒粕を主原料とし、

主にイギリス及びニュージーランドで生産されている

ビタミンBを多く含む食品。


 本家イギリスのものは濃い茶色をしており、

粘り気のある半液状で塩味が強く、

独特の臭気を持つ。


 主にトーストにバターと一緒に塗って食されるほか、

クラッカーに塗る、スープに溶かすなどの利用法もある。

と言うか、むしろそうでもしないと食べれない。


 イギリス全土に加え

ニュージーランド、

オーストラリア、

アイルランドなどの旧英国領では

大衆食として広く愛されているほか、

最近ではそれ以外の地域で

ベジタリアン向けの食品として需要が増えつつある。

むしろスパムはどこへ行ったのか?

 

 他に類を見ない味(謙遜)と香りのため

外国人には理解できない味とされることが多く、

日本や米国などでは悪評が高く普及してはいない。

普及するはずもない。


 マーマイトは、ビタミンBを豊富に含んでいる健康食品で

第一次世界大戦中は軍隊や学校、病院の食事に用いられるも、

第二次世界大戦中は捕虜の栄養補給のためにマーマイトを用いました。

これは食事にみせかけた拷問だったのでしょう。


 日本ではビール醸造の副産物であるビール酵母を

動物飼料(豚の餌)や栄養補助剤(強力わかもと)などとして

利用することも行われているが、

人間用の栄養強化食品として摂取する上では、

強力わかもとやエビオス錠のような錠剤がむしろ普及している。


 なお、その強烈な味と香り、

何よりはっきり好き嫌いが分かれるという点で

「イギリスの納豆」と紹介されることもある。


 また、日本においては八丁味噌を好む人には

受け入れやすいという話もあるようだ。


 ただ日本でも通信販売などでは容易に購入できるほか、

スイスではセノヴィという良く似た食品が製造および販売されている。



▼歴史:

 マーマイトが英国マーマイト社によって商品化され、

広くマーケティングされるようになったのは1902年だが、

それ以前にもビール生産の副産物でマーマイトの原型と言える

ビール酵母の沈殿物を食べる習慣はイギリス人の間に広く存在した。


 同社の公式ホームページによるとその始まりは1680年以前、

ビールの醸造が始まったのと同時期と推定されている。


 マーマイトの歴史は科学の発展と密接に関わっている。

科学の力も無力だったのであろうか?


 最初は単にビール醸造の過程でできる残りかすを

そのまま食べる習慣だったが、

科学の発展により酵母の細胞の存在が確認できるようになると

各国の科学者が興味を示すようになり、

ドイツ人科学者のリービヒが酵母を凝縮する方法を発明した。


 これによりビール発酵の残りかすであるビール酵母を

圧縮して瓶詰めにすることが可能となり、

現在のマーマイトの始まりとなった。


 そしてその後のビタミンの発見がマーマイトの知名度を一気に押し上げた。

また、大量生産にあたっては工場の機械化が重要な課題だったのは言うまでもない。


 マーマイトをその主な製品とするマーマイト・フード・エクストラクト社は、

1902年に英国スタッフォードシャー州バートン・アポン・トレントに設立され、

1907年までにはロンドンのカンバーウェル・グリーンに

2番目の工場の建設ができるほど十分な成功を収めた。


1990年、既にボヴリール社の子会社になっていたマーマイト社は

CPC社(英国)によって買収され、

1998年、ベスト・フーズ社へ社名を変えた。


その後

2000年にベスト・フーズ社はユニリーバ社と合併し、

現在マーマイトはユニリーバ社が所有する商標である。


 マーマイトの宣伝キャンペーンは当初は健康志向を強調しており、

1980年代には、陸軍小隊が登場するテレビコマーシャルで

『私の仲間マーマイト』のキャッチフレーズで宣伝された。


 マーマイトは第二次世界大戦中に

イギリス軍基地のドイツ人捕虜のための標準的なビタミン補給剤であった。



▼食べ方:

 最も一般的な食べ方はトーストに塗る方法であるが、

この場合必ずと言っていいほどバターもしくはマーガリンとの組み合わせで消費される。


 マーマイト単体で食べるのは塩味があまりにも強いのと、

粘り気が強くて塗る際に広がりにくいので

イギリス人などのネイティヴといえど敬遠されがちだが、

まずバターかマーガリンを塗ってから

その上にマーマイトを塗ることにより味がマイルドになり、

かつ油脂の効果で容易に塗り広げることが可能になる。


 またマーマイトとバターもしくはマーガリンを塗った上に

スライスチーズを乗せ、オーブンで軽く焼くレシピも存在するほか、

クラッカー等パンに類似した食品に塗って食べられることもある。


 マーマイトを使った料理も複数開発されている。

例としてスープの素としての使用法があるが、

この場合はマーマイト独自の料理というよりも

牛肉エキスを原料とするボブリル (Bovril) の代用品として

ベジタリアン向けのスープに使われると見なす方が正確だろう。


 他にもレシピは多く、

今日ではマーマイト料理のみを扱った料理本も出版されている。


・ニュージーランドでは、

マーマイトをパンに薄く塗り、

パケットポテトチップを乗せた

「マーマイトとクリスプサンドウィッチ」にすることがある。


・スリランカでは、

マーマイトを湯で溶かし、

若干のライムジュースと油で炒めた薄切り玉ねぎを加える。

二日酔いから回復するための素晴らしい気付け薬になるのだという。


・マレーシアでは、

炒めた豚のスペアリブを

マリネードにする漬け汁として

中国料理レストランでマーマイトが用いられる。

炒めるときに、マーマイトベースのマリネード汁が熱でカラメル化して、

甘辛い照り出しソースになる。





▼ベジマイト:オーストラリアで生産されている発酵食品である。

 第一次世界大戦の影響でイギリスからのマーマイトの輸入が途絶えていた1923年に、

フレッド・ウォーカーの経営する企業の食品技術者であったシリル・パーシー・キャリスターによって開発された。


 商品名は賞金付きで公募され、ウォーカーの娘シーラ(Sheilah)によって無作為に選ばれた。

商標権はクラフトフーズを2012年に買収したモンデリーズ・インターナショナルが保有していたが、

2017年1月にオーストラリアの乳製品メーカーのベガ・チーズが4億6,000万オーストラリアドルで買収した。

ベジマイトはビクトリア州メルボルン近郊の工場で製造されており、

オーストラリアを中心に年間2,300万個が販売されている。



 ベジマイトはイースト菌抽出物(酵母エキス)や塩を原料に作られている。

これはビール醸造の副生成物であり、麦芽抽出物を含む。

栄養面ではチアミン(B1)・リボフラビン(B2)・ナイアシン(B3)・葉酸(B5)などの

ビタミンB群に富んでいる。

イースト菌抽出物(酵母エキス)や麦芽エキスでつくられた発酵食品なので

合成保存料や合成着色料は使われていません。


 オーストラリアでおなじみの発酵食品ですが、

その独特の風味から「世界一まずいジャム」と言われてしまうことも。


 味や製法はマーマイトに酷似しており、

マーマイトには砂糖が入っているので、ベジマイトよりも少し甘め、

色はベジマイトのほうが少し黒く、マーマイトのほうは少し茶褐色で、

固さはベジマイトのほうがに少し固めで、香りはどちらも似ています。

味は八丁味噌とアンチョビとチーズと醤油を足したような独特な塩辛さで発酵臭がかなり強烈です。

見た目はチョコレートクリームのような黒いペーストで、独特の臭気を持つため、

一般的には理解できない味とされています。


 基本は、パンに塗ってトーストで食べるので、ベジマイトをパンに塗ってトーストにすれば、

意外と日本人の口にも合うような味に仕上がるそうです。


 なおアメリカでは輸入が禁止になっている。

実はアメリカでは葉酸はパンとシリアルにしか添加してはならないのに

ベジマイトには葉酸が含まれていることが理由でそのため輸入が禁止されているのだ。

けしてゲロマズだからではない。


マーマイトをもじった「パーウィル(Parwill)」という商品名を使用していた時期もある

(“Ma might not like the taste, but I'm sure Pa will”

「ママはこの味が好きじゃないかもしれないけど、パパならきっと好きだと思う」)。


 ベジマイトは、「We're happy little Vegemites」という名の覚えやすい歌を歌う、

魅力的で健康的な笑顔の子供たちを使った1940年代の販促キャンペーンによって確立された。

実際、今でも多くのオーストラリア人が、そのような子供たちを表すのに

「happy little Vegemite」というフレーズを使っている。


 オーストラリアのポップグループ、メン・アット・ワークによる「Down Under」の歌詞で

言及された際に、多くのオーストラリア以外の人々もベジマイトのことを知るようになった。

1980年代初頭のこの世界的ヒット曲は、オーストラリアがアメリカスカップで優勝した際に

「非公式の国歌」として使われた。


 オーストラリアのスーパーでは、ベジマイトはピーナツバターやジャムが置いてある

場所に並んでいます。

よって見た目がチョコレートペーストなので、間違えて食べてしまい大変なことになった、

みたいなこともあるようです。



 ベジマイトは塩辛く、エビオス錠などの酵母製剤に似た香りがある。

そのため、その強烈な味を和らげるためにバターやチーズと一緒にパンに塗られることが多い。


 オーストラリアではベジマイトにチーズが入った、チージーバイト(Cheesybite)も発売されている。

また「チージーマイト・スクロール(Cheesymite Scroll)」

あるいは「チェダーマイト・スクロール(Cheddarmite Scroll)」という、

チーズとベジマイトを巻き込んだ渦巻き状のペストリーも販売されている。


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