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現実:食-スプレッド コンポート、ジャム、コンフィチュール - その違い -

 スプレッド (Spread) とは、

パンやクラッカーなどに塗る「塗り物」のこと。


 英語の動詞としての「広げる」、

または「薄く延ばす」という意味に由来する。


 なお、アメリカ食品医薬品局 (FDA) の基準では、

果実と砂糖を煮詰めて作る「ジャム」のうち、

糖度65%以上でかつフルーツを45%以上含むものをジャムと定義し、

糖度65%以下のものをスプレッドと呼ぶ。

▼コンポート:

 コンポート(フランス語: compote)は、

果物を水や薄い砂糖水シロップで煮煮て作る、

ヨーロッパの伝統的な果物の砂糖漬けや砂糖煮の保存方法のことである。


 また、コンポートには

家禽や野菜をワインで煮込んだものも含まれるので

果物をシロップやワインで煮込むこともある。


 ロシアのコンポートなどは

ノンアルコールのデザート用飲料で、

果物やベリー類をシロップで煮た後、冷やして供せられる。


 ドライフルーツを使ったり、生の果物を使ったり、

あるいは、缶詰の果物を使う場合があるが、

ややこしい事に、これに使用するドライフルーツのこともコンポートと呼ぶ。


 或いは、果物を盛る足つきの食器、

それを模した花器の名称もコンポートであるのだが。



 主にアンズ,リンゴ,イチゴ,モモなどを材料とし

濃い砂糖のシロップを加え,

バニラ,レモンなどでかおりをつけ,

あまり原型をくずさぬように煮つめて作る。


 コンポートはそれぞれのフルーツ独自の舌触りや

姿を楽しめるのが魅力です。


 ジャムに比べ、

果実自体の食感や風味が残っており

糖度も低いためそのまま食べたり、

ヨーグルト、アイスクリーム、スポンジケーキなどに

しばしば添えられる。


 またジャムやコンフィチュールほど砂糖も入れないので、

コンポートは保存食にはならず、

数日で食べきる“常備菜”のような存在といえます。


 形も崩れにくく、砂糖も少ないので

フルーツそのものの味をいかした調理法といえそうです。



▼ジャム:

 ヨーロッパでは日本の漬物のように、

昔から地域の風土にあったジャムが生まれ、

長い歴史を誇っています


 北欧では、果実の採れる短い期間に、

お母さん方が、越冬食品として、

野生いちご、ラズベリー、カーラント(スグリ)類のジャムを一生懸命につくり、

つぼに蓄えます。


 我が国の漬け物と同じように、

保存食品として愛用されているわけで

家族は、冬の間この「母の味」を感謝して食べているのでしょう。


 そのためかヨーロッパの古いお宅には

必ずと言ってよいほど

庭にりんごの木が植えられています。


 大きな家ならりんごの他にも

プラムやなし、いちご、すもも、さくらんぼなど

お城級の大きなお宅ともなれば

花を楽しむ花壇の他に

自由自足のための野菜園と

果樹園がセットであるのが習わしです。



 ジャムはヨーロッパで

果物を長く楽しむための保存食として発展しました。


 なぜならヨーロッパは

温暖な地中海から寒さの厳しい北欧までいろいろな気候の土地があり、

多くの果物や野菜が栽培され果物は生で食べてもおいしいのですが、

はちみつや砂糖で煮込むと生とは違う風味がでて、

別のおいしさになり、日持ちもするようになりますから。


 さてジャムが長期間保存できるのは、砂糖によるものです。

果実類を砂糖などと一緒に煮込んで

ゼリー化させたものがジャムです。


 ゼリー化させずにソース状にしたものは、

フルーツソースと呼ばれています。



 砂糖はサトウキビやテンサイを絞って煮詰めたもので、

とても日持ちの良い調味料です。


 ですので、砂糖に賞味期限はありません。

砂糖は、水分を抱え込み逃さない性質があるので、

腐敗の原因となる微生物は

細胞の水分を奪われて生きていくことができません。


 なので、砂糖を多く含むジャムは、日持ちが良いのです。

一般に砂糖を60%以上含むものが、保存性が良いのですが、

糖分の取りすぎを避ける風潮から、

もっと糖分の低いジャムも多く販売されています。


 砂糖と果実、酸を煮込むと、

果実に含まれる炭水化物のうち

水溶性食物繊維であるペクチンと酸が結びついて

網目のようになりゼリー状になります。

ペクチンを多く含む果物はジャム作りに向いています。


 ヨーロッパではいくつかのフルーツを組み合わせたり、

スパイスを加えたり、自家製のジャム作りが盛んで

果物の時期に合わせて1年分のジャムを作ってしまう。


 基本的にジャムにできるフルーツは

コンポートにも応用でき欧州の御家庭では、

果実そのものに甘みが少なく美味しく食べられないときなどに

コンポートにすることが多い。


 また、風邪の症状がつらいときなどにお勧めので

弱った胃腸をいたわりつつ、

かぜを退治するための栄養をしっかりと取り入れる。



 なお、JAMという英語の語源は、

すでに使われなくなった「グチャグチャかむ」という意味の

CHAMという古い方言であるといわれています。


 辞書でJAMをひくと「押しつぶす」「詰めこむ」と訳されており、

これらを考え合わせると、ジャムは、よくそしゃくされたもの、つめこまれたもの…、

そのとおり、消化のよい食品として古くから認められていたのです。



 また、保存性に優れた身近な食品として、

古今東西、有史以前から現代まで人々とともに 長い間人々に親しまれてきました。


ジャムの歴史は非常に古く、今から1万年~1万5千年前の旧石器時代後期に、

人類がミツバチの巣から蜜を取っている風景が、スペインの洞窟で発見され、

その後果実を土器で煮た跡が見つかっています。


 人類の生活の知恵として、果実をハチミツで煮たものと想像されます。

ジャムが有史以前から人類とともにあった、最古の保存食品であるといえましょう。


 はちみつや砂糖は紀元前から利用されてきました。

スペインの旧石器時代の遺跡には木に登ってはちみつを採取している絵が残っています。


 紀元前320年頃、有名なアレクサンダー大王が東征してインド近郊までを攻略し、

貴重な砂糖を地中海ヨーロッパ世界に持ち帰ってジャムがつくられ、

王侯貴族僧侶が、珍重して食べたといわれます。


 アレキサンダー大王のインド遠征に従軍した将軍ネアチャスは、

「インドには蜂の力を借りずに葦から採る蜜がある」と語っています。

「葦」とは、さとうきびのことで、

その汁を煮詰めて砂糖を作る方法をインド人達は知っていたのです。


 もっとも砂糖自体の普及は長い年月が掛かりました。

砂糖は、7世紀頃にはメソポタミアを経て、地中海沿岸部や島々に広がり、

11~13世紀にかけて、十字軍の騎士たちによって知られるようになりました。


 その頃は砂糖は貴重な薬として使われていて、

料理や食べ物の保存のために使うことが出来たのは、

やはり王侯貴族など一部の人々だけだったようです。


 その後、十字軍のオリエント遠征(1096~1270年)で大量の砂糖が略奪✕→持ち帰られて、

徐々にジャムづくりが一般(富裕層)に普及されるようになりました。


 やがて15世紀になると砂糖の生産は西アフリカへ、

そして16~17世紀にはアメリカ大陸へと移っていきました。


 英国ではエリザベス1世の時代(16世紀後半)、

海外の植民地から安い砂糖が入るようになり、

ようやく家庭でもジャム作りが行われるようになりました。


 このようにして砂糖は15世紀以降に大きく欧州に伝わり、

植民地時代の奴隷による砂糖生産を経て大量生産へと至り、

19世紀末になりようやくそれまでの高級品ではなく

一般に普及する食品となったのですが。


 こうしてジャム加工は、一時的に大量に採れる果物を、

よりおいしく食べたり保存したりする方法として発展してきたのでした。

そして販売を目的としたジャムが出回るようになったわけです。


 そもそもジャムとは果物に砂糖を加え、

加熱濃縮することによって果物の水分を砂糖に置き換え、

酸とペクチンの力によってゼリー化したものです。


 ジャムは、適度にゼリー化した状態の中で

織りなす酸味と甘味がおいしさのポイントです。


ジャムに砂糖を加えるのは、甘味を付けるだけでなく、

酸とともに砂糖がペクチンを編み目のようにつなぎ、

その編み目の中に水を抱え込んでしまうことにより、

ゼリー化を促進するからです。


 また、ジャムは、保存性に優れた食品として知られていますが、

この保存性は、砂糖には抱え込んだ水分をなかなか放さないという性質があるために、

微生物が細胞の水分を奪われて活動できなくなることによるものです。


 砂糖をたっぷり使ったジャムや砂糖漬が腐りにくいのはこのためです。


 人間は生まれつき、甘いものに引かれます。

砂糖を上手に使ったジャムには心に楽しさと安らぎを与え、

ストレスを取り除き、情緒を安定化させるという効果があります。


 しかしジャムは、現在では定義や規格がいろいろと決められていますが、

もともとは砂糖漬けの保存食です。


 戦前の日本では、ヨーロッパ文化の影響を強く受け、

特に英国風のものが珍重されました。


 当時は缶詰がほとんどで、

使用時に開缶しジャムつぼに移し替え食卓に供されました。


 戦後はアメリカ文化の影響によりビンも使用しやすくスマートになり、

そのまま食卓で開封し使用するのが通常のパターンとなりました。



 ジャムの先進国は、英国、フランスです。

ただしアメリカ、テメーはダメだ。


 英国では、いちごが古くから豊富に自生していました。

ストロベリーの名は、10世紀の植物誌にありますが、

いちごに宗教的な「徳性」を見つけて尊重し、

中世紀からエリザベス王朝にかけて、

野生のいちごを庭に移植・栽培することが流行しました。


 シェイクスピアの「ヘンリー8世」にも出てきます。

マーマレードになるオレンジは、

15世紀に、バスコ・ダ・ガマが、インド周航から持ち帰り、

その後大量に輸入するようになりました。


 また、英国は砂糖の貿易を独占していましたので、

ジャムづくりの伝統を誇ることができたわけです。


 18世紀から19世紀にかけて、産業革命が一応達成され、

国民の生活レベルは向上しましたが、

ジャムは当時まだまだ高級で貴重な食品だったのです。


 英王室御用達であるオックスフォード・オレンジマーマレードは、

「英国人の真心」「マーマレードの芸術品」といわれています。


 英国人は黄金色のマーマレードを朝食に欠かさず、

そして深い満足を得てエネルギーの源泉としています。


 フランスのジャムは、

「小瓶に詰められた太陽の輝き」「天使の唇」と詩人がたたえています。

さすがに芸術の国です。


 ジャムのフランス語は「コンフィチュール」(果実の砂糖煮)です。

王様の正式な晩さんメニューには、必ずデザートとしてジャムがありました。

現在でも、本当のフランス料理の朝食というと、

各種のジャムがでて、クロワッサンにつけて食べるのです。


 パリには、ジャムなどのギフト専門店があるほか、

街角で売っているいろいろなジャムを包んだクレープや、

指の間を流れるほどのアンズジャムをたっぷりかけたドーナッツを

楽しく食べるアベックの姿などは、寒い季節の風物詩といえましょう。


 現在、一般にジャム類は、

ジャム、マーマレード、ゼリーの3種類に分けられています。


 いずれもその保存性と素材の風味や色、香りを生かした身近な食品として高く評価され、

広く世界中で作られています。


 ただ日本農林規格(JAS)では

ジャム類として一つの規格になっていますが、

国際食品規格(CODEX)では

「ジャム及びゼリー」と、「マーマレード」の二つの規格からなっています。


 どちらも「原料に水と糖類を混合し、

適当な 粘稠 (ねんちゅう)(粘りけがあって密度の濃い状態)度まで加工されたもの」

としています。


 特に違いがあるのは、糖度の違いです。

JASが40%以上としているのに対し、

CODEXでは65%以上と規定し、低糖度を認めていません。


 なぜならもともとヨーロッパでは、

ジャムは果物の保存食品として家庭で作られ食べられてきましたが、

日本では販売用製品として製造され、普及しているからです。


 ヨーロッパではジャムを、

「果実や果汁と炭水化物系甘味料を混合し、適当な粘稠度まで加工されたもの」

と規定しており、日本より甘いものが主流なのです。




▼コンフィチュール:

 コンフィチュールは

シロップで焦がさないように煮詰めたフルーツの保存食で

ジャムと極めて近いようですが、

最大の違いはフランス語か英語ということで、

一般的に同じものとして使われることが多いそうす。


 ただ、砂糖の分量、煮詰め具合、使われる素材など

ジャムよりも幅広いものをさします。


 従来のジャムは、ほとんどが煮込んで、

ペクチンによってゼリー化させて作りますが、

コンフィチュールは砂糖で果汁を浸出させ、

果汁だけを煮詰めた後に果肉を漬けるのがもともとの昔ながらの製法です。


 自家製ジャムと称する物の中には

このコンフィチュールが含まれているのかもしれません。


 なお、売り場で見るコンフィチュールはフルーツの形状がかなり残されています。

そして人気のコンフィチュールは、野菜やナッツ、

香辛料やハーブ、リキュールなど、

フルーツ以外の要素も加えて仕上げたものが多いのが特徴です。


 糖度も抑え気味でよりフルーティーな風味を楽しめる

保存漬けというイメージが強いですね。



▼コンポート、ジャム、コンフィチュール、(砂糖漬け)の違い:


 さて、ちょっと前まではフルーツを煮たものといえば

「ジャム」しかなかったのに、

今や「コンポート」、「コンフィチュール」など

おしゃれな名前でおしゃれな瓶に入っているものが増えました。

これらはいったいどう違うんでしょうか?


 みなさんよくご存じのジャムの定義は

「フルーツなどに砂糖を加えて、焦がさないように煮詰めた保存食」

であり、最近は甘さ控えめタイプなどもありますが、

基本はフルーツと同じくらいの重量の砂糖が必要である。

あれは甘くするためというよりは、保存するためだったんですね。


 似たようなものに「砂糖漬け」と言う

砂糖の特性である吸水性を利用して保存したい果物等を砂糖で取り巻き、

雑菌や組織内の水分と外部の糖分を細胞壁を通して交換することで

組織の中の水分を減らし、殺菌し腐敗を防ぐという方法がありますが、

塩漬けに使う塩と比べると大量の砂糖が必要となり、

(全体の重さの3分の2を砂糖が占める必要がある)

ヨーロッパで砂糖を使った砂糖漬けが作られ始めたのは13世紀頃からですが、

砂糖が安価になった18世紀以降にならないと家庭では砂糖漬けが作れなかったのです。


 もっとも裁判官への心付けや謝礼として

香辛料入りの「砂糖漬け」や「ジャム」を贈る風習がありましたが。


 なお、当時は香辛料が貴重だったため

裁判官は貰った菓子を転売して収入を得ていたが、

フランス革命によりこの賄賂性の強い風習は禁止されたそうな。


 英語の「ジャム」の語源は

「ぎっしり詰め込む」という意味から出たものであり、

形状的にも凝固したイメージで、

一方「コンフィチュール」のコンフィは、

調理用語で食材を風味よく保存することを意味し、

長く保存するための調理技術を前提として生まれた言葉です。


 最後に、「コンポート」は

フルーツをシロップで煮たものであり。

「ジャム」や「コンフィチュール」は煮詰めて、

「コンポート」は煮詰めないのです。

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