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現実:食−紅茶 ティーバッグ

 ティーバッグ (Tea bag) は、

紅茶の葉などの抽出物を含む小さな袋である。

同じ小さな布切れでも衣類の「Tバック」とは異なります。

なお、「ティー・パック」や「ティー・バック」という呼称は誤りであるが。


 紅茶を抽出した後に茶漉しを使うことなく

お茶を飲むことができるようになっている。


 これらは1908年にコーヒー貿易商であるトーマス・サリヴァンによって

偶然に発明されたというのが定説となっている。


 実は商品サンプルの紅茶の葉を絹とも木綿とも言われる布袋に詰めて

小売業者に送ったところそういう商品だと勘違いされて、

その袋のままお湯につけて紅茶を煮出してしまったのが

ティーバッグの始まりであると言われている。



▼ティーバッグ、その種類;


 現在これらは、簡便に茶を淹れるために利用されているもので、

合成繊維などからなる布ないし不織布の袋に茶の葉が封入されており、

これを熱湯に浸したり煮出したりして利用する。


 紅茶の葉が入っているものが一般に多く流通しているが、

紅茶以外の製品もみられ、

この他出来合いのものだけではなく、

消費者が任意の内容物を入れて使うための不織布の袋も見られる。

この使い捨ての製品は、大判のものでは出汁を取るためにも利用される。


 また日本では紅茶だけでなく緑茶など他の茶のティーバッグも存在するほか、

ヨーロッパでは果物やハーブティなど多様なティーバッグが存在する。

近年では中国茶もティーバッグで販売されているものもあり、多様である。


 英国やアメリカ合衆国、日本、ヨーロッパなどでは

1杯ずつ抽出できるものが一般的であるが、

カナダではティーポットに入れて使う大柄なティーバッグが主流である。


 また適切に製造されたティーバッグは、

お茶の葉が遊泳する適度な空間があり、

美味しい紅茶を抽出することができる。


 しかし、雑多な種類から適当に混ぜられた小さな固い葉が入れられている場合、

タンニンが多く抽出されてしまい渋い紅茶になってしまう。


 従来のティーバッグは四角、もしくは角ばった形である。

しかし、最近では丸みの帯びたものや、

いわゆるテトラパック(三角錐)型のティーバッグが売り出されている。

また、紅茶と同じようにコーヒーでも

計量済みの廃棄可能な袋に入れられたものが売り出されている。


 やがてティーバッグの素材はろ紙に代わり、

1920年代には、ティーバッグは広くアメリカ合衆国で販売されている。


1960年代からイギリスでも販売されたものの最初のうちは人気がなく

1963年には3%ほどのシェアにとどまっていたが、

時代と共に徐々に浸透していき、

2001年には英国で消費される紅茶の90%はティーバッグを使って作られている。


 本では1965年ごろより10年ほどかけて普及するようになった。

最初は麦茶のティーバッグという形であった。

なお、この時の麦茶のティーバッグは2013年現在も同じ形態で販売されている。



▼急須とポットと土瓶:


 さて急須とポットと土瓶の違いを知っていますか?

まずは、形の面からこれらの違いについてですが、

持ち手に着目すると、これらの違いは一目瞭然。


 急須は横に棒状の持ち手がついていて、

一方のポットは輪っかの持ち手。

そして、土瓶は上部に蔓状の持ち手がついています。


 このように持ち手に着目すると、三者を簡単に見分けることができます。


 そして、素材にも少し違いがあります。

急須は陶器、磁器どちらでも作られることがありますが、

ポットは磁器で作られます。


 また、土瓶は名前からもわかるように土からできているので、

陶器というくくりになります。

ただ最近では磁器で作られた土瓶も多くなってはいますが。


 また、用途でもこれらには違いがあります。

急須は、もともとは中国において

急な来客のお酒をすぐに温めるものとして使われていました。

それが日本に渡ってきてからは、緑茶等のお茶を注ぐときに使うようになりました。

急須は薬缶やかんと異なり、直接火に掛けないのが特徴である。


 では、ポットではどうでしょう?

いわゆるティーポットでは紅茶をいれる際に使いますよね。

英語圏ではティーポットも急須も一括りにティーポット(英: Teapot)と呼ばれる。


 急須とティーポット共通しているのは振らないこと

違うのはお湯の温度と、大きさの違い。

紅茶はポットの中でジャンピングしたほうがいいので

ティーポットは大量にお湯が入れられて対流できる大きさがある。


 また、土瓶は基本直接火にかけることができるので、お湯を沸かすときに使います。

土瓶で沸かしたお湯では、金属のやかんで沸かしたお湯よりも、

お茶の味が深くなると言われています。



▼紅茶の「ゴールデン・ルール」:ティーポット用ティーバッグ


 これは有名な話ですが、紅茶の国・英国では、97%がリーフではなく

ティーバッグで紅茶を楽しんでいます。


 これは、家庭に限らず、ティールームやカフェでも、です。

ティーポットの中にティーバッグが入っていることがほとんどです。


 日常だからティーバッグ、特別な時はリーフというわけでもなく、

普段飲む時も、特別なおもてなしの時も「ティーサーバー」ではなく

ティーバッグで淹れます。(「ティーサーバー」あれ、上から押すやつ! )


 現在、英国で消費されるブラックティー(紅茶)の

ほぼ100%近くはティーバッグで飲んでいると言っても過言ではないそうです。


 英国では1960年初めに本格的に導入したティーバッグですが、

1963年にはティーバッグのシェアも全体の3%ほどだったそうです。


 それが2017年では英国の97%のシェアまでに成長し割合は逆転しました。

リーフ主流の時代はいまからもう半世紀以上も前のことなのです。


 イギリスには、「ティーサーバー」に使用するリーフと「ティーバッグ」、

どちらが良い(美味しい)という概念がないそうです。

これは紅茶愛好家にも紅茶商の熟練ティーブレンダーにもありません。


 自称紅茶通からすれば、ティーバッグで紅茶をいれること自体が手抜きに見えるかもしれませんが、

しかしたった一手間を加えるだけで、紅茶の味は見違えるもの。

「ティーバッグでいれた紅茶はおいしくない」と思っている人に試してほしい、

ティーバッグで紅茶をいれるコツがあります。


 それはポットで紅茶を入れる時に守るべき基本「ゴールデン・ルール」と言うのですが、

ティーバッグも同じようにいれることで、おいしさを引き出すことができます。


 余談ですが、イギリス人の中には、紅茶をリーフで淹れるのは、

ちょっと頑固なおじいさん、おばあさんのイメージもあるそうです。


 3%のうち、1.5%はティーバッグが開発される昔からリーフで紅茶を

飲み慣れており、そのままリーフで飲み続けている、というご年輩の方。


 そして、1.5%が英国では珍しく、嗜好品としてお茶にこだわる方。

そのお茶のこだわりも、ブラックティー(紅茶)というよりは、

紅茶以外の特別な中国茶等のリーフを好んでいる方です。


 そのため、英国で消費されるブラックティー(紅茶)のほぼ100%近くは

ティーバッグで飲んでいると言っても過言ではないそうです。



 ティーポット用ティーバッグは、

ティーポットで淹れるのが一番美味しく抽出できると言われています。



1:カップを温める

紅茶をいれる直前に、使用するマグカップにお湯を注ぎ(カップの1/5~1/4くらい)、

10秒程度ぐるぐると回し、カップ全体をあたためる

カップを冷まさないことが大切

最初に少しだけお湯をカップに入れ、円を描くように回してから捨てます。



2:沸騰したお湯にティーバッグをそっと入れる

沸騰させたお湯をカップに入れてから、ティーバッグをそっと入れます。

ティーバッグが空気で浮かび上がらないように、カップの縁からすべらせるように静かに入れます。

真ん中に入れると、茶葉がジャンピングしないので、必ず縁から静かに入れる



3:フタをしてむらす

お湯の温度が沸騰する直前に火を止め、95度のお湯を注ぐだけでいいのです。

95度のお湯をポットに勢いよく注ぐと、茶葉の周りに空気の泡がつき、

「ジャンピング」と呼ばれる現象をおこします。


 三角形のティーバッグの利点は、お湯に入れた時に茶葉が舞い上がるこの

「ジャンピング」という現象が起こるためだと言われています。

ガラス製のティーポットでいれているところを見ると、

「ジャンピング」がどういう状態を指すのかよく分かります。


 「ジャンピング」は紅茶をおいしくいれるための秘けつと言われていますが、

海外では「ジャンピング」という用語は使われておらず、

「ジャンピング」によって紅茶がおいしくなるのではなく、

おいしくなるようにいれた紅茶で「ジャンピング」が見られるという実験結果もあります。

上記のいれ方を守るのであれば、ティーバッグの形よりは、茶葉の味の好みで選んでいいようです。


 先にティーバッグを入れてしまうと、

熱湯を上からかけた際にきちんとジャンピングしない場合があるため、

ティーバッグは後から入れた方が美味しい紅茶になります。


 蒸らす必要があるのでティーカップの受け皿であるソーサーがある場合

それを使ってフタをしましょう。


 マグカップの場合はラップをかけるのでもよいので、

とにかく熱や湿気が逃げないようにすればOK。

マグカップ専用のフタは「マグキャップ」などいろいろと売られています。


 ティーバッグのパッケージには蒸らし時間が書いてあることが多いので、

普段気に留めていなかった人もこの機会に確認してみてください。

蒸らし時間は1分と設定されているので、その時間通りに待ちます。



4:ティーバッグを引き上げる

ティーバッグを少しだけ揺らしてから取り出します。

蒸らしたことで紅茶の色はしっかり出ているはずなので、

ティーバッグを絞ったりしなくても十分味が出ています。


 軽く水を切ったら取り出して捨てましょう。

しっかり蒸らした場合は1度でおいしい成分が出尽くしてしまうので、

2、3回同じティーバッグを使い回しても決して同じ味は出ません。


 繰り返し使っても特に害はありませんが、

同じおいしさは二度と出せないことだけは覚えておいてください。


 完成した紅茶は、お湯に2~3秒つけてすぐ出してしまった時の紅茶とは

比べものにならないくらいの強い香りに仕上がりました。


 砂糖は入れていないのですが、後味に強い甘みを感じます。

ミルクティーにしても十分紅茶の香りが残るレベルです。

そのため、薄めのストレートティーが好きな人は、

もう少し蒸らし時間を減らしてもいいかもしれません。




 ですが、驚くべきリアルな声として、英国人のほとんどがマグカップで紅茶を

飲むだけでなく、なんとマグカップで紅茶を淹れているそうです。


 英国人はストロングティー(濃く淹れた紅茶)を好む傾向にあるので、

ティーポット用ティーバッグ(1包2杯分)をそのままマグカップに

入れ、ストロングで抽出し、ミルクティーで紅茶を楽しんでいるそうです。


 ただ、紅茶にこだわった、紅茶愛好家の英国人はティーバッグを

きちんとティーポットに入れて紅茶を淹れていますが。


 それ故、お上品なアフターヌーンティーは、

ティールームにお出かけしたときに、

あるいは一部の上流階級の人たちの日常なのかもしれないですね。



▼ティーバッグは「高級品」? :


 日本のスーパーで購入できるような手軽な価格帯の紅茶を、

紅茶の産地であるインドやスリランカの人が飲むことはまずありません。


 高級な茶葉は収入源とするためにほぼすべて国外に輸出されてしまい、

一般市民が口にできるお茶は粉状の低クラスのお茶だからです。


 ただし、自国で生産された紅茶は生活に密着していて、

日常にかかせない飲み物であることは確かです。


 粉状の「ダスト」と呼ばれる茶葉は、等級は低いものの、

産地で取れたてのお茶は日本のティーバッグに使われている物よりずっとおいしいとのこと。


 最近カフェなどでオシャレ飲料という風に提供されることもあるチャイも、

インドでダスト級の紅茶をおいしく飲むために開発された生活の知恵です。

日本で飲まれている「紅茶」のイメージとは異なりますが、

本場では下記のように鍋で煮出し、スパイスを加えた濃いミルクティーが飲まれています。



▼リプトン紅茶:


 さて、ティーバッグといえば

中でも有名なのがリプトン(Lipton)である。

現在世界的な食品・生活用品メーカーであるユニリーバが所有する、

紅茶のブランドであり

19世紀末、トーマス・リプトンによってスコットランドに誕生した。


 もっともリプトンはイギリスの企業ではあるものの、

こちらをイギリスのスーパーで売っているのを、ほとんど見かけることはありませんが。



 リプトンブランドの始まりは、

スコットランドに生れたトーマス・リプトンが15歳からの単身渡米の後に

21歳で開いた食料品店に由来する。


 商才に長けて食料品店を数多く経営するようになったリプトンは

パレードやポスター等の斬新な宣伝で世間の注目を集めていき

1890年夏のオーストラリア旅行の行程でセイロンに立ち寄り

紅茶園を買収して大成功を収め

その後、アメリカ、インドに事業を展開し、

1892年にリプトンはアメリカに紅茶のブレンドとパックを行う工場を建設。


 これがボストン茶会事件以来紅茶離れが続いていたアメリカで

紅茶を飲む文化が復活する契機となり

1895年にはとうとうイギリス王室御用商となったが、

だがその後、第二次世界大戦の戦災により、

リプトンの組織は大きなダメージを受けました。


 また、1952年まで続いた紅茶の供給減少と国力の低下による購買力の減少により、

イギリスは紅茶市場の中心とは言えない存在となった。


 ですがその後、リプトンはそのブランド力と、

世界に先駆けて量産化させたティーバッグが北米市場を皮切りにヒットし復活を遂げた。


 だがオランダとイギリスに本拠を置く世界有数の一般消費財メーカー「ユニリーバ」が

1938年からリプトンのアメリカ合衆国およびカナダにおけるビジネスを買収していき

1972年までには、リプトンのすべてがユニリーバの所有となっていた。


 この「ユニリーバ」とは

イギリスのウィリアム・ヘスケス・リーバ卿ウォリントンで始めた石けん会社

「リーバ・ブラザーズ(Lever Brothers)」と、

オランダのマーガリン会社「マーガリン・ユニ(Margarine Unie)」が、

1930年「ユニリーバ」として経営統合したものである。


 石けん会社とマーガリン会社……ここ重要。

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