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現実:食-設備 紳士の社交場 コーヒー・ハウス vs. 淑女のお茶会 サロン・ド・テ

▼カフェとは違うのだよ、カフェとは! : - サロン・ド・テ -


 パリの街でよく見かける“サロン・ド・テ(SALON DE THE)”の表示。

おフランス語で「喫茶店」の意味ですが、

フランスには、カフェとは別に“サロン・ド・テ”というスタイルのお店があり、

フランスの方はカフェと区別し使い分けているのだそうです。


 本来コーヒーを意味し、これが転じてコーヒーなどを飲ませる飲食店を意味するようになった

“カフェ(cafe)”とは何が違うのでしょうか?


 コレ(サロン・ド・テ(SALON DE THE))は、紅茶がメインの喫茶店ですか?

いいえ、実は、“サロン・ド・テ(SALON DE THE)”と“カフェ(cafe)”の違いは、

「食べ物をメインとするかどうか」です。


 つまりケーキなどを食べながらお茶できるお店が“サロン・ド・テ”であり、

コーヒーや紅茶などのドリンクのみを楽しむお店が“カフェ”なのです。


 食べものの取り扱いがある“サロン・ド・テ(SALON DE THE)”は、

謂わば、あくまでケーキなどを食べながら口直しにお茶をするフードコートであり、

“カフェ(cafe)”の方は、謂わばアルコールも含む飲み物を飲むだけのドリンクコーナーなのです。


 つまり、美味しいケーキとともに、

お茶(紅茶・コーヒー・ジュース他)を取る女子会 ✕ ⇒

イギリス的なティータイムを優雅に楽しみたい場合は、

“サロン・ド・テ(SALON DE THE)”というわけです。


 こうしてその違いを見てみると、

日本でいう“飲食店カフェ”がフランスでいう“サロン・ド・テ”ということになりそうです。



 ですが日本で開業する際には、

「カフェ」の場合は『飲食店営業』として申請、

「喫茶店」の場合には『喫茶店営業』として申請する為、

「カフェ」として『飲食店営業』で申請し許可を得ている場合には、

《アルコール類も食事も提供してもよく》、

一方、「喫茶店」として『喫茶店営業』で申請し許可を得ている場合には

《アルコール類と、食事を出してはいけない》飲食禁止である。

(ただし調理済みのものを除くので調理禁止といったほうがいいかもしれない)


 この様にカフェでなければ、本来食事は提供できないはずだが

実は喫茶店という名前がお店の名称として付いているか、付いていないかは、

法的な営業形態とは関係がありません。


 よって実際に食事を提供している喫茶店の名前がついているお店は、

その実ほとんどが飲食店営業、つまり分類的にはカフェなのです。


 なぜこうなったのかと言えば、

旧来の食品衛生法施行令での「カフェ」とはいわゆる風俗営業キャバクラであり、

コレに対して酒と女を売り物にしない純粋にコーヒーを始めとする喫茶を提供する店として

「純喫茶」という言葉が生まれ、やがてそれらは喫茶店と呼ばれるようになったからです。


 またよくある飲み物の自動販売機でカンやペットボトルのものでは必要ないんですが、

カップ式(紙コップ)に飲み物を注ぐタイプの自動販売機、

実は、あれを設置するには、喫茶店営業の申請が必要になるんです。

上下水道をつなげているので、保健所に喫茶店営業としての許可が必要なんです。

そう紙コップの自販機、法的には、喫茶店なんです。


 -閑話休題-



▼紳士の社交場 コーヒー・ハウス 淑女のお茶会 サロン・ド・テ:


○コーヒー・ハウス


 コーヒー・ハウス(Coffeehouse)とは、

17世紀半ばから18世紀にかけて、特にイギリスで流行した喫茶店で、

紳士達の社交場の機能も兼ね、大きな社会的役割を果した。


 クラブの発祥は17世紀のコーヒー・ハウスです。

コーヒー一杯、1ペニー払えば、だれでも自由に入れました。

ただし男性のみの団欒の空間でもありました。


 コーヒー・ハウスでは酒を出さず、

当時のエキゾチックな飲み物とされたコーヒー、チョコレート、たばこを楽しみながら、

上流階級の紳士たちが希少な情報収集手段である新聞や雑誌を読んだり、

客同士で政治談議や世間話をしたりしていたのだ。


 こうして商売の話や政治談義、猥談、ゆっくり新聞や雑誌を読みふけったりと、

コーヒー・ハウスは息抜きの場、紳士の社交場になっていきます。


 やがて同じ趣旨のメンバーが集う場になり、

会員制のクラブ・ハウスになるのは18世紀の後半からでした。


 コーヒー・ハウスは、情報収集の場としても重要な役割を果たし、

有名な店にギャラウェイ・コーヒー・ハウスがある。


 17世紀中頃、当時の金融センターであったロンドン・シティの取引所近くに開かれ、

多くの商人が情報を求めて集まったという。


 また、ロイズ・コーヒー・ハウスには、船主たちが多く集まり、

店では客寄せに船舶情報を載せる「ロイズ・ニュース」を発行していた。

また店で船舶保険業務の仲介を取り扱うようになり、これがロイズ保険会社の起源である。


 なおロイズ保険組合はブローカーとアンダーライターを会員とする自治組織であり、

通常の保険会社と異なり、

悪魔でも✕⇒ あくまでもロイズ保険組合自体が保険引受業務を行うのではない。


 保険を引き受けるのは、無限責任を負う個人であるアンダーライターであり、

ロイズ保険組合はロイズ保険ビルを所有し、

取引のルームと保険引き受け業務に関する事務処理サービスを

会員に提供するために存在しているに過ぎないと主張してるのだ。



 19世紀に入ると、豪華な邸宅がクラブとして使われ、

団欒や政治、芸術談義だけでなく、食事や飲酒、宿泊もでき、

居間や図書室、食堂、カード部屋等、メンバーはわが家のように過ごせました。


 ですが紳士の社交場だけあり、懐が寂しい者は入れません。

ある有名クラブはおよそ年会費が100万円ほどだったとか。

でもゴルフの会員権などよりも余程有益ですね。


 そしてだれでも入会できる、というわけではなく、推薦者が必要です。

かの有名な美食倶楽部、美食倶楽部ですよ、奥さま!?


 メンバーから紹介されたのち、

メンバー投票で「異議なし」と全員の承諾をもらうことにより、晴れて一員になれます。


 クラブには使用人も大勢いました。

わが家のお母さん✕⇒ 召使のようにこき使っても許されます。

その代わり、クラブごとの規則も多く、食べ物や飲み物を持ち出すことは厳禁でした。


 ペットも入れてはいけません。無論ペットと称するものなど論外です。

メンバー以外の部外者と会うときは、専用の部屋だけ使えました。

このように気心の知れた男同士だけの排他的な場所だったのです。


 やはり女性がいるとどうしても煩わしさが生まれるため

(何と言っても口うるさいアイツがいない、開放的だな〜)、

男だけの世界で紳士たちは優雅にくつろいだのです、年頃の男子のように。


 こうした談義や世間話は、近代市民社会を支える世論を形成する重要な空間となり、

イギリス民主主義の基盤としても機能したといわれています。



●サロン・ド・テ


 これに対しフランスでは、「カフェ」とは別に「サロン・ド・テ」という業態のお店があります。

これは英語で言えば、ティー・サロン。


 18世紀のフランスにおいても、カフェは紳士である

政治家・哲学者・芸術家などの情報交換の場として使われていました。


 ロンドンのコーヒーハウスが、公共の多目的ホールとなったのに対し、

パリのカフェはフランス革命の温床となったことで知られています。


  革命期、ルーブル宮殿の北にあるパレ・ロワイヤル広場周辺にはカフェが建ち並び、

思想家やジャーナリスト、芸術家たちが、コーヒーを飲みながら政治を議論しました。


 幕末当時、料亭で会合を重ね密談を行う勤王志士たちのようなものでしょうか?

(こちらは後の奥方になる贔屓の芸子付きであったが。

 それ故彼女らを奥方に迎えた後に、彼らの子女が使う事になる

 お嬢様言葉の起源は江戸時代の女言葉、江戸の山の手の芸者言葉あたりが起源の一つとされる)


  マラーやダントン、ロベスピエールら、王制打倒を叫ぶ「ジャコバン派」の急進改革派たちが、

パレ・ロワイヤルのカフェで密議を重ねたそうです。


 そのため矢張りカフェには女性が自由に出入りすることができず、

井戸端だけでは我慢ができず(ただし貴婦人たちは自ら皿洗いも洗濯などもしない)

カフェとは異なるおしゃべりの場を求めたのです。


 そうして生まれたのが淑女の牙城、女子力で武装された要塞 サロン・ド・テ。

貴婦人たちが甘〜いお菓子と一緒に夫たちが飲むコーヒーなどよりずっと高価な紅茶を楽しんだこともあって、

紅茶は「少し気取った飲み物」と位置付けられるようになりました。


 そして現代のフランスでは紅茶の消費量が伸び、サロン・ド・テも活況だと言います。

亭主元気で留守がいい。


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