表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/167

現実:食-設備 「ロードサイド店舗」

★ロードサイド店舗

 幹線道路など通行量の多い道路の沿線において、

自家用車・オートバイ(原動機付自転車)・自転車でのアクセスが

主たる集客方法である店舗のこと。


 特に都市郊外の主要幹線沿いに立地するものを指す場合が多い。

なお「ロードサイド」とは沿道のことを指す。



▼概要:

 自家用車を主な交通手段とし、車道をアクセス動線として

店舗に付帯する大規模な駐車場を集客装置とする商店形態をとっているが、

大規模な場合、鉄道駅からも無料の送迎バスを運行している商業施設もある。


 営業時間は深夜もしくは24時間営業する店舗もあり、

業態についてはコンビニエンスストア、ラーメン店から、

ショッピングセンターをはじめ飲食施設や映画館、遊技場などの娯楽施設

(商業施設)といった複数の施設が集まっている建物・地域である

大型複合ショッピングモールまで多岐に渡る。



○由来:

 ロードサイド店舗の名付け親は、チヨダの社長であった舟橋政男とされる。

舟橋が日本経済新聞社からインタビューを受けた際、

記者から「チヨダの郊外店は」というように「郊外」という言葉を何度もしつこく聞かされた。


 それに対して舟橋は

「郊外というのは周りに何もないようなところ、狸や狐の出るような場所を言うのではないか、

だが私達が出店しているのは人口急増地帯だ」とかっとなって答えた。


 記者が「では何と言えばいいのか」といけしゃあしゃあと問うたところ、

舟橋は「ロードサイドとでも言えばいいんじゃないの〜」と何気なく答えた。

これを記者が気に入り、「ロードサイドショップ」という言葉で行こうということになった。



▼ロードサイド型ショッピングセンターの敷地要件:


 百貨店の多くは鉄道の駅近く、又は中心市街地にあって

ほとんどのお客が鉄道を使って歩いて買い物に来ます。


 車で来る客は限られています。そのため客用駐車場はあまり多くは必要としません。

ところが、ロードサイド型ショッピングセンターは、

鉄道の駅から遠い大都市の近郊の幹線道路沿いにあって、

ほとんどのお客が車で買い物に来ます。


 したがって、客用の大規模駐車場を必要とします。


 チェーンストア事業者が挙げる郊外型ショッピングセンターの敷地要件は、

1)敷地面積が8,000坪以上であること

2)地盤が平坦なこと

3)敷地の二辺以上幹線道路に面していること

4)車で来店するお客が見込める商圏の人口が厚いこと

以上4点です。



▼ロードサイド型ショッピングセンター敷地の供給源:


 ロードサイド型ショッピングセンターは、

その多くが大都市近郊の工場敷地だった敷地に建てられています。

日本では市街化区域内でまとまった大きさをもった敷地は、

工場敷地ぐらいしかありません。


 日本のロードサイド型ショッピングセンターは、

産業構造の変化で、工場が移転したり、廃業したりして空地になった工場敷地を

ショッピングセンター用地に転用して使用している場合がほとんどです。


 工場用地としては用済みになった広大な土地をもつ工場主は、

その土地を売ることはほとんどありません。


 それは、土地が有効な資産であり、その資産を売ってしまうと

工場主のその後の生計が成り立たないからです。


 多くの工場主が空いた土地を有効活用することで製造業から不動産業への転身を図り、

それで生計を立てようとします。


 しかし、多くの工場用地が、鉄道の駅から遠く、

住環境としてふさわしくない位置にあるため、工場地帯の広い土地を使って、

安定的かつ確実に利益を見込める不動産事業は多くはありません。

その中で利益を見込める数少ない不動産事業の一つがショッピングセンター事業です。


 ショッピングセンター事業は、金はあるけれども土地がない小売チェーンストア事業者と、

土地はあるけれども金がない地主との間で、

その土地の利用計画について合意が形成された時スタートします。


 土地利用計画に基づき、地主が建築主となってショッピングセンター建物を建設し、

小売チェーンストア事業者がその土地・建物を借りて、キーテナントとして出店します。


 地主が建設資金を充分もたない場合は、

小売チェーンストア事業者が地主に建設協力金を融資し、

地主は、ショッピングセンターの土地・建物を小売チェーンストア事業者に貸して

得た賃料収入から、建設協力金を返済していきます。


 こうした共に得する協力関係が成立することで、

ショッピングセンター事業が遂行されています。

実際、大型量販店事業の多くがこのパターンで行われていました。




▼メリットとデメリット:


○メリット

 ロードサイド店舗は都市部の商店街アーケードなどと比較して

地価が安いため床面積を広く取ることができ、

通常の店舗では販売されていない大型商品も取り揃えることができるなど、

品揃えも充実している。

このため、バイパス道路沿いなどに全国展開している店舗

(フランチャイズ店舗など)が連なり集客力を高めている。


 その他の利点

敷地が広大で店舗面積が大きく、

また、複数の店舗が入居しているため、

圧倒的に豊富な品揃えで大抵の物が手に入る。


 大量生産・大量仕入れ・大量販売方式により、

旧業態の店舗に比べ商品価格が安価である。


 複数の店舗が一堂に会しており、

多くの商品を一度の買物でまとめ買いできるため、

多くの場合、一日で買物が済み極めて効率的に買物ができる。

自動車で来店できる(想定している)ので、

通常の店舗では販売されていない様な大型商品なども購入でき、品揃えも充実している。


 大量生産・販売するため、価格に比して開発力が高く、高性能な商品が多い。

個人商店の場合、店によって当たり外れがあり、

悪質な店舗になると不良品等の返品や交換に応じない場合があるが、

大型店では大抵の場合、すぐに返品・交換に応じる

(統一された対応マニュアルで決められている)。


 十分な数の駐車場が整備されているため、

車の置き場所に困らず、違法駐車がほとんど発生しない。


 都心部から外れた場所に店舗が設置されるため、

都心部の人口過密や慢性渋滞を緩和できる。

利用客のほとんどが車を利用するため、満員電車を緩和できる。



●デメリット

 店舗の敷地面積が広く、

広大な駐車場を持つことで駐車場から店舗間の距離が遠大になるため、

高齢者や障害者による徒歩でのウィンドウショッピングが難しい。


 交通量の増加による周辺地域の渋滞や交通事故が誘発されることがある。

自動車や原付を持てない利用者の来店が困難

(自転車の場合、あまり多くの荷物を運ぶことができない)。


 客の大半は自動車で来店する事から、ガソリン価格の推移が客足にも影響を与える。




▼歴史:

- 1960年代後半、

 高度経済成長とともに自家用車を所有する家庭が増え、

モータリゼーションが発達した。


 生活圏の範囲が広がったことにより郊外ではガソリンスタンドやスーパーマーケット、

都市部ではドライブインやモーテル、

24時間経営の自動販売機を集めたオートレストラン

(オートスナックまたはコインスナック)といった商業施設が現れ始め

中でも各地で「スーパーマーケット」を初めとした大型商業店舗の出店が急増したため、

それに対抗するようにして地元商店街による大型商業施設の進出反対運動も

盛り上がりを見せるようになった。




- 1964年 

 日本において初の大型商業施設ショッピングセンターの「実験」をおこなった店舗であり、

日本初のショッピングセンターでもある

「ダイエー庄内店」(現・グルメシティ庄内店)がオープン。


 アメリカで流行していた大型商業施設ショッピングセンター

総合スーパーを成功させたダイエーが日本にも定着させようと

実験するのに白羽の矢を立てたのが庄内店であった。


 スーパー機能ダイエーと銀行(福徳相互銀行)を兼ね備えた棟と

専門店を集中的に入居させる専門店棟の2つに分け集客を図るという

当時の日本では画期的なもので、多数の店舗でこの方式が取られた。


 実験的ではあったもののダイエーは日本でのショッピングセンターの

基礎を作ることに成功し、この方式はダイエーのみならず同業他社も導入されることになった。


 ただし、沖縄で1954年にプラザハウスショッピングセンターという

ショッピングセンターが開業しているが、開設当初はアメリカ人専用であったこと、

そもそも当時は、沖縄は未だに米国施政下であったことから、

日本で開業させたショッピングセンターは庄内店が最古となっている。


- 1968年

 ダイエー香里店(2005年閉店)がオープン。

日本初の「郊外型」大型商業施設ショッピングセンターが誕生した。


 これ以降、車社会化に対応したショッピングセンターが増加していった。


- 1969年(昭和44年)

 日本初の「本格的な」「郊外型」ショッピングセンターである玉川高島屋ショッピングセンターが

二子玉川にオープン。通称「タマタカ」。


 日本でショーウィンドーを早くから採用した同店は、郊外SCの先駆となり、

 昭和50年代に入ると同店を参考にした郊外SCが爆発的に増え始めた。


 しかし、開店当初は客寄せに苦労したと言われている。


 またこの年、当時はローカルスーパーマーケットチェーンの域を出なかった

岡田屋(三重県四日市市)、フタギ(兵庫県姫路市)、シロ(大阪府吹田市)の3社が提携し、

共同出資で共同仕入会社の「ジャスコ株式会社」を設立。


 岡田卓也の「狸や狐の出る場所に出店せよ」との言葉どおり、

郊外型の大型ショッピングセンターを中心に出店。


 大型駐車場を備えた大規模店舗を、

地方都市周辺などの郊外幹線道路沿いに出店する大元の戦略を基本としていた。


 後に駅前や中心街に多くの店を構えるダイエーが業績悪化する中、

ライバルのイトーヨーカ堂とともに小売業界を牽引していく。


- 1970年代

 無料駐車場を完備したファミリーレストランやホームセンターが出店し始めた。


- 1970年(昭和45年)

 ファミリーレストランのすかいらーくが東京都府中市に初出店。


- 1972年(昭和47年)

 ホームセンターのドイトが埼玉県与野市(現在のさいたま市中央区)に初出店。


- 1974年(昭和49年)

 洋服の青山(青山商事)がに広島県東広島市に初出店。


- 1977年(昭和52年)

 東京靴流通センター(チヨダ)が埼玉県入間郡鶴ヶ島町(現在の鶴ヶ島市)に初出店。



 これらの店舗は、

当時「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律

(大規模小売店舗法、略称「大店法」)」が施行されていたため、

店舗面積を500m2未満に押さえたスタイルで出店を進めていった。


・「大店法」

 昭和40年代頃から日本各地において

「スーパーマーケット」を初めとした大型商業店舗の出店が急増し、

それに対抗するようにして地元商店街による大型商業施設の進出反対運動も

盛り上がりを見せるようになった。


 1973年10月1日には

こうした問題を踏まえ旧百貨店法の対象を拡大する形で

「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」

(大規模小売店舗法、略称「大店法」)が制定され、1974年3月1日より施行された。


 実際に調整にあたるのは商工会議所(商工会)に置かれる商業活動調整委員会で

商業者・消費者・中立委員の3グループで構成され、

中立委員が中心となって調整を進めていた。


 1975年頃からは大型店進出が集中するような地域では商業調整が厳しく行われ、

極端な場合は出店調整にあたる商工会議所が出店の凍結を宣言する場合も出てきた。


 この地元商店街による大型商業施設の進出反対運によって生まれたのが

大規模小売店舗法、略称「大店法」。


 1990年代半ばにアメリカからスーパーマーケットの進出により

既存の小売店への影響が及ぶという理由が不当と批判され、

日本の大店法に世界貿易機関(WTO)違反の疑いがあることも否定できない状況となった。


 2000年6月1日にはこの結果、まちづくり3法の一部として

店舗面積などの量的側面からの商業調整を撤廃した本法が新たに立法化され、

これに伴って大店法は廃止された。


- 1980年代になると、

 特に地方においては1人1台自動車を保有するようになってきた。

このように1980年代以降は、日本においても車社会化の進行で、

郊外や農村部の幹線道路沿いの田畑を埋め立てや産業構造の変化に伴い

閉鎖された大規模工場敷地跡等で

広大な敷地を確保した大型ショッピングセンターの出店が盛んになった。


 また、中心市街地を回避するバイパス道路完成とともに

道路沿線に比較的大規模な土地が供給され、

カー用品・タイヤ専門店・自動車ディーラーなども出店し始めた。


- 1990年代に入って

 バブル崩壊し地価が下落し始めると郊外にはさらに多様な業種が参入し、

コンビニエンスストアやレンタルビデオ店、量販店や家具店、

ホームセンターなどが出店攻勢に出た。


- 2000年代になると

 アメリカの外圧に負けてしまい、  

日米構造協議や規制緩和を経て、大規模小売店舗法(大店法)が廃止され、

「大規模小売店舗立地法(大店立地法)」が施行されたことにより、

アウトレットモール、家電量販店、総合スーパーの郊外化が急速に進み

大型ショッピングセンターの数と規模は大きく増えた。


そして商店街はシャッター通りに。


 さらに、数百台から数千台規模の駐車場があり、映画館シネマコンプレックス

遊技場などを兼ね備えた複合商業施設も誕生した。


 2000年以降、

数と規模は大きく増え、中でもモール型ショッピングセンターは1つの建物に

数多くの専門店やアミューズメント店を揃えた大規模なもので、

1日中滞在できる「時間消費型」の施設として、

この時代の大型ショッピングセンターの代名詞ともなったのだ。


 むしろ現在の若者はこの姿しか知らないのではなかろうか。

後、1日中滞在できる「時間消費型」の施設として老人がよくたむろしている。


 しかしながら、遅まきながら大型商業施設が商店街や近隣自治体に悪影響を与えるとして

2006年にまちづくり3法がようやく改正され、

店舗面積1万平方メートルを超える郊外型施設について建設の抑制がかけられた。


・「大店立地法」

 大規模小売店舗立地法 略称「大店立地法」は、

大規模商業施設の店舗規模の制限などを主目的とした「大店法」とは異なり、

大型店と地域社会との融和の促進を図ることを主眼としている。


 このため審査の内容も車両交通量などをはじめとした周辺環境の変動を想定したものとなり、

出店規模に関してはほぼ審査を受けない。


 これにより近年では各地で大型資本の出店攻勢が活発化しており、

特に地方都市や郡部ではロードサイド店舗の進出により、

既存の商店街がシャッター通り化するケースも増加しているともされる。


 これらの商店街のシャッター街化は、地元経済の縮小をもたらすだけでなく、

徒歩生活圏における消費生活が困難になるという買い物難民問題を生む。


 特に、これまで街の中心部の商店街で買い物をしていた高齢者は、

商店街の衰退によって、日常生活を営むことが著しく困難になることが指摘されている。


 また、自動車以外の手段ではアクセスしにくい郊外の大規模店舗を中心とする消費生活は、

徒歩と公共交通機関での移動を基本とする旧来型の生活スタイルに比べて

環境負荷が高いことにも留意すべきとされる。



●ロードサイド店鋪の主な種類


ショッピングセンター

ホームセンター

家電量販店

複合商業施設

シネマコンプレックス

ディスカウントストア

スーパーセンター

アウトレットモール

カー用品店

コンビニエンスストア

ドラッグストア

ファミリーレストラン

ファーストフードドライブスルー

新古書店

レンタルビデオ店

ゲームセンター

インターネットカフェ

パチンコ店

消費者金融

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ