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現実:食-設備 「ダイナー」、(ドライブイン)、「ダイブ」:大衆食堂 - Diners, Drive-Ins and Dives -

ダイナーとソーダ・ファウンテンが1950年代のアメリカ白人社会の繁栄と楽観主義の時代を象徴

★ダイナー: 大衆食堂「ダイナー」


○概要:


 アメリカドラマを見ていると、必ずと言っていいほど登場する"ダイナー"は、

現代のアメリカ人にとって無くてはならない存在!


 アメリカ文化を象徴するかのような洋食文化で、

サンドイッチやパンケーキ、目玉焼き、ベーコン、ハンバーガーなどが食べられる

米国風大衆食堂のようなものです。

ささやかな幸せがアメリカン・ダイナーにはいっぱい詰まっていました。

定義としては食堂車(ダイニング-カー)や簡易食堂(プレハブ式建築)の事。


 また、「家族で気軽に入れるレストラン」というニュアンスでは

日本ではファミレスに当たるのですが,

英語圏だとダイナーの方が理解されやすいのです。

もっとも、日本ではどうにも居酒屋のようなイメージで名乗られているのですが。



 アメリカにおいて、ダイナーはファストフードチェーンの先駆けとも言える

全国的で、誰でもわかる、ほぼ均質な食事と会合の場を提供する方法を

取るようになったため、供する基本的な料理のタイプはだいたい似通っており、

特に狭い地域内ではその傾向が強く、価格も同様である。


 例外として、移民が多い地区では、

ダイナーとコーヒーショップは地域の住民に好まれる料理をメニューに加えている。


 その一方で伝統的なダイナーは

ファストフードチェーンと比べてはるかに個性が顕著である。

構造、メニュー、およびオーナーとスタッフも、それぞれある程度の類似性はあるが、

厳密に標準化したフランチャイズチェーンや

フランチャイズレストランよりはるかに多様である。


 何と言ってもダイナーは、特に都市部では24時間営業することが多く、

バーやナイトクラブと並んで、都市文化に不可欠な要素となっている。


 なぜなら多くのダイナーは、

元々は昔から24時間操業する工場の近くで営業し、

そこで働く夜勤労働者を主要な顧客とするため誕生したからだ。




○ダイナーのイメージとは!?


 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、「アメリカングラフティ」等

往年のアメリカ映画には必ずと言っていいほど、

このダイナー形式の飲食店というのが出てくると思います。


 エドワード・ホッパーの代表的な絵画『ナイトホークス』(1942年)は、

深夜の孤独なダイナーと、その内部の客たちを描いているし、

テレビと映画(例えば『マックイーンの絶対の危機』、

『ハッピーデイズ』『アイアン・ジャイアント』および『ダイナー』)の中では、

ダイナーとソーダ・ファウンテンが

1950年代のアメリカ白人社会の繁栄と楽観主義の時代を象徴し、

テレビ番組の『アリス』では「ダイナー」を舞台とした。



 クローム内装にレディのルージュを思わせる赤い革張りの椅子に

派手なCocaColaやBudwiser等のネオンサインの看板、

ちなみにクロームやアルミの外装の細長い店舗のデザインは、

払い下げになった列車を店舗として再利用した事から、

ダイナー形式の飲食店の店舗デザインのフォーマットになったのだそうです。


 店内にはアメリカ黄金期の1950~1960年代の

オールディーズポップスのBGMに店の外には

ジャンクヤードの古いフォードに高年式のブロワー付きV8エンジンを搭載し、

太いタイヤに車高を低めたホットロッド、

あるいは巨大なクロームのフロントグリルに、

そびえ立つようなテールフィンのシェビーやフォードフェアレーン。


 1950、60年代を背景に映画で上映された「アメリカングラフィティー」

このアメリカがもっとも輝いていた時代、

ダイナーの雰囲気と

若者が夜遊びをしてストリートでフォードのデュースクーペ(車)を乗り回し,

スピードを競うシーンが印象深いですね。



 この深夜、路上を勝手に〝道路封鎖〟にしてカーレースを始め

ストリートで夜遊びしている自称個性を求める

プリマスフューリーに水玉模様のワンピースにポニーテールの

量産型ガールフレンドを乗せた、無個性n……無軌道な若者達が休憩に集まる……

(ドライブイン・休憩所)


 はたまた、食事休憩で寄ったポリスマンが

クライスラーニューヨーカーのパトカーの車内で

ハンバーガーをコーヒーで喉に流しこんでいたら、

銀行襲撃の緊急無線の連絡が入って窓からハンバーガーとコーヒーを放り投げて

「クソッ、犯人には後で俺の飯代を請求してやる!」と言いながら、

リアサスを沈み込ませてサイレンを鳴らしながらハイウェイを緊急走行する……

(ドライブイン・乗ったまま)


 或いは、早朝クルマで行きつけのダウナーに乗り付けた青年が

賑やかで慌ただしい店内に潜り込み、もしくは互いに窓越しに

顔なじみの店員から紙袋に入った朝食のセットを受け取る。

(ドライブスルー)


 そして当時のティーンエイジャー達は放課後に語らうため仲間たちと集い、

または学生同士のデートに不可欠な場所としてもいた。

(ファストフード)



○ダイナーの料理と民族性:


 ダイナーでは、ハンバーガー、フライドポテト、アメリカンクラブハウスサンド、

グリルドチーズサンドイッチ等、いわゆる一般的なアメリカ料理をメニューとして提供する。

(初期のダイナーがグリルで提供できる料理を主としたことから、

多くの料理は焼きものである。)


 その他、オムレツを含む卵料理、ワッフル、パンケーキ、およびフレンチトースト等の

朝食の料理を売り物としていることが多々あり、

これらの「朝食料理」を1日中提供するダイナーもある。


 また、イギリスの労働者階級向け安レストランのように、

典型的なアメリカのダイナーは多くの揚げ物やグリル料理を供する。


・例えば目玉焼き、ベーコン、ハンバーガー、ホットドッグ、ハッシュドポテト、

 ワッフル、パンケーキ、オムレツ、フライドチキン、ソーセージなどである。


・これに副菜として、しばしばベイクドビーンズ、フライドポテト、

 コールスロー、トーストが添えられる。



 或いはダイナーでは、その地域独特の料理を提供することがある。


・ミシガン州とオハイオ川流域のコニー・アイランド式レストランでは、

 ギリシャ、マケドニアおよびアルバニア系移民によって起業されたため、

 チリドッグ(コニー・ドッグ)や、ギロピタ、シシカバブ、スブラキ、サガナキ、

 グリークサラダなど数種のギリシア料理を供する。


・インディアナ州では、豚ヒレ肉のフライのサンドイッチがメニューにあることが多い。


・北東部では魚介類に重点が置かれ、メイン州では貝の剥き身と小エビのフライが一般的である。


・ペンシルベニア州では、チーズステーキ・サンドイッチとスクラップルが

 ほとんどのダイナーの定番である。


・南西部の州ではタマーリが定番である。


・米国南部の定番料理には、グリッツ、グレイビーがけビスケット、

 チキン・フライド・ステーキがある。


・ニュージャージー州では、ポークロール、卵とチーズのサンドイッチが定番である。



 また、コーヒーは高品質とはいえなくとも常に販売されている。

アルコール飲料は通常販売しないが、ビールと安価なワインを提供するダイナーもある。


 この他、多くのダイナーには、カウンターの後ろにデザートのショーケースがあるが、

新しいダイナーでは、回転するケースでデザートを陳列するのが一般的である。



○文化的な重要性:

 ダイナーの文化的影響は今日も継続している。


 ダイナーは幅広い性格の地元住民を引き付ける場所で

一般には小規模企業である。


 20世紀半ば以降、アメリカの文化的多様性と平等主義の特質を反映する、

非常にアメリカらしい事物として見られるようになった。


 デニーズのようなフランチャイズも含む多くのプレハブ式でないレストランが、

1950年代のダイナーの外観を模して郷愁を誘い、

ワッフルハウスはダイナーに由来する内装レイアウトを使用している。



○特徴:


これらダイナーの主な特徴を纏めると、

・『アメリカ料理』を中心とした幅広いメニュー、

・一見してそれと判る『外観』、

・『気取らない雰囲気』、

・店内に『カウンター』があること、

・『深夜営業』

である。


 本来ダイナーとは、アメリカ庶民の食堂として

1800年代後半のアメリカで、

夜勤労働者のために食事を提供する屋台として生まれたからです。


 その由来ゆえ、特に都市部では24時間営業することが多く、

「バー」や「ナイトクラブ」と並んで、今では都市文化に不可欠な要素となっています。


 もっともバーやナイトクラブとの違いは、

専門店程の高品質とはいえなくともコーヒーが常に販売され、

アルコール飲料は通常販売しないことである。


 とは言え、お酒を「美味しい料理をもっと楽しむためのもの」として

或いは水より安いとして

ビールや安価なワイン程度は提供するダイナーもあったりもするのですが。

(やはり、居酒屋というよりファミレスか!?)


 このように本来大衆食堂であるため居酒屋とは違い、お酒を飲みたい人は飲め、

飲まなくていい人は、まったく飲む必要なしなのです。


 それ故学生や飲酒運転できない立場であるドライバーなどが集まってくるのでしょう。


 また、アメリカのダイナーで一般的なデザートはパイで、

特にアップルパイおよびチェリーパイであり、

ショーケースに陳列され、注文に応じてカットされる。

(って、やっぱりファミレスだ!?)


 そもそも料理は通常かなり安価であり、

最低賃金でも1時間から1時間半ぶんの給料でサンドイッチ、副菜、飲み物のセット

(ホットドッグ、バーガー、サンドイッチ、コーラ、ミルクシェイク等)

が手に入るため気軽に入れて、これら手頃な値段で、平均的な料理が食べられる

「ダイナー」、「ドライブイン」、「*ダイブ」はいつの時代も人気です。

(これらは全て大衆食堂を指す言葉)


 *「ダイブ」とは、「ダイナー」よりも、え~その~……そう、

カジュアル、庶民的な食堂のことを指します。

照明が悪い上にドリンクの質は低く、タバコやその他の煙で空気は悪く、

無数の疑わしそうな指先の震える飲み客達が各々独りで佇んでいます。 

(なおダイナーはしばしば所謂日本的なドライブインとしての役割も持つ。)


 また、このダイナーとドライブインとダイブ、イメージは似通っているが

日本でダイナーと名乗っている居酒屋は、本来ダイブバー(DIVE BAR)のことで、

これは本来日本で言う大衆酒場のような場所である……と思われる。



 またダイナー業界は幾つかの民族から強い影響を受けている。


 大多数のダイナーが

ギリシャ系アメリカ人によって経営または営業されており、

特にニュージャージー州、ニューヨーク、

ペンシルベニア州、コネチカット州で顕著である。


 ポーランド人、ウクライナ人、および東欧ユダヤ人に代表される、

東欧系の経営者によるダイナーも多い。


 イタリア系アメリカ人も重要な存在である。

これらの影響は、ギリシャ料理からムサカ、スラヴ料理からブリンツ、

ユダヤ料理からマッツァーボールのスープ

(アシュケナジム風クネーデルのスープ)等といった民族料理が

ダイナーの定番メニューへ加わったことに見てとれる。




○起源:


 そもそもダイナーの起源は『移動屋台』であり

移動屋台専用車のランチワゴンから

座席付きのランチワゴンなどを経て

プレハブ建築式ダイナーへと至ったものです。


 ダイナーの歴史は古く1872年にアメリカ北東部にあるロードアイランド州,

ウエストミンスター・ストリートが発祥の地とされています。


  初期のダイナーは馬でワゴンを引いて路上で軽食を販売する屋台でした。

夜中から朝まで営業するお店で,

ストリートで夜遊びしている若者を相手に販売していました。


  ただワゴン(屋台)では雨や寒さ対策がとれないので,やがて

キッチンやカウンターが付いた客車(電車)のようなスタイルへ進化していきます。


・移動屋台専用車の「ランチワゴン」から

・座席付きの「ランチワゴン」へ、そして

・食堂車「ダイニング-カー」を経て

・プレハブ建築式簡易食堂「ダイナー」へと至り

・現在に至ってはレストランのような「食堂」へと様変わりしています。


 ですが今でも電車のようなレトロスタイルを

未だにあえて採用して営業しているお店もたくさん見かけられます。



 この様にアメリカにおいて一般にダイナーとは、

北アメリカに特有のプレハブ式レストランの事を指すのです。


 特にニュージャージー州、ペンシルベニア州、ニューヨーク州に多く、

またアメリカ合衆国北東部やアメリカ合衆国中西部の各地域で多いが、

米国全土およびカナダ全土でも見られ

プレハブ式ではない一般的な建物であっても、

伝統的なダイナーの料理に類似する料理を供するレストランが

ダイナーと呼ばれることもあります。




○ダイナーの象徴:ハンバーガー


 日本ではハンバーガーといえばファーストフードチェーンのイメージが強いですが、

同じように考えてはいけないのです。

実はダイナーといえば定番のメニューがハンバーガーです。


 元々は地元アメリカの屈強な肉体労働者が

時給程度の金額で時間や社会にとらわれず、

幸福に空腹を満たすためのローカルな飲食店でした。


 日本でも有名な某ハンバーガー店がアメリカ全土にチェーン展開する前は、

各国からの移民で構成された国というのもあって、

ハンバーガーひとつとっても店主によって祖国の郷土料理をベースにした

メニュー構成で店によって様々な個性のあるものだったそうです。


 故にアメリアは巨大資本の飲食店がチェーン展開をする前は、

世界各国の郷土料理が味わえる美食の国だったと言う話もあります。


 こういった本国のダイナー形式のハンバーガーにほれ込み、

ダイナー形式の店舗で本国式のハンバーガーを提供するという

熱心なダイナー式店舗のオーナーと

それを愛するお客さんというのも少なからず存在します。


 ただ前述のとおりそもそもダイナーとは肉体労働者のための店というわけですから

本来のハンバーガーのボリュームというのは半端な物ではありません。

注意しないといけないのです。





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