現実:食-「ケフィア」(「ヨーグルトきのこ」「カスピ海ヨーグルト」)
★これってヨーグルト? :『いいえ、ケフィアです』
ケフィア(ロシア語)とは
過去「ヨーグルトきのこ」の呼び名で大流行した食品である。
ギリシャ神話のプロメテウスを鎖で繋いだとされる、
アジアとヨーロッパの境をなすコーカサス山脈に由来する物語群で
アーサー王伝説の起源とされる『ナルト叙事詩』の生まれた地であり、
カスピ海と黒海に挟まれたところに位置する
コーカサス地方を起源とする、発酵した乳飲料の事である。
正しいロシア語名に従ってケフィールとも。
この長寿地域、美人の多い国として
世界的に有名なコーカサス地方で1000~2000年前から
飲まれ続けてきた発酵乳です。
山脈で北と南に分かれるこのコーカサスの山岳民族が
山羊の乳を革袋に継ぎ足し入れて持ち歩くことで、
自然界の乳酸菌と酵母が奇跡的なバランスで
共生発酵してできたのが始まりと言われています。
ケフィアはロシアでは美容と健康のために
毎日の習慣となっているようです。
白くて透き通るようなお肌のロシア美人の秘密は
「ケフィア」とも言われているくらいです。
ところで白人が生まれたのは今をさかのぼること5万年前の
コーカサス地方だといわれているため
コーカソイドとは「コーカサス出自の人種」という意味で名付けられたのですが
このコーカソイドの直接の祖先と考えられるクロマニョン人は
本来黒人:ネグロイドであるため、
「コーカサス出身」の「白い肌の人々」が最も美しいとされる
白人:コーカソイドの誕生とケフィアは何か関係があるのでしょうか?
なおケフィア発祥の地であるこの地方の人々は、
ケフィアを飲んでいるために長寿であると喧伝されるが、
統計的に見て、この地方の人々が長寿であるという科学的根拠はないと言う。
ですが独特の発酵により作られるケフィアには、
様々なメリットがありますが、まとめると次の3つといえます。
・栄養が豊富で消化に良い
・風味が良い
・美容・健康に良い
●ケフィアの飲用
ケフィアをストレートに飲む人がいる一方でそのままでは
酸味が強すぎるために果物やハチミツ、メープルシロップや他の甘味料を
加えて飲むのを好む人々も多い。
凍らせたバナナやイチゴ、ブルーベリーや他の果物をケフィアと混ぜ
ミキサーに入れスムージーを作って飲むことも可能である。
中にはバニラやリュウゼツランの果汁等の風味を加えて飲む例もある。
また、シリアルやグラノーラの上にミルクの代わりとしてケフィアをかける人もいる。
ケフィアはまた安価で健康な飲み物として人気が高い
旧ソビエト連邦の位置していた地域全体でも、
やはりミルクの代わりに飲む朝食の飲み物として
典型的でどこでも手に入る飲料となっている。
●美容効果
ケフィアも『発酵乳』なので、様々な健康効果があります。
主に、乳酸菌が出すネバネバの『多糖』の研究が盛んで、
免疫の活性化や、抗炎症作用、血圧の上昇抑制など…様々な効果が解明されています。
酵母が共生していると、乳酸菌が多糖をいっぱい出すようになるなどの研究報告も。
発酵食品の奥は深く乳酸菌の多糖を精製して『保湿剤』の原料に使う試みもある。
ただケフィアだから特別な効果があるとは思わないほうが良い。
ケフィアでアピールされてる美容健康効果がウソと言うわけではありませんが
ケフィアで一般的に謳われる『腸内環境を整える』とか
『免疫を強くする』『アレルギー低減』などはケフィアに限ったことではありません。
●健康への利点
単純に発酵の期間を短くまたは長くすることで、
栄養物の含有量を変更することができる。
しかしどちらの長さでも、それぞれ異なった健康への利点がある。
例えば、かなり熟成させたケフィア(酸味が増加する)は葉酸の含有量が著しく増加する。
また、ケフィアはラクトースの消化を助ける役割も果たすため、
ラクトースに耐性の無い人々にとっては他の乳製品より適した食品となっている。
その他、ケフィアに入っているケフィランもネズミの血圧の上昇を抑えたり
血液中のコレステロール水準を下げる効果を示しているという。
肺癌細胞移植マウスにケフィアを投与したところ腫瘍増殖抑制効果を示した。
加熱殺菌したケフィアでも抑制効果を示した。
これはケフィアに含まれている多糖または非還元糖を含む区分の効果であることを示唆している。
▼ケフィアとヨーグルトの定義:単独発酵の「ヨーグルト」と共生発酵の「ケフィア」
日本では「ヨーグルトきのこ」として知られるが、
その実、ケフィアはヨーグルトきのこと違い
・1回使い切りのケフィアに対し、
・繰り返し使うのがヨーグルトきのこである。
カスピ海ヨーグルトとケフィアは、
発祥の地こそ似通っているものの違うものです。
カスピ海ヨーグルトは、
長寿が多いコーカサス地方のジョージアで作られているヨーグルトを
日本の博士が研究用として持ち帰ったもので、
代々家庭で手作りヨーグルトとして伝承されてきたものです。
一方ケフィアは、具体的にいつ生まれたのかははっきりしていませんが、
伝統的な発酵乳として、コーカサス地方で乳業関係の文献に多く記されています。
こうして発祥地が同じなのでカスピ海ヨーグルトと混同されますが、
具体的な違いは発酵時に働く菌の種類であり、
使用する微生物が異なるので日本では区別して扱う場合が多いようです。
ケフィアは複数の乳酸菌と複数の酵母が
共生発酵して作られるため、
菌の種類と量が通常のヨーグルトより断然多いです。
生きたまま腸まで届き、乳酸菌と酵母の相乗効果により、
腸内の善玉菌を効果的に増やしてくれることでも注目されています。
まさにケフィアは人体に良い影響を与える生きた微生物、
またはそれを含む食品や製品:プロバイオティクス乳酸菌といえます。
抗生物質のように菌を殺して身体を守るのではなく、
有益な菌を積極的に増やすことで身体を守るのです。
更にケフィアの一番の特徴、最大のポイントは、
乳酸菌だけでなく酵母が含まれている乳酸菌と酵母の“共生”発酵。
酵母は生きている微生物で食べ物に含まれる糖質をエサにして、
アルコールと炭酸ガスに分解し分裂しながら成長していきます。
これを「発酵」と言い、酵素ダイエットで有名な酵素
(食べたものの消化・吸収や新陳代謝、便通などを促進する特殊なたんぱく質)
を作り出します。
日本の食文化である味噌、醤油、酒、漬物をはじめ、
酒、みりん、酢など、日本の食文化を特徴づける食品や
調味料は酵母の作用(発酵)を利用して作られています。
また、ヨーグルトきのこは、カスピ海ヨーグルトもそうですけど、
牛乳や一般のヨーグルトのように、ほとんど市販されていません。
なぜかというと、第一に発酵温度の問題がある。
一般のヨーグルトは、発酵温度が40度くらいだから、
冷蔵すれば発酵は止まっています。
でも、ケフィア、ヨーグルトきのこやカスピ海ヨーグルトは、
冷蔵庫の中でも、ゆっくりですが、発酵が進んでしまうんです。
この場合だと、炭酸ガスができて最終的に
イソップ物語の蛙と牛の逸話のように容器が膨れて破裂してしまう。
外国では、容器に空気抜きの穴があいているそうですが、
日本では法律でそれは許されないとか。なので、家庭で作るのがいいのです。
一般的なヨーグルトが1~2種類の乳酸菌で発酵して作られるのに比べ、
ケフィアは複数の乳酸菌と複数の酵母が共生発酵して作られます。
他にも、多くの真正細菌や酵母がケフィアグレインから
新たに見つかっている。
ケフィアグレインは酵母や真正細菌の結合体であり、
この共生母体は、カリフラワーに似た形状を形作っている。
今日では、健康に利点があるという新たな調査結果により、
ケフィアは段々と人気が高まっている。
菌の種類と量が豊富で、生きて腸まで届かせることが最大の特徴のケフィアは
ケフィア粒という種菌を牛やヤギ、羊の乳に植えることで作られる。
・伝統的なケフィアは、ヤギ皮の袋にミルクとケフィアグレインを入れ、
戸口の近くにぶら下げて作られていた。
人々が戸口を通る際に袋と触れたり当たったりするために、
中のミルクとケフィアグレインがよく混ざり続けたのである。
・伝統的なケフィアは概して常温で一晩かけて発酵させる。
ラクトースの発酵により、酸・炭酸・そして僅かなアルコールが生じ、
薄いヨーグルトと同程度の濃度の飲み物が出来上がる。
これに対し20世紀初期に小規模な乳製品加工場で作られていたケフィアは、
1パーセントから2パーセント程度のアルコール濃度に発酵していたが、
近代的な製造方法で商用に作られるケフィアのアルコール濃度は
1パーセント以下である。
これは発酵時間が減少したためと考えられている。
この様にしばしばカスピ海ヨーグルトと混同されがちだが、
酢酸菌類の有無などから別物である。
○ヨーグルトの定義 :『発酵乳』
日本には『ヨーグルト』単独の規格はありません。
あるのは『発酵乳』という分類。
『発酵乳』の定義は簡単に言うと、
『牛乳を乳酸菌か酵母で発酵させて、菌数が1mLあたり1000万個含まれるもの』
が『発酵乳』です。乳酸菌じゃなくても良いのです。
無脂乳固形分*18.0%以上とありますが、新鮮な牛乳ならこの範囲を満たします。
『ヨーグルト』の定義はありませんが、
日本では『発酵乳』以外にヨーグルトと表示することは厳禁!
発酵乳の中にヨーグルトという種類があるイメージですね。
また、乳成分を低めて飲みやすくした『乳酸菌飲料』という分類もあります。
ヤクルトやカゴメの『ラブレ』は、
この分類なので、どこにもヨーグルトとは書かれていません!
ただ、日本ではなく、世界の基準(codex)では…
・ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)等の乳酸桿菌
・サーモフィラス菌(Streptococcus thermophilus)
の2種の菌で発酵させた乳製品がヨーグルトと定義されています。
基本的には、『発酵乳』と
『codexのヨーグルト規格』の両者を満たすものがヨーグルトと呼ばれています。
例えば、ダノンビオは『BE-80』と言う菌を推してますが、
実際は『BE-80とブルガリア菌、サーモフィラス菌など5種類』で発酵させてます。
人気の明治『プロビオヨーグルトR−1』ですが、
そもそもR-1菌はブルガリア菌の一種ですのでCodex規格を満たしています。
○ケフィアの定義 :
ヨーグルトとの違いを簡単に言うと、
・乳酸菌の種類が指定されている
・酵母が必須である
の2点。
ケフィアはヨーグルトの1種ではなく、
『発酵乳』という分類の中に、
『ヨーグルト』と『ケフィア』という、
それぞれ独立した種類の発酵食品がある。
と考えてください。
だから『ケフィアとヨーグルト』は両者並び立つ存在なのです。
ケフィアは元々、ロシア、グルジア、アゼルバイジャンの
コーカサス山脈周辺…コーカサス地方の一部で伝統食とされていた発酵乳です。
『ヨーグルトきのこ』と表現されるように、ツブツブの『グレイン(塊の意味)』が特徴です。
そのユニークさや健康効果が注目されちゃって、欧州を始め世界に広がってっいった。
元々は少数民族が自家製に作っていた発酵乳。
本場では乳酸菌、酢酸菌、酵母など20種類以上含まれる。
乳酸菌が出すネバネバの『多糖』によるグレインの形成。
加えて、酵母によるアルコールや酢酸菌による酢酸(要はお酢)
多数の菌が発酵させるケフィアは、作る度に違ったグレイン、違った味になる
『特徴』があります。
しかし、商品化する上では『規格』が必要で
”質が一定な”商品として量産化することは非常に難しい。
『規格』だけ見れば、
特定の乳酸菌と酵母が一定数含まれていれば『ケフィア』ということも可能ですが、
規格は満たしても、本場のケフィアにはほど遠い『ただの発酵乳』
(由来のサプリ等も)がケフィアとして売られることも少なくないのです。
そもそも、『発酵食品の歴史』は『菌による汚染の歴史』です。
ランダムな食品汚染が、たまたま人間に合う変化を起こしただけ…
発酵食品の『規格化』とは、実はとても難しい。
▼ケフィアの製造:
通常ケフィアは乾燥してカプセル剤など『サプリ』に加工されて販売されている。
あるいは『種菌』を使って自分で育てる為のホームメイドケフィアのような
商品もあります。
なぜ日本ではケフィアを乾燥、粉末にした『サプリ』か『種菌』しか売らないのか?
これはヨーグルトきのこやカスピ海ヨーグルトと同じ理由です。
ヨーロッパやアメリカでは店頭にケフィアが並んでるんでいるが、
日本では売ってない理由はただ1つ『密閉』が問題なのです。
通常のヨーグルトと違い、ケフィアには『酵母』が含まれます。
製品を保存している間も発酵は続き、ガスが発生し続けるため、
パンの膨張でわかるように、酵母は二酸化炭素の『ガス』を出すため
容器の蓋に穴を開けないと『破裂』する。
故に店頭で販売する際は容器にガス抜き用の穴が開いている事が必要。
その為、食品衛生法で販売される食品の梱包は
密閉状態でなければならないと定められている日本では生の状態では販売できないのですが、
これが日本より欧米は基準が甘いから、フタに穴を開けた商品が普通に売ってます。
さて慣習的なケフィアの製造には、
真正細菌と酵母のゼリー質の集合体であるケフィアグレインが必要とされます。
このケフィアグレインには糸のような質感で口の中でもそれが感じ取れる、
「ケフィラン」として知られる水に溶けやすい多糖が含まれています。
ケフィアグレインは発酵の中で成長し、さらなるグレインが産出されるのである。
グレインは白色から黄色に見え通常はクルミ大の大きさであるが、
米粒と同じくらいの大きさの場合もある。
○亜種
他の似たような種類の飲料も存在するが、
これらは見た目や微生物の配合の点でケフィアと著しく異なっている。
ウォーター・ケフィアとも呼ばれるティビコスは砂糖水やイチジク類の乾燥果物、
レモン汁の中で室温にて1日またはそれ以上で菌が成長する。