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現実:食-乳酸菌飲料、発酵乳「ヨーグルト:凝乳」

 乳酸菌飲料やヨーグルトなどをつくっている大手3社のうち

登録した商標名をそのまま社名に用いるのは「明治」を除き

「カルピス」「ヤクルト」のみ。


 他に昔から商品名=社名なのは「味の素」、

少し変わって花王石鹸、牛乳石鹸くらいか。



★「乳酸菌飲料」と「発酵乳」の定義:


 『乳酸菌飲料』は、

日本では牛乳を原材料としているものが主流で

「乳などを乳酸菌又は酵母で発酵させたものを加工し、

又は、主要原料とした飲料(発酵乳を除く)」のこと。


 『発酵乳』はこれに対し、

日本では、ヨーグルトやのむヨーグルトなど

のような言い方で広く使用され、

「乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む

乳等を乳酸菌または酵母で発酵させ、

糊状または液状にしたもの。

又はこれらを凍結したもの」と定義されています。



 これらの法律は、乳製品を対象とする重要な法令として、

「乳および乳製品の成分規格等に関する省令(略して乳等省令)」

というものです。



 世界ではいろいろな動物の乳が使用されて、

例えばアジアでは、牛の他に山羊、羊、馬、ラクダなどの乳が

利用されています。

なかでも馬乳は乳糖を多く含むため、

酵母によるアルコール発酵に適しており、

モンゴルでは馬乳酒「アイラグ」(チェゲ)として飲まれています。


 ですが日本の発酵乳は、牛乳を原材料としているものが主流であり

無脂乳固形分が3%以上の物と、3%未満のものとがあり、


○3%以上のもの:乳酸菌数または酵母数が1,000万個/ml以上で、

大腸菌群陰性

(乳製品に属する「乳製品乳酸菌飲料」。ヤクルト、ピルクルなど)


○3%未満のもの:乳酸菌数または酵母数が100万個/ml以上で、

大腸菌群陰性

(乳等を主要原料とする食品に属する「乳主原乳酸菌飲料 」。

 かつて販売されていたカルピスキッズなど)


とされる。


 上記の「ヤクルト」「ピルクル」は乳酸菌飲料ですが、

ただし、同じ乳酸菌飲料であっても

無脂乳固形分が8%以上のものは「発酵乳」となるため

同じヤクルト本社の製品である「ジョア」や「ミルミル」は発酵乳です。


 なお「無脂乳固形分」とは、

牛乳から水分と脂肪分を除いた成分(主に、タンパク質と糖質)のことです。


逆に無脂乳固形分3~8%のものが「乳製品乳酸菌飲料(生菌)」となっており、

ここにヤクルトなどが含まれます。


 また、「殺菌」タイプの乳製品乳酸菌飲料には、「カルピス」があります。

そして無脂乳固形分3%以下のものは、

単に「乳酸菌飲料」と表示され、

カゴメの「植物性乳酸菌 ラブレ」などの製品が該当します。



 この乳酸菌飲料と区別がつきにくいドリンクタイプの「発酵乳」

(いわゆる「飲むヨーグルト」)。

市販製品のパッケージに「はっ酵乳」という

中途半端な表記が用いられているのは、

「醗酵」の「醗」の字が当用漢字に入っていないため。



 これらは従来、清涼飲料の日本独自の分類であったが、

2010年7月に国際食品規格委員会によって健康食品の新分野として採択された。




▼「凝乳」:ヨーグルト


「凝乳」という名で始まったヨーグルト

 日本におけるヨーグルトの歴史


 ヨーグルトの歴史は、

5000~6000年前までさかのぼると言われている

(7000~8000年前とする説もある)。


家畜の乳を搾る際に、乳房のまわりに付着している乳酸菌が入り込んだ。

その乳の飲み残しが自然に発酵し、

酸味のあるとろりとした発酵乳が出来上がったのが始まりとされる。

「ヨーグルト」の語源は、トルコ語で「撹拌する」という動詞に由来している。

これは、乳酸発酵を促進させるために、かき混ぜるところからきている。


 日本に乳製品が伝わったのは意外に古く、

6世紀中頃の飛鳥時代のこと。


 平安時代初期に編纂された『新撰姓氏録』には、

孝徳天皇(在位645~654年)に

朝鮮半島からの渡来人が牛乳を献上したところ、

たいへん喜ばれて「和薬使主やまとのくすりのおみ

という姓を賜ったと記されている。


 この頃から、乳を加熱して作るヨーグルト状の「酪」や

バター状の「酥」、乳を煮詰めたチーズ状の「蘇」、

さらに「酥」を精製してできる最上級品の「醍醐」などが

作られるようになった。


 ちなみにこの「醍醐」は、

素晴らしい味を意味する「醍醐味」の語源にもなっている。


 また蘇は蘇我氏の蘇である。(関係あるのだろうか?)


 しかしその後、日本では貴族社会の没落や、

肉食を禁忌する仏教の影響などにより、

乳製品の文化が途絶えてしまう。


 18世紀になり、江戸幕府は御料牧場で白牛を飼い、

牛乳に砂糖を加えてとろ火で煮詰めた固形状の「白牛酪」を

作るようになったが、

それはごく限られた将軍家の者のみが口にできるものだった。



 一般に乳製品が出回るようになるのは、明治時代になってからだ。


 明治の初めから牛乳が柄杓ひしゃくで量り売りされるようになり、

1869(明治2)年には横浜で初めて日本人の手によって

アイスクリームの製造販売がスタート。

1872(明治5)年にはバターの製造も始まっている。


 ヨーグルトはそうした他の乳製品よりも遅れて、

1894(明治27)年に「凝乳」という名前で販売されていた

ことが分かっているが、

当時は食品というより整腸剤として用いられていた。


 ヨーグルトという名前が使われるようになったのは

1914(大正3)年のこと。


 ミツワ石鹸の創業者である三輪善兵衛が「ヨーグルト」の名を

商標登録し、製造販売を開始した。


 その3年後の1917(大正6)年には、

1886(明治19)年創業の広島合資ミルク会社(現在のチチヤス)が

ヨーグルトを商品化。

こうして、食品としてのヨーグルトの歴史が

ようやく幕を開けたのである。


 だが、ヨーグルト自体が一般に普及するのは

それからしばらく時を経た終戦後のことだ。


 きっかけは1950(昭和25)年、

日本で初めて本格的に工業生産された「ハネーヨーグルト」が

明治乳業から発売されたことだった。


 これは甘味をつけて寒天で固めた、

日本独特のハードタイプとよばれるヨーグルトだった。

これが人気を博し、

ヨーグルトは食卓の一角を占めるようになったのである。


 結局のところ寒天ヨーグルトなのである。

コーヒーゼリーといい、

寒天やゼラチンを加えてプリン状にしたヨーグルトも

ところてん由来だったりするのだろうか?




▼「飲むヨーグルト」:ヨーグルトドリンク(ならば飲むカレーは?)


 世界各地にヨーグルトドリンクが存在しているが、

伝統的にヨーグルトを飲料として利用してきた地域にあるものは、

概ね塩味である。(砂糖は希少品でありそもそも南方原産)


 トルコを中心にバルカン半島や中東、

中央アジア一帯で飲まれている「アイラン」は

ヨーグルトに水と塩を混ぜたもの。


 インドの定番ドリンク「ラッシー」は、

日本で飲むと甘味をつけたものが大半だが、

基本はヨーグルトとミルクを混ぜたものだ。


 最近でこそ日本でもプレーンタイプや、

「アイラン」と謳った塩味タイプのものも売られているが、

甘味のついたタイプが主流だった。


 「飲むヨーグルト」は本来、

甘いジュースとしての性格が強かったのである。


 そもそも日本でヨーグルトの市販品が出回るようになったのは、

牛乳やバターの普及より遅く、大正時代のこと。

広く一般に親しまれるようになったのはさらに戦後になってからだ。


 ヨーグルトという馴染みのない乳製品を受け容れるにあたって

ヨーグルトが普及するにあたってその前段階が「乳酸菌飲料」の発明である。




▼日本初の乳酸菌飲料:蒙古で飲んだ「ジョウヒ」からひらめく


 ヨーグルトが市販されてから人々に親しまれるまでの空白期間、

市井には別の乳酸発酵の食品が出回っていた。それが乳酸菌飲料だ。


 乳酸菌飲料とは、乳などを乳酸菌または酵母で発酵させてから、

甘味料や香料、果汁などを加えた飲料である。


 ヨーグルトや飲むヨーグルト(発酵乳)との大きな違いは、

無脂乳固形分(牛乳から水分と脂肪分を除いた成分)の割合が少ないことだ。


 世界に先駆け、日本で初めて乳酸菌飲料が製品化されたのは

1919(大正8)年。

いまでも乳酸菌飲料の代表格として知られる「カルピス」の登場である。


 カルピスの考案者である三島海雲は、

1878(明治11)年に大阪府で寺の子として生まれた。

1902(明治35)年には中国に渡り、

東京で仕入れた商品を北京で売る輸入会社を始める。

会社の経営が安定し始めた頃に日露戦争が起き、

軍馬調達のため蒙古の奥地に入っていった。

そして、そこで出合った「ジョウヒ」と蒙古語で呼ばれる発酵乳が、

のちに「カルピス」を生むヒントになるのである。


 その後も馬賊の如く、軍銃を売ったり、

綿羊の飼育を手がけたりして商売を続けていた三島だったが、

辛亥革命で清朝が滅び、商売相手を失ってしまった。

1915(大正4)年に帰国し、

新たに何か商売を始めようとした三島の頭に浮かんだのが

「ジョウヒ」だった。

三島が飲んだ「ジョウヒ」は、

牛乳のクリームを2~3日発酵させて、

砂糖を加えて飲みやすくしたものだ。

砂糖は当時のモンゴルでは貴重品だったため、

「ジョウヒ」は高級栄養食品として

上流階級の間だけで愛用されていた。

これを飲んだ三島は、みるみる胃腸の調子がよくなり、

体力が回復するのを実感したという。


 三島は日本経済新聞の「私の履歴書」の中で、

当時を以下のように回顧している。


〈当時、千秋雌雄太郎ドクトルが

 雑誌『太陽』誌上で初めてヨーグルトなるものを紹介し、

 東京、大阪のミルクホールで売っていた。

 私は大阪で試食してみたが、おいしくない。

 そこでヨーグルト以上の滋養分を持ち、

 かつおいしい乳製品を日本に紹介しようと決心した。〉


(『私の履歴書 第29集』日本経済新聞社、1967年)


 そこで三島は、さっそく「ジョウヒ」を「醍醐味」と名づけて発売した。

だが、結果は失敗だった。

反響は大きかったものの、牛乳から取れる原料のクリームはわずか1割。

原料の調達ができず、販売中止に追い込まれてしまったのだ。


 次に三島が考えたのは、

「醍醐味」を作ったあとに大量に残る脱脂乳の再利用だった。

東京帝国大学の衛生学研究室に通い、乳酸菌について学び、

そうして完成させたのが乳酸菌入りの「ラクトーキャラメル」だった。


 だが、これもうまくはいかなかった。

小さい会社で十分に宣伝ができなかったことに加え、

夏になるとキャラメルが溶けてクレームの嵐に見舞われてしまう。


 幾度かの失敗で倒産寸前に追い込まれていた三島だったが、

今度はこれまでも細々と続けていた

乳酸菌飲料の開発に全力を注ぐようになった。


 ある日、「醍醐味」の開発から研究を共にしてきた

工場長の片岡吉蔵が脱脂乳に砂糖を混ぜて一昼夜置いたところ、

偶然にもおいしい液体が出来上がっていた。

これを飲んだ三島は、さらにこれにカルシウムを入れることを思いついた。

当時、ドイツやイギリスの学者や、

日本の鈴木梅太郎らが盛んにカルシウムの必要性を叫んでいた。

そのことに目をつけたのである。


 こうして偶然から生まれた「カルピス」だが

名前は、カルシウムの「カル」と、

サンスクリット語で「醍醐味」を表す「サルピルマンダ」にちなんで

「カルピル」にしようと決めた。


 だが、発音してみると語呂が悪い。


そこで「カルピス」という呼び名はどうかと、

作曲家の山田耕筰に相談し、お墨つきをもらった。

権威主義である。


 こうして、晴れて「カルピス」の名で

「初恋の味」というキャッチフレーズとともに

1919年に大々的に売り出されたのである。


 「カルピス」発売以後、

日本では乳酸菌飲料の研究開発がさらに進んだ。


 1924(大正13)年には、

医師の正垣角太郎が長男の一義とともに

乳酸菌飲料「エリー」を商品化し、

宅配事業を開始。


 「カルピス」は発酵後加熱殺菌したものだが、

「エリー」は生菌を使った乳酸菌飲料としては

日本で初めての製品だった。


 1930(昭和5)年には、

代田稔が乳酸菌の強化培養に成功する。

のちにヤクルト菌(ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株)と

名づけられたこの乳酸菌を用いた「ヤクルト」が、

1935(昭和10)年に誕生した。


 相次ぐ製品化と同時に、

当時の時代背景も乳酸菌飲料を普及させるのに後押しした。


 昭和10~20年代にかけ、日本の衛生状態は劣悪であった。

その中で、コレラや赤痢を防ぐ効果もあり、

栄養的にも優れているとあって、

この甘い飲みものは日本人の心をつかんでいったのだった。



 なお、現「ヤクルト本社」の「ヤクルト」は

1935年に福岡市で販売開始された歴史ある乳製品で

アジア・オセアニア、北米、南米、欧州と、

世界32の国と地域でヤクルト製品は販売されています。




▼乳酸菌飲料の国際化:「日本発『乳酸菌飲料』が国際食品規格に」


 日本でプレーンヨーグルトが発売されたのは、

1971(昭和46)年と比較的新しい。


 発売されたきっかけは、前年に開かれた大阪万博だった。

会場のブルガリア館で、

ブルガリアヨーグルトを試食した明治乳業の開発メンバーが

「これぞ本場のヨーグルトだ」と感動し、

さっそく開発に取りかかった。


 ちなみにブルガリア共和国、通称ブルガリアは、

アフリカでも南米でもなくヨーロッパの共和制国家である。

具体的には中央アジアの草原から遥か西方につづく

バルカン半島に位置し、

北にルーマニア、西にセルビア、マケドニア共和国、

南にギリシャ、トルコと隣接し、東は黒海に面していて、

つまりは草原の世界において遊牧生活を行っていた遊牧民である。


 なお、現在のブルガリア人の先祖ブルガール(ブルガリア)

という言葉の由来は、

トゥルク語の「混ぜあわせる」という意味の動詞が由来であり、

西進した高車の吐盧氏を中心とする集団に他の集団から分裂した、

小集団が合流して生まれたことを示唆するものであり、

「ヨーグルト」という言葉は、

トルコ語でヨーグルトを意味する「 ヨウルト(yoğurt)」に由来する。

奇しくもヨウルトは「攪拌すること」を意味する動詞である。



 そして翌年、発売にこぎつけたのが日本初のプレーンヨーグルト

「明治プレーンヨーグルト」だったのである。


 それまで、日本のヨーグルトと言えば、

「ハネーヨーグルト」から続くハードタイプが主流だった。

ヨーグルトと言えば甘い。

それが、乳酸菌飲料から受け継がれてきた日本流の食べ方だったのだ。


 こうした乳酸菌飲料の数々から2006年には植物性の乳酸菌飲料も登場。

ロングセラー商品も改良を加え、健康を謳うものが増えている。


 プレーンヨーグルトが登場してから40年。

いまでは無糖タイプのヨーグルトがすっかり主流となっているが、

100年近くの歴史がある乳酸菌飲料もカロリーオフを謳ったり、

特定保健用食品の指定を受けたりして、奮闘している。


 2010年には、食品の基準を定める政府間組織として

ジュネーブで開催された食品基準を定める政府間組織

「国際食品規格委員会(CAC)」の総会で、日本の「乳酸菌飲料」が、

新たな食品の国際規格として採択されている。


 モンゴルでヒントを得た飲みものが、日本人の手によって独自に発展し、

世界の飲料にまでなったことを示している。


 他に代表的な「乳酸菌飲料」として、

「ヤクルト」などの乳酸菌飲料も、日本で誕生して世界に広まった食品です。

日本が提案した「乳酸菌飲料」が食品の新たな国際規格として採択されました。


 これまで海外では、乳酸菌飲料は「清涼飲料」などに分類されていました。

健康に役立つ食品として扱われるようになると、消費税が軽減される国もあり、

メーカーにとっては大きなメリットがあります。


 たとえば、イタリアでは、

乳酸菌飲料には付加価値税(日本の消費税に相当)が20%課税されていましたが、

今後は10%以下になりそうです。


 スーパーの店頭を探してみるとこれらの製品には、

「乳酸菌飲料」、「乳製品乳酸菌飲料」、「乳製品乳酸菌飲料(殺菌)」

と表記されています。



 カルピス関連製品:

○「乳製品乳酸菌飲料(殺菌)」

 「ザ・プレミアム・カルピス」と「カルピス」


○「清涼飲料水」

 「カルピスウォーター」と「カルピス酸乳 アミールS」


○「炭酸飲料」

 「カルピスソーダ」



 ヤクルト関連製品:

○「乳製品乳酸菌飲料」

 「ヤクルト」


○「発酵乳」

 「ジョア」や「ミルミル」




★「乳製品乳酸菌飲料(殺菌)」とは:


 「健康に良い」というイメージが定着している乳酸菌。

糖を分解して乳酸を作る菌の総称で、数多くの種類が存在します。

腸の表面にとどまって増殖しやすく、

大腸菌などいわゆる悪玉菌の働きを抑えたり、

便を送り出す腸の運動を活発にしたり、といった働きがあるそうです。


 ですが乳酸菌入り飲料のラベルに書かれた

「乳製品乳酸菌飲料(殺菌)」の文字が話題になっています。


 ペットボトル入りや紙パック入り、あの「カルピス」にも

こうした表示がありますが、

体に良いとされる乳酸菌を殺菌しても問題ないのでしょうか? 

乳酸菌飲料やヨーグルトなどをつくっている大手3社の対応は?



▼ヤクルト本社:


 生きた乳酸菌にこだわっているのが「ヤクルト」。

ヤクルトやジョア、ミルミルなど乳製品の

全てに生きた乳酸菌・ビフィズス菌が入っています。


 ヤクルトやジョアなどに含まれているが「乳酸菌 シロタ株」。

ヤクルトの創始者である代田稔氏が、

自然界に存在する微生物の中から選び出し、

胃液や胆汁にも負けずに生きて腸までとどくよう強化培養に成功しました。


 生きて腸に届くことのメリットについて、担当者はこう説明します。


「生きて腸に到達することで、『乳酸菌 シロタ株』は乳酸を、

『ビフィズス菌BY株』は乳酸と酢酸をつくります。

その乳酸や酢酸が、腸の運動を高めて便性を改善し、

悪い菌の増殖を防ぎます。

悪い菌が抑えられることで、腸の中の有害物質が減り、

腸内腐敗を防止できます。

これらの働きは生きた菌であるからこそ得られるものです」



▼カルピス㈱:


 内モンゴルの発酵乳をヒントに生まれた「カルピス」。

ラベルを見ると「乳製品乳酸菌飲料(殺菌)」と書かれています。

 殺菌されていても役に立つのでしょうか?


 ホームページには

「カルピス」は、できたてのおいしさを保つために、

最後に加熱殺菌をし、密封しています。

乳酸菌自体は殺菌されておりますが、

発酵によって体によい成分が作られたり、

また牛乳の成分がより消化吸収しやすくなっていたりする

という特性があり、どうやら殺菌されていてもメリットがあるようです。

販売元であるアサヒ飲料によると、カルピス全品で乳酸菌は殺菌されています。


 なぜ殺菌するのか、

「できたてのおいしさを保つことに加えて、

生菌の場合はチルド配送になりますが、

殺菌することで常温での流通が可能になるためです」

とのこと。



▼㈱明治:


 「明治ブルガリアヨーグルト」で知られる明治によると、

乳酸菌は0℃以下で不活性化、50℃以上で死滅します。


 LG21乳酸菌などは、

生きた状態では胃の中でピロリ菌の活動を抑制する作用などを発揮し、

死んだ菌は善玉菌の餌となって腸内環境をよくすることがわかっているそうです。


 また、死んだ菌が腸内の免疫細胞を刺激して、

低下している防御力を増強させる『免疫賦活』という効果があります。

「インフルエンザの感染予防に効果的」と

テレビなどで紹介されたR-1乳酸菌などは、

つくりだす多糖体が免疫賦活効果を発揮するため、

生き死にはそれほど関係ないそうです。


 明治の担当者は「それぞれの菌の特性にもよりますが、

菌の生き死にに関しては、あまり重要視していません。

それよりも、体内に入った乳酸菌は、体を通過することで作用を発揮し、

数日で消化されてしまうので、継続して食べていただくことが大事です」

と話します。


 乳酸菌の生き死によりも、継続して摂取することが大切とのことでした。






▼ヒトの腸内に生息している善玉菌は、ビフィズス菌:


 1950年代は、

ビフィズス菌は赤ちゃんの腸内にしか生息していない

と思われていたのですが、その後の研究で、

大人の腸内でもたくさん生息することがわかってきました。


 これに対して、他の動物の腸内に多数生息している乳酸菌は、

ビフィズス菌ではなく、ラクトバチルス(乳酸桿菌)という菌です。


 同じ乳酸菌でも、種類がまったく違うんです。


 ヒト    「ビフィズス菌」

 ほかの動物 「ラクトバチルス」



 腸の健康を保つためには

このビフィズス菌が腸内細菌の20%ほどの割合で棲息している必要がある。

逆にこの割合が落ちてくると悪玉菌の繁殖がさかんになり、

便がとても臭くなります。もちろん、健康レベルも低下していくでしょう。


 つまりヒトの腸内で大事なのはあくまでも「ビフィズス菌」なのですが、

一般的なヨーグルトは乳酸菌を使って牛乳を発酵させたものですが、

実はビフィズス菌以外の乳酸菌を使っている場合が多いのです。


 たとえば、明治乳業が1971年日本で最初に販売したプレーンヨーグルトは、

これはブルガリア菌といってラクトバチルスの仲間なんです。

正確には、ラクトバチルス・ブルガリクスと言うのですが、

健康にいいというイメージを伝えるため、

「ブルガリアヨーグルト」という名前がついています。


 ですが確かにビフィズス菌を使ってはいませんが、

ヨーグルトを摂ること自体は「体にいい」ことなんです。


 生きた菌が腸に届くのがいいと企業が言うのは、

そうした菌が腸内で増殖して、

棲みつくことが、腸の健康に好影響を与えると考えているからですが、

実際にはいくら飲んでも増殖はしない。


 ラクトバチルスは耐酸性があるので

生きたまま腸を通過して便から検出されますが、

それも飲むのをやめると間もなく無くなってしまう。

つまり、腸には定着しない。


 ですが結論を言えば、生きた菌でも死んだ菌でもいいんです。

ヨーグルトを摂ると、自分が持っているビフィズス菌が増えるので。

そのメカニズムははっきりとわかっていませんが、

ヨーグルトの乳酸菌には腸管の免疫を刺激し、活性化させる力があるんです。


 誤解のないように言えば、ヨーグルトなどで生きた菌を摂った場合でも、

菌の成分(死骸)が腸に届きさえすればいいのです。

そうすれば、腸管の免疫が刺激され、結果として長寿につながることになります。





▼乳酸菌飲料一覧:


◎カルピス

発売メーカー:カルピス

発売年:1919年


◎コーラスウォーター

発売メーカー:森永乳業

発売年:1927年


◎ヤクルト

発売メーカー:ヤクルト

発売年:1955年


◎エルビー

発売メーカー:エルビー醗酵乳製造㈱

発売年:1955年 販売は終了


◎ソフトカツゲン

発売メーカー:雪印メグミルク

発売年:1956年


◎ミルトン

発売メーカー:前田産業

発売日:1957年 販売は終了


◎マミー

発売メーカー:森永乳業

発売年:1965年


◎ジョア

発売メーカー:ヤクルト

発売年:1970年


◎十勝のむヨーグルト(当初の名前はヨーク)

発売メーカー:日清ヨーク

発売年:1970年


◎スポロン

発売メーカー:グリコ

発売年:1973年


◎ローリーエース

発売メーカー:雪印→カゴメ

1974年に雪印から発売され、

その後会社の改変に伴い販売元がカゴメへ移行した後、

新商品ラブレに一新・統合され実質的に販売は終了


◎ミルミル

発売メーカー:ヤクルト

発売年:1978年


◎アンバサ

発売メーカー:コカ・コーラ

発売年:1981年


◎ブルガリアのむヨーグルト

発売メーカー:明治

発売年:1985年


◎ピルクル

発売メーカー:日清ヨーク

発売年:1993年


◎ビックル

発売メーカー:サントリー

発売年:1993年


◎LG21

発売メーカー:明治

発売年:2000年


◎ラブレ

発売メーカー:ラブレ

発売年:2006年


◎R-1

発売メーカー:明治

発売年:2009年


◎ホワイトウォーター

発売メーカー:エルビー

リニューアル2010年 販売は終了


◎朝のYoo

発売メーカー:伊藤園

発売年:2012年


◎トマトの乳酸菌

発売メーカー:日清ヨーク

発売年:2014年

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