現実:食-兵糧-レーション-「軍粮精」キャラメル、カラメル (キャラメル・カラメル化現象、メイラード反応)
キャラメル、カラメルとは、
砂糖や牛乳を煮詰めて作るキャンディ菓子やその材料のこと。
語源はポルトガル語の caramelo に由来する。
日本において一時は「軍粮精」(ぐんろうせい)とも書かれた。
▼「軍粮精」:
この「軍粮精」は熱量食として、
日本軍が戦闘時の食糧として用いた
携帯栄養補助食の一つでもある。
この熱量食は粉乳、酵母、ブドウ糖を主成分とする
高カロリーの携帯食として、形状、個数は製品によりさまざまであるが、
一例ではカロリーメイト様の長方体をしたブロック状の2本を
一食分として防水紙に包装し、紙箱に収めている。
開発は陸軍糧秣廠が行い、
制定は1931年(昭和6年)で
軍制式品の他、民間製造品など
いくつかの種類が存在する。
また、熱量食は補助的な食品であり、
一例では1933年(昭和8年)の輸送計画中、
関東軍に届けられる食糧弾薬のうち、
熱量食616貫が甘味品として分類されている。
これは激戦地の部隊へ増加食として配給された。
また車輌部隊や騎兵部隊でも使用され、
山岳戦では歩兵部隊に重宝された。
これは補給に際し、航空機からの空中投下が容易なためだった。
1933年(昭和8年)、イタリア大使館付武官から日本陸軍に対して
熱量食に対する問合せがあり、
日本陸軍では簡単な熱量食の成分と製法について回答している。
説明内容は以下の通りである。
原料
ブドウ糖、バター、白砂糖、スターチ、イースト、
パウダーミルク、レシチン、緑茶など
なお、熱量食には夏季用と冬季用の2種類が存在した。
夏季用は溶けないよう冬季用よりもバターとイーストの量を減らし、
コロイド成分を加えた。
熱量は50gで約250カロリー
(大カロリー。現在の250キロカロリー)である。
コストは1個50gで約10銭であった。
製造方法は原料を水と混合、煮詰めて冷却する。
これを平面ローラーで成形し、切断して包装する。
保存期限は夏季用で約一年、冬季用で4ヶ月である。保存は冷所で行った。
制式としての熱量食は1938年(昭和13年)からで
1939年(昭和14年)に軍粮精に改変された。
これは、1938年から1939年にかけて熱量食が制式から外され、
後継には軍粮精があてられたのだが、
熱量食の使用自体は続けられたためだ。
故に、1940年(昭和15年)1月23日、北支那方面軍用の食糧として、
甲集団経理部長は野戦経理長官に対し、
2月15日までに酷寒地作戦部隊用の熱量食50,000個、
その他の物資を天津へ追送するよう要請した。
これに応じ、1940年2月3日、
陸軍糧秣廠は北支那軍野戦貨物廠へ熱量食50,000個、
携帯甘酒50,000個、調味用乾魚20,000個を追送した。
▼「キャラメル」:敵性語
一方「キャラメル」は、
生クリーム・水飴・砂糖・バターなどを熱して溶かし、
それを冷やし固めることで作るソフトキャンディの一種である。
また、生クリームを多量に用いて作られる「生キャラメル」もある。
日本において有名なのは
【ひとつぶ300メートル】でおなじみのグリコのキャラメル。
1919年(大正8年)、
創業者である江崎利一がカキの煮汁からグリコーゲンを採取し、
それをキャラメルの中に入れた栄養菓子「グリコ」を製作。
1922年(大正11年)2月11日に大阪の三越百貨店で「グリコ」
の発売を開始したのが始まりである。
その後「グリコ」は「ひとつぶ300メートル」のキャッチコピーをつけられ、
利一の「子供の二大楽しみ、食べることと遊ぶことを同時に満たす」
の考えにより、おまけを同梱したことにより、大ヒット商品となった。
事の起こりは、1919年(大正8年)のころ、
創業者江崎利一は、
郷里、佐賀県神埼群蓮池村(現在の佐賀市蓮池町)で
薬種業を営んでおり、漢方薬や民間伝承薬を行商していました。
そんなある日、10歳になったばかりの長男誠一が病にかかりました。
チフスでした。当時、チフスで多くの子供たちが亡くなっていました。
病状は、なんとか峠は越したものの「体力がもたないかもしれない」と、
医者もさじを投げるほど衰弱していました。
「死なせはせん、死なせはせんぞーー!」
・・・・・・・・しかしどうすることもできません。
途方に暮れる利一の脳裏に、あることが浮かびました。
それは、薬業新聞に載っていた
「牡蠣には、エネルギー代謝に必要な
グリコーゲンが多く含まれている。」という記事です。
有明海沿岸で、漁師たちが漁に出かける前に、
大きな釜に牡蠣鍋を作って牡蠣を食べ、
牡蠣の煮汁を飲んでいるのを、利一は行商のときによく見かけました。
「冬の寒い漁場での漁や、冷たい海水に浸っての作業には、
牡蠣の煮汁を飲んでおれば疲れなくて、
体力が十分に続くんだよ。」と
漁師たちが言っていたのを思い出したのです。
さっそく、知り合いの漁師さんに頼んで、
牡蠣を取り寄せ、その煮汁をはしの先につけ誠一のくちに運びました。
何度も何度も。それは、何十時間も続きました。
すると、やがて誠一の頬にほんのり赤みがさしてきたのです。
これを機に誠一の病状は快方に向かい、
食欲も出、体力も回復してきたのです。
こうした劇的な出会いから、
「牡蠣エキス」の活用を広めたいという利一の思いが強くなり、
九州大学に分析を依頼しました。
その結果、「牡蠣」には、多量のグリコーゲンとともに、
タウリンなどのアミノ酸も豊富で、亜鉛・カルシウム・鉄分・銅など
ミネラルも含まれていることがわかりました。
利一はまず、治療薬としての活用を九州大学の教授に頼みました。
ところが教授は
「治療よりも、病気にならない体をつくる予防が大切です。」
とアドバイスされました。
なるほど治療より予防が第一、
それなら健康づくりのために活用しようと決意しました。
グリコーゲンを一番必要としているのは育ちざかりの子供たちだ!
そこで利一は子供が喜んで食べるお菓子、
中でも当時洋菓子として人気が高まってきた
キャラメルに入れようと思いついたのです。
なお、キャラメルの原型となる西洋菓子は、
アラブ人がクレタ島において考案したといわれている。
彼らがアジアで入手したサトウキビを領地で栽培し、
そこから得られたシロップや氷砂糖を精製し、
製造した砂糖菓子がその原型である。
これらは11世紀に十字軍によってヨーロッパに持ち帰られ、
16世紀にはカトリーヌ・ド・メディシスによって略奪……もとい
フランスにもたらされる。
このフランスで発展した砂糖菓子から、
アンリ・ルルーは故郷ブルターニュ産の塩を用い
塩バターキャラメルを作った。
(なお、異世界チート人ではないもよう)
ブルターニュやノルマンディーは乳製品も豊富な土地柄であり、
これを活かすことで現代のキャラメルは誕生することになったのだ。
▼「カラメル」:
さて「カラメル」であるが、
水と砂糖のみを熱して生じた液体(カラメル化)である。
このカラメルを使用したものに代用醤油がある。
「代用醤油」
戦時中日本では物資の不足のため、
本来の醤油醸造に必要な原料である大豆や
小麦の入手が困難となり、醤油の生産量が低下した。
戦中戦後、醤油は配給品となり流通量が不足することとなり
この品不足を補うため、醤油粕を塩水で戻し絞った汁を用いたり、
魚介類やサツマイモの絞り汁、海草などを原料として用い、
カラメルや、前述の醤油粕の絞り汁等で風味を調整したものを
用いることがあった。
さらに酷いものになると所謂闇市で
「太平洋スープ」(海水を沸かしただけのもの)ならぬ
海水にカラメルで着色しただけの代用醤油まで出回ったという。
▼「キャラメル」、「カラメル」の違い:
日本では、
「キャラメル」はキャンディー菓子
なのに対し、
「カラメル」は水と砂糖のみを熱して生じた液体
である。
「カラメル」は濃い褐色をしており独特の甘く香ばしい香り、
甘味(原料の砂糖に比べれば弱い)と弱い苦味がある。
主に洋菓子やコーラのような飲料の『風味付け』に使用される。
また、代用醤油(海水にカラメルで着色したもの)などのように
食品の『着色料』カラメル色素としても使われる。
また、カラメルは甘味料として、
古くからプリンに欠かせないものとなっていが、
この場合は特にカラメルソースと呼ばれる。
このカラメルソースの場合は、
加熱して程良く色づいたカラメルに
少量の湯または水を加えて適度な濃度に調節する。
また逆に、加熱して水分が飛ばされ発泡した状態で
冷却固化したのがカルメ焼きなどである。
なお、カラメル反応と似てはいるメイラード反応があるが
これはまた別の反応である。
焦げはメイラード反応と言うよりは炭化である。
カラメルを製造する場合、
鍋はアルミやホーローを使用。
テフロン加工などの焦げ付かない鍋は
熱伝導云々の関係の問題があり
焦げ付かない鍋だとうまく色が付いてくれません。
また、砂糖のみでカラメルを作られているのでしたら、
煮詰める段階で木じゃくし等でまぜると結晶化します。
まぜないで鍋を傾けるように回転させながら
煮詰めていくと結晶化せずうまくカラメルができます。
また色がつきはじめると早いので、
煙がでてきたら火はとめて鍋をゆらすだけで、
ちょうどいいカラメルになるまで、調節します。
こうして時々鍋を揺すって全体が褐色になり
焦げ臭くなったら火からおろします。
※カラメルは過飽和の状態なので
揺すり過ぎると鍋肌に付いた分が再結晶化します。
結晶化したらカラメルソースにはなりません。
鍋を傾けてムラをなくす感じです。
※鍋肌に付いた結晶をヘラでこそげ落としたり、
混ぜたりは絶対にしないように、鍋に傷ができます。
混ぜてしまうと白く粉をふくのを利用して、
ピーナッツなどの砂糖衣をつけたりします。
こんなすばらしいキャラメルですが、
なぜか「なろう作品」においてはプリン等に比べれば
あまり活躍している気配がありません。
若者のキャラメル離れが進んでいるのでしょうか?
▼キャラメル・カラメル化現象:
「バルバルバルバル ウォォォーーム」
「カラメル化現象」は、
作用の発現に酵素が関与しない非酵素的褐色化作用であり、
糖類が引き起こす酸化反応等により生じる
調理において香ばしさや焦げ色の原因となる重要な現象である。
発生する揮発性の化学物質がキャラメル独特の風味をかもし出す。
どんな糖でも加熱していくと、分子が壊れ、
酸化反応と同時に、このカラメル化という反応が起こります。
これにはグルコース、ショ糖などが
加熱されることで生じるフラン化合物が重合して生じる、
フラン・ポリマーの構造を取るのではないか
という仮説が提唱されている。(つまり科学的証明はまだ……)
カラメルは砂糖を100°C以上までゆっくりと加熱するとできる。
砂糖が溶け、この温度に近づくと、分子が揮発性の化合物に破壊され、
カラメルの色と香りの特徴が生まれる。
一方
「キャラメル化現象」は、同種の現象であるが乳が含まれるため、
つまり単に出来上がるものの差で呼び方を替えているに過ぎない。(たぶん)
なお、キャラメルは130°C前後での加熱により作られる。
歯にくっつくような食感がある。
また生キャラメルは、さらに低めの100°C前後での加熱により作られ、
非常に軟らかいのが特徴である。
また、缶入りのコンデンスミルク(れん乳)をお鍋でグツグツ煮ても
キャラメルができます。
(加糖れん乳は原料の生乳と『しょ糖』を加熱して
濃縮することによってつくられていいるため、
メイラード反応と呼ばれる褐変化などの反応が促進され、
キャラメルのような風味や色調になっているだけだのだが。)
*注:なお、容器自体が熱くなり、やけどの心配もありますので、
実際に缶ごと煮詰めるのはオススメできない。
さて、このメイラード反応とは一体……
▼「メイラード反応」:褐変反応
砂糖には強く加熱するとカラメル化反応を起こし、
褐色になるとともに、独特の甘い香りが発生する性質があります。
長期間保管した時など、
加熱しなくても起こるのが、この「メイラード反応」です。
メイラード反応は、加熱によって生じるカラメル化と同様に
褐色色素が生じる反応ですが、
これはアミノ酸と還元糖の両者を必要とするものであり、
カラメル化とは異なる反応なのである。
カラメル化は糖のみの反応ですがメイラード反応は、
糖とアミノ酸やたんぱく質の反応によって起こるのです。
とは言え、メイラード反応は常温でも進行のですが
(ただしその場合には長時間を要する。)
実は加熱によって短時間で進行することができます。
食品工業において、食品の加工や貯蔵の際に生じる、
製品の着色、香気成分の生成、抗酸化性成分の生成
等に関わる反応であり、非常に重要とされる。
また、メイラード反応の褐色物質ほどではないですが、
カラメル化も抗酸化作用を有し、一般に、色が濃いほど抗酸化作用が強く、
窒素含有量の多いものほど抗酸化作用が強くなるそうです。
メイラード反応が関与するものには次のような現象が挙げられる。
肉を焼くと褐変
玉ねぎを炒めると褐変
デミグラスソース(ブラウンソース)の褐変
コーヒー豆の焙煎
黒ビールやチョコレートの色素形成
味噌、醤油の色素形成
熟成に伴う酒粕の色素形成
パン(トースト)やご飯の「お焦げ」の形成
なお、三温糖の着色は、カラメル反応である。
また、落ち葉から腐葉土が出来る過程でも褐色色素や黒色色素が生じる。
これは腐植酸と呼ばれる物質だが、メラノイジンと同じものである。
植物の持つ酵素的な褐色色素の形成と、
非酵素的なメイラード反応の両方が関与していると言われている。
:おまけ
「熱量食」 … カロリー・メイトのようなもの
「軍粮精1号」 … ブドウ糖・脱脂粉乳をベースに
バター・エコナ・ココナツミルクを混合し8gのペレット
長さ8mm、厚さ15mm、直径15mm)に加工(10粒で1食分)
「軍粮精2号」 … 詳細不明
「軍粮精3号」 … ブドウ糖・脱脂粉乳をベースにカカオバター・挽茶
・カフェイン・メントールを混入し10gの棒状
(長さ43mm、幅28mm、厚さ8mm)に加工(10本で1食分)
「元気食1号」 … 「軍粮精1号」を改称
「元気食2号」 … 「軍粮精2号」を改称
「元気食3号」 … ブドウ糖・粉糖・メントールのベースに緑茶粉
・ビタミンを練り込んで1粒3gに成形(10粒で1日分)
「精力餅」 … 粳米・大豆・麦芽を原料とした餅にビタミンやバターを混入
「栄養食」 … 卵黄粉・粉乳・水飴にビタミンとバターを
練り込んで低温乾燥で成形し表面を糖衣(45gで1食分)
「粉飲料1号」 … 粉末ラムネ
「粉飲料2号」 … 粉末酸乳(乳酸飲料)
「粉飲料3号」 … 卵黄と乳酸菌を主成分とした疲労回復用飲料
「固形火酒」 … 寒冷地用アルコール・ゼリー
「防睡菓子」 … 眠気防止用のカフェイン入り菓子
「携帯甘酒」
「携帯濃羮汁」 … 粉末スープ