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現実:冒険者ギルド? キャラバンサライ・コーヒーハウス・クラブ

:冒険者ギルドのモデルイメージとは、なんぞや?


 そんな疑問から冒険者ギルドのモデルについて考えてみる。

例えばその施設は事務所と言うよりいかにも役場的な感じであるが

その待合ではなんと基本食堂(酒場)が当てられていることが多い。


 現実ではいくら陽気なラテン系だろうと役場でも銀行でも郵便局でもそんな待合室はない

(まあ最近では自販機くらいはあるかも)ので、

これはむしろ元々紳士の社交場である酒場自体が本体だったのでは無いかと推察する。

(一応、図書館や美術館又は役場でも同建物内では併設という形で

別のスペースに飲食スペースなりを確保することがありえますが)


 そうそのイメージの源泉としては有名どころでいえば

国民的ゲームにあったルイーダの酒場とか。

(指輪物語とかD&Dという話も)


 まあ、アレらのイメージも元々は西部劇の無法者ガンマンがたむろする

酒場や欧州の貿易商達が逗留する宿(酒場兼食堂)なのであろうが。




▼宿屋の建築物、その造りとは:


 アメリカ西部の掘っ立て小屋同然の酒場の方はともかく

(お約束としてのスイング・ドアがありますが)、

中世後半頃の欧州の宿はわりかし造り(規格)が決まっているそうで

基本2階建てで間取りはコの字型になっていて、

1階中央が吹き抜けの共用の飲食スペースとなり

そのお周囲を取り囲む様に2階両端が宿泊用の小部屋となっている。

(注:要するに二棟の小部屋の建物の中庭に屋根を付けた感じ)


 まあ、同種の造りで1階は酒場で

2階の小部屋群が売春宿というのも多かったそうですが。


 コレらの造り自体は*1.隊商宿キャラバンサライでも参考にしているのか、

偶々というか旅人(貿易商)の交流の場が必要とされた点で

必然的に同種の造りとなったのか

……宿というのは無論旅人の為の施設であり、

巡礼者でなければ基本行商人、貿易商などが主な客層であろう。


 ならば彼らの商取引/商談の為に

共用のスペースが必要だったのであろうことは想像にかたくない。


 この交流スペースでの交渉情報のやり取り/取引が

冒険者ギルドの原型なのやも知れぬ。


 同種の施設として時代は降ってロイズ保険組合の元ともなった

*2.コーヒー・ハウスや*3.クラブがある……むしろそちらが本命なのか?



*1.キャラバンサライ(ペルシア語で「隊商宿」の意味):

 隊商のための取り引きや宿泊施設を指す。

バザールやスークに隣接して建てられた。

一般的には中庭がある2階建ての建築物で、

1階は取引所、倉庫、厩、管理人や使用人の住居にあてられ、

2階は客人である隊商の商人たちの宿泊施設となっていた。


 責任者や、荷運びの監督、夜警などの役職が常駐していた。


 また、遠隔地交易の商人の他に、地元の卸売商人の事務所や倉庫にも使われた。

遠隔地交易の商人用をタージェル、

地元の卸売商人用をボナクダールと呼んで区別した。


 地元の卸売商人は取引場や、通廊で取引を行い、

行商人は、その卸売商人から商品を仕入れて近郊の農村や遊牧地をまわった。


 なお、現在では宿泊所としての機能は消え、事務所、倉庫、卸売店舗として用いられている。



*2.コーヒー・ハウス:

 17世紀半ばから18世紀にかけて、

イギリスで流行した喫茶店で、社交場の機能も兼ねていた。


 コーヒー・ハウスでは下品な酒などは出さず、コーヒー、たばこを楽しみながら、

新聞や雑誌を読んだり、客同士で政治談議や世間話をしたりしていた。


 こうした談義や世間話は、近代市民社会を支える世論を形成する重要な空間となり、

イギリス民主主義の基盤としても機能したといわれる。

(フランス革命においてカフェが果たした役割と比較される。)

女性客が出入りすることはなく、男性客のみが対象であった。(女人禁制)


 このコーヒー・ハウスは活気ある社交場として栄えたが、

18世紀後半以降は衰退して行き、結局酒場や宿屋に転業する店も多かったという。


 またロイズ・コーヒー・ハウスでは、船主たちが多く集まり、

店では顧客のために最新の海事ニュース(船舶情報を載せる「ロイズ・ニュース」)

を発行していた。さらに店で船舶保険業務の仲介を取り扱うようになる。

これがロイズ保険会社の起源である。



*3.クラブ:

 コーヒー・ハウスで交流していた客のうち、

共通の趣味・話題を持つ者同士でコーヒー・ハウスの一室を借りて

定期的に集会を開く人々が現れた。


 これがクラブの起こりである。

コーヒー・ハウスがそうであったように、クラブもまた、

上流・中産階級の男性を会員とした会員制で、

女性会員は認めていなかった。

(古来より酒場やコーヒーハウス等のウェイトレスは娼婦を兼ねている事が多かった為)


 コーヒー・ハウスでの盛んな政治談議は、

当然ながら多数の政治クラブの結成へと帰結した。また平行して、

文学、芸術、クリケット、ボートなど様々な趣味・嗜好に対応したクラブも

この時期に見られ始めている。


 なお、元来欧州の騎士団も武力集団というよりサークルか会員制クラブのようなものであったという。



▼組織形態:

 国際組織であり、各国に武装を許されている存在。

このような国家をまたいだ施設武装組織の存在がなぜ国家に許されるのか?

(注:種族存亡に関わる魔物対策の為と考えるなら妥当なのか? )

 それでも現実にあった組織で言えば宗教組織(*4.騎士修道会)か都市同盟(*5.ハンザ同盟)が

一応当てはまるのか? また、現代で言えば*6.民間軍事会社的存在なのか?


*4.騎士修道会:

 騎士修道会きししゅうどうかいは、

十字軍時代に、聖地エルサレムの防衛とキリスト教巡礼者の保護・支援を目的として

創設された中世のローマ・カトリックの修道会のことである。


 テンプル騎士団がその中でももっとも有名なものである。

特筆すべき点として、騎士団が保有する資産

(構成員が所属前に保有していた不動産や各国の王族や有力貴族からの寄進された土地など)

の殆どを換金し、その管理のために財務システムを発達させ、

後に発生するメディチ家などによる国際銀行の構築に先立ち、

独自の国際的財務管理システムを所有していたとされる事が挙げられる。


 テンプル騎士団は各国に管区長マスターとよばれる地区責任者がおり、

騎士団全体を統括するのが総長グランド・マスターであった。


 総長の任期は終身で、

東方における軍事活動と西方における会の資産管理のどちらにも責任を負っていた。



*5.ハンザ同盟:

 中世ヨーロッパでは周辺の領主に対抗するため独立意識が高い諸都市が抵抗のため連合した為、

皇帝や国王側もこれら都市連合を意識して権力を行使しなければならなく

これら都市同盟が重要な役割を果たした。


 これは世界史上、ヨーロッパでしか生じていない現象と言われている。

ハンザ同盟は都市同盟の中でも規模と存続期間において群を抜いており、

また特殊な存在であるとされている。


 相互に独立性と平等性を保つ緩やかな同盟だったが、

経済的連合にとどまらず、時には政治的・軍事的連合として機能した。

しかし、同盟の恒久的な中央機構は存在せず、

同盟の決定に拘束力も弱かったので、実際はそれぞれの都市の利害が優先された……って、国連か!?



*6.民間軍事会社:

 民間軍事会社みんかんぐんじかいしゃとは、

直接戦闘、要人警護や施設、車列などの警備、軍事教育、 兵站などの

軍事的サービスを行う企業であり、新しい形態の傭兵組織である。





 結局、時代と共に冒険者ギルドのイメージは変化していくので更なる検討が必要であろうか?

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