現実:食-アガーと寒天とゼラチンとコラーゲンの違い
ゼリーやプリンなどを固めるときに使用する材料
アガー、ゼラチン、寒天の違いについて
素材の違いや特性
★「アガー」
透明感が高く、プルッとしたふるふる食感
ゼラチンや寒天と比べて最も透明度の高いアガーは、
美しい光沢とゼラチンと寒天の間くらいの
プルッとした独特な食感が特徴で、
水ゼリーなど近年注目の素材です。
透明感のある、
ふるふるのとろけるゼリーにはアガーがおすすめ。
30~40℃で固まり、
常温でも型崩れしないので、
持ち運びもできます。
●アガーの原材料
カラギーナンという海藻や
ローカストビーンガムというマメ科の種子の抽出物から
できています。
●アガーの特徴
ゼラチン、寒天と比べて最も透明度が高い。
また、光沢が美しく、素材の色を活かせます。
常温でも溶けない。
寒天とゼラチンの間くらいのプルッとした独特の食感。
無味無臭。どんな素材でも風味の邪魔になりません。
●アガーの使い方
使用量の目安は、
液体の全体量に対して1~2%程度を
90℃以上の熱湯で溶かしてください。
●アガーの使用上の注意点
(1)アガーはダマになりやすい
アガーはダマになりやすく、
ダマになると加熱してもうまく溶けないことがあるので、
あらかじめ分量の砂糖の一部とよく混ぜておき、
ふり入れるようにして溶かします。
砂糖を使用しない場合は、
ダマにならないよう液体を攪拌しながら徐々にアガーを加え、
均一に混ぜ合わせてから加熱してください。
(2)製品ごとに使い方を確認する
ゼリー用、ムース用、冷凍OK、常温の液体に溶けるなど、
アガーは種類が豊富です。
製品によってかなり違いがあるので、
使用するアガーが作りたいお菓子に適しているか
十分に確認してから使用しましょう。
なお、果汁など酸味の強いものは、
一緒に煮立てると固まらなくなることがあります。
(3)固まる前に作業は手早く
アガーは常温で固まるので、
手早く作業しないと
作業途中で固まってきてしまうので注意が必要です。
(4)ゼラチンの代わりに使うには
同量の液体を固めた場合、
ゼラチンと比べてアガーの方が固く仕上がる傾向があります。
少量で試作し、代用できる量を確認してから作りましょう。
★「寒天」
寒天はホロっとなめらかな食感で
アガー、ゼラチンと比べて最も凝固力が強い寒天は、
歯切れがよくほろっと崩れ、
なめらかな食感が特徴です。
透明感や弾力性はなく、
杏仁豆腐や水ようかんなどにおすすめです。
食物繊維を多く含んでおり、
ダイエットによいといわれています。
●寒天の原材料
テングサやオゴノリなどの海藻からできています。
●寒天の特徴
アガー、ゼラチンと比べて最も凝固力が強く、
わずかな量で多くの水分を固められます。
透明感や弾力はほとんどない。
歯切れよくほろっと崩れ、なめらかな食感。
食物繊維を含んでいるので、
ダイエットにもよいといわれています。
●寒天の種類と違い
○粉末寒天
ふやかす、裏ごしする手間が必要ありません。
お手軽で初心者の方におすすめ。
○角寒天(棒寒天)
伝統的な製法で作られていて、
風味が豊か。
粉末寒天、糸寒天と比べると柔らかめの仕上がり。
○糸寒天
粉末寒天、角寒天と比べると、透明感があり、
繊細な口あたり。サラダやスープにも。
●寒天の使い方
使用量の目安は、液体に対して1~1.5%程度で、ほどよい固さに。
○粉末寒天
粉寒天は分量の水に加えて加熱し、
2分ほど沸騰させてください。
○角寒天(棒寒天)
角寒天は適当な大きさにちぎって、
2~3時間水に浸してふやかしたあと、2分くらい加熱し、
固まりがなくなって透明感がでるまでしっかり溶かします。
最後に、裏ごしをするとなめらかに仕上がります。
○糸寒天
そのまま、2~3時間水に浸してふやかしたあと2分くらい加熱し、
固まりがなくなって透明感がでるまでしっかり溶かします。
最後に、裏ごしをするとなめらかに仕上がります。
●寒天の使用上の注意点
果物や果汁、フルーツ缶詰など酸味のある食品を使用するものは
寒天が完全に溶けてから火を止め、
あら熱が取れてから入れてください。
砂糖、塩など調味料や牛乳で味付けする場合、
水が沸騰(1~2分ほど)して寒天が完全に溶けてから加えてください。
★「ゼラチン」
口どけがよく、プルンとやわらかい食感
アガー、寒天と比べて最も口どけがよいゼラチンは、
弾力性と粘性が強く、やわらかくプルンとした食感が特徴で、
ゼリー・ムース・ババロアなど幅広くお使いいただけます。
ゼラチンは、20℃以下で固まり、25℃くらいで型崩れするので、
夏場は注意が必要です。
●ゼラチンの原材料
牛や豚の骨や皮に含まれている
コラーゲン(タンパク質の一種)からできています。
●ゼラチンの特徴
弾力性と粘性が強いので、
やわらかく、プルンとした食感。
体温で溶けるので、アガー・寒天と比べて一番口どけがよい。
泡を抱きこむ力を持っているので、
ムースやマシュマロなどのふわふわした食感も可能。
●ゼラチンの種類と違い
○粉ゼラチン
好きな量を使うことができ、
家庭で扱いやすい。
ふやかす手間が不要で
スピーディーにムラなく溶かすことができる。
初心者におすすめ。
○板ゼラチン
1枚あたりの重量がほぼ決まっているので、
測りやすい。
透明感のある美しい仕上がりと、
なめらかな食感に仕上がる。
保形性があり、プロに多く使われている。
●ゼラチンの使い方
使用量の目安は、
液体の全体量に対して2〜2.5%程度を
50~60℃くらいのお湯で溶かしてください。
○粉ゼラチン
温めた液体に直接入れて溶かします。
○板ゼラチン
板ゼラチンは氷水に1〜2分ほど浸けてふやかし、
よく絞ってから60℃に温めた液体に入れて溶かしてください。
●ゼラチンの使用上の注意点
生のパイナップルやキウイ、
いちじくなどに含まれるタンパク質を分解する酵素の働きにより、
ゼラチンが固まりにくくなります。
一緒に使う場合には、あらかじめフルーツの缶詰を使用するか、
過熱しましょう。
常温で溶けてしまうため、
冷蔵庫から出したらなるべく早めにお召し上がりください。
★「コラーゲン」
「 ゼラチン 」は「コラーゲン」から抽出されます。
動物の体を形づくる繊維状のタンパク質「コラーゲン」は、
そのままでは水に溶けませんが、
長時間、水と加熱すると、ある温度で水に溶けるようになります。
これが 「 ゼラチン 」 です。
タンパク質を沢山含んでいるものであれば
ゼラチンの原料として用いることができますが、
安定した生産を保つために、
その多くは豚や牛など、家畜の骨や皮から抽出されています。
動物から抽出するこれまでの製造法を生かしながら、
鮭皮などから抽出するマリンゼラチンなど、
新しい分野の開発にも積極的に取り組んでいます。
ゼラチンを摂る = コラーゲンを摂取することになります。
ゼラチンは美容にも、とってもいいんですよ。
◎太古の昔から大活躍! ゼラチンの起源。
ゼラチンの起源は、
古代エジプトのニカワ(膠)製造であるといわれています。
ニカワとは天然物を原料とする接着剤で、
化学接着剤が発明されるまで、
様々な分野で幅広く利用されていました。
エジプトのピラミッド(ファラオの墓)から出土する
棺、調度品、美術工芸品などを見ても、
古代から接着剤として使われていたことがわかります。
ニカワの製造風景を描いた壁画も見つかっており、
ニカワが起源から現代まで、
人々の文化に深くかかわっていたことが分かります。
1700年頃よりヨーロッパで工業的な生産が開始され、
1800年代に入ると食用のゼラチンが生産されるようになりました。
写真工業においても、
ゼラチン乳剤の印画紙が用いられるようになり、
ゼラチンの需要がさらに発展しました。
その後も、食用、医薬品用、写真用、工業用と
幅広く活躍の場を広げ、
現代も私達の暮らしを豊かにする素材のひとつとして活躍しています。
そして現在では、シックハウス症候群や化学物質過敏症対策として
天然素材であるニカワへの注目がより高まってきています。
菓子箱等の接着剤として、
建築、楽器等の接着や修理用として、
幅広いジャンルにおいて大活躍!
私達の暮らしに欠かせない天然素材のひとつとなっています。
★ゼラチンとコラーゲンの違い:
同じ原料から作られている?というようなことを聞いたことがあります。
同じものなら安い方を食べたらいいの?と疑問がわいてきます。
ゼラチンとコラーゲンの違いについて調べてみました。
ゼラチンはコラーゲンからできています。
コラーゲンは動物や魚の皮・骨に含まれていてそれを分解したものがゼラチンです。
原材料は豚の皮、魚の皮、鱗、鶏などからつくられています。
・ ゼラチンはコラーゲンを分解したもの。
・ 健康食品に含まれているコラーゲンは
ゼラチンをさらに分解したもので、
正確にはコラーゲンペプチドと呼ばれます。
大きさは コラーゲン>ゼラチン>コラーゲンペプチドという順になります。
原料は同じですが繋がり方、大きさが違うので、性質が変化します。
●特徴
1-1.コラーゲン
コラーゲンは動物や魚の皮・骨に含まれています。
他のたんぱく質とは違い
3重のらせんを組み合わせた長細い線維状なのが特徴です。
それらが網の目のように重なり合っています。
3本鎖をあわせた分子量は30万ほどあります。
豚足や鶏手羽を煮ると煮こごりができますが、
それはこのコラーゲンが溶け出たものです。
写真はふぐの皮からとった煮こごりです。
プルンと弾力があります。
煮こごりは常温でも固まりますが、
冷やした方が早く弾力が増します。
1-2.ゼラチン
熱で抽出したコラーゲンから不純物を取り除き
キレイに精製したものがゼラチンです。
分子量は10万ほどになっています。
お菓子のゼリーの素はゼラチンを粉末にしたものです。
温水に溶け、約15℃~20℃で固まります。
ゼラチンが固まる理由は、
温水でいったんほどけた3重らせん構造が冷えると
もう一度繋がろうとするからです。
完全に固まるまでには
10℃以下の冷却で8~18時間ほどかかります。
工業製品としてはカメラのフィルムや
墨、人工皮革、接着剤などに使われています。
日本工業規格 「JIS K 6503 にかわ及びゼラチン」によって
ゼラチンの固まる強さの規格が示されています。
1-3.コラーゲンペプチド
ゼラチンを酵素分解でさらに細かくしたものが
コラーゲンペプチドです。
食品や飲料に使用されます。
健康食品に使用されているのはほとんどコラーゲンペプチドです。
コラーゲンペプチドは水に溶け、15℃以下でも固まりません。
ゼラチンよりも小さく分解され、
分子量は数百~数千と人の体に吸収されやすくなっています。
人の肌、軟骨などへの研究はほとんどが
このコラーゲンペプチドをつかって行われ、
有効な結果が出ています。
1-4.アミノ酸
コラーゲンペプチドをアミノ酸にまで分解すると、
18種類のアミノ酸によって構成されていることがわかります。
アミノ酸は全部で20種類しかなく、
そのうちの18種類が含まれています。
必須アミノ酸も9つのうち、
トリプトファンを除く8つが含まれています。
まとめ
コラーゲンとゼラチンは
もとの原料は同じということがわかりました。
違いはその形状や性質です。
お肌のために飲むのなら専用に吸収されやすく作られた
コラーゲンペプチドをオススメします。
人体への有効性の研究も
ほとんどがコラーゲンペプチドをつかってされているからです。
★寒天とゼラチンの違い:
そもそも原材料が全く違います。
寒天は天草やオゴノリなどの海藻から作られています。
凝固力が強く、少量で多くの水分を固めることが可能です。
ところてんなど和風な料理との相性が良く、
水ようかんを始め和スイーツにも利用されます。
それに対し、
ゼラチンは豚や豚の骨や皮に含まれるコラーゲンが原材料です。
弾力と粘性が高いので、
ゼリーのようなプルプルした食感を生み出します。
ムース、マシュマロといった、
ふわふわしゅわしゅわした食べ物にもよく使われているのが特徴です。
そして沸騰した後の状態も全く異なります。
寒天は沸騰させて煮込むことで固まる力が強くなり、
ゼラチンは沸騰させると固まる力が弱まってしまいます。
固まる温度も違い、寒天は30~35℃で固まるのに対し、
ゼラチンは15~20℃くらいで固まります。
ですので、ゼラチンは冷蔵庫に入れて冷やして固まらせますが、
寒天は冷蔵庫に入れ忘れて常温のままでも固まってくれるのです。
食べた時、ゼラチンは弾力性があり体温で溶けるため
口当たりは寒天よりいいと言えるかもしれません。
寒天は弾力がほとんどなく、食べたときにホロッとくずれる感じです。
ゼラチンが低い温度で溶けるのに対し、
寒天は一度溶かして固めた後は60度以上にならないと溶けないとされています。
特に室温が上がる夏場は、溶けにくい寒天の方が扱いやすいでしょう。
カロリーはゼラチンが100gあたり344kcalに対して、
寒天はカロリー0です。
甘いデザートとして食べる場合を考えると、
寒天はダイエットにも使えそうです。
栄養は、
ゼラチンはコラーゲン由来のたんぱく質が豊富に含まれているのに対し、
寒天は食物繊維が豊富に含まれています。
ですので、身体への効果としては、
ゼラチンの場合はたんぱく質なので美肌効果、
神経痛改善、アレルギーの軽減・解消、
冷え・不眠の慢性症状の軽減などがあげられます。
寒天は食物繊維なので、肥満解消、便秘解消、血圧を下げる、
血糖値を下げる、コレステロールを下げるなどの効果が期待されます。