現実:食-膠(ゼラチン)
ゼラチンは、
動物の皮膚や骨、腱などの結合組織の主成分であるコラーゲンに
熱を加え抽出したもの。
タンパク質を主成分とする説が有力。
ゲル化剤としてゼリーなどの食品に用いられるほか、
工業製品にも利用されている。
化学的には、コラーゲン分子の三重螺旋構造が
熱変性によってほどけたものを主成分とする混合物である。
膠ニカワ
日本では、
1.主に食品や医薬品などに使われる純度の高いものをゼラチン、
2.本画の画材および工芸品などの接着剤として
利用する精製度の低いものを膠ニカワ、
3.蹄を原料とするものは hoof glue と称している。
膠には和膠と洋膠ゼラチンがあり、
和膠のほうが純度が低い分吸湿性や保水性に富み、
舌先で筆を湿らすだけで微妙な濃度の調整ができることから、
手仕事に携わる職人や美術家など、
和膠を支持する層も根強くあり、
保湿性をあえて加えた洋膠も出回っている。
和膠では鹿膠が最高級品とされる。
精製された純度の高いものは無味無臭。
ゼラチンのコロイド水溶液は熱することによりゾル化して溶け、
冷やす事によりゲルとなって固形化する性質を持つ。
水分との混合割合により固形化する際の堅さを調節できる。
原料
主にウシやブタの皮や骨などを利用して生産されているが、
宗教上の理由などからタブーの対象となる動物を避けて素材を選定し、
作られる場合もある。
魚の鱗や皮の他、中国ではロバの皮から作る阿膠がある。
乾燥粉末のゼラチンに含まれる栄養素のほとんどはタンパク質で、
タンパク質を構成する必須アミノ酸ではリジンが多く含まれる一方で
トリプトファンはまったく含まれていない。
★基本的な製造法
素材の不純物を除去後、水を加えて熱処理し、
ゼラチンを含む溶液を抽出する。
濾過後に酸またはアルカリでpH調節を行い、
濃縮し殺菌および冷却、さらに乾燥と精製を重ねて製品化する。
歴史
接着剤である膠として5000年以上前の古代から利用されていたと考えられている。
シュメール時代にも使用されていたとも言われており、
古代エジプトの壁画には膠の製造過程が描かれ、
ツタンカーメンの墓からは膠を使った家具や宝石箱も出土している。
中国では、西暦300年頃の魏の時代にススと膠液を練った「膠墨」が作られたとされ、
また6世紀頃には現代とほとんど変わらない膠製造の記録も見られる。
紀元前2世紀に書かれたとされる中国の古書『周禮・考工記』には、
のちの和膠とほぼ同じ作り方が掲載されている。
中国から日本に膠が伝わったのは『日本書紀』などの記述から
推古天皇の時代、「膠墨」としてもたらされたものと考えられている。
奈良時代以降、製墨原料、建築・指物用接着剤、
織布の仕上げ剤、医薬品(造血剤)などの材料として普及した。
20世紀に入り、
フィルムや印画紙に吸湿性の低い高純度のゼラチンが必要になったことから、
洋膠の技術導入が始まった。
食材としての伝来は遅く、
明治時代以降、欧米の食文化の到来とともに
ゼラチンとして知られることになったが、
食用のゲル化剤としては既に
和菓子などに用いる寒天や葛粉など
多糖類系統のものが既に広く用いられていたこともあり、
1935年頃、国内で食品にできるだけの純度に精製する技術が確立して後、
ようやく食品用ゼラチンが普及することとなった。
なお、日本では兵庫県姫路市に製造企業が集中している。
▼工業製品関連他
弦楽器、和弓、フィルム・印画紙、画材、医薬品・化粧品などにも使用されている。
▼食品関連
一般にアスピックなどのゼリー、
煮こごりなどへの使用がよく知られている。
マシュマロ・グミなど菓子だけでなく、
焼肉などのタレやヨーグルトやクリームチーズ、
ハムやソーセージなどにもゲル化剤・増粘剤・安定剤として広く利用されている。
調理用の素材として販売されているゼラチンには、
薄い板状の板ゼラチン、粉状の粉ゼラチン(粉末ゼラチン)、
顆粒状の顆粒ゼラチンなどがあり、
ゼリーをはじめ菓子などの家庭料理にも広く用いられている。
ただし、ゼラチンは食物アレルギーを引き起こすことがあるので、
市販されているゼラチンを含む食品は、
原則としてゼラチンを含む旨を表示することになっている。
ゼラチンはジャム、アイスクリーム、ヨーグルトの一部、
グミ、マシュマロ、様々なソース類に使われている食品ですが、
一部の化粧品や薬品の成分に使われるほど、その用途は多岐にわたります。
ゼラチンを食べると、成長ホルモンの生成が増加すると同時に、
栄養素やアミノ酸を通じて代謝を促進します。
ゼラチンに含まれる食物繊維とタンパク質が満腹感を持続させ、
お菓子などの甘い物への欲求が減ります。
その結果、身体に本当に大切な栄養素だけを摂取できる体質になり、
食べ過ぎを防ぎ、最終的に体重のコントロールに効果を発揮します。
このような理由から、
多くの栄養士が甘いお菓子の代わりにゼラチンを使ったレシピを推奨しています。
タンパク質は、傷などの治りを早くする働きのある重要な栄養素です。
グリシンと呼ばれるアミノ酸が、
炎症の症状の軽減に深く関わっているため、
グリシンとタンパク質を含むゼラチンを食べると、
新しい皮膚を生成し、傷の治りを早めます。
誰もが憧れる健康的な爪、髪、肌、そして歯ですが、
これに必要なのがケラチンです。
ケラチンを多く含む製品が多く市販されていますが、
高価な製品が多いのが現状です。
市販品を買う余裕はないけれど、健康的な爪、髪、肌、
そして歯を手に入れたい方は、ケラチンを豊富に含むゼラチンを食べましょう。
ゼラチンに含まれるタンパク質は、
セレニウム、リン、銅と結合して骨を強化し、
体全体の骨密度を上げることで骨の健康を促進し、
骨粗しょう症の発症を予防します。
また、ゼラチンに含まれるアミノ酸は、
関節の健康に影響を及ぼす炎症を減少させるなど、
骨と関節を強化する軟骨の成長に深く関わっています。
軟骨が磨り減って、激しい痛みを感じている人にも
ゼラチンはおすすめです。
ゼラチンに含まれるアミノ酸の一種であるグリシンは、
神経伝達物質と酵素を刺激し、
睡眠の質をあげることで睡眠時間を増やす成分です。
ゼラチンを食べると体内に蓄えられてるエネルギーを再構築します。
就寝予定時間の数時間前にゼラチンでできたゼリーを少量食べると、
質の良い睡眠を促進し、深く質の高い睡眠が得られ、
朝スッキリと目覚めることができます。
コラーゲンを豊富に含むゼラチンは肌の健康維持に大切な食品です。
ゼラチンを食べると真皮細胞が肌のハリや弾力を取り戻します。
つまり、体内のゼラチン値を増やすことで、
肌のハリが戻り若返り効果が期待できます。
ゼラチンは自然に水と結びつくため、
ゼラチンに含まれる食物繊維は体内に吸収されやすくなります。
そのため、ゼラチンを定期的に摂取すると、
便秘などの消化器官の機能や健康が改善され、
消化液の分泌を刺激し、腸の健康を改善します。
アレルギーとは一部の食べ物に対してアレルギー反応を起こすことです。
ゼラチンは様々なアレルギー症状の緩和に効果を発揮します。
アレルギーを起こす食品は何かを注意深く見つけながら、
食事にゼラチンを加えるのがおすすめです。
免疫システムの機能を促進する
プロリンもゼラチンに含まれているアミノ酸の一種です。
プロリンは人間をはじめとする多くの動物の免疫機能の改善と
深く関わっている化合物なので、
ゼラチンを食べれば、感染症や疾患の症状を緩和する体内機能を改善します。
ただゼラチンを摂取しすぎると
お腹の張りや胃の痛みを感じることもありますが、
それは稀なケースですのでご安心ください。
安心してゼラチンを食べましょう
ヨーグルト、果物、デザートなどに幅広く使えて、
健康維持に抜群の効果を発揮するゼラチンを早速試してみませんか?