現実:食-珈琲-アイスコーヒー
アイスコーヒーが日本発祥?
★アイスコーヒーとは、
冷たく冷やしたコーヒー飲料のことである。
▼日本のアイスコーヒー:
長年多くの日本人の自称知識人等が
「コーヒーを冷やしたり氷を入れたりするアイスコーヒー
なんていうものを飲むのは世界のコーヒーの文化に無知な日本人だけ」と、
したり顔で解説していた。
だが実際には日本人の渡航が多い土地
(ニューヨークやロサンジェルス・ロンドン・パリなど)に無かっただけで、
実は氷入りコーヒーまたは冷やしたコーヒーはコーヒーフロートも含めれば
海外の多数の国ではカフェやコーヒーチェーンのメニューにも存在していた。
日本では明治期にコーヒーを冷やして飲み始めたのが発祥。
クイズや雑学本ではアイスコーヒーは日本人が発明したと流布され
長年信じられていたが、
実際はオスマントルコ支配下の北アフリカのアルジェリアである。
現在のアイスコーヒーはアイスコーヒー用に焙煎されたコーヒー豆を使用する。
深煎り、中~細挽きが良い。
アラビカ豆が適するとも云われている。
熱いコーヒーの温度を徐々に下げるとタンニンがカフェインと結合し結晶化して
白く濁るクリームダウン現象がおきる。
そのためコーヒーを抽出したあと、
氷に注ぐなどして急激に冷やす方法が良いとされる。
氷に注いで冷やす場合は氷が溶け込んで味が薄くなるので、
豆を挽いた粉の量を多めにして濃い味のコーヒーを作ると良い。
ドリンクバー等、機械で作る場合は、
予め濃いコーヒーが出るよう設定されていることが多い。
また、インスタントコーヒーを使っても作ることができるが、
冷水に溶けやすいかどうかは製品によって異なり、
少量の熱湯で溶かした方が風味が良い場合もある。
アイスコーヒーに使用する氷には、
クラッシュドアイス、ブロックアイス、アイスコーヒーを固めたものなどがある。
ブロックアイスを使用する店の中には、
気泡が少なく、硬い氷にこだわる店もある。
時間が経つにつれて氷が溶け込むことによって、
コーヒーは薄まってしまうが、アイスコーヒーを凍らせた氷を使えば、
溶けてもコーヒーの濃度は変わらない。
また、冷媒をガラスでくるんだ製品があるので、
そういったものを使っても濃度が変わらない。
通常、固形や粒状の砂糖は溶けにくいため使用せず、
ガムシロップを使用する。
アイスコーヒーは日本では夏場に好んで飲まれる。
最近でこそあまり使用されなくなっているが、
アイコやレーコー(冷コー)と言う略称もある。
…が、この使い方をするのは結構年のいった所謂「茶店」世代が主であろう。
▼欧米のアイスコーヒー:
英語での表記は「Iced Coffee」で
文字通り、氷をいれたグラスにホットコーヒーを注ぎ入れたもの。
ただ英語圏の一部では『アイスコーヒー』というと、
アイスクリームのコーヒー味が出てきたりすることがあるので注意が必要。
コーヒーを冷やして飲む習慣を西洋人が知るきっかけは、
1840年頃に灼熱の北アフリカのアルジェリアのマサグランという町で、
地元のアルジェリア人が熱いコーヒーに
水を入れて冷まして飲む習慣を知ったことに始まる。
恐らく濃く煮出した熱々のコーヒーに
水を混ぜて温度を下げて冷やしてから飲む習慣は、
1840年以前から現地では考案されていたと推測される。
そして冷やしたコーヒーを飲むアルジェリア人を見たフランスの外人部隊員らが、
彼らの真似をしてコーヒーを冷たくして、
更にリキュールと砂糖を混ぜたマサグランというアイスコーヒーを考案して飲むようになった。
しかし現在のマサグランという飲み物は
南フランスでは炭酸水で割ったアイスコーヒーを指し、
ノルマンディーではリキュールの代わりにカルヴァドスを混ぜたものを指す。
スペインではカフェ・コン・イエロと呼ばれるアイスコーヒーが一般的で、
カップに入れたエスプレッソと氷を入れたグラスが出てくるので、
砂糖をエスプレッソに入れてよく溶かした後に、
そのコーヒーを氷入りグラスに客が自ら注いでアイスコーヒーを作る。
(ミルクは付いていないのでそれが欲しい場合は追加で注文)
ドイツ・オーストリア・イタリア・オーストラリア・チリ・北欧などでは、
コーヒー(またはアイスコーヒー)にアイスクリームだけ、
またはアイスクリームとホイップクリームも入れたコーヒーフロートのような飲み物がある。
なお、南ヨーロッパにはアイスクリームを入れないアイスコーヒーもある。
ギリシャではインスタントコーヒーの粉と砂糖を入れた器に水を少量入れ、
シェイカーや泡立て器で泡立た後で、
氷と水か牛乳を入れて作るカフェ・フラッペ(フラッペ)という飲み物が大変人気。
これは1957年にネスレ社のギリシャ人社員が、
インスタントコーヒーの消費拡大のために考案した方法である。
ネスレ社はアイスコーヒーの普及に熱心な会社で、
ドイツやイギリスのスーパーマーケット向けに、
缶入りのアイスカプチーノを販売している。
1950年代のイタリアが舞台になった映画『ローマの休日』に、
アメリカ人記者がオープンカフェでアイスコーヒーを飲むシーンが登場した。
▼アジアのアイスコーヒー:
台湾や韓国では昔からコーヒー牛乳があり、
比較的早くから日本のアイスコーヒーと同様のものを出す喫茶店も多かったが、
本格的に普及したのは1990年代以降である。
香港では茶餐庁と呼ばれる喫茶レストランで、
エバミルクとガムシロップを入れた「凍咖啡」(広東語 ドンカーフェー)が
好まれている。
また、紅茶をブレンドした「凍鴛鴦」(ドンユンヨン)もよく飲まれる。
ただ中国では、もともとコーヒーも冷たい飲み物も余り好まれなかったので
アイスコーヒーが飲まれる機会が増えたのは2000年代以降である。
タイでは大量の砂糖とカルダモンやシナモンなどスパイスを入れる。
ベトナムでは加糖練乳をたっぷり入れたベトナムコーヒー
(カフェ・シュア・ダー)が好まれる。
シンガポールではガムシロップ入りの無糖練乳を入れた
アイスコーヒーが飲まれている。
マレーシアにもあり、屋台でポリ袋に入れて売ることもあり、
「kopi ais」(コピアイス)と呼ばれる。
これらのように、大衆的な店でアイスコーヒーは一般的であっても、
欧米の風習に合わせたメニューを出す気取った高級ホテルでは
通ぶってメニューに置かないことも多かった。
東南アジアや東アジアの高級ホテルのティールームなどで
メニューにある日本の喫茶店で提供されるタイプのアイスコーヒーは、
ハワイのワイキキ同様に、
普段はクレームなどろくに入れず立ち去ってしまうのだが、
食にはうるさい日本人客の唯一のリクエストで広まったものである。