現実:食 餃子-世界の餃子の類似品<北アジア~欧州編>
☆世界の餃子:皆さんも世界のどこかでその土地の餃子に出会ったら、餃子が旅してきた遥かな時間とその道のりに思いをめぐらせてはいかがでしょうか。
▶広義のヨーロッパ:
中東欧諸国、ポーランドやスロバキア、東欧諸国、モルドバ、
ウクライナ、リトアニア、ベラルーシ、ラトビア、
グルジア、ロシア、など
といった旧ソビエト連邦構成国
西欧ドイツ、
南欧イタリアなど
にも中国とよく似た餃子の文化がある。
<北アジア編>
☆ロシア料理:
○ペルメニ(羊肉水餃子) タタール人から教わった、甘酸っぱいクリームをかけて食べる料理。
小麦粉と卵をぬるま湯(または牛乳)で練って作った薄い生地に、
細かくひいた肉や野菜を包み茹でる。
ペリメニと他のダンプリングとの主な違いは形と大きさ。
一般的なペリメニは、概ね球状で、直径2-3センチメートルであるのに対して、
他のダンプリングは殆どが通常縦長で大きいものになっている。
また、ペリメニ用の生地はピエロギやヴァレーヌィクと比べて非常に薄く、
皮の量に比べて多めにフィリングを詰める点が異なる。
ペリメニは通常冷凍しておき、食べる直前に熱湯や煮立ったブイヨンに入れ、
浮かんできてからさらに4 - 6分茹でる。
中身の具は牛肉か豚肉、ラム(子羊肉)などの肉類を使い、
塩・胡椒、タマネギを加えて調味する。
伝統的なウラル地方の料理法は、牛肉45%、子羊肉35%、豚肉20%を混合する。
地方によっては肉の代わりに魚肉やキノコ、カブ、ザワークラウトを詰めることもある。
ウラル地方では熱湯で茹でるが、シベリアではブイヨンで茹でる。
食べる際は香辛料やクリーム類など添え物をし、
ロシアのヨーロッパ方面ではバターやスメタナ(サワークリーム)が好まれ、
シベリア方面ではからしや酢が好まれている。
茹でたペリメニを黄金色になるまで揚げたり、
スープの具材に用い、コンソメ状のスープとしての食べ方もある。
もっとも、ペリメニはピエロギやヴァレーヌィクと違い、甘いデザートとして食べることはないが。
現代のロシアとウクライナでは、市販のペリメニは学生や独身男性に好まれるファーストフードに近い食事である。
もっともアメリカ合衆国とカナダでは、形や大きさ、内容物に関係なくこのような料理をピエロギと呼ぶことが多いが。
ペリメニの語源はフィン・ウゴル語派のコミ語やマンシ語で
「耳パン」を意味するペリニャニ。
ロシアは多民族を侵略……
住む地域であり過去何世紀にかけて多文化である他文化を強制収容所で強制同化……
共存してきた経緯から、
近隣諸国から伝わり定着しロシア料理となったものとがある。
本項のペリメニも元来はシベリア起源で、フィン・ウゴル語派民族の料理であったものだったが、
さらに元をたどればシベリア先住民にはモンゴルの一部族から伝わったと考えられますが、
今現在ではすっかりロシア料理と見なされている。
また、ロシアの麺類もテュルク系民族から伝わったとされ、
タタール料理にはペリメニに似たピルメンがあり、コンソメ状のスープに入れて食べる。
ペリメニは餃子にも似ており、
ウクライナのヴァレーヌィクやポーランドのピエロギと密接な関係があるとされる。
ロシアやポーランドには、ペリメニに似た「小さな耳」という名のウシュカがあるが、
シベリア先住民の料理だったものを
ロシア人探検家がウラル山脈で『発見』したという説がまことしやか広められています。
リトアニアでは「ヴィルティニャイ」、
ベラルーシでは「カルドゥーニ」、
グルジアでは「ヒンカリ」と呼ばれ、
モルドバでは名称は中国北部の「マンティ」から派生した「マンティーヤ」であるが、
ヴァレーヌィクなどと基本的に同じものである。
ロシアでは「ペリメニ」と呼ばれるが、
これは日本国内のロシア料理店などでよく供されるので、
ロシア料理の好きな日本人には比較的なじみ深い呼び方である。
旧ソビエト連邦内にあった国で人気のある料理でもあり、マンティはウズベク・ソビエト社会主義共和国 (ウズベクSSR) など中央アジアの共和国から広まったと考えられている。
○ピロシキ:各地のピロシキ(スラブ系諸国(旧ソ連、東欧)、北欧、中央アジア、西アジア)
ウクライナ・ベラルーシ・ロシアの三国では、大きさは幅6cmから13cmくらいである。
生地は鶏卵とバターを使ったパン生地、折りパイ生地、練りパイ生地など色々で、
当国では、焼くピロシキの方が揚げるピロシキよりも一般的である。
具も多種多様で、畜肉(挽肉、レバー、脳など)、魚肉(サケ、チョウザメ、コクチマスなど)、
ゆで卵、フレッシュチーズ、米、カーシャ、ジャガイモ、茸、キャベツなどが用いられる。
お茶のお菓子として、ジャムや果物を詰めた菓子パン風の甘いピロシキも作られ、
間食として食べる他、コンソメやボルシチなど汁物に添えたり、
朝と夜のお茶の時間に食べるのが一般的である。
その他「ピロシキ」と呼ばれる東欧料理に、
片面だけを焼いたブリンチキで具を包み、パン粉をまぶしてバターで焼いたブリンチキのピロシキや、
折りパイで作った円形の容器に具を詰めた、フランスのヴォロヴァンによく似たピロシキがある。
どちらも肉、レバー、脳などで作った具を詰めることが多い。
ピロシキは東欧伝統的な家庭料理であると同時に、
ロシア皇帝ピョートル1世の時代から街中で売られている一般的な食べ物。
現在ではファーストフード店でも売られている。
ピロシキは近隣のラトビア、ポーランド、イラン、アルメニアにも伝わり、
現在では世界的に有名な料理となった。ラトビアでは「ピーラーギ」、
カレリアおよびフィンランドでは「ピーラッカ」として知られている。
なお、よく混同されるポーランドのピエロギは餃子状のダンプリングの一種である。
<中東欧編>
☆ウクライナ料理:
○ヴァレーヌイク
ヴァレーヌィクは半月の形を持ち、
小麦粉に水を加えて薄くのばしてつくった皮で、
じゃが芋・キャベツ・肉・茸・豆類・チーズ類・芥子の実・桜桃や苺などの
果物で作ったバラエティに富んだ具を包み茹でた食べ物で、
一般的にスメタナ、油、焼き玉葱で調味される。
中華料理の餃子とロシア料理のペリメニとの類似性を持つ。
ヴァレーヌィクはボルシチとならんでウクライナの代表的料理であり、
ウクライナを長く支配してきたポーランド、リトアニア、ロシアにも普及している。
ピエロギとヴァレーヌィクは
ウクライナ、ポーランド、スロバキアの国民食とされている。
☆ポーランド料理:
○ピエロギ 東ヨーロッパ周辺の料理
膨らまない生地に様々な具を詰めたモノを
茹でて、
または焼いて、
作る東ヨーロッパ周辺の料理。
このダンプリングは、
スラブ諸国(ウクライナ、ロシア、ポーランド、スロバキア)
バルト諸国(ラトビア、リトアニア)
で人気のある料理。
ピエロギの起源をたどるのは難しい。
ダンプリングはユーラシア大陸全域で見られるが、
「ピエロギ」という特定の名前、つまり
スラヴ祖語の「pir」(祝祭の意味)を持つ東西スラヴ語群における様々な同根語は、
近代の国民国家と標準語に先行して、スラヴ諸国で共通。
多くの国では「パイ」、「茹でたもの」を意味する形容詞varenyyより派生。
ピエロギとヴァレーヌィクは、ウクライナ、ポーランド、スロバキアの国民食とされている。
☆ポーランド・スロバキア料理:
○ピエルク ポーランド語やスロバキア語ではスープに入れる小ぶりなものにはまた別の呼び名がある。
<南欧編>
☆イタリア料理:
○ラビオリ ラビオリはパスタ料理の一種。
名称はカブを意味するRapaに由来する。
カブの薄切りにチーズをはさんだ中世の料理に似ていたことからの命名である。
東洋の餃子が、イタリアに入って現地の味覚に合うように変化したもの。
なお、焼き餃子は日本経由の「ラビオリ・ジャポネージ ravioli giapponesi 」。
小麦粉を練って作ったパスタ生地(2枚)の間に、
挽き肉やみじん切りにした野菜やチーズなどの食材を挟み、
四角形に切り分けたパスタのこと。イタリア料理である。
茹でたり、スープにして食べる。
トマトソースやクリームソースなどを絡めたり、ソース類も多様。
ベジタリアンは、挽き肉の代わりにホウレンソウやリコッタチーズを詰める。
また、ジャガイモもラビオリの具に良く使われる。
<西欧編>
☆ドイツ料理:
○マウルタッシェ 南ドイツのシュツットガルト一帯シュヴァーベン地方の郷土料理
イタリアの食文化の影響が強く、ラビオリの巨大版。
☆アシュケナジム(ドイツ語圏や東欧諸国に定住したユダヤ系)料理:
○クネイドラハ マッツァー、卵、油脂、調味料、水などを捏ねて丸め、スープで煮た料理。
○クレプラハ(ワンタン) 安息日のパーティ、更にプーリーム祭、
ヨム・キプル、ホシャナー・ラッバーの食べ物でもある。
☆ ☆ ☆
これらヨーロッパ系の餃子はパン的な主食であるため、
中国の餃子に比べても皮が厚めの傾向がある。
一方、皮の非常に薄いものが近年のポーランドに見られるが、
これも「ピエルク・ヤポンスキ(日本風のピエルク)」と呼ばれ、
形も具も調理法も基本的には日本の標準的な餃子と同じである。
ただ醤油と酢とラー油のタレ、特にラー油が入手困難なこと、
辛いものがポーランド人は大の苦手なため日本式のタレは定着はしていない。
代わりに焦がしベーコンをベースにしたポーランド独特のタレをかけたり、
多少濃い目に味付けをしたキノコのクリームソースなどいろいろなソースをかけたり、
サラダ用の様々なドレッシングをかけたりと、好き勝手に食べている。
☆ ☆ ☆
やはり、これらを見るに遊牧民の主食として小麦粉と共に羊肉を食べるための料理が伝わったのが餃子の原型ではなかろうか?
そもそも小麦粉で包んだ料理は中央アジアの遊牧民の保存食が起源。
故にダンプリングとは、遊牧民が交易で手に入れた僅かな小麦を調理する手段であるとするならば、トルコ付近からシルクロードを通って東に進むうちに、遊牧民からオアシスの民、そして農耕民へと、その地で小麦粉の入手が楽になればなるほど、だんだん生地が厚く、また大きくなって餃子・包子・饅頭へとなっていったという考えが自然なのではないだろうか。
華北は麦などの雑穀類を主とし、華南は米を主とする。
故に小麦粉で包まれた餃子を主食と言うのだが、それは元々が遊牧民の主張のそれなのではないだろうか?
ならば、やはり餃子はユーラシアを西から東に伝わったと考えていいのではなかろうか?
そういえば、お好み焼きもダンプリングに含まれるのだろうか?