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現実:食 餃子-世界の餃子の類似品(ダンプリング)<ユーラシア大陸全域>

★世界に冠する我らが餃子:


 中央アジアからトルコ、アナトリア半島、コーカサス地域、中国北西部に至るまでの範囲に広く見られる餃子……いや餃子のような一般的な料理、ダンプリングがある。



▽ダンプリング:小麦粉類を団子状に練ったり包んだりして加熱した食べものの総称。ユーラシア大陸全域で見られる。


 1.単に小麦粉を練って茹でた団子。


 2.小麦粉の生地に果物入れた焼き団子のこと。

  また果物をパイ生地で包んで焼いた菓子デザートをさすこともある。


 3.小麦粉などの生地で肉、野菜、果物などを包んだ料理。


 4.茹でた馬鈴薯と小麦粉、あるいは米、または両方に

   塩と水を加えて練り上げ丸型に整えてから

   茹でたり、蒸したりしたもの。


 5.小麦粉に塩・卵・牛乳・バターなどを加えて練り、団子状にしてゆでたもの。

  シチューやスープに浮かす具材に用いる、団子をシチューに入れたスープ料理。

  または料理のつけ合わせに用いたりもする。

  (塩・卵・牛乳・バターの他にケンネ脂・香辛料などを混ぜるものもある)


 これらが全て……これらを統べて、ダンプリングと呼ばれる。


 したがって日本のすいとんや蕎麦がき、中国の餃子・粽子、

イタリアのニョッキなども英語ではダンプリングに分類され、

かくして世界各地で多様なダンプリング料理が作られていることになる。


また、小麦粉のダンプリングを薄く伸ばして細く切れば麺となるため、

麺料理とも関連があるとされる。


(dumpは動詞「ぐちゃぐちゃに(混ぜる・捨てる)」「どさっと(投げる・捨てる)」、

 dump-yは形容詞「ずんぐりした」dump-ingは(動)名詞「投げ捨てること、ダンピング」。

 dump-lingには「ころっと丸い動物、ずんぐりした人」の寓意もある。)



▽主なダンプリング


東欧ユダヤ民族アシュケナジム:クネイドラハ、クレプラハ


ドイツ    :クレーセ 、クネーデル 、クロプセ 、マウルタッシェ


ポーランド  :ピエロギ、ウシュキ


チェコ    :クネドリーキ


ハンガリー  :ガルーシュカ、ゴンボーツ


ロシア    :ペリメニ 、ウシュキ


ウクライナ  :ヴァレーヌィク


グルジア   :ヒンカリ


フィンランド :ペルナカクット


スウェーデン :パルト 、クロップカーカ


イタリア   :トルテッリーニ、ニョッキ 、ラヴィオリ


アメリカ合衆国:アップルダンプリング、チキン・アンド・ダンプリングス


カナダ    :プーティーヌ


日本     :すいとん、蕎麦がき、ほうとう、ちまき、団子、中華まん、饅頭


中国     :粽子、粽子、餃子、焼売、ワンタン(雲吞)、

        マントウ(馒头)、包子、小籠包、春巻き、粽子、団子


朝鮮半島   :饅頭マンドゥ、スジェビ


モンゴル   :ホーショール、ボーズ


ベトナム   :バインバオ


チベット   :モモ、スキュー


ネパール   :モモ


トルコ    :マンティ


ハイチ    :ドンブウェイ


マシュリク・アラブ民族:シーシュ・バラク



なかでも生地に肉を詰めた料理としては、


 イタリアのラビオリ、トルテリーニ


 アシュケナジムのクレプラハ


 トルコのマントゥ


 アフガニスタンのマントゥ


 ザカフカジエのヒンカリ


 中央アジアのチュチュヴァラ


 中国のワンタンとチャオズ


 日本のギョーザ


 モンゴルのボーズ


 ネパール/チベットのモモ


 大韓民国のマンドゥ


などの類似した料理が多数ある。

 


 このように広域に広がった肉詰め料理の事を「マンティ」と呼ぶのである。



▼マンティ:


 小麦粉を練って作った生地に香辛料で味をつけた羊肉、

もしくはひき肉の具材を生地の中に詰めて、茹でるもしくは蒸して調理したもの。



 中央アジアのアフガニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン等ではマンティ

 トルコではマントゥ

 韓国ではマンドゥ


 という呼び方が一般的。


 いずれも同じく「饅頭」に響きが類似。

アジアとヨーロッパの境であるトルコと大陸東端の朝鮮半島の間

(草原の道:ユーラシア・ステップ)で、発音まで似た同様な料理があることになります。


 マンティという語は東アジアの饅頭や包子、マンドゥ、

そしてチベット・ネパールのモモと密接な関係があると考えられている。


 だが、モモと中国の餃子を混同してはならない。

これらふたつは、非常に異なるもので、直接的に関連していない。

モモの皮は餃子より薄く、酵母の入っていない生地でつくられている。


 チベット語のモモは、具のあるものだけでなく、

具のない饅頭マントウをも含めた類似食品の総称である。


 チベットのローバ族も具のないマントウをモモと呼んでいる。

中国陝西省や甘粛省などでは小麦粉をこねて加熱したパン様の食品を広く「饃饃」

(モーモー mómó)と呼んでおり、関連が考えられる。


 キルギスのドンガン人も、各種パン様の食品をмәмә(モーモー)またはму(ムー)と呼んでいる。

内モンゴル自治区では「饃饃」は具入りの包子(肉まん)も具のないマントウも含める。


 青海省、山西省、山東省、江西省、湖南省、福建省などでは「饃饃」は具のないマントウを指し、

ウイグル料理でも、モモ(momo、مومو)は具のないマントウを指す。


西安では、単に「饃饃」というと焼餅シャオビンを指すことが多いが、

 蒸したマントウは「蒸饃」(ジョンモー)、

 ハンバーガーのように肉などの具を夾んだ焼餅は「夾饃」(ジアモー)、

 細かくちぎって羊肉のスープをかけたものは「泡饃」(パオモー)

というように、「饃」には広いバリエーションがある。



 トルコでは、マントゥは別名「Tatar böregi」 (タタールボレク) とも呼ばれ、

これは遊牧民との関連が深い料理であることを示している。


 15世紀半ば、オスマン帝国時代のレシピが残っており、

この時代にはマンティは潰した羊肉と砕いたひよこ豆を混ぜあわせて蒸し、

砕いたニンニクを混ぜたヨーグルトを上からかけた後スーマックを散りばめて供されていた。



☆世界に冠する我らの餃子:


 さて、実は朝鮮半島の餃子は高麗時代の14世紀にモンゴル人によって

もたらされたと考えられています。

長らく中国の万年属国であったはずなのに一切伝わらなかったのでしょうか?

 実に不思議ですね。


 まあそれはともかく

、このように彼れが主張するところの『中国が本場であるはずの餃子』が、

ユーラシア大陸の東端から中央アジア、ロシア、

さらには中部ヨーロッパに至るまでなぜこれほど広範囲に見られるのか?


 その原因は13~14世紀にユーラシア大陸全域を席巻したモンゴル帝国にあって、

その侵攻によって餃子が広まったのではないかと推理することも可能です。


 さて、このように餃子は小麦粉伝来から数千年を経た中国で生まれ、

モンゴル帝国の拡大によってユーラシア全域に広まったという推理もありますが、

一概にそうとばかり言いきれませんよね。


 そもそも、餃子は・・・・・・餃子のような食べ物は、

モンゴル帝国の拡大以前から中国だけでなく

ユーラシア大陸全域に分布するとってもコスモポリタンな料理なのです。



 そう、具を小麦粉の皮でくるみ加熱調理する食べ物は

ユーラシア大陸の中緯度地域ユーラシア・ステップのほぼ全域で見られます。


 ユーラシアステップは紀元前・・・・・・

いえ、有史以前からヨーロッパ、中央アジア、中国、南アジア、中東を

経済的、政治的、文化的に、貿易ルートによってつないできました。


 有名なものは草原の道、古典古代から中世におけるシルクロード、

現代のEurasian Land Bridge。

具体的にはイタリア半島の東から、

地中海、黒海、カスピ海、アラル海の北部、バイカル湖の南、日本列島の西に当たる帯状の地帯。


 このユーラシア・ステップは馬の家畜化が始まって以来、

騎馬民族の活動の場でもあったのです。


 ながらく騎馬遊牧民国家の繁栄の場であり、歴史的に多くの部族連合や古代国家が興隆。

匈奴、スキタイ、キンメリア、サルマタイ、フン族、ホラズム、ソグド人、

鮮卑 、突厥汗国、モンゴル帝国などが有名である。


 クルガン仮説によれば6500年ほど前に騎馬民族である

インド・ヨーロッパ語族が馬曳き戦車を伴って、南ロシア平原から拡散。


 紀元前1000年以降になると、テュルク系民族が繁栄、

11世紀ごろからはモンゴル系民族が席巻しました。

もっとも現代では純粋な騎馬遊牧民というものは非常に少なくなっているのですが。




   - 閑話休題 -




 イタリア語では餃子のことをラビオリ・チネーゼ(中華ラビオリ)と言い、

トルコ付近ではマントゥがシルクロードを通って東に進むうちにだんだん大きくなって

餃子・饅頭・包子パオズになったという説もあって、

西洋の方では餃子は西から東に伝わったと考えている人も多いようです。




現実:食 餃子-世界の餃子の類似品<アジア編>に続く

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