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現実:称号『ヨーロッパ世界における皇帝』~皇帝が君主で執政が元首で~

▼『皇帝こうてい』:

(中国語: 皇帝、ラテン語: imperator、英語: emperor; king of kings、ドイツ語: Kaiser、ギリシア語: Βασιλευς、ロシア語: император、トルコ語: İmparator)


 ヨーロッパ世界における『皇帝(emperor)』の条件は2つあり、どちらを満たしても『皇帝』と名乗ることができます。

①ローマ帝国の正統な支配者(ローマ帝国崩壊後は後継者)

②自分の国だけでなく、他の国や領土も支配する統治者


 ナポレオン・ボナパルトが、1804年に国民投票によってフランス皇帝となるまで、長きにわたってヨーロッパにおける『皇帝』の称号は(若干の例外を除いて)「ローマ皇帝の後継者」としての称号であった。

つまり本来、ヨーロッパ諸国で『皇帝』を意味する単語は、「ローマ帝国の支配者」の称号が起源である。


●『皇帝』と『王(KING)』:

 現在『皇帝』とは、「一つの部族・民族の首長としての『王』よりも上位の普遍的な支配者」だと考えられているが、その実欧州の『皇帝』の称号とは、古代ローマで使用されていた「皇帝権」から派生し、その模倣や僭称としても使用されるようになっていった帝国の世襲の君主・君主国の君主・王の中の王(諸王の王)の称号なのである。


 日本には独立記念日も革命記念日もないが、現在「ヨーロッパ」と呼ばれている地域は、今から1600年ほど前まではローマ帝国の一地域に過ぎず、処か元来は野蛮な辺境であり続け、ローマ帝国の国家体制に属州と言う形で支配される事によってようやく文明世界に組み込まれ、そこで初めて各自が国家としての社会形成を知り得た為、歴史ある欧州各国のその始まりと自立とは、文明圏ローマ帝国からの独立に始まる。


 ヨーロッパ世界の『王(KING)』の場合は、ある一国の支配者という意味で、なかでも、特に「血統により継承される正当な支配者」を示します。

『王(KING)』の語源はkin(身内)と同じ印欧語であるゲルマン語由来の言葉である。

この『王』に対し、『皇帝』はいくつもの異民族を包括する普遍的な国家の『首長』である。

「『王』の中の『王』(『諸王』の『王』)」としての『皇帝』は、王権の範囲が共同体や部族、氏族連合を越える「帝国」と結びついており、国際関係を帝国の秩序に組み込む観念と不可分と言える。


 また、『皇帝』による政治体制は「皇帝制 imperialism」と言い、その支持者は「皇帝支持者 imperialist」(帝国主義者)と言う。



▼『君主』:

『君主』の語源はギリシア語の「モナルケス monarches」で、「ただ一人の支配」を意味する。

つまり伝統的には『君主』が唯一の主権者である体制であり、一人の支配者が統治する国家形態では『君主』の他に『皇帝・帝王・王・大王・天子・きみ・おおきみ』などとも呼び、この『皇帝』や『国王』のような『君主』は強大な政治的権限を有している。


●「君主国(君主制)」と「共和国(共和制)」:

 また、『君主』が存在する国家を「君主国」、『君主』が存在しない国家を「共和国」と言うが、この「君主国」は通常支配者の君主号によって「帝国(皇帝)・王国(王)・大公国(大公)・公国(公)・首長国アミール」などと呼ばれる。


 中でも『君主』が『皇帝』である「君主制」は「皇帝制 imperialism」と言われるが、「君主制」の対義語は「共和制(republic)」や「共和主義(republicanism)」である。


・「君主制」:

「君主制」はまず、『君主』の座を世襲で継承するかどうかによって、「世襲君主制」と「選挙君主制」とに分類される。


「世襲君主制」は『君主』の地位がある一族によって世襲されるものであり、この場合『君主』の一族を「王家(王室)」と呼び、「王家」による世襲権力の連続体を「王朝」という。

「世襲君主制」における王位継承は多くの場合現在の『君主』との血の近さによって明確な王位継承順位が定められており、空位となった場合は継承順位第一位の人物が新しく『君主』に就任する。


 これに対し、『君主』が死去または退位した場合、一定の候補者の中から選挙によって『君主』が選ばれる「君主制」を「選挙君主制」という。

                           

 また、「君主制」はその政治権力によっても分類される。

『君主』が絶対的な権力を持つ政体が「絶対君主制」である。

「絶対君主制」は「独裁政治」の一種であり、政治体制としては「権威主義体制」に含まれる。

権力継承のシステムが確立している上に『王族』によって支配体制が固められているため、「権威主義体制」の各政体の中ではもっとも安定性が高い。


 これに対し、『君主』が権力を制限されていたり付与されていない政体が「制限君主制」であり、権力の制限が憲法に基づく(立憲主義)場合は「立憲君主制」となる。


「立憲君主制」はさらに、『君主』が名目的な地位にあるイギリス型と、『君主』に強力な権限を持たせたプロイセン型(外見的立憲君主制)に大別される。

イギリス型の「立憲君主制」は「議会制民主主義」に立脚しており、「民主制」の君主国において広く採用されている。


・「共和制」:

共和制きょうわせい」は、『君主』を持たない政体、「君主制>ではない政治体制である。

「共和制」では、国家の所有や統治上の最高決定権(主権)を、個人(『君主』)ではなく、人民または人民の大部分が持つ。


 ただし「共和制」だからと言って「独裁者」が支配していないとは言っていない。

・ロシア共和国

・朝鮮民主主義人民共和国

・中華人民共和国

・トルコ共和国

・フィリピン共和国

おめーらのことだ!


「独裁者」と「共和制」の奇妙な親和性……実は「共和国」では伝統的な『国王』も『皇帝』も『天皇』も存在せず成り上がり者の『大統領』が権力と権威の最上位に位置するので、いざというときそのトップを批判できる実力者がいず、フェイクニュースだ、などと騒ぎやりたい放題が可能になるからです。


・『元首』の名称:

 また「君主制」の国家では『皇帝・国王』などの『君主』、「共和制」の国家では『大統領』が『元首』とされることが通例であるが、「社会主義国」では『大統領』の他、中華人民共和国の『国家主席』やかつてのキューバの『国家評議会議長』、ソ連の『最高会議幹部会議長』、東ドイツの『国家評議会議長』なども『国家元首』に該当する。



▼『執政官しっせいかん』:『元首げんしゅ

(ラテン語: consul、コンスル)


『執政官』は、古代ローマでの『政務官』のひとつでその最高職(定員2名)であり、都市ローマの長でもあり、共和政ローマの形式上の『元首』に当たり、訳語として『執政官』のほかに『統領』を用いることもある。


 平時は「内政の最高責任者」として政務を執り、戦時は軍団を組織するとともに「軍団の最高指揮官」として軍務を掌握し、また戦場においては直接指揮を執った(つまり、軍政と軍令の責任者と同時に現場指揮官でもある)。

これらの権限を「インペリウム (指揮権)」と言った。


 初期の『ローマ帝政(『元首政プリンキパトゥス』)』になると、『共和制』の枠組みを乗っ取ったようなもののため、『帝政』に移行し『皇帝』が兼任する様になった後もそれでも2名ずつ『執政官』は置かれ続け、『執政官』及びその経験者は依然高い地位であり続けた。

とは言え、それは『皇帝』と共に『執政官』の役職に就くものは、その後『皇帝』継候補者として大きな意味を持つ様になったからだが。


 しかし541年、東ローマ皇帝ユスティニアヌス1世によって官職としては廃止され、名誉的な爵位の名前(7世紀にギリシャ語が公用語になって以降は、ギリシャ語の「ヒュパトス」)として残るのみとなった。


●『元首』:

 『元首』とは国の『首長』、または国際法で対外的に一国を代表する機関であり、「君主制」の国家では『皇帝・国王』などの『君主』、「共和制」の国家では『大統領』が『元首』とされることが通例である。

社会主義国では『大統領』の他、中華人民共和国の『国家主席』やかつてのキューバの『国家評議会議長』、ソ連の最高『会議幹部会議長』、東ドイツの『国家評議会議長』なども『国家元首』に該当する。


 国内的には「統治権(少なくとも行政権)」と、「条約締結」、「外交使節の任免・接受」、「軍隊の統帥」、「外交特権(外国滞留中)」を持つとしている。


『国家元首』の概念は、国家有機体説に発しており、国家を人体になぞらえた場合に、『君主』をhead(頭、首)になぞらえたものとして生まれている。

この比喩から転じて、やがて、そうした国家有機体説の比喩を離れて、行政権の長として対外的代表権を持つ存在(人)を『元首』と呼ぶようになり、さらに転じて、(行政権の長であるかないかは問わず)対外的代表権を持っている存在(人)を指して『元首』と呼ぶようになったと言う。

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