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現実:食-食べられる宝石 「琥珀糖」・「干琥珀」

★「宝石箱ほうせきばこ」:

 かつてピンクレディーがCMしいてた 高級感のあるパーッケージの「宝石箱」と言うアイスは、雪印乳業が販売していたアイスクリーム(カップアイス)。

高級感ある漆黒の四角いカップの中、真っ白のバニラアイスの中に散りばめられたカラフルな色つきでフルーツの香りが付いた氷粒が散りばめられている。

赤い氷はストロベリー、緑はメロン、橙はオレンジ。

その氷粒を「宝石」に、パッケージ全体を「宝石箱」に例えたコンセプトの商品であった。


 3つのフレーバー揃い踏みで当時人気絶頂のピンクレディーのCMとともに登場した途端、子供たちの羨望の的になりました。

発売時の定価は120円だが発売当初の本品は「アイスクリーム」であり、

分類が「ラクトアイス」である内容量が同じ他のカップ入りアイスが50円で売られていた中、高級品の部類に入る価格設定となっていた。


 だが、種類が3種類から7種類に増やされた際、品質を「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」上の分類における「アイスミルク」とし、定価を100円に値下げしている。

発売期間は、1978年〜1983年。


 ……まあ、今回の件に関係無いのだが。


★『琥珀糖(羹)』と『干琥珀』:

 きらきら透明に輝き美しい「琥珀糖」は、煮溶かした寒天に砂糖や水飴などの甘味を加え型に流し入れて固めて作る古くからの日本の伝統的な和菓子。

透明な美しさを生かし、異なる色のものを合わせたり、練り切りやあんで作ったあゆ・金魚などの風物や、みつ漬けの小豆などを中に入れたりして、夏の情緒をあらわしたものが多く作られ、同じく夏の涼菓子として味わう澱粉からなる「わらび餅」や「くず餅(葛まんじゅう)(水まんじゅう)」とはまた違った風情がある。


 「干琥珀」も寒天・水・砂糖(水飴)というシンプルな材料で作られているが、乾燥すると外側はシャリっとした歯ごたえなのに対し、中は柔らかい不思議な食感も魅力の一つです。

これは水よりもお湯のほうが多くの砂糖が溶けるので、熱している状態で水に対して1.5倍の量の砂糖を溶かして過飽和状態になった後、冷まして乾燥させることで糖分が内側から染み出し表面を再結晶化させているからです。

そのため、外はシャリ、中はプルンとした寒天ゼリーのような食感に仕上がりますが……しかし寒天ゼリーとは一体何がちがうのだろうか?



琥珀糖こはくとう:旧-『金(錦)玉羹』

●君の名は:

 "琥珀羹(こはくかん)"とも呼ばれたり単に"琥珀"、或いは"琥珀菓子"とも言う。

クチナシの実で透明の寒天を琥珀色に着色することもあったため、この名が付いたとされる。

この他、錦玉羹 (きんぎょくかん)・金玉羹きんぎょくかんとも呼ばれるが、その名の違いは時代や着色の有無・材料によって生じているようですが、 現在では単に「琥珀」と呼んだり、「琥珀菓子」と呼んだりすることも。


 なお別名の"金玉羹"または"錦玉羹"だが、江戸時代には「金」と書くことが多く"金玉羹"の名称の方が一般的であったとされ、それが次第に「錦」が用いられるようになったものらしい。

ただし江戸時代の頃は金(錦)玉糖(きんぎょくとう)と呼ばれていたのだが、最近になって琥珀糖こはくとうと名付けられたそうな。


 これらは宝石のような美しさがあるので、琥珀こはくあるいは、金(錦)きんぎょくと呼ばれたのですが、しかし琥珀こはくという用語が半生菓子や棹物にも使われるのに対し、金(錦)きんぎょくは上生菓子に用いられる事が多いようにも感じられたりもしますが、これまた地方や店々によって「琥珀糖」「琥珀羹」「錦玉羹」「金玉羹」と皆好きなように呼んでいますので、よってそれらに違いなど現在ではほとんどないと考えていいでしょう。


●その見た目は:

 琥珀糖(羹)はその透き通るような透明感のある質感・見た目を生かし、練り切りなどを内部に含んで、水や川、空、夜空など季節の移り変わりを表現しようとして、豊かな表現性を持つ和菓子として、主に夏場に多く並べられ店頭で見られるが、確かに自然を表現するにはもってこいの素材だったのでしょう、昔ながらの風情が感じられます。

内部に小豆や柑橘などを含んで、見た目や食感・風味に変化を付けることが多く、表現性豊かな和菓子である。


●その味は:味のイメージとしては金平糖(こんぺいとう)と似ていて言ってしまえば砂糖の塊

 鮮やかな見た目からフルーティな味わいかと思われるかもしれませんが、食用色素を使用しているだけで琥珀の原料は砂糖が大半を占めているのでとても甘く、風味も薄いので味はあまりないと言ってもいいでしょうから、甘いのが大好きであれば琥珀糖の味が好みの人は多いと思いますが、甘いのが苦手な人にとって琥珀糖は甘すぎてまずいと感じてしまい「まずい」と感じる方もいるかもしれません。

……ただし、これは伝統的な製法の琥珀に限った話。



▼琥珀糖の歴史:

 その歴史は古く……或いはそれなりに新しく江戸時代にまで遡ります。

砂糖が普及しだした頃に考案され、カステラ・金平糖と共に親しまれるようになりました。


 キラキラしていてどこか涼しげな印象を与え美しい透明感を演出できるので、そんな伝統菓子は夏場に和菓子屋さんで夏の上生菓子によく使われるために並んでおり、夏場に人気なお菓子として現代まで受け継がれてきました。

キラキラした光の様子や涼しげな水辺、氷の美しさなどを表現することができ、夏の和菓子にはなくてはならないもので、当時砂糖はかなり貴重なものだったので、砂糖をたっぷりと使っている金玉糖はかなり高価な贈答品として扱われたようです。


 なお当時は砂糖が国産できなかったために大変貴重であり、一般的な羊羹の味付けにも甘葛などが用いられることが多く、砂糖を用いた羊羹は特に「砂糖羊羹」と称していた。


●砂糖:今では砂糖は手軽に安く手に入るので、自宅で琥珀糖を作る人も多い。

 琥珀糖を作る上で欠かせないのは、やはり砂糖。

江戸時代に日本に砂糖が持ち込まれたことは、琥珀糖の歴史の幕開けでもありました。

しかし、当時の名前は「琥珀糖こはくとう」ではなく「金玉糖きんぎょくとう」で、寒天と砂糖を足して作られた素朴な食べ物がそう呼ばれていました。

実はなんと江戸時代で「琥珀糖」はと言うと、卵料理の一種を指す名前だったそうです。


●寒天:

  同じく琥珀糖に欠かせない寒天の歴史も古く、寛文11年(1671年)には精進料理の刺身に寒天が使われるなど、庶民の日常生活にも深く根付いた食品でした。

和菓子に寒天が使われるようになるのはさらに後のことで、煉羊羹の登場は18世紀後半とされます。

現在では涼を感じさせる素材として、錦玉羹はじめ夏菓子に広く使われています。

羊羹に寒天が使われるようになったことで、和菓子の一種として広く世間に広まったのだとか。


 凍らせたトコロテンと砂糖を混ぜて、金玉糖(琥珀糖)を最初に作ったとされるのが、江戸時代の「美濃屋太郎左衛門」で、寒天の創案者としても知られています。


 琥珀羹(羊羹)とも言うが、初期(鎌倉時代〜室町時代の精進料理)の羊羹は小豆を小麦粉または葛粉と混ぜて作る蒸し羊羹であり(なお、蒸し羊羹からは芋羊羹やウイロウが派生している。)、羊羹に寒天が使われはじめるのは天正17年(1589)山城国伏見九郷の鶴屋の5代目岡本善右衛門がテングサ(寒天の原料)・粗糖・小豆あんを用いて炊き上げる煉羊羹を開発してからである。

江戸時代は煉羊羹全盛時代であり、この時期に金玉羹・淡雪羹(メレンゲを寒天で固めたもの)・ミゾレ羹といった新たな羊羹が登場したのだ。


 なお寒天自体は、江戸時代前期:万治(まんじ)元年(1658)の冬に山城国紀伊郡伏見御駕籠町(現:京都府京都市伏見区御駕籠町)において旅館「美濃屋」の主人・美濃太郎左衛門が島津大隅守滞在のおりに、一度は戸外に捨てたトコロテンが凍結後乾燥脱水(真冬の寒さで夜のうちに凍結し、陽が当たる日中解凍され、日を経て遂には乾物状になったものを発見)したので、試しにこれを煮て溶解し再び冷ましてみたところ、ところてん独特な海藻の臭みがない従来のトコロテンよりも美しく透明な塊ができた。

そこでこの怪しげなモノを京都府宇治市にある黄檗山萬福寺を開創した隠元隆琦禅師の一行が美濃屋に泊まった際に喜捨(きしゃを好む僧侶ならかまうまいと思ったのか『瓊脂(ところてん)の干物で珍味だ』と称して試食してもらったところ、精進料理の食材として活用できると奨励され、その際に隠元によって寒天と命名されたと言う伝承が伝わる。

17世紀中頃に誕生した寒天は、貞享年間(1684~87)には早くも輸出品の一つとなっていたそうだが。

天草類を煮て得た液を固めてトコロテンとして食用にしたのは、さらに昔の平安朝の時代であったと記されている。



▼干琥珀:テングサを何度煮て乾燥させれば気が済むのか?

 寒天と砂糖を固めたものを乾かし表面を結晶化させた和菓子で、外側は乾燥した表面のシャリシャリとした砂糖を含んだ寒天の食感と、内側は水分を含んだ寒天の柔らかくほどけるプルプルとした不思議な食感が楽しい和菓子である。

……砂糖でコーティングされていて、かむとジャリッとしグミのような食感で独特の甘さがある……「肝油ドロップ」か!?

もっとも肝油ドロップは中国人旅行者に爆買いされて品薄だそうだが。


 さて、煮溶かした寒天に砂糖や水飴を加えて固めた和菓子を「琥珀糖(羹)」と呼び、それを風通しの良い場所や焙炉などでさらに表面を乾燥させたものを「干琥珀かんこはく」と、また和菓子の世界では「艶干(つやぼ)錦玉(きんぎょく)」とも言うらしいのですが、これは干菓子として扱われることも多いが内部の寒天は水分を含んでおり、基本的には半生菓子である。

だが、どちらも単に「琥珀」と呼ばれます。


 そう、これが問題なのではないかと思われますが、乾燥させる事で砂糖が表面で結晶化してシャリシャリと舌触りよく仕上がり、中はやわらかくキラキラと光に透ける美しい見た目になり、まさに寒天ならではの繊細な食感を楽しむことができる半生菓子:干琥珀ですが、これが最近、おやつやお茶請けとして手土産として、また最近ではSNS映えする食べ物として『乾燥させて表面を結晶化させた「干琥珀」』の方が「琥珀糖」の名で広く知られるようになりました。



琥珀糖こはくとう琥珀羹こはくかんが同じもので、乾燥させたモノが干琥珀かんこはく

 琥珀糖・琥珀羹と干琥珀は一体どの様な違いがあるのかと調べていると、大きな誤解をしがちになる。

琥珀菓子は砂糖や水飴と寒天でできた透明なお菓子で、色を付けたり中に練りきりを入れたりした瑞々しい夏のお菓子である。

一般にこの様に寒天を使った透明なお菓子を琥珀糖とか琥珀羹と呼んでいる。


 では、現在ネットで騒がれている「宝石のような琥珀糖」というのは何かと言うと、アレは実は干琥珀かんこはくという名の干菓子ひがしなのである(本当は半生菓子)。


 ネット上にあがっている美しく透明な琥珀糖はほぼすべて乾燥してはいない。

外側が乾燥すれば白濁して宝石のようにキラキラとはしていられない。

即ち宝石のようにキラキラしているものは干琥珀でなく、ただの寒天菓子「琥珀糖」若しくは「琥珀羹」である。

つまりザラザラとした鉱物のようなものが従来の琥珀糖(羹)を乾燥させた干琥珀ということになる……そう、本来琥珀糖とは寒天を使った羊羹のようなものだったからだが、それが一つずつ中に装飾を凝らしていくうちに乾燥していき、夏でも日持ちのするように工夫したわけでもないが、あまりの糖度にその外皮が砂糖の結晶で覆われ外側はシャリシャリ内側は柔らかい寒天という複雑な食感の干菓子(半生菓子):干琥珀ができたというわけである。


 この干琥珀は乾燥させて周りが砂糖の結晶で覆われれば中の模様はほとんど見えなくなるので、凝った装飾をしても仕方ないということになる……干琥珀は薄く色を付けるぐらいがいいのではないか。


 ネット上で外側が固まらないと言って悩んでいる方がおられるが、固まらないのは砂糖の量が少ないか乾燥時間が足らないかである。

たとえ固まらなくても立派な琥珀糖であるから嘆き悲しむことはない……糖度不足でカビないならばだが。


 なお欧米で非常にポピュラーな菓子であるゼリービーンズは、砂糖・水飴・デンプンあるいは寒天を使ってゼリーを作り、コーンスターチを厚く敷いた箱の中で豆型にして、ある程度乾燥させる。

できあがったものを回転鍋に入れ、粉砂糖でコーティングした後、蜜蝋で表面を固め、つやを出す。



▼『琥珀』の作り方:

 棒寒天や糸寒天で作る場合は、5g使用し水でふやかしてから使用してください。

砂糖を加えてからは弱火を保ち、泡ができるだけ立たない様にしてください。

食紅の代わりにかき氷シロップを使うと淡い色の琥珀糖が作れるのですが、かき氷シロップと混ぜ合わせる際にはしっかりと混ぜ合わせないと固まりにくくなってしまいます。

このように着色にかき氷シロップも使用できますが、本来の食用色素を水で溶いたものでも当然お作りいただけ、バットを予め濡らしておく事により生地を外しやすくなります。


 琥珀糖は出来上がりすぐの状態も美味しくいただけますが、乾燥させる事により表面がシャリっとしていて、中はゼリーのようにプルプルした食感が特徴の干琥珀に変化します。


 ただ干琥珀がまずい理由で食感が好きじゃないからというのもありますが、シャリシャリしているのは砂糖が乾燥して結晶化しているからで、中は乾燥しないためゼラチンの効果によってゼリーのような食感が保てているということで、この食感の違いが干琥珀の魅力なのですが、それがまずいと言われる理由の1つでもあります。

砂糖のシャリシャリ感は歯に刺激を与えるように感じるかもしれません。


 なお、砂糖を溶かして結晶化させたものに氷砂糖がありますが、こちらは昔再結晶化させるために30日前後の時間をかけて作っていました、現在では攪拌機法という方法を使い7日前後の日数で氷砂糖を作ることができますが。

(氷砂糖は結晶になっているため不純物がはじき出された純度の高い砂糖です。)


  また切り分ける際は手でちぎると鉱石のような断面になりますが、お好みで包丁で切ったり型抜きをしても良いです。(ただしバットで直接包丁を入れると傷つくもよう要注意。)


 干琥珀は保存状態にもよりますが、常温で2週間程度お楽しみいただけます。

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