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現実:犯罪 - ブラックマネー詐欺

 詐欺相談の中で最も多いものが、通称「419詐欺事件(ナイジェリア刑法419条に抵触する犯罪)」

と呼ばれるものです。

アフリカのナイジェリアを舞台に多発している、国際的詐欺の一種であり、

先進国など豊かな国家に住む人から、手紙やファクシミリ、電子メールを利用して

金銭を騙し取ろうとする詐欺である。

2000年代からは電子メールで、2010年代からはインスタントメッセンジャーで行われる。


 典型的な例としては、海外の政府関係者・軍の高官やその親戚を名乗る人物から、

賄賂や資金流用、遺産相続等で得た秘密資金の送金のために貴方の銀行口座を貸してくれれば、

資金の一部を謝礼として渡す旨持ちかけられ、手数料等と称して言葉巧みに金品を騙し取ろうとする手口です。


・手口の例:

 1.マネーロンダリング型 (前渡し金詐取)

 2.貿易取引型(サンプル詐取)

 3.貿易取引型(商品/前渡し金詐取)

 4.遺産相続型(前渡し金詐取)

 5.政府調達型(前渡し金/商品詐取)

 6.不正取得財産返還型 (前渡し金詐取)

 7.インターネット宝くじ型(前渡し金詐取)

 8.黒紙幣<ブラック・マネー>型 (前渡し金詐取)


★黒紙幣<ブラック・マネー>型詐欺 :前渡し金詐欺の一種である

 無価値なはずの黒い紙片に、薬品をかける事によって高額紙幣に変わる様子を見せ、

儲け話を持ちかけると言う「ブラックマネー詐欺」は、

「ブラックドル詐欺」、「通貨汚損詐欺」とも、詐欺師たち自身は「ウォッシュウォッシュ詐欺」と称している。

これは2009年頃から日本でも被害者が出てきたマネーロンダリングに見せかけた詐欺です。

まるで近代に蘇った自称錬金術師のような連中です。


 簡単に言えば、政治的な裏資金の存在を信じさせるトリックであり、

また黒い紙の詰まった大きなトランクの内の任意の一枚の黒い紙を高額紙幣に戻して見せる手品のテクニックの事。

トランプ手品で相手が選んだカードが必ずわかるというのがありますが、

それと同等の手品も登場しているのですね。

黒い紙幣を高額紙幣-100ドル札に戻して見せるテクニックは小学校で習う沃素澱粉反応だったのだそうです。

そして、被害者に自分も犯罪に加担したと誤解させ告発出来なくさせるという嘘も重要な要素でした。


 こんな詐欺事件は国内でも犯人を換えながら、年に数件ずつ起きています。

しかし、落着いて考えてみれば、そんなトランクいっぱいに目的のない黒い紙が詰まっていたら、

今なら税関職員でもブラックマネー詐欺を考えるでしょう。




▼ブラックマネー詐欺の定義:

 用意された黒い紙の山を

「犯罪や違法な手段で取得した不正資金を国外から持ち込む際、

税関による発見を回避する目的で、とある方法で物理的に黒く染めた紙幣である」と騙し、

汚された事で使用不能になり資産価値の無くなったこの高額紙幣表面を、

再び使用可能な状態にして資産価値を取り戻すよう綺麗に洗浄するためには、

「貴重で高価な化学薬品が必要だ」と言い、どのようにお金がきれいになるか見せ、

その薬品の原価以上の金額を支払えばそれらを全て綺麗に洗浄してみせると言ってくる、

物理的*1.資金洗浄の事である。

*1.資金洗浄しきんせんじょうとは、

規制薬物取引、盗品などの贓物ぞうぶつ取引、身代金、詐欺、違法賭博、

脱税、粉飾決算、裏金、偽札などの犯罪行為によって得た現金(汚い資金)から出所を消し

(汚れを洗い流し)正当な手段で得た資金と見せかける(綺麗に見せかける)ことである。

……なお資金洗浄とは、けっして紙幣が汚れているから洗ってキレイにすることなどではない!


 このように詐欺師は、犠牲者にこの黒い紙の山を税関による発見を回避する目的で黒く染めた紙幣であると錯覚させ、

彼らが収入を共有するという約束で「紙幣」を洗浄する化学薬品購入費などを支払うように説得します。




▼ブラックマネー詐欺その手口:

 このブラックマネー詐欺は、事前手数料詐欺として知られているものの一形です。

「ウォッシュウォッシュ詐欺」としても知られます。


1、最初の接触、

 一般的に詐欺師は、相当数の応答を期待して撒き餌のごとく、

既知またはランダムな電子メールアドレスに何千もの電子メールを送り出します。

詐欺師達は、無警戒に詐欺をしようとしている人物に実際に会うということは、

単にメールを送ったり・追跡されない携帯電話で電話するのと違って、

より危険が伴うことだと知っているのです。

とは言え、時には詐欺師が直接被害者に近づく事もあり注意が必要です。


 そうして接触後とりあえずの信頼を得ると、

まず最初は自分は政府関係者・もしくは内戦等で死亡した某国有力者の亡命家族などと名乗り更に近寄っていき、

今度は「自分は多額の裏資金を極秘に持ち出したのだ」と言ってくる。

この際、海外渡航時・あるいは日本国内で直接対面して話を持ちかけるパターンが多い。


2、詐欺の開始

 その資金には納税の義務がある、又は返却の義務があるなどと架空の説明がなされ、

それをまともに払うと資金が消滅すると言う話が被害者から資金を詐取するための言い訳として使用されます。

被害者もそれが犯罪行為であると知りながら金に目がくらみ誘いに乗ってしまします。


3、ブラックマネーのトランク(見せ金)

 詐欺師は、トランクに詰まった紙幣サイズの黒い紙の山が本当の紙幣であると錯覚させ、

この化学物質で黒く染められた「紙幣」をきれいにする事ができると知らされた被害者から

金を詐取しようとします。


 とは言え、かばんの中のいったいいくらの「本物の」お金が変化するだろうか。

無論そのほとんどは決まってドル札に似せてカットされた単なる黒い紙切れである。

過去には見せ金と言えばその大半は白紙(新聞紙)であったが、近年は精巧な偽札も多い。

そもそも換金する紙幣のみ本物を使用することもできるのだ。

こうして犠牲者は、トランク一杯の「黒い紙」が現金に替わると説得されます。


4、染色紙幣洗浄の特殊薬剤に支払う資金の要求

 詐欺師は被害者を「紙幣を洗浄してきれいな紙幣にするために化学薬品を購入する必要がある」として

「この化学洗浄液は “非常に高価”である」と説かれます。

あるはこの時詐欺師は、隠匿する紙幣の偽装を秘匿する為にそれがどこにも見つけることができないような

珍しい名前を持つ洗浄液であると称する偽のウェブサイトをセットアップします。

これは物語に信憑性を追加するためです。


5、被害者見学会の開催

 被害者が疑問を持ち始める、またはそれ以上の金を支払うことにためらいを見せたときに、

トランクの中身を検査するための招待を受けます。

「隠蔽のため黒く塗りつぶされた米ドル紙幣(黒紙幣)が詰まっている」というトランクケースの実物を見せ、

そのトランクは染めた紙を明らかにするために開かれます。


6、資金洗浄の実演(物理)

 その後、詐欺師は、「洗浄液の小瓶」を以ってあらわれ、

ランダムに任意の染色された紙幣(黒い紙)を選択することが求められます。

こうしてその中から任意の黒い一枚の紙片を選ばせてそこから抜き出させ、

詐欺師は自称「特殊溶液」なる液体をかけることで化学薬品による紙幣洗浄という手品を見せます。

このように塗料を落とし本物の紙幣であることを演出するのです。


 この時、被害者は薬品を買うのに必要な現金を持って詐欺師たちのところへ行くように言われる事もある。

そこで被害者は多ければ数十万ドルにものぼる金額を薬品に支払うことを要求され、

そしてスーツケースいっぱいの紙ごみと一緒に置き去りにされるのだ。


 ひどいのだと、洗浄中に薬品が切れたので秘密の場所で追加の薬品を買ってくるからと有り金を巻き上げられ、

途中で止めると薬品が変質するので代わりに資金洗浄を続けてくれと言われたので、

そのまま「そ〜れ、じゃぶじゃぶ、ジャブジャブ」と作業を押し付けられ、

気がつけば1人取り残されたという事も。


 また、全ての紙幣の洗浄には大量の液体が必要として、購入資金を持参・振り込ませるのですが、

購入先は欧米諸国の現地(あるいは在日)大使館、欧米系技術者、諜報機関などを列挙し、

その「担当者」なる人物が現れることもあります。



 通常の前払い詐欺の犯行と同様、詐欺師たちは想像力にかなり富んでいていくつかのバリエーションがあるのだが、

ある時は、実際にお金を洗うのに使う薬品があって薬品名は何であれ、それが少しでもあれば変化する。

またある時は、手品のような簡単なトリックだったり、それらの組み合わせだったりする。


 例えば洗浄すると言いながら実際には黒い紙を本当の紙幣にすり替えてしまう事もあります。

この他、詐欺師は誤ったふりをして”床の上に残りの液体の入ったボトルを落として

被害者を焦らせ判断力を奪うこともあります。


 さらに信頼させる為に策略家の犯罪者たちは,

お金の入ったかばんを持たせたり、

きれいにするお金をかばんから選ばせたり、

最近では「きれいになった」洗浄紙幣を実際に市内で換金し信用させる手口が横行し、

多種多様な手段で被害者が見たものは本物だと納得させようとする。

詳細な点にかかわらず、これらの詐欺師たちは常に熟練していて説得力がとてもあるので

被害者に詐欺にあっていることを悟らせるのがしばしば困難である。


 こうして数回の資金授受の後、連絡が途絶えることになるのです。

或いは時に後払いになり、さらなる嘘と巨額のお金で詐欺は続けられることも……


7、遅延に次ぐ遅延、更により多くの費用を請求、そして蒸発

 いきなり連絡が途絶える前には、

詐欺師は被害者だけではなく自分もお金を手にすることができない理由を見つけては言い訳していきます。


 そして被害者はさらに別の料金の支払いを伴うような「これで絶対に最後になる」を約束させられ、

ついには被害者は友人や銀行から借金をしてまで支払いを続けます。

詐欺師は、被害者がそれ以上の金を払えない事を確認するまで犠牲者から金を搾り取ることを続けるのです。


 こうして被害者がだまされていることを自覚し、あるいは警察に事実を伝えるまで、それは続きます。

言うまでもなく詐欺師自身の、そして被害者のお金は警察が関与した時点で、すでに無くなっています。

ギャンブルと同じ手口ですね。


8、犯罪の報告は……

 とは言え、このような詐欺は、いくつかの理由のために被害者からの告発がなかなかなされません。

第一に、被害者は自分がとても馬鹿であったと、ひどく恥ずかしく感じるかもしれません。

第二に、詐欺の多くは被害者も故意に犯罪の収益を受け取ることに同意していて、

被害者がそれに参加するということは、

麻薬資金、脱税マネー、あるいは盗まれた金であることを承知していたことになります。

つまり被害者が警察に告発をするということは、犯行の自供にあたるのです。


 このように詐欺師は、文書を改ざんして被害者が自分自身を有罪であるかの様に誤認させますから、

被害者は表に出ることに消極的です。

彼は「犯罪のスキームだと思った何かに参加していたこと」を認めることが

自身の税務申告上に不利だと思わされています。


9、使用された化学物質は?

 実際に詐欺を犯し逮捕されたガーナ出身の犯人が

ABCニュースチーフ調査特派員にこの詐欺のトリックを話しています。


 それによると、本物の百ドル札に澱粉接着剤が付けられいているそうで、

これをヨードチンキ溶液に漬けて乾燥させると、この紙幣は外観が黒い画用紙のように見えます。

ですが他の多くの「紙幣が詰まったトランク」の中身は本物の黒い画用紙です。


 被害者が洗うためにそのうちの「一枚」”を選んだ時に、

それは手品の要領でヨウ素コーティング紙幣に差し替えられます。

「魔法の洗浄液」は、実際には粉砕されたビタミンCの錠剤を水に溶解した物か、

別の逮捕劇では、通常のラズベリージュースなのでした。

 



▼さらなる犯行:リデュース・リユース・リサイクル

 また「ウォッシュウォッシュ」は、しばしば419詐欺の最終目的となるのだそうです。

つまり大物詐欺の大仕上げに使われるのです。


 大体がメールと電話でのコミュニケーションから始まるのですが、

時には被害者はすでにかなりの料金と負担を詐欺師に支払ってしまっていることもあり、

被害者はお金が汚損されてしまっていると告げられ、詐欺師たちがいる場所に来るよう言われる。

そこでウォッシュウォッシュ詐欺が行われるのだ。


 実は、この種の犯罪者の中には仕事を他の仲間にまわすスペシャリストたちがいて、

一度被害者を引っ掛けたらこのスペシャリストに連絡を取り、

彼らは被害者との面会をセットアップして分け前をもらう……つまりは売り飛ばすのだ。

そうやって彼らはそこでこれまで食いものにしてきた犠牲者とおサラバイバイする。


 この犯罪をいかにうまく実行するか知っている集団は419詐欺師達がいるすべての場所に存在していて、

そして事実それは世界中に広がっています。

詐欺発生の地、西アフリカの他にはアムステルダム、ロンドン、そしてトロントなどがあげられる。


 犯罪は詐欺師たちがその都度借りた事務所や倉庫で行われるので、

被害者や警察が後で彼らを捕まえに来ても見つけることはできない。


 この他、前渡し金詐欺としては海外渡航時に「黒紙幣」ではなく精巧な「偽紙幣」を見せ金とし、

帰国後その送金のための手数料や管轄官庁・機関への工作費、諸税の支払いを名目に

前渡し金を指定口座に振り込ませる手口もある。




▼まとめ:

 ほとんどの場合、いまだに世に知られずにうまくやっていて、この種の犯罪が報告されないこともよくある。

すべての前払い詐欺と同様に警察ができること、または自発的に動くことはないのが現状だ。

また犯罪者に実際に会うというのは危険な目論見であると言わねばならない。

第一、前払い詐欺だからと言って、それに関する誘拐・拷問・失踪・殺人も先例がないとは言えないからだ。

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