現実:水 処女水(初生水)と化石水(同生水)
処女とか化石とか、いわゆる女性のソレとは関係ない……関係ないんだ!
▼処女水(初生水):
原始地球が誕生したときのような地球誕生以来初めて地表に湧き出した水である。
(注:原始地球マグマオーシャン(マグマの海)由来とは言っていない)
マグマ中の水分が上昇して帯水層に移動し,地下水となったもの。
これは地球内部・地下のマグマには水分が数%程度含まれているのだが、
マグマは冷却固結すると同時に大部分の水は液相として分離し(しぼり出され)、
それが火山爆発や温泉活動などによって岩石の『裂け目』を通って、
これにより初めて地表付近に現れる事で新たに水循環に加わる事になったもので
初生水ともいう。ただし童貞水とは決して呼ばない。
1980年代以降、処女水という用語は使われないようになった……女性人権団体とやらの圧力であろうか?
かつては温泉水の大部分は処女水であると考えられていたが、
酸素18や二重水素を用いる同位体技術の進歩によって、
処女水と循環水との区別が可能になり、
温泉水の大部分は雨水で涵養された循環水であることは知られている。
*温泉水=温泉法により水温が摂氏 25°C以上か、
あるいは19種類の特定成 分を含む地中から湧出する温水・鉱水及び水蒸気その他のガス
(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)と定義される。
日本列島には非火山性の温泉が多数存在しているが、
その多くは熱源が不明であり実は元となる温泉水の起源もあまりよくはわかっていない。
火山から遠く離れて存在するこれらの温泉は沸騰して湧出しているものもあり、
塩分濃度が海水の2倍以上もあるものもある。
この両方の特徴を有する温泉水が有馬型温泉水と呼ばれるもので、
有馬温泉をはじめとして南は和歌山まで近畿地方に広く分布している。
さて、日本列島のような沈み込み帯では地震/温泉/火山などの地学現象がおこるが、
それらは実は海洋プレートから出る水によって引き起こされているのです。
もっとも、この海洋プレートが水を大陸プレートの下に運ぶためには、
まず海洋プレートが水を含んでいないといけないのですが、その水とは海水であり、
つまり海があることで地震や温泉や火山があることになるのである。
これは日本列島の地下で海洋プレートが沈み込む場合、
だんだんと圧力が高くなっていくので堆積物の粒子間隙は潰されていき海水は隙間にいられなくなるので、
やがて地下100kmにおいて脱水し、
その水によってマントルを構成する岩石が部分融解して玄武岩質マグマ生じるのですが、
その初生マグマが上がってきて、地殻の中に入り、マグマだまりを作ります。
つまりマントルが水和して部分融解が生じ、浮力をもって初生マグマとして上昇し、
沈み込むプレートと直上のプレートに挟まれた大陸地殻下の上部マントル
(くさび型状のマントルの領域「マントルウェッジ」)へ放出されるのです。
これに対し、地下100kmより浅いところで脱水した場合はマグマは発生せず、
脱水により生成した水は数10kmの地下から熱水としてそのまま上昇してくるのではないかと考えられます。
固体地球の水循環はまだまだ不明な点が多いので、
海洋地殻とともに沈み込んだ変質玄武岩に含まれる水のうち一部のみが、
火山ガスや火山性温泉として地表に戻り大部分の水は行方不明であります。
行方不明の水の内、そのまま沈み込み帯からマントルに供給されるものはさらに少ないと考えられていますが、
マントルが水の潜在的貯蔵庫として重要であることがわかり、
実際にどの程度の水を含むか、また地球規模の水循環にマントルがどのように関わっているかは、
沈み込みに伴う水の行方や 海嶺・プリュームでの火成活動に伴うマントルからの脱水量を評価する必要がある。
また、これらの水は火山活動により地表に放出される(火山ガスの主成分は水蒸気)ため、
地下と地表の水収支は一応釣り合っているようですが、
果たしてどれ程のスケールで循環しているのかは分かりません。
フィリピン海プレートが大陸プレートであるユーラシアプレート(アムールプレート)と衝突して
その下に沈み込んでいる沈み込み帯・南海トラフから有馬温泉の直下までの 240 kmを
年間4cmずつプレートが沈み込んでいると仮定すると約600万年かかる事になるので、
実際にプレートから地表までどのくらいの時間をかけて上昇するかはわからないが、
有馬や宝塚では少なくとも600万年以上前の海水起源の温泉水ということになるのです。
毎年水循環に付加される処女水の量の見積りは研究者によって著しく異なるが、
その値は地球上に現存する水の総量に比べると無視しうるほど小さく、
100万年程度の期間を考える場合には、地球上の水の総量は一定不変であると考えてもよい。
▼化石水(同生水):化石海水を含む
地下水流動に関与していない地下水。
水成の堆積岩中に堆積時の水が閉じ込められて、
地下の岩石の孔隙、もしくは割れ目内に存在するもので同源水ともいう。
これらは遥かな過去に地層が堆積したときに封じ込められ、
以降数万年以上にわたって大気との水循環から切り離された水だが海水起源の化石水も多い。
特に海水が残存した化石水とは多くが鹹水である。
*鹹水=海水の塩分濃度を超える塩化した地下水
これは過去に海底が地殻変動のため隆起するなどして海水が陸上に閉じ込められたものであり、
また水分蒸発により塩分が濃縮・結晶化した岩塩地帯の塩分を含んだ水も化石水であるからである。
なお岩塩は古いものは5億年前、新しいものでも200万年前くらいにできたもので
岩塩が生成される数億年の間に海水の成分は分離されて
各塩類が積み重なった形で地下にあり、この段階で精製されているので
岩塩ではミネラル分・にがり分
(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等)はほとんどない。
一方、成分が分離されていない化石水は一般にナトリウムおよび塩素に富み、
多量のマグネシウム・カルシウム・重炭酸塩を含んだままでいるが、
その堆積時の水がそのままの組成を保っていることは殆ど無くなんらかの化学変化を受けており、
地表に近いものはその実、天水(雨水)によって希釈されていることも少なくない。
これら塩分を含んだ化石水・化石海水は日本の温泉の29%程度を占め、
かつては食塩泉とよばれていたが、1978年(昭和53)の鉱泉分析法の改定により塩化物泉となった。
日本では兵庫県の有馬温泉の食塩含有量が4.7%と最高であるが、
ドイツなどの岩塩地帯から湧出するものは、なんと食塩含有量20%を超えるものもある。
*化石海水(古海水)=化石水であり,かつ塩分濃度が海水と同程度以上の地下水
処女水と異なり天水(雨水)・海水などの水循環系起源ではあるが、
地層の堆積時にその中に封じ込められた事で、
数百万年、またはそれ以上も水循環から切り離されているのだ。
「共に生まれる」を意味するラテン語のconnatusに由来し、同生水ともいう。
更に化石水の中で、
堆積した当時に堆積物の中に取り込まれた水、或いは堆積岩の中に吸蔵された水を、
遺留水と言い、また吸蔵水も同義である。
この他、化石水は深い堆積盆地の深部に存在することが多く、
一般に無機物または有機物を大量に含み水質は悪い。
この他、海岸・油田地帯にも多く、海底堆積層から湧出するものはよく化石海水を含む。
また岩塩は他の岩石より軽いため、地層の圧縮を受け絞り出されるように地層中で
岩塩栓あるいは岩塩ダイアピルと呼ばれる盛り上がり構造をつくる。
この構造の近くでは石油が溜まりやすいので石油掘削時などに塩水に出会うのはその一例である。
さらに地下の鹹水は天然ガスを大量に溶存していることがあり、
地下の鹹水を汲み上げて分離・精製され、ガスが利用される事もある。
実は地下の高い圧力下により地下水に溶けている天然ガスは、
大気圧のもとでは水にほとんど溶けないので、
このため、地下水を地上へ揚水すると天然ガスが自ら分離して発生するのだ。
石油・天然ガス
2.25億年前に超大陸パンゲアが次第に分離、現在の姿になるまでの過程で
2億年前の三畳紀以後に存在したテチス海が地球の石油生成過程において極めて特異な存在だった。
中生代は二酸化炭素の濃度が今より10倍も高く、気温は10℃も高かった。
つまり地球温暖化で、植物の光合成は極めて活発であった。
しかもこのテチス海は赤道付近に停滞し、海水は攪拌されず長く酸欠状態が続いた。
このため有機物は分解されず、石油熟成に好条件であったのだ。
(テチス海=アジア地域では完全に陸化したが、
南ヨーロッパでは現在の地中海や黒海・カスピ海・アラル海などその名残りを残している。
テチス海が存在した当時、温暖な気候の下で植物プランクトンが大いに繁殖し
結果多くの死骸が海底に降り積もり、さらにその上に土砂が堆積し、
その後大陸の接近により陸地化し、現代の中東地区の石油に変化したとされる。)




