現実:食-「アイスクリーム・コーン(コーンカップ)」 - 円環の理(コルヌ・コピア) -
▼アイスクリームに「コーン」のはじまり:コーンカップ 始まりの物語
1904年に開かれたアメリカ・ミズーリ州セントルイスで行われたセントルイス万国博覧会でのこと。
伝えられるところによれば、バナー・バター製造所のオーナー、
ジョージ・バングがアイスクリームを売ったが、
その会場でアイスクリームをつくって売っていたお店で、
アイスクリームを入れる紙筒ボウルがきれてしまった。
彼は紙筒ボウルを使い果たし途方にくれていると、
隣に出店していたワッフルが売れていくのを見て、
そこで隣のワッフル屋に円すいの形をしたワッフルを焼いてもらい、
紙筒ボウルの代わりに食べれる紙筒ボウルとしてこの巻いたワッフルを用い
アイスクリームに入れて売ってみたところそれが大人気となった。
また他にセントルイス万博での最初にワッフルをつくった人物として、
アーネスト・A・ハムウィの名が挙げられることもある……件の隣のワッフル屋である。
万博でワッフル屋台を出していた「アーネスト・ハムウィ」こそ、
隣のアイスクリーム屋台でお客に出す皿がなくなったのを見るや
アイスクリ―ムをのせることを思いつき、さっと『ワッフル』を巻いて提供したのだと。
どちらにせよ、これがアイスクリームの『コーン』が誕生した瞬間といわれている。
なお、この時のワッフルはザラビア Zalabia (中東の菓子)であり、
これはパリパリ食感の生地で薄く平らに焼いたウェハースのような物だった、という説もありますが、
現在では改良されたものがアイスクリーム・コーンとなっているので、なにが正確かは不明です。
ただ、コーンカップは、1825年にはすでにフランスの料理本で紹介されていたとの説も。
*【ザラビア】Zalabia
中東~北アフリカのアラブ圏の揚げ菓子。
小麦粉がベースになっており、軽い食感のドーナッツとも言えそうな感じで、
油で揚げた後、シロップに浸すのが定番の国も多いようです。
▼アイスクリーム・コーン:円錐形 永遠の物語
アイスクリーム・コーン(英語:ice cream cone)は、
円錐形の乾燥したペイストリーで、通常ワッフルの生地に似たウエハースで作られる。
これによってアイスクリームを手でそのまま握ることができ、
ボウルやスプーンなしでも食べることができる。
「CORN」が原料だと誤解されることもあるが、
コーンのつづりは「CONE」で「円錐形」を意味し、
ウエハースの材料にトウモロコシは通常用いない。
従ってコーンとは「円錐形の容器」と言う意味になり、またコーンの主原料は小麦粉です。
○コルヌ・コピア:
なお、ギリシャ神話の中で、ゼウスに授乳したというヤギの角のことを
「コルヌ・コピア」といい、これは何でもかなえられる豊饒の角という意味があり、
後にこのコルヌが「CONE」に変化したといわれています。
コルヌコピア(Cornucopia)、コルヌー・コーピアエ(ラテン語: Cornū Cōpiae)
(コルヌ・コピア、コーニュコピアとも。)とは、
古代ギリシア・ローマ世界において、果物や穀物,花が詰まった(豊饒の角)として象徴化され、
食べ物と豊かさの象徴として用いられた角のイメージであり、
富と安寧を象徴し〈幸運〉〈勝利〉そして〈平和〉のおのおのの女神や河神の持物でもある。
その起源は紀元前5世紀に遡り、豊穣の角、アマルテイアの角、収穫の円錐とも呼ばれる。
ギリシア神話によれば、最高神ゼウスは幼児期をクレタ島のイダ山で過ごし、
角のある牝ヤギ:アルマテイアが豊かな乳で彼を養った。
あるときゼウスは、アルマテイアと遊ぶうちにその1本の角を取ってしまったが、
後にこの牝ヤギを星座の磨羯宮に祭り、
残された角には穀物,黄金の花冠,果物,宝玉を湧き出す神秘な力をさずけて、
イダ山の妖精たちに贈った。
この角には、持ち主に望みのものを与える力があったのだ。
よって、ここからコルヌコピアの伝説が生まれた。
伝説元来の表現では、羊の角が果物と花で満たされて、
神、特に古代ローマの運命の女神フォルトゥーナは、コルヌコピアとともに描かれる。
女神のその名はラテン語のfero(〈もたらす〉の意)と同語源とされる。
近代の表現においてコルヌコピアは一般的に、
柳の枝を角型に編んだ籠がさまざまな果物や野菜とともに表現される。
コルヌコピアはアメリカでは、感謝祭や収穫と関連付けられるようになっている。
心臓形もある。
○コロネ:コルネとも呼ばれる。
また日本で開発された菓子パンの一種『コロネ』は、
パン生地を円錐形の金属製芯(コルネ型)に巻き貝状に巻きつけ、
焼き上げたのち、内部にクリームを詰めたもの。(チョココロネが特に有名)
この『コロネ』の語源は、楽器のコルネットと同じく、
イタリア語で角や角笛を意味する corno に由来するもので
ラテン語で動物の角をCornuといい、フランス語でCorne、スペイン語でCuernoといい、
このコルネもまた「円錐形の紙袋」や「ソフトクリームのコーンの部分」を意味する英語
"cornet"( コルネット)に由来しています。
これが日本語読みで「コロネ」と「コルネ」と様々な読み方になっていったのだ。
『コロネ』はクリームをパン生地に詰めてから焼くクリームパンやチョコレートパンなどと異なり、
クリームを焼かないため、より水分の多い、みずみずしいクリームを味わえる。
この『コロネ』を利用した製品として、
「アイスコルネット」「コロネソフト(コロネソフトクリーム)」といった菓子が商品化されている。
これは、ソフトクリームのコーン部分をコロネに置き換えたものであり、
コロネ部分は、キツネ色に油で揚げたものや素焼きにした米粉パンなどがある。
また、このコロネの食べ方はよく議論されていますが、各人食べやすい食べ方が正解かと思われます。
そのまま、クリームのところから食べても、尖っている部分から食べても、
尖っている部分をちぎってクリーム部分にちぎったパンで蓋をしてちぎった所から食べてもいいと思います。
美味しければ全て良しです。
○コーンの特徴:ソフトクリームに欠かせない存在で香ばしくてサクッとした食感が魅力のコーン、
そのおいしさのひみつ。
コーンの特徴は、クリスピー性(サクサク・カリカリ感)と独特の香ばしい風味と香りにあります。
これが、口の中でソフトクリームのクールでまろやかな甘みとうまく調和して
ソフトクリームの味をさらに引き立てます。
このコーンの香ばしさのもとは『焼く』ことです。
コーンの主原料の小麦粉に砂糖や油脂などを混ぜあわせたものを、
コーンの形になった型に入れて『焼く』ことによってコーンなに出来上がります。
コーンの原料に含まれるたんぱくや糖分が熱によって変性する時に生まれる香りがこの「香ばしさ」なのです。
また、コーンにはバニラやアーモンドの香料が使われており、これが香ばしさをいっそう際立たせているのです。
コーンのサクサク感のもとはガスのふくらみです。
コーンを焼く時、原料に含まれたでんぷんがポップコーンのようにふくらみ、
さらに膨張剤によって炭酸ガスが発生し、
コーンの内部は『空気の入ったつぶ』が詰まったような組織になります。
「きさまは電子レンジにいれられたダイナマイトだ! メガ粒子の閉鎖空間のなかで分解されるがいい!!」
これがコーンのサクサク感のもとですが、ただそれだけでは十分なサクサク感は出ません。
この『空気のつぶ』の大きさや生地の厚みなどの要素、
この絶妙なバランスがサクサク感に関係しているのです。
また、小麦粉の成分も成型や品質に大きく影響します。
小麦粉に含まれるグルテンは粘着性、弾力性を兼ね備えており、
グルテンの量により、強力粉・中力粉・薄力粉に分類され、
パンや麺類はグルテンの多い強力粉、コーンにはグルテンの少ない薄力粉が適しています。
もっともコーンには特にクリスピー性が求められますが、その素材と組織上吸湿しやすく、
コーンが湿ってしまうと、クリスピー性はもちろん香ばしい風味もそこなわれてしまいます。
○コーンその歴史:カップを作るための型
食べられるコーンは、1825年には既にフランスの料理本で紹介されており、
ジュリアン・アルシャンボー(Julien Archambault)が
「小さなワッフル」からどのようにコーンを巻くことができるかを記述している。
食べられるコーンは他にも、1888年にイングランドのアグネス・B・マーシャル(en)(1855–1905)
によって書かれた『A・B・マーシャル夫人の料理本(Mrs A. B. Marshall's Cookery Book)』で紹介されている。
彼女による「コルネットとクリーム」のレシピでは、
「コルネットはアーモンドでつくる。型押しをするのではなくオーブンで焼く」とある。
アメリカ合衆国において、アイスクリーム・コーンは20世紀最初の10年間で普及した。
1904年12月13日、ニューヨークのイタロ・マーチオニーのアイスクリームを保持するための
ペイストリー・カップを作るための型は、米国の特許746971で認められている。
マーチオニーは、1896年から食用の菓子の入れ物に入れたアイスクリームを売っていると主張したが、
マーチオニーの特許はコーンに及んでおらず、コーン・メーカーを特許侵害で訴えた訴訟で敗北している。
○アイスクリーム・コーンの製造・販売:機械の特許
アイスクリーム・コーンは最初、熱く薄いウエハースを手で巻いて作られていた。
1912年、オレゴン州ポートランドの発明家であるフレデリック・ブラックマン(Frederick Bruckman)が、
コーンを巻くための機械の特許をとった。
彼の会社は1928年にナビスコに売却され、2012年時点でもアイスクリームを生産している。
ベン&ジェリーズのような独立したアイスクリーム・メーカーは、独自のコーンを作っている。
ペンシルバニア州ハーミティジ (Hermitage, Pennsylvania) で
1918年に創業したジョイ・アイスクリーム・コーン・カンパニーは一般消費者向けとともに、
レストランに販売するための業務用アイスクリーム・コーンを焼くようになり、大量生産を開始した。
この会社は、年間15億のアイスクリーム・コーンを扱い、
2012年時点で世界最大のアイスクリーム・コーン・メーカーだと言われてい。
○コーンその様々な種類:英語圏ではポーク(poke)やコルネット(cornet)とも呼ばれる。
・ワッフル・コーン、
・ケーキ・コーン(またはウエハース・コーン)、
・プレッツェル・コーン、
・シュガー・コーン、
・チョコレート塗りコーン、
・2杯のアイスクリームを左右に並べて食べることができるダブル・コーン
等、様々な種類の円錐形のタイプが存在する。
また、支えなしでも置くことができるよう、底が平らになっているタイプもある。
平底タイプのコーンは、
・キディ・カップ(kiddie cups)、
・ケーキ・コーン(cake cones)、
・クール・カップ(cool cups)などと呼ばれる。
日本では日世が最大手であり、国内シェアは約7割である。
日世は1951年(昭和26年)9月から1953年(昭和28年)4月までの間、
コーンをアメリカからすべて輸入していました。
その時の形状はNo.2 TAKE-OUTコーンが大部分で、
一部 No.1 FLARE-TOPコーンでした。
しかし、輸入したコーンは高価であり、クリスピー性がなくなるなど不良品も多かったことから、
高品質で衛生面でも安全なコーン供給がわが国ソフトクリーム市場の発展のためには不可欠と判断し、
アメリカのメーカーから技術導入し、コーンの国産化をはかることとしました。
以来、改良を重ね、今日に至るまでに様々な種類のコーンを世に送り出し続けています。
コーンの代表格といえば、レギュラーコーンとワッフルコーン。
見た目はもちろん、食感や風味など、食べて感じる違いはわかりますが、
具体的な特徴や製法の違いは何なのでしょうか?
・原料を型に流し込んで焼く「レギュラーコーン」
ソフトクリーム・アイスクリームのクールでまろやかな甘みにマッチした
香ばしい香りと淡白な味わいを持つ最もポピュラーなコーン。
軽いソフトな食感とサクサクとした歯ざわりで、口溶けが良い一方、
比較的吸湿しやすくなっています。
製法として、レギュラーコーンは成型性を良くするために膨張剤を添加します。
コーンの形になった(凹型と凸型の)金型で挟み、コーンの中身までしっかり丁寧に焼き上げています。
また、乳製品や卵を加えると膨張性と成型性が悪くなるのであまり使用できません。
原料を凹型の金型に流し込み、凸型で挟んで焼く。
・焼いてから巻く「ワッフルコーン」
膨張剤を使用せず、
砂糖の造形性を利用して焼き上げた板状の生地を柔らかいうちに強制的に巻き取って成型しています。
砂糖の使用量が少ないと、焼き上げ時の生地の柔軟性が不足して巻き取り成型ができなくなります。
内部組織がぎっしりとつまっているため、ハードで歯ごたえもあり、独特の食感が楽しめます。
更にそのリッチな配合と砂糖のカラメル化による芳香が程よくマッチして、
他のコーンでは味わえない風味を作り出しています。
・「ワイドトップコーン」
ソフトクリームの溶け出しに対応するため、
ソフトクリームの盛り付け部分の外側に垂れ受け部分を備えた二重構造。
新奇性のある八角形のコーンです。
・「ローレルトップ/デザートコーン」
高級感あふれるプレミアムコーン。
月桂樹や花をモチーフにした、個性が光るデザインです。
・「No.3 トリアンゴロコーン」 /
・「No.4 クアドラートコーン」
人気のジェラート用に開発された三角形および四角形のコーン。
四角のカタチはジェラートの盛り付けをしやすくするための工夫です。
・「ワッフルボウル」
カリカリとしたワッフルコーンをおしゃれなボウル型にしました。
コールドデザートだけでなく、洋菓子等多彩な用途に利用できるコーンです。
・「クリスピーメープルコーン」
一口目からソフトクリームとコーンを同時に味わえるスティックスタイル。
メープルシロップのほのかに甘い香りと小麦胚芽の香ばしさがコーンの美味しさを再認識させてくれます。
・「ココットカップ」
ソフトクリームが溶けてもこぼれにくいカップタイプ。
コーンの底がテーブルに置けるカタチになっているので小さなお子さまでも上手にゆっくり食べられます。
過去にはこんなコーンも…
・「アイス一体型コーン」
1928年、テキサス州フォートワースのJ.T. "ストゥービー" パーカーは、
食料品店の冷凍庫で保存することができる、
冷凍アイスクリームと一体型のアイスクリーム・コーンを開発した。
彼はこの商品を市場に出すため、
1931年にドラムスティック社 (Drumstick (ice cream)) を設立したが、
1991年にネスレによって買収された。
2012年10月時点で、ネスレは、「ドラムスティック」ブランドのアイスを8種類の味で販売している。
1959年、ナポリに本社を置くイタリアのアイスクリーム・メーカーであるスピカ社は、
ワッフルコーンの内側に油・砂糖・チョコレートの層をつくることで
アイスクリームとコーンとを隔離する製法を開発し、
1960年、「コルネット」 (Cornetto (ice cream)) の名で商標登録するも当初の売上は伸び悩んだ。だが、
1976年にユニリーバがスピカ社を吸収合併するとヨーロッパ各地で
「コルネット」の大量販売キャンペーンを始めた。
「コルネット」は現在でも、世界で最もポピュラーなアイスクリームの1つとなっている。
・「ダブルヘッダーコーン」
1968年(昭和43年)発売
2種類のソフトクリームを取り出せるフリーザーの登場に伴い、
2種類のソフトクリームが同時に楽しめるダブルヘッダーコーンが発売されました。
・ジャンボコーン
1972年(昭和47年)発売
昭和29年に発売された平底タイプのジャイアントコーンよりもさらに大きい、
サンデー盛りにも使えるジャンボコーンが発売されました。
・カラーコーン
1972年(昭和47年)発売
当時カラフルな商品が流行し、コーンも赤・青・黄・茶色のカラーコーンが発売されました。
・コーンの新しい包装方法
1979年、デイビッド・ワインスタイン(David Wienstien)によって考案された新しい包装方法により、
アイスクリーム・コーンの輸送はより簡単になりました。
なおワインスタインの考案であるが、
実は単純にアイスクリーム・コーンをパラフィン紙で包むことをできるようにするものである。
これにより、包装紙が輸送中に外れたりコーンにくっついたりすることを防ぎ、
コーンをより衛生的に保つことができるようになったのでした。




