「まささん、いじめられる」の巻
(ねねさんへのマッサージを終えたまささんは、今度は自分がマッサージされることになったのでした。マッサージとは、基本、気持ちのいいものです。が、しかし……)
「アイタタタタタタァァァーッ!!!」
ホテルの部屋にまささんの悲鳴が響きます。
「痛い痛い痛いですッ! ねねさんッ、それめちゃめちゃ痛いですってばッ!」
「大袈裟ですね、まさちゃんは。これぐらいのことは我慢して下さい。それでも男ですか!?」
「そ、そんなこと言ったって……アイタタタッ!!!」
体重のかかったねねさんのかかとが、まささんの肩に食い込みます。
そう、彼女はうつぶせになったまささんの肩を両足で思い切り踏んでいるのです。
ミシミシと骨が軋み、肉が鳴きます。
ですがねねさんは、そんなことには気を回しません。
「まさちゃん。痛いのは効いてる証拠ですよ。それを我慢すれば、あとでさぱりした気持ちになれます」
「そ、そうなんですかね……イタタタタッ!!!」
「そうです!(断言) だからまさちゃん。これからわたしが、もっとまさちゃんを気持ちよくしてあげますからね。頑張て!」
「ギャアアアアアッ!!!」
ねねさんの攻めが、肩から背中へ移ります。
場所としては肩甲骨のあたり。
肩より痛みは少ないとはいえ、やっぱり痛いものは痛いのです。
余談ですが、ねねさんはややぽっちゃり気味で身長の割に体重があります。
当然それは、子供の比ではありません。
そんなものに全体重を掛けられては、鍛えの足りないまささんの身体が耐えられるはずなどありません。
「痛い痛い痛いッ!」
「も~、情けないですね、まさちゃんは。仕方ないので、これぐらいにしてあげます」
「あ、ありがと(心の声:た、助かった……)」
「じゃ、あとは腰とお尻と脚ですね。まさちゃんは前に腰が痛い(←物書きの職業業です)って言ってたから、そこは念入りにやてあげます」
「えッ!!!?」
「もうちょっとだけ痛いの我慢して下さいね~、ウフフフ」
「ちょ、ちょ待ッ!」
「あッ、そうそう。ふくらはぎと足の裏もかっちりやたら疲れが飛びますよ~。わたし、まさちゃんを気持ちよくするの大好きなんで、一生懸命頑張るから。遠慮なく気持ちよくなてください!(踏みッ踏みッ踏みッ)」
「(ミシッミシッミシッ)ギャァァァァァッ!!!」
まささんの悲鳴が収まるのは、それから優に三十分以上先になってからのことでした。
合掌。