「まささん、マッサージする」の巻
(お風呂から上がって、汗水流して戦い終わり、体力使い果たしてぐったりしてるまささんに向かって、いまだ元気なねねさんが、唐突にこんなお願いをしてきたのでした)
「まさちゃ~ん。よかたら、わたしの背中、マッサジしてくれませんか?」
「はェ? マッサージですか?」
「そう。最近、どういうわけか背中と腰が疲れて疲れてひどいです。まさちゃんの力で、ぎゅーっといぱい揉んで下さい!」
「そりゃ、別に構いませんが」
「よかたです! それが終わたら、次はわたしがまさちゃんをマッサジしてあげますね! わたし、実はマッサジ得意よ! だからくれぐれも、力いぱいでお願いね!」
「はいはい」
言うが早いかバスローブ一枚でごろんとうつぶせになったねねさんの背中を、馬乗りになったまささんが、ぎゅーっぎゅーっと親指で押さえ始めます。
首の後ろから肩甲骨のあたり。そしてそのあとは、背骨に沿って尾てい骨のあたりまで。
「うわ、凝ってますね。バンバンですよ!(心の声:なんだよ、いったいこの固さは! 普通じゃないぞ)」
「そーですか……やぱり。最近ホントに、肩凝て肩凝てどうしようもなかたんです。寝る時は、ピッ○エレキバン貼てるくらいです」
「う~ん、この感じならそうでしょうね。こりゃ酷いや」
「こういうの、ルームメイトの女の子にしてもらうのも嫌ですし、まさちゃんなら男の人だから力ありますしね……あ、そこ、もとぎゅーって力入れて下さい!」
「これぐらいですか?(ギュー)」
「まだ! もともと!」
「んじゃあ、これぐらい?(ギュー)」
「足りません! もと!」
「(心の声:ひー、しんどい! だんだん握力がなくなってきたァ)じゃあ、これぐらいでどうです!?(ギュー)」
「あー、それいいです。その調子でもとやて!」
「(心の声:ひ~、疲れる~)」
そんなこんなで、まささんは三十分ほどねねさんの背中をマッサージすることになりました。
どうやら彼女は痛いくらいの指圧がお気に入りのようで、女性の身体を気にしながらのまささん式マッサージでは、少し物足りなかった様子です。
しかしながら、リクエストに応えたまささんが疲労を気にせず指の力のレベルアップを図ったところ、なんとか満足してくれたようでした。
いつの間にか、静かな寝息が聞こえ始めました。
「(心の声:う~、まるで女のひとじゃなくそこらのオッサン相手にしてるみたいだ)」
「まさちゃ~ん。そろそろ代わりましょうか?」
「えッ?」
「今度はわたしがまさちゃんをマッサジする番ですね~。わたし、ホントにマッサジ得意よ! まさちゃんの疲れた身体、きっちりリフレシュしてあげるね!」
「はァ、そうですか。じゃあ、よろしくお願いしようかな(心の声:韓国式マッサージって奴かな。とりあえずお手並み拝見としましょうか)」
「任せて!」
そう軽い気分で申し出を受けたまささんなのですが、数分後、その判断を激しく悔いることになるのでした。