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「まささん、押し倒される」の巻

(お風呂から上がったまささんは、ひと足早く、部屋のほうへと戻るのでした)


 暖まった身体をゴロンとベッドに横たえて、満足そうに目をつぶるまささん。ねねさんはまだ戻ってきてはいません。しばしの孤独を、軽い睡眠と共に楽しもうと決意します。


 しあわせだなぁ。


 まささんは思います。眠りに身体を委ねているだけなのに、そんなことを思ってしまいます。


 思い返せば、こんな平凡なしあわせをしあわせと感じるようになったのは、いつからなんだろう?


 仕事を変えて年収は半分になった。将来の安定性もなくなった。


 まわりはことごとく「莫迦だ」と言った。自分でも「莫迦だ」と思う。「日本郵政」という大企業で働いていた時分にはそれなりに寄ってきていた女性陣も、あきれるほどにきれいさっぱりいなくなった。


 でもその代わり、ぎすぎすしたプレッシャーから自由になった。お金で買えない心の平穏をゲットした。うつ病でのたうちまわってたころとは、見える世界が全然違う。楽しむ範囲だが小説も書けてる。これは大きい。大きすぎて、評価さえ出来ない。


「(心の声:まあ、しょせん人生は『塞翁が馬』 まさか、こんな自分が彼女とふたりで温泉旅行だなんて、数年前は思ってもみなかったしなァ。しかも、その彼女がよりによって韓国人ってか? わからんもんだよな、まったく)」


 やがてまささんの意識は、ゆっくりと睡魔に飲み込まれていきます。


「ZZZZ……」


 そんなまささんを目覚めさせたのは、不意にのしかかってきた重量感でした。


 ドスッ!


「むにゃ(心の声:……なんだ? 何か重いものが)」


 寝ぼけ眼をあけたまささんがそこで見たものは、にやにやと笑うねねさんの顔でした。


「まさちゃ~ん。気持ちよく寝てましたね~」


「おや、おかえりなさい。ところでねねさん」


「なんでしょ、まさちゃん?」


「なんでいまボクは、貴方に押さえつけられているんでしょ?」


「そんなの、わたしがイチャイチャしたくなたからに決まてるじゃないですか!」


 肉食獣がにやりと牙を見せ付けました。


「まだ全然時間もあるし、一回気持ちよくなりましょ?」


「風呂上がりにですか?」


「終わたら、そこのお風呂に入ればOK! わたし、我慢出来ないね!」


「(心の声:この状況では何を言っても無駄だな)好きにしてください」

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